「伝える力」が受賞の決め手に!「サイゲームス クリエイティブコンテスト2025」結果発表 「審査員賞」「学校賞」編
サイゲームスは2025年9月~11月に、学生を対象とした「サイゲームス クリエイティブコンテスト2025」を開催。「キャライラスト部門」「背景イラスト部門」「3DCG部門」「ゲームコンテンツ部門」「広告・映像・衣装デザイン部門」「高校生部門」の6部門で作品を募集し、4500点以上もの応募作品から受賞作品を選定しました。
サイマガでは、コンテストの受賞作を2回に分けてご紹介。前編の「部門賞」作品のご紹介に続いて、後編となる本記事では「審査員賞」「学校賞」の作品を審査員の講評と共にお伝えします。
- デザイン制作室・Webクリエイティブ室 マネージャーマコト

- Web制作会社にてWebプロデューサー・ディレクターとしてのキャリアを経て、サイゲームスには2013年に合流。広告制作を担うデザイン制作室のマネージャーを務める。Web・広告制作の他、イベントの企画制作にも携わり、2023年から「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営にも参加している。
- 佐賀スタジオ マネージャーリョウヘイ

- アニメーション制作会社での制作管理、プロデューサーのキャリアを経て、サイゲームスには2020年に合流。佐賀スタジオでスタッフのマネジメントに携わり、2021年から「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営にも参加している。
審査員賞(10作品)

ペンネーム:kauaさん
中国の少数民族の魅力を伝えられれば一番嬉しいと思います。気に入ってもらえたら幸いです!
キャライラスト部門の応募作『羌』の講評をお願いします。
マコト 同じ世界観をベースにしたイラストを複数応募された方で、中でもキャラクターの愛らしさやアジア風の衣装で目を引いたのがこの作品でした。キャラクター性が感じられる雰囲気の中で構図も上手くまとまっています。実は部門賞の選考で終盤まで検討された作品でもあったのですが、もう少し描き込みや主張があると良かったのでは……という点から、審査員賞とさせていただきました。
リョウヘイ こういう頭身の低いキャラクターイラストはドレスやフリルなどのかわいらしい要素を取り入れた衣装デザインになりやすいですが、この作品は民族衣装の要素を取り入れて、ひと味違うものになっています。キャラクター以外の部分は平面的なデザインと植物などの立体的な要素がしっかりと絶妙なバランスで表現されていて、他の絵と違う味わいをもたらしてくれました。


ペンネーム:リモコンさん
1980年代のアメリカを舞台にした、悪党たちのコミックストーリーイラストです。個性豊かなキャラクターたちが街を舞台に大暴れする様子を描いています。キャラクターデザインでは、一目で性格を想像できるよう、動きや表情を意識して制作しました。
同じくキャライラスト部門の作品『MADVILLAINS』は、どのような点を評価しましたか?
マコト この方は前回も『VILLA!NS』という作品で審査員賞を受賞されています。若いながらに作風がしっかりしているので、今回もすぐに「以前応募された方だ」とわかりましたね。個性を確立していて表現の精度が高く、かつ前回より進歩している要素も見られたので、連続受賞となりました。今後、キャラクターを突き詰める中で多くの人が親しめる普遍的な魅力を高めていただけると、さらに上の賞を目指せるのではと思います。
リョウヘイ この作品は絵の個性もさることながら、世界観や具体的なストーリーまでをきちんと決めた上で構成されていて、ここまで踏み込んで作る学生さんは意外と少ないです。また、今回複数の作品を送ってくれたのですが、いずれも各キャラクターの設定やポージング、背景やアイテムなど点数が非常に多く、相当なスピードで制作しているのが伺えましたね。たくさん描くからこそ精度が高まるのだと実感した作品でもありました。

ペンネーム:しのさん
「誕生」をテーマに、ショーウィンドウを破って外へ踏み出すマネキンを描きました。
タイトルのEclosionは、羽化や孵化を意味します。
どちらも蛹や殻など自分を守る外壁を破って外の世界へ出ることから、安全と自由の転換点をイメージしてこのタイトルを選びました。
時として転換は一瞬です。
静止画ではどうしてもそのわずかな数秒しか切り取れませんが、そのワンカットの前後にあるストーリーも想像してもらえるような構成を意識しました。
世界が変わり始める瞬間の空気を感じていただけたら嬉しいです。
『Eclosion』もキャライラスト部門の応募作です。評価されたのはどんなところでしょうか?
マコト シンプルなシチュエーションのビジュアルですが、細かい説明がなくともイメージを膨らませられる余白があり、高い評価を受けた作品です。ショーウィンドウを飛び出したマネキンから「アンドロイド?」「自由を模索している?」のようにバックグラウンドが想起しやすく、キャラクターの造形もシンプルな中に個性が感じられました。
リョウヘイ ショーウィンドウのピンクの光と外の暗い風景のコントラストがはっきりとした、この巧みな光の表現が印象的でした。ショーウィンドウ内のリアリティーも非常によく練られて作られていますね。衣装も非常に魅力的なデザインになっていて、一点一点を広告・映像・衣装デザイン部門に出しても目を引いたのではと思いました。

ペンネーム:hekidukiさん
輪廻転生の「廻る」と洗濯機の「回る」を組み合わせた作品です。窓から入ってきた光が中央の洗濯籠に当たり影が出来るようにライティングを工夫しました。
『輪廻』は3DCG部門の応募作品です。どのような点を評価しましたか?
リョウヘイ コインランドリーの造形や表現から、実際の場所を研究したのが伝わってきましたね。設備や物が経年劣化しているさまや窓から差し込む光から、この空間に佇んだ人がどんな気持ちになるかが想起できる、味わい深い一枚になっています。
マコト 3DCG部門は精緻な人工物を表現した作品が多いのですが、このコンテストは技術だけを競うものではなく、作品として心に残るものを求めています。この作品はコインランドリーに遺体安置所を思わせる要素を組み合わせて違和感を出し、精緻でありつつ技術だけに留まらない表現で審査員の目を引き付けたことが評価ポイントでした。
リョウヘイ コインランドリーに「輪廻」という言葉を掛け合わせているのが面白いので、タイトルの意味を伝える要素がもう一つ二つあるとより良かったと思いました。それらが加わると、絵の中で起きていることを見る人がよりイメージしやすくなると思います。

ペンネーム:おとりさん
上へ上へとたてられた建造物、その上層に佇む茶屋です。
茶屋の建物と小物の密度感と、空の広さの対比を意識して制作しました。
私の好きなアジアとサイバーパンクを融合させたようなデザインで、生活感のあるローテクと奥の配達ドローンなどのハイテクが同居する作品になっています。
『超高層建築群』も3DCG部門の作品ですね。
マコト 陰影が印象的な、非常に技術力が感じられる作品ですね。現代的でありつつ近未来SFのサイバーパンクのような雑多な印象もあり、仕上げるのが難しそうな世界を細かく作り込んでいます。絵の中に生活感が盛り込まれているにもかかわらず、暮らす人は全く出てこない良い意味での違和感も魅力的でした。
リョウヘイ これはもう「よくぞここまで作り込んだな」という作品ですね。細かいディテールをしっかり描き込まなければ、この巨大な感覚は出せなかったと思います。また、絵の中にメインとなる要素が存在しないだけに、作者の優れた技術を駆使して象徴的なオブジェクトを盛り込んだらどうなっただろう?という興味も湧きました。


ペンネーム:BreatheLIFEinto.チームさん
本作「Breathe LIFE into.(ブレス ライフ イントゥー)」は、飛び出す絵本をコンセプトに、ビジュアル表現に力を入れて複数人で制作したゲームです。
「色を失い困り果てた人や世界に、命を吹き込む」というテーマを掲げ、シンプルなおつかいゲームでありながら、世界観・ビジュアル・BGMのすべてにこだわり、没入できる作品を目指しました。市販素材を極力使わず、モデル・テクスチャのほとんどをオリジナルで制作しています。
主人公もまた村人たちと同じく、悩みを抱え色を失い、姿まで変わってしまった存在です。それでも困っている村人を放っておけず、次々と問題を解決し、希望を届けていきます。村人たちからの「ありがとう」が主人公の背中を押し、ゲームの外側の物語として、彼自身も再び前へ進む力を取り戻す。そんな構造になっています。
「最初から最後まで遊べるゲームにすること」を目標に制作しました。細かなテクスチャミスやデバッグ不足はありますが、世界観に浸り、ゆったりと楽しんでいただければ幸いです。
ゲームコンテンツ部門の応募作品『BreatheLIFEinto.』の講評をお願いします。
リョウヘイ これまでのゲームコンテンツ部門では、ビジュアルに注力した作品は企画書での応募が多かったのですが、この作品を見て「ついにビジュアルで勝負するプレイアブルな作品が来た」と思いました。この完成度が高いビジュアルで動くゲームは相当インパクトがありました。学生さんたちのレベル向上を実感するとともに、この作品に刺激を受けて、ビジュアル面とゲーム性の両方を突き詰めたような作品が増えていったら、次回この部門はとんでもないことになるのでは?と期待が高まりましたね。
マコト コンセプトや世界観をしっかりまとめて、ストーリー展開まで踏み込んで制作しているという点でも目を引いた作品でしたね。作り手が面白いと思っているもの、好きなものをきちんと投影しつつ形にしているのが伝わってくる作品でした。


ペンネーム:あらまーさん
壁があったら、乗り移れ! shiftominoは、主人公が持つ「シフト」の能力でブロックからブロックへと体を乗り換えながらゴールを目指す、パズルプラットフォーマーです。
『shiftomino』もゲームコンテンツ部門の作品ですね。こちらはどのような点を評価しましたか?
リョウヘイ こちらは『BreatheLIFEinto.』とは対照的に、「ゲームとしての面白さ」が純粋に評価された作品ですね。基本的なやり方を覚えればどんどん進められる、非常に良い構築になっています。四角いキューブ状のキャラクターもシンプルながら愛着の持てるデザインで、難しい要素はないけれどスマートにまとまったハイレベルな作品だと思いました。
マコト 確かに、実際にプレイしたときに黙々とやり続けてしまうという点が何よりの評価ポイントでしたね。ゲームのシステムは単純ですが、だからこそシンプルな面白さが損なわれない良さがあり、「ハマった時点で負けだな(笑)」と感じさせてくれた作品でした。


ペンネーム:ヒジョンさん
好きなバンドのライブに行った主人公は「私もあんな風に輝きたい」という夢をもつ。しかし、内向的な性格を変えるのは思ったより難しかった。
私もバンドのライブを見るのがすごく好きすぎて、この楽しさをアニメーションを観る観客にも伝えられるように制作しました。バンドのライブを見て感動した主人公の気持ちがちゃんと感じられたら嬉しいです。制作する時には、日本のアニメーションでよく見られて昔から使ってみたかったキラキラな撮影処理技法を利用してみました。
広告・映像・衣装デザイン部門の応募作品『ワンドリンク別』は、作者が高校生の方なんですね。
リョウヘイ 楽器演奏は人気があるモチーフで、ギターやドラムなどでバンドを表現した作品は他にもありましたが、中でも楽器表現一つひとつに思い入れを持っているのが感じられたのがこの作品です。音楽のリズムとアニメーションが良い形でマッチしていますし、何より高校生の方がこれだけの映像作品を作り上げたチャレンジ精神に、非常に感銘を受けました。
マコト 短い尺で非常に上手くまとめたアニメーション作品ですね。絵の中にセリフの掛け合いや状況説明がないにもかかわらず、画面の動きやキャラクターの表情を見ているだけでストーリーを追っていくことができて、演出の妙があるのを感じました。


ペンネーム:バチオさん
「食事中(Lunch time)」は主人公が食事をしている店に強盗がやってきたところから始まります。1分30秒という短い時間の中で、特別な能力を持っている主人公がその強盗たちをどう倒すのかを楽しい音楽に合わせて表します。観客はただそのリズムに乗るだけで十分です。美味しそうな料理とキャラクターの魅力を一緒に味わえるキャラクター紹介アニメーションです。
同じく広告・映像・衣装デザイン部門の応募作品である『食事中(Lunch time)』の講評をお願いします。
マコト 前々回は審査員賞、前回は高校生部門賞を受賞された方の映像作品です。毎回楽しんで作っているのが作品を通して伝わってくるので、コンテストが学びの一助になれているのかな、と私たちも非常にうれしく感じています。前回、前々回と同様に食モチーフを描きつつ以前とは異なるアプローチで作品をすべて一人で仕上げ、しかもスキルアップしているという点で評価されました。
リョウヘイ 今作はキャラクターデザインからストーリーまで非常に賑やかなアニメーションで、ご自身の持ち味を活かしきっていましたね。作品としてのまとまりを重視したアニメーションが多かった中で、アニメーションの本質である「動かす」「命を吹き込む」というところに注力していたのも持ち味になっていたと思います。

ペンネーム:ゆたみ屋さん
ある国との戦争中、炎上する街を背に二人の女性がバイクを走らせている。
運転する軍人の彼女は、固くハンドルを握り締め、逃走の責務とともに乗っている姫を守る「誓い」を胸に、一途な眼差しで前を見据えている。
軍人の彼女にしがみつく姫は、小さな拳銃を構えて、軍人の彼女を迫り来る敵軍から守ろうとしている。
この一枚は、終末的な状況下で、互いの「背中」を預け合うことで生き延びようとする、若き魂の緊迫した瞬間を捉えています。紅蓮の炎と煤けた瓦礫の中、二人の間に交わされた無言の信頼だけが、彼女らを前へと進ませる原動力となっています。
審査員賞、最後はキャライラスト部門の応募作『背中の誓い』です。こちらも高校生の方の作品ですね。
マコト この作品はキャラクターの表情やシチュエーションが面白くてインパクトがありましたね。細かく見ると荒い部分もあるのですが、それがまた丁寧に仕上げた作品とは別の味わいがありました。
リョウヘイ 「高校生でこういうモチーフを選ぶ人は少ないのでは?」と思うものを描ききって、審査員に強い印象を残した作品でしたね。戦闘もしくは逃走しているような場面ですが、マイルドな戦闘描写ではなくリアリティーのある場面を大胆な構図で仕上げた点が非常に個性的で、物語にも興味が湧いて引き込まれました。
学校賞(10作品)


ペンネーム:妄想猫さん
本作品は、角猫町から旅立った三人の仲間が冒険する物語の二つの情景を描いています。下部の場面は、彼女たちが草原でのんびりと散策する様子を、上部の場面は海辺で戯れる姿を表しています。二つの情景は中央の碧藍によって、海と空が繋がる一つの世界として調和しています。
続いて、学校賞を受賞した作品のご紹介です。キャライラスト部門への応募作品『角猫町冒険チーム』の講評をお願いします。
マコト この作品は、第一にキャラクターがかわいらしいですね。仲良し3人組の設定やほのぼのとした日常から踏み出すような「冒険」を、落ち着いたトーンで表現している画づくりも魅力的でした。画面の分割を波のような境界線にするなど、細かいアイディアが盛り込まれているのも面白いです。
リョウヘイ それぞれのキャラクターの性格がデザインとカラーリングでわかりやすく表現されていて、デザイン画と設定の2枚だけで関係性がしっかり伝わってきましたね。また、この等身のキャラクターを描いた応募作品では室内など狭い空間を舞台にしていることが多く、空や山、海など広い空間で表現したことも目立つポイントになったと思います。

ペンネーム:モリシマさん
複数の自治領が集まるユリシア連邦国。それを繋ぐのが連邦鉄道であり、その象徴が『ユリシア寝台特急:ノクタール号』です。
小説家である男性と、共に旅する獣人の少年が列車で過ごす様子を描いています。
『NightExpressNocturne』もキャライラスト部門の応募作品です。評価ポイントはどのようなところでしたか?
マコト 寝台列車の狭さを上手く使ったアングルで、頭身の高いキャラクターから小物の配置まで非常に細かく描かれていますね。夜の暗さやランプなどの小物を活かした室内の雰囲気づくりが成功していて、絵柄と合わせて世界観がイメージしやすかったです。
リョウヘイ 小物一つひとつの質感や表現をしっかり描き込んだ見ごたえのある作品ですね。キャラクターも格好良さとかわいさを兼ね備えていて、こういうデザインを好きな人多いだろうな、と感じられるラインで仕上がっています。ただ、文字情報なしでも世界観やキャラクターが目指すものが伝わる絵になっていたらより良かったかなと、惜しく感じました。


ペンネーム:まごころこめるさん
犯罪行為が絶えない騒がしい街で、今日もまた新たな厄介者達がお縄についた!
だが、ヤツらは有り余る才能を買われ更生活動として街の治安を守る特別な組織に任命された!!
その名は「BOLICE」!!!
彼らは、指定された人物しか攻撃することができない特別な武器を手に、様々なトラブルや犯罪者に立ち向かって行きます。ですが、頭のネジがはずれた犯罪者に変わりはないので、活動時間以外は電流が流れる首輪がつけられて活動を制限されています。
一つのアニメやマンガ作品を作るイメージで「BOLICE」を制作しました。
彼らの破天荒さが伝わる作品になっていれば嬉しいです。
同じくキャライラスト部門の応募作品『BOLICE』の講評をお願いします。
マコト 設定資料集のように構成した作品ですが、作者の確立された作風がキャラクターの設定画からしっかり伝わってきますし、塗りの処理もアニメ風にしながら雑味がなく丁寧にまとまっています。また、いわゆる流行りの絵柄に寄せずに自分の好きなものを突き詰めており、とはいえ決して独り善がりにもなっていなくて、絶妙に上手いバランスが取れている作品だと思いました。
リョウヘイ キャラクターの、特に衣装周りを非常にスタイリッシュにまとめていますね。特殊な装飾や突飛なシルエットを使わないリアル寄りのデザインでありながらキャラクターの個性を活かしていて、よく研究しているのが感じられました。あとは、爆発させている一枚絵の勢いですね。世界観やキャラクターなど、有無を言わせず訴えかけてくるこのわかりやすさが良いなと思いました。

ペンネーム:キュウソネコガブガブさん
ワイングラスがハーバリウムのボトルのように見えたので大好きな青い世界を閉じ込めて深い森の奥に保管しました。
背景イラスト部門の応募作品『あおいろの保管庫』は、どのような点を評価しましたか?
マコト こちらは色使いの美しさが目を引きましたね。光に照らされた青い水と周囲の暗さの対比を上手く仕上げつつ、黄色のアクセントで絵が単調にならないように仕上げています。落ち着いた安心感がありながら、目を奪われる素敵な作品でした。
リョウヘイ 全体を構成している要素を見るとワイングラスやアヒルの人形、金魚など、誰もが知っているモチーフなのですが、にもかかわらず「これって何だろう?」と思わせる絵になっています。組み合わせの妙で不思議な印象を残すという点で、見る人にインスピレーションを与えてくれるイラストだと思いました。

ペンネーム:たくみさん
映画に登場しそうなトカゲ型異星人をテーマに制作しました。
私が大好きなフトアゴヒゲトカゲをベースにデザインし、威圧感・生物感・愛らしさのバランスを意識しています。
また、色合いに変化をつけることで、同種でありながら個体差や多様性を感じられる表現を目指しました。
この作品で描いた「フトアゴヒゲトカゲ族」は、仲間意識が非常に強く、互いを信頼して生き抜く戦士の種族である。
種族内の個性や役割は色彩や装備に表れ、個々の特性を活かして行動している。
また、彼らは右腕に自分の色のバンダナを巻く習慣を持ち、それは仲間との絆や誇りの象徴となっている。
この惑星にはフトアゴヒゲトカゲ族以外にも多様なトカゲ族が存在し、部族ごとの文化や価値観が衝突・共存するという広がりのある世界観を想定しています。
3DCG部門の応募作品『トカゲ星人』の講評をお願いします。
マコト 見た瞬間「なぜトカゲ星人……?」と疑問が湧きました(笑)。B級SFに出てきそうな面白さがある一方で絵のディテールはしっかりしていて、トカゲ星人の頭身や全体のバランスも絶妙なコミカルさで表現できています。技術的に優れているとともにモチーフへの興味をそそられますし、3匹のカラー分けも妙が感じられる……など、一言で言い尽くせない味わいがあり、審査員からの「気になる」という声が非常に多かった作品です。
リョウヘイ これはモチーフの勝利でしたね。とにかく印象が強くて最後まで選考に残り続けた作品でした。4500以上の応募があった中で、『トカゲ星人』と聞いただけで審査員たちが「あの作品か」と思い出せる、というのはすごいことです。作者が面白いと思うものを高いクオリティーで描いて、万人受けはしないかもしれませんが多くの人の脳裏に残る形にして勝負した作品で、こういう一風変わったものを今後も見てみたいと思いました。

ペンネーム:土田和也さん
生活感が失われ、汚れが目立ち始めた廊下に、散乱した物や枯れずに残された植物が存在する――そんな“朽ちかけながらも神秘性を感じる空間”をコンセプトに制作しました。
廃れた環境の中にも神秘性を感じさせるために、差し込む光やパーティクルによる埃の演出、全体の色調設計、汚れ・経年表現の質感バランスに細心の注意を払い、表現したい雰囲気が伝わるように制作していきました。
まず、アセットの質感表現にこだわりました。壁紙や床の凹凸、木の削れ、朽ちているような色味、絵画特有の塗り跡や汚れなど、細部にわたって朽ちていっているのを感じさせるように制作し、また朽ちた表現をする事によって単調な質感にならないようにラフネスなどを細かく調節し、アセットが沈まないように質感を丁寧に作りこみました。
次に、ライティングの面では、ドアから差し込む光をキーライトとして強いコントラストを生み出すことで、空間全体に印象的な陰影をつけています。配置されているアセットに対して反射する光も工夫し、CG映えするライティングにもこだわりました。
また、間接光の落ち方にも配慮し、画作りとして魅力的に見えるコントラストを保ちつつ、リアリティのあるライティングの説得力も追求していきました。
同じく3DCG部門の応募作品『廊下』は、どのようなところを評価しましたか?
マコト こちらは3DCGの技術をしっかり示していた点を評価しました。単純に人工物を表現しただけでなく、ともすれば絵画的にも見えるシチュエーションをあえて3DCGで表現しているのも良かったです。一方、光でもう少し陰影を加えたり強調したりすると良かったかなと思う部分もありました。
リョウヘイ この作品は「朽ちかけながらも神秘性を感じる空間」というコンセプトで作られているそうで、作者の制作意図にしっかり沿って表現されていますね。小物一つひとつにダメージが入っていたり室内にホコリが舞っていたりする中、光の柔らかさで神秘性が演出されています。目指すものをはっきり決めた上で、その実現のための技術選択をしたことがうかがえて、軸を定めることが良い作品づくりに繋がると実感させてくれた作品でもありました。


ペンネーム:hoshi15さん
『rustle』は、ポップアップブックのスタイルを取り入れたパズルゲームです。
本作の世界観は、動物の王国を舞台に、動物に扮した人間が探検を行うファンタジー設定となっており、絵本のような雰囲気を持つ世界を、紙の立体表現を通して描いています。
現実世界のポップアップブックとパズルの仕組みを組み合わせることで、従来のパズルゲームにはない、よりインタラクティブで豊かな体験を提供することを目指しました。
ゲーム内では、紙のアートを用いた「めくる」「引っ張る」「回転させる」といった操作がパズルの核となっており、プレイヤーは紙そのものを操作する感覚で、立体構造の変化を直感的に楽しみながら謎を解いていきます。
タイトルである『rustle』は、紙がこすれ合う際に生まれる音を意味しており、本作のポップアップブック表現が持つ質感や、動きのあるダイナミックな特徴を象徴しています。
ゲームコンテンツ部門の応募作品『rustle』の講評をお願いします。
マコト 審査員賞の『BreatheLIFEinto.』と同じく絵本形式の作品で、こちらはアートワークが高い評価に繋がりました。キャラクターや雰囲気、細かい小物などを統一したコンセプトを貫きながら高いレベルでまとめていて、この世界をもっと知りたい、深く入り込んでみたい……と思わせてくれる力がありましたね。
リョウヘイ これは、ただただ「作るのにどれだけ時間がかかったんだろう」と驚かされるクオリティーでしたね。アート一つひとつの表現が素晴らしく、ボリュームもしっかりしていて、「作りたい」思いがあるからこそ実現した作品だと感じました。このコンテストでは学生時代にしかできない挑戦を評価したいと考えているので、大きなチャレンジをする学生さんの姿勢を感じられたのが非常にうれしかったです。

ペンネーム:み8さん、らんかさん、カフェオレさん
少女と不思議ないきもののちょっとおかしな非日常を映像で表現しました。見ていて何だか面白い、何だか楽しい!そう思って頂けたら幸いです。
広告・映像・衣装デザイン部門の応募作品『はじめまして』は、どのような点を評価しましたか?
マコト 今回、ストーリー性のある映像での応募が主だった中で、物語に寄らず音楽と映像を組み合わせて完成度高く仕上げていた作品ですね。アニメのオープニング/エンディング映像のような構成になっているのですが、よく演出されていて見た目のシンプルさ以上に楽しませてくれました。
リョウヘイ アート系の影響を受けたアニメーション作品が多かった中、いわゆる日本のTVアニメーションらしい作風で目を引いた作品でしたね。キャラクターデザインを含めて王道アニメの特徴を理解して作られていて、アニメ好きなユーザーが見たいものをきちんと見られる安心感が評価に繋がりました。

ペンネーム:quesさん
獣人たちが暮らす森の奥深くの村を舞台に、事件を解決していくRPGスタイルの自作推理パズルゲーム「Mystery in Forest」のキャラクター紹介PV映像です。エリートなロップイヤーのウサギ探偵イヴリン・ローワンと、リスの助手セオ・クラークの活躍を是非見守ってください。
同じく広告・映像・衣装デザイン部門の応募作である『Mystery in Forest』は、高校生の方が作った作品ですね。
マコト こちらはカットしたイラストを人形劇風に動かしている作品で、エフェクトがかかったビジュアルで見せていく手法が面白かったです。探偵と相棒のようなペアが織り成す一貫した世界観も魅力的で、作者がキャラクターに思い入れを持ってきちんと表現しようとしているのが感じられました。
リョウヘイ 非常にテンポがよい映像で、アニメを見る人がどこで心を動かされるかをしっかり考えて作っているのが伝わってきました。本コンテストではこれまで高校生の方による映像作品が複数受賞していて、若い方々の間で映像制作がより気軽になっているのを感じたのですが、これはまさにその象徴的な作品の一つですね。今後の高校生のみなさんの応募作品がますます楽しみになりました。

ペンネーム:SAKUIさん
キャラクターデザインの立ち絵とSDキャラ、設定画などを制作しました。立ち絵ではキャラの性格などが分かりやすくなるように心がけて制作しました。背面デザインでは、あまり地味になりすぎないようにデザインしました。
学校賞の最後は、キャライラスト部門の応募作『キャラクターデザイン、立ち絵』です。講評をお願いします。
マコト この作品はオーソドックスな立ち絵のイラストですが、シンプルに上手くまとめてキャラクターの魅力を表現していることから賞に選出されました。しっかりした設定とビジュアル構築ができていれば良い作品に仕上がる、という観点で評価が高かった作品です。
リョウヘイ 近年のこのコンテストの傾向から「大作でないといけないのでは」と思う方もいるかもしれませんが、決してそのようなことはなく、形式はどうであれデザインとして考え抜かれた作品を評価する場としています。このイラストも色の使い方やアクセントの入れ方などをきちんと計算して描いている点が評価に繋がりましたね。
コンテスト全体の振り返り
あらためて、コンテスト全体の振り返りをお願いします。
リョウヘイ まず、前回より1000件以上多くの応募があったことに驚きつつも非常にありがたく思いました。今回はグループで大作に挑んだ方々も多かったですね。近年SNSで作品を公開するのが当たり前になっており、「人に見てもらいたい」というみなさんの意欲の高まりが大きなチャレンジに繋がっているのかなと思いました。
マコト 回を重ねるごとにコンテスト全体のレベルは確実に向上してきています。とはいえ、大きく突出した作品はまだまだ少ないと感じたところもありました。作者が想いを込めて作ることは確実に作品の強みになりますが、一方コンテストは評価を受ける場なので「見る人にどうアピールするか?」という視点も必要になってきます。ですので、好きなことと伝えることを組み合わせた上で、どう個性を出していくかを考えていってほしいですね。
リョウヘイ 今回は「伝える力」が選考軸としてあり、見る人の立場になって面白いものを考えつつ、「他とは少し違う個性」を表現できた作品が評価されたと考えています。今後コンテストに挑戦される方は、磨いた技術でいかに伝えるかを考えるとともに、とにかくインプットの幅を増やしてほしいですね。周りと同じ教材から学び続けるのではなく、映画や旅行、美術館など色々なところに実際に足を運んで自分の五感で確かめて、インスピレーションを育てていただけたらと思います。
以上、「サイゲームス クリエイティブコンテスト2025」の受賞作品をご紹介しました。応募者のみなさま、想いの詰まった素敵な作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。
各賞の受賞作はコンテストの公式Webサイトにも掲載していますので、ぜひじっくりとご覧ください。
サイゲームスは2026年にもクリエイティブコンテストの開催を予定しております。詳細が決まり次第、公式WebサイトやX(旧Twitter)アカウントなどで告知してまいりますので、お楽しみに。


