『プリコネR』のアニメをより豪華に!撮影スタッフに聞いた「撮影処理」の効果

ストーリー中のショートアニメやバトルシーンでのユニオンバースト(以下、UB)など、あらゆるところでアニメをお楽しみいただける『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』。アニメの画面をより豪華にするため、施されているのが「撮影処理」です。実際にどんな処理がなされているのか、アニメの撮影担当者に撮影処理のビフォーアフターを見せてもらいました。

ミナミ
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アニメ制作会社で作画や撮影、3DCGの業務を経験。2018年からサイゲームスで『プリンセスコネクト!Re:Dive』のゲーム内アニメ、スチルイラストなどの撮影や監修を担当している。
アキ
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アニメ制作会社で撮影やツール制作などを経験し、2018年からサイゲームスで『プリンセスコネクト!Re:Dive』のアニメ制作に関するツールの効率化や撮影を担う。

アニメの撮影とは?
絵コンテ段階から尺を確認

そもそもアニメの「撮影」とは、どのような役割なのでしょうか?

アキ キャラクターや背景といった素材を1つにまとめ、実際に流す映像に仕上げる作業です。「撮影」といっても、現在はPCを使ったデジタルの制作が主流なので実際にカメラを使うわけでありません。

アナログが主だった頃は絵を1枚1枚、本当にカメラで撮影していたので、呼び方はそのときの名残ですね。あくまで目安ですが、30分アニメで300カット、映画だと1000カット以上撮影します。

ミナミ 『プリコネR』は外部パートナーの方々と連携しながら、ストーリー内で流れるショートアニメの他、スチルイラストやストーリーイベントのエンディング(以下、ED)、バトル中のUBも撮影しています。

『プリコネR』のアニメ制作体制について教えてください。

ミナミ 正式な呼称があるわけではなく、主にイラストレーターからなる「アニメ制作チーム」があって、私たちはその中の「撮影班」という位置づけです。アニメ制作チーム全体で約40人いて、撮影班は6人います。アニメ制作チームのほとんどがアニメ業界出身ですね。

アキ 撮影の他には「演出」や「作画」、「背景」などを担当しているスタッフがいます。

ショートアニメを制作する流れはどのようになっているのでしょうか。

ミナミ 例えばストーリーイベントだと、企画が大体決まったら最初にアニメパートになる部分をシナリオライターのスタッフに優先的に固めてもらいます。アニメパートが決まったら、絵コンテの打ち合わせから撮影班も参加します。この後は外部のパートナーの方々に制作をご依頼しています。

背景やキャラ、エフェクトといった各素材がそろってから本作業に入るので、アニメ制作全体でいうと撮影は最後のほうの工程ですね。

ショートアニメの撮影だけに注目すると、リリースされるまでにどんな段階があるのでしょうか。

アキ まず「線撮」といって未完成な絵を撮影する段階があります。絵が未完成なのになぜ撮影するかというと、実際に絵を繋いでみて全体の尺を決めるためです。

線撮の中でも、絵コンテを撮影したものを「コンテ撮」、アニメの基となる原画を撮影したものを「原撮」と呼んでいます。

▲上が絵コンテ、下が原画を撮影したもの。未完成な絵でも動画の尺を確認できます

アキ コンテ撮、原撮が終わると、次は「タイミング撮」です。色が付き、実際に流れるアニメに近いものですね。最後に「本撮」といって、絵に加工を加える処理を施します。

▲色が入った「タイミング撮」(上)と、撮影処理をかけた「本撮」のアニメ

撮影処理でクオリティーアップ!
ビフォーアフターを公開

撮影処理の前後で全然印象が違いました。そもそも撮影処理とはどういうものなのでしょうか。

アキ 撮影処理は素材を加工したり新規に付け加えたりするものです。ある程度はどんな処理を施すか演出担当のスタッフから指定がきますが、撮影担当者がカットに合わせて処理を追加することもあります。時間さえあればいくらでも撮影処理で効果を足していけるので、キリがない作業です(笑)。

実際にどのような処理があるのか、スチルイラストの事例を教えてください。

アキ 下のスチルイラストは窓から差し込む光が撮影処理で加えられたものです。

▲撮影処理前(上)と処理後。光の効果が加わり、その場所ならではの雰囲気が演出されています

アキ 他にもアクションシーンではエフェクトの素材を加工すると、より迫力が出てきます。

ミナミ 下の画像は背景の明るさを落とし、光の粒子やエフェクトを足して幻想的なシーンにしています。

ミナミ 撮影処置でよくあるのは、T光(透過光)を加える処理ですね。

T光とは、どういった処理ですか?

ミナミ 剣の軌跡や風のエフェクト、金属のハイライトなどを強調するのに効果的な処理です。絵の素材を加工して使うことがほとんどですね。T光にも種類が色々あって複雑なので、画面内でピカピカ光っているものにはT光の処理がかけられていると思っていただければ良いかもしれません(笑)。

▲T光の例。カリザが持つ武器に、光の処理が加わっています

ミナミ 下のスチルイラストは、画面奥の雷にT光を加えた他、画面手前に水の素材を加えました。

▲撮影処理後(下)は、より嵐の中でバトルしている臨場感があります

光や小さな素材が加わるだけでも全然印象が違いますね。他にはどのような処理がありますか?

アキ 「特効(特殊効果)」といって、質感を高めるために直接素材に描き足すことがあります。

ミナミ 『プリコネR』は料理が物語の中でも重要になるので、食べ物の特効は特に力を入れていますね。撮影班のスタッフはイラストを描ける人が多いので、直接描き足すこともあるんです。特効は「細かくディティールを詰めるためのもの」とイメージしていただければ良いと思います。下のスチルイラストは、パンに特効をかけたものです。

▲撮影の担当者がパンに焦げ目や野菜の色味を直接描き足し(下)、よりおいしそうに見えるよう工夫しています

ストーリーイベントのEDの事例も教えてください。

ミナミ 「激走! ランドソルギルドレース」のED「SAI*KOUスタートダッシュ」の背景は和紙のテイストになっています。実際に和紙を用意して、そのスキャンデータをアニメの素材に乗せています。本当に和紙を貼り付けたような処理ですね。お正月のイベントだったので、和風のすごく綺麗な雰囲気をお届けできたのではないかと思っています。

▲撮影処理後(下)は、和紙のテイストになっています

「七夕剣客旅情譚 天に流れる夏の恋」のED「黄昏太平旅路唄」は浮世絵みたいですよね。これも撮影処理によるものでしょうか。

ミナミ そうですね。このED担当者が版画経験者でして、版画ならではの色味や印刷のずれた感じに細かく力を入れていました。版画で刷ったようなテイストをお楽しみいただける仕上がりになっていると思います。

▲撮影処理後(下)は、版画のような仕上がりです

撮影処理の中でも特に手間がかかるものは何でしょうか。

アキ 「ハリコミ」ですね。テクスチャー(※)を1フレームずつアニメーションに当てはめていく、地道で大変な作業です。

※テクスチャー……3DCGの立体物や2Dイラストの素材に貼り付ける画像のこと。見た目や質感を表すために使われる

アキ 下の本のページは、ハリコミ素材の例です。

▲とある場面で使用されているハリコミ素材。どこで使われているかというと……

▲キャル(プリンセス)のUBで使われています

アキ このアニメで飛んでいるページそれぞれにハリコミ素材を貼っています。

ミナミ 単純な平面ではないので、1コマずつ調整していく必要がありました。

▲紙の歪みに合わせ、1コマずつ調整されています

アキ これはミナミさんが担当でしたよね。結構苦労したのでは?

ミナミ いや(笑)。周りからは「大変だったでしょ?」とよくいわれるのですが、動きが速くて実はそんなにコマ数が多くなかったので、体感としてはそこまででもありませんでした。

アキ すごいですね……。

『プリコネR』撮影班のメリット
「流れ作業の撮影にならない」

撮影処理は指示の範囲に留まらず、自分のアイディアで画面のクオリティーを上げられるのが面白いところではないでしょうか。

ミナミ やり過ぎて怒られることもありますけどね(笑)。さっきアキさんがいったように、やろうと思えばいくらでも処理を足していけるので。

アキ そのときはそのときです(笑)。ただ、『プリコネR』のプロジェクトでは撮影で自由に判断して処理を入れられるところが多いですね。

ミナミ 確かに。撮影はアニメ制作の中で下流のほうにいるので、シナリオや演出、作画ありきなパートではあるものの、ただ上から流れてきたものを処理するだけという感覚は全然ないです。

撮影によって前の工程のスタッフが想像していたものを超えて、クオリティーを上げられたときがすごくうれしい瞬間なんですよね。「全工程のみんなの頑張りが合わさって、やっと完成したぞ!」という達成感があります。

アニメ業界出身だからこそ感じる、ゲーム業界やサイゲームスでアニメ制作に関わるメリットは何だと思いますか?

アキ ゲームは毎月のように新しいコンテンツをリリースするので、ユーザーのみなさんの反応を日頃から見られるところです。それがやりがいや楽しさに繋がります。

ミナミ あとは会社として「チーム・サイゲームス」を掲げているように、みんなで1つのものを作り上げていく感覚が強い点が良いですね。例えば「アニメの撮影で追加したエフェクトをゲームにも反映しよう」といったこともありました。アニメの撮影側からもキャラの一部を作っていけるところはゲーム業界やサイゲームスならではだと思いますね。


『プリコネR』の随所で施されている撮影処理のビフォーアフターをご覧いただきました。現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

アニメ制作/ゲーム/東京

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