「伝える力」が受賞の決め手に!「サイゲームス クリエイティブコンテスト2025」結果発表 「部門賞」編
サイゲームスは2025年9月~11月に、学生を対象とした「サイゲームス クリエイティブコンテスト2025」を開催。「キャライラスト部門」「背景イラスト部門」「3DCG部門」「ゲームコンテンツ部門」「広告・映像・衣装デザイン部門」「高校生部門」の6部門で作品を募集し、4500点以上もの応募作品から受賞作品を選定しました。本記事では「部門賞」の作品を審査員の講評とともに紹介します。
なお、本コンテストでは大賞作品を一度選出した後、授賞を無効といたしました。本コンテストへの参加者のみなさま、ならびに関係者のみなさまにご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
詳細はクリエイティブコンテストの公式サイトをご確認ください。
選考軸は「伝える力」
巧みに「世界」を作り上げた作品が受賞
「サイゲームス クリエイティブコンテスト2025」は、Cygames 佐賀スタジオが設立された2020年に、次世代クリエイターの育成に向けた施策を行いたいという想いからスタート。現在はサイゲームスの東京、大阪、佐賀の3拠点合同で開催しています。回を重ねるごとに規模が広がり、今年の応募数はなんと昨年から1000点近く増えて4500点以上に。イラストや3DCG、ゲームコンテンツ、映像作品など多岐にわたる力作が集まりました。
前編となる本記事では、六つの部門賞に輝いた受賞作についてコンテスト運営チームのスタッフ2名に話を聞きました。
- サイゲームス 執行役員 デザイナー本部 本部長トシユキ

- DTPを扱う制作会社にて営業職を経験。その後、イラストを独学し、ゲーム制作会社や映像制作会社にてイラスト、UI、ドット、アニメーション、3DCGなどの制作、ディレクション業務やリーダー職の経験を積み、サイゲームスに合流する。2014年より現職。
- 佐賀スタジオ マネージャーリョウヘイ

- アニメーション制作会社での制作管理、プロデューサーのキャリアを経て、サイゲームスには2020年に合流。佐賀スタジオでスタッフのマネジメントに携わり、2021年から「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営にも参加している。
キャライラスト部門賞

ペンネーム:ITOSHUNさん
「龍ノ國」というタイトルから連想する物を自分なりに描いたイラストです。
巨大な龍たち、戦場を思わせる弓兵や馬、崩れゆく城、そして異質な一人の少女。
龍という空想上の生物を様々な姿形に解釈して描いたり、和の世界観や時代観とズレた要素として普通の制服を着た女の子を超常的な雰囲気で描くことで、見た人が様々なストーリーを想像してもらえるような絵を意識しました。
一目見て圧倒されるような作品になっていたら嬉しいです。
『龍ノ國』の講評をお願いします。
リョウヘイ こちらは前回審査員賞を受賞された方の作品ですね。前回から大きくパワーアップされていて、コンテストが良いモチベーションになっているのが感じられてうれしかったです。

トシユキ これは見た目のインパクトが非常に大きかったです。今回のコンテストは「伝える力」が一つ大きな選考軸で、作るだけでなく「自分の『好き』やそれに対する想いをどう伝えるか」というところまで踏み込んだ作品が受賞しています。中央に円形を置いた大胆な構図や円形とキャラクターの羽織に繋がりを持たせた色使い、その周りの一体一体緻密に描かれた妖怪や武士たちから、作者の「これを表現したい」という意思がすごく伝わってきました。キャラクター自体は決して大きくないのですが、一緒に「世界」を見せることでキャラクターを表現して強い印象を残した作品だと思います。
リョウヘイ 竜の表情や迫力もさることながら、馬や弓兵、お城など情報量を盛り込んだ上でデザインを練ってここまで仕上げたのが素晴らしいです。また、重めの色合いの中に鮮烈な緑色を大胆に取り入れていて、色使いが画づくりの武器になりうるのを示してくれた作品でもありました。
キャライラスト部門全体の講評をお願いします。
トシユキ この部門は回を追うごとに個々の作品の差がはっきりしてきました。キャラクターがどういう性格でどのような世界に生きているのか……というところまで踏み込んで表現する方がいる一方、キャラクター単体の表現にとどまっている作品も見られます。そして、やはり設定やストーリー、世界観などを掘り下げた作品に票が集まる傾向があるので、後者が勝ち抜くのはなかなか難しくなってきていますね。
リョウヘイ 毎年多くの作品が集まる部門ですが、同じようなモチーフを扱ったイラストが多く見られて、描く題材の広がりが生まれていないのではという印象を受けました。とはいえ、受賞作品はそこから一歩踏み出して異質な題材にチャレンジした作品だったので、ここからまた広がっていくことを期待したいです。
背景イラスト部門賞

ペンネーム:Kさん
懐かしさと童話的な空気を基調に、廃れた遺跡の中から古い絵画の雰囲気が外へ広がっていく様子を描いています。
制作当初は、自分自身の記憶や感情と向き合いながら、静かな余韻が残る世界観を表現したいと考えていました。
『Nostalgia』の講評をお願いします。
トシユキ こちらもまさに「伝える力」の工夫を感じた作品ですね。絵の中と外に同じ花が咲いていたり絵から花が飛び出していたりしていて、これらの表現があるおかげで「絵の中に入れるのでは?」とも思わせるようなシームレスな世界の繋がりができています。非常に上手くアイディアを落とし込んでいると思いました。
リョウヘイ 廃墟の中にあるカラフルな風景画をネズミが見ているという重層的なイラストで、絵の構造から色々な物語を想起できる面白い仕掛けだと思いました。人間ではなく動物を主人公に設定している点も、他の作品と違う独自性を感じます。
トシユキ ネズミがかわいいですよね。この姿を見ているだけで想像がかき立てられて「この絵は廃墟の過去の姿なのかな」といった色々な解釈、物語が膨らんでいきます。限定的な場所を描いていながら、絵の中に存在する世界はすごく広いと思わせてくれた作品でした。
背景イラスト部門について、今年はどのような傾向がありましたか?
リョウヘイ 応募作が前回よりも多く、背景を志す学生さんが増えている気運を感じました。ただ、その一方で既存のゲームの影響が感じられる作品も多く、表現が狭まっている印象も受けました。背景は本来幅広く描ける分野なので、インプットの対象を限定せず絵画や実際の風景など色々なものを見ながら学びを深めていってほしいなと思いましたね。
トシユキ 表現の幅もそうですが、もっと描ききってほしいなと感じた作品もありましたね。どこか、描き手側が世界に没頭できていない、世界を作ることに夢中になれていない印象を受けました。この部門ではできれば一つの世界を描ききる楽しさが感じられたり、他の人が思いつかないような世界を構築していたりする作品で魅せてほしいです。
3DCG部門賞


ペンネーム:Shingo.Kさん
休日の昼下がり、気だるい雰囲気をオリジナルのキャラクターでイメージしました。特に3DCGっぽさの無いアニメチックな表情作りを頑張りました。
『上手くいかない』はどのようなところを評価しましたか?
トシユキ こちらは映像作品です。キャラクターを3Dモデルに起こした応募作品は年々増えてきていますが、その中でもこの作品は動きや表情、キャラクターが持つ性格まできちんと加味して作り上げているのが大きな魅力でした。キャラクターの表情が豊かで映像の中でテンポよく表情が変わっていくのがかわいらしく、「もっと見たい」と引き込む力がありましたね。
リョウヘイ こちらは審査員に「かわいい」と言わせたのが何よりの勝因だったと思います。3DCGの技術やスキルを詰め込んだ大作の応募が増えている中、それらとまったく違う角度から飛び出してきて、上手く作るだけではなく見た人の心を動かす、というデザインの本来あるべき役割が非常に良くできていた作品でした。
3DCG部門全体の講評をお願いします。
トシユキ 今回、これまでとは違うタイプの作品が受賞して、一つの転換点になったと考えています。この部門に関してあらためて伝えたいのは、技術だけを見せる場ではないということ。細密さやリアルさにこだわるだけでなく、作品として魅力的なものにするためにどんなギミックが必要か、何を揃えればいいのか考え抜くところも大事にしていってほしいです。
リョウヘイ そうですね。3DCG部門は先々仕事にするのを見据えて実践的なスキルを高めている方の応募が多い印象ですが、このコンテストでは技術だけでなくアイディアも大事にしています。応募作品を作る際は、見た人の心をどう揺さぶり動かすかというゴールを考えながら、それでいて共感を得られるクリエイティブに挑戦していただきたいです。
ゲームコンテンツ部門賞


ペンネーム:スピードスターさん
ちょっとだけ過去の“自分”と協力?!
主人公レイくんが持つ特殊な能力「リコール」を駆使した不思議な分身パズルで停電した発電所と仲間たちを復旧しよう!
『リコレクション』の講評をお願いします。
トシユキ 時間差で分身を使ってちょっと頭を使いながらトライアンドエラーでパズルを解いていく、という絶妙な難易度のゲームでしたね。アイディアと完成度、操作性など、コンテンツとしての総合的な完成度が高かったことから受賞作に選ばれました。
リョウヘイ プレイアブルなものが多かった中で、純粋に一番面白くて選ばれた作品でしたね。審査員何人かでプレイしたとき、いつの間にか「これ、こうじゃない?」「こうするのかも」と言い合いながらユーザーの視点で遊んでいて、やはり実際に触ってみて楽しいことが大事だと実感しました。ゲームとして面白いから受賞する、というのがまさにコンテストの理想の一つだと思うので、そのような作品に出会えたことは意義深いと感じました。
今回のゲームコンテンツ部門はどのような傾向がありましたか?
トシユキ プレイアブルな作品がいっそう増えましたね。審査員は序盤の段階で3桁近い作品のプレイを頑張りました(笑)。クオリティーの面でもゲームとしてちゃんと成立している作品が非常に多かったですし、ゲームとあわせて世界観をイメージしたムービーを送ってくださった方もいましたね。
リョウヘイ ただ、そうした中でも高評価に繋がったのは、見た目や3Dモデルのクオリティー以前の「操作性」の部分でしたね。直感的に遊べる作品とそうでない作品の差がかなり顕著で、遊ぶ手前で「これはどこを押したらいいの?」と迷うゲームもありました。「触った人がすんなり遊べるか」という視点があるか、しっかり作品に反映されていたかどうかも評価ポイントだったと思います。
トシユキ また、今回この部門の大きな変化として、多人数で作った作品が増えたことが挙げられますね。学校の授業の一環でチーム制作に取り組むケースが増えているのだと思うのですが、10名ほどの本格的な開発チームを組んでの応募もありました。
リョウヘイ プレイアブルな作品以外で多かったのはやはり企画書ですが、こちらはもう少し振り切ってほしいと感じた部分がありました。そもそもビジュアルで勝負するのはキャラクターイラストや背景イラストでも可能です。そこをあえてゲームコンテンツ部門に出すのであればやはりゲームとしての面白さが求められるので、企画やアイディアをきちんと作り込んでほしいですね。そうすれば企画書であっても受賞の可能性が高くなるはずです。
広告・映像・衣装デザイン部門賞


ペンネーム:スタジオ3号車さん
本作は、荒廃した世界を電車に乗って旅する二人の少女の日常を描いた短編アニメ映画です。
SNSを通じて集結した総勢35名のクリエイター&キャスト集団「スタジオ3号車」によって制作されました。制作当時、メンバーは全員学生でした。
ほとんどのカットの背景がアナログで描かれており、手作りの温もりを感じられる仕上がりになっています。
ぜひ皆様も二人と共に、まいにちの楽しみを一緒に見つけに行ってみてください。
広告・映像・衣装デザイン部門は、映像作品の『LOCA!』が受賞しました。こちらはどのような点を評価しましたか?
リョウヘイ こちらは35名の学生さんが集まって制作した約20分のアニメーション作品です。大人数で作るとタスク管理などが難しくなる側面もあったと思うので、そうした課題を乗り越えて長尺作品を最後まで作り上げた熱量に非常に感服しました。キャラクターや背景、音楽やボイスなど含めた映像作品としての完成度の高さも、他の作品をリードしていましたね。
トシユキ 程よい情報量で構成して脚本を成立させ、場面転換やレイアウト、ライティングやアテレコなども仕上げて、しかもそれをきちんと20分かけて飽きさせずに見せている、レベルの高さで頭一つ抜けていた作品でしたね。今回ゲームコンテンツ部門でもチームとしての応募が増えましたが、こちらもまた集団制作に学生さんたちが慣れ始めたのを象徴していたと思います。
今回、広告・映像・衣装デザイン部門ではどのような作品が集まりましたか?
リョウヘイ やはり映像作品が多かったですね。クレイアニメーションや実写作品などもあり、長い尺の映像をしっかり作り上げているものも増えてきました。そして、増えた分だけ「映像を全編面白く見られるか」と評価のハードルが高くなった面もあったと考えます。
トシユキ 今回の応募作品を通して学生さんたちが良質な映像に触れているのが伝わってきたので、今後も映像作品が増えていくと予想しています。だからこそ、映像でなければ伝わらないもの、映像ならではの魅力というのを押さえつつ、見る人に何を感じてほしいのか……というテーマを徹頭徹尾貫いて作ってほしいですね。
リョウヘイ 映像作品と比べると広告と衣装の応募は依然として少なかったです。だからこそ、運営側としてそれらを専門で学んでいる方により働きかけていこう、という課題も感じました。
トシユキ 確かに、映像作品に負けずにゲームの世界観を伝える衣装や広告ビジュアルなども盛り上がってほしいところです。「商品(コンテンツ)の魅力をユーザーに伝える」という本質からずれなければ広告として成立するので、メディアミックスやグッズなど趣向をこらした挑戦も有効だと思います。
高校生部門賞

ペンネーム:Poryさん
妖怪好きな少女は弟を連れて妖怪に変装し、月光の狭間に現れた秘密通路を通じて妖怪たちの世界に潜みこむ。
『月の隙間に開かれた道』の講評をお願いします。
トシユキ こちらは韓国の高校生の方の作品ですが、票を集めた理由は何より「魅力的だったから」ですね。一瞬の間を切り抜いた躍動感があり、世界観を縦長の画面でしっかり表現していて非常に引き込まれました。
リョウヘイ シンプルに「すごくよく描けているな」と思いました。難しい構図を破綻なく作り上げていますし、鬼や河童などよく知られている妖怪を一体一体かわいらしくデフォルメして表情も付けて、全体として非常に愛着の持てる世界観になっています。作者が自身の描きたい世界の雰囲気を大切にしているのが感じられた作品でした。
高校生部門、全体を振り返っての感想を教えてください。
リョウヘイ 今回、高校生以下の方の応募が本当に増えましたね。それこそ、キャライラスト部門に次ぐ応募数になりつつある……というほどの大躍進でした。
トシユキ スキルの面でも高校生以下の方のレベルが年々上がっているのを実感しましたね。おそらく、学生さんが手軽にツールを利用できるようになりSNSなどでの発表の場やリファレンスの充実から、創作の開始時期が早まっているのかなと。この流れの中で数年後に各部門のレベルが上がるのが楽しみであるとともに、若干戦々恐々ともしております(笑)。
とはいえ、魅力を表現しきれていなくて惜しいと感じる作品も見られたので、今回の主な評価ポイントでもあった「伝える力」に今後踏み込んでくれたらなと思います。若くして技術を取得できた方はその分技術以外のことに多く時間を使えるわけですから、見せ方やアプローチの仕方にも注力してほしいですね。
リョウヘイ 審査員は、高校生のみなさんには大人には出せないイマジネーションがあると期待しています。だから、賞を取るために何かをお手本にして作るというより、むしろみなさんが本当に作りたいと思うものにとことん取り組んだ成果を見せてほしいですね。縮こまらず自由な発想で作品づくりに向き合っていただけたらと思います。
授賞式が開催されました
3月、受賞者のみなさんをお招きして本コンテストの授賞式を開催しました。式後には社内見学ツアーも催され、受賞者は執務室やデザイナー図書室、スキャンスタジオなどを見学しました。



あらためて、受賞したみなさま、おめでとうございます!
以上、「部門賞」作品と表彰式の様子をご紹介しました。
「審査員賞」「学校賞」の作品はこちらの記事でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!


