高専で学んだ技術、経験をゲーム業界でどう活かす?高専出身スタッフ座談会

実践的・創造的技術者を育成する高等教育機関、「高専」こと高等専門学校。サイゲームスでは、高専出身のスタッフたちが学生時代に学んだ知識や技術を活かして様々な部門で活躍しています。
今回、高専出身のスタッフによる座談会を実施。学校生活や進路、高専時代の学びで仕事に役立っていることなどについて語ってもらいました。

クライアントサイドエンジニアリュウト
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2023年新卒入社。クライアントサイドエンジニアとして、新規プロジェクトのアウトゲーム(※)の実装に携わる。
コンシューマーエンジニアサトシ
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高専を経て大学院卒業後、2024年新卒入社。新規コンシューマータイトルのエンジニアとして主にグラフィックの実装に携わっている。
情報システム・IT管理ワタル
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2018年第二新卒入社。社内サービスやSaaSサービスの導入・管理・運用および最適化を担当している。
社内アプリケーションエンジニアタイヨウ
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2023年第二新卒入社。社内のスタッフが活用する基幹業務システムの開発や運用に携わっている。

※ アウトゲーム……ここでは各ゲーム画面やその画面遷移、ログインボーナスやオプション設定など、ゲームのメインプレイ部分以外の要素や機能を指す

高専へ進学した理由は?
「PCが好き」「新しい経験がしてみたい」

みなさんが高専に進学した理由を教えてください。

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タイヨウ
ゲームやPCが趣味で、工学や情報系の学問が学べるところに行こうと思っていたとき、高専に通っている先輩に話を聞いて興味を持ちました。
就職率が高かったり大学への編入が可能で学費負担が軽くなる場合があったり、先々の選択肢に広がりがあるのも良いなと思ったところです。
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サトシ
一番の理由は中学生の頃にゲームを作るワークショップに参加したことです。ゲーム制作が面白かったので、その方面のカリキュラムがある高専に興味を持ちました。
あとは、これまでとは違う環境で、同じ目標を持つ人達に出会いたかったことも理由の一つです。
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リュウト
僕も2人と似ていて、PCが好きで情報系に興味があったことと、周りに高専に進む人がいなかったので面白そうだと思いました。あとはゆるっとした理由ですが、家から近いところに高専があったことも関係しています。
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ワタル
距離の近さは大事ですよね(笑)。僕も「これまでと違う環境に身を置きたかった」と思ったのがきっかけです。
当時情報系に興味があったので、部活仲間と一緒に高専へ見学に行きました。寮生活ができる学校だったので、新しい経験ができそうだなと魅力を感じて志望、受験しました。

高専の教育課程や学校生活はどのようなものなのでしょうか?

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タイヨウ
前提として、高専は普通科と違って5年制になります。1~3年生の間は授業で専門科目を学習し、4年生になると研究室に入って卒業制作に取り組みます。
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サトシ
学年制と共に単位制が導入されているので、単位が取れれば卒業、取れなかったら留年もあります。また、2学期制を採っているところが多くて、夏休みと春休みが長いです。
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ワタル
単位制のおかげで自己管理能力は鍛えられたと思います。あとは、授業時間が長いですね。自分の学校は授業の1コマが90分ありました。
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リュウト
僕の学校では1コマ50分の授業も時折ありました。授業の尺やカリキュラムは学校によってかなり違うと思います。

高専時代、何を専門的に取り組みましたか?

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ワタル
自分が取り組んだのは、目の不自由な方が博物館や水族館を楽しむためのシステムの研究ですね。近くにいる生物を感知して情報を流す装置の構築が卒業制作でした。
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タイヨウ
自分はドローン撮影を活用して海藻の分布を調査したり可視化したりできるシステムの開発に取り組みました。
地元の水産業に従事する方に実際に使っていただいて、「これがあれば潜ったり船を出したりしなくて済む」「データを保存できるのがすごく助かる」のようなフィードバックをいただいたこともありました。
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リュウト
どちらも面白そうですね!僕は機械学習でした。勉強(集中)している時の写真と、簡易的な脳波計で測定した集中している時の脳波をリンクさせて、脳波の出方を学習する機械の研究をしていました。
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サトシ
僕も情報系が専門で、アルゴリズム(計算方法、処理手順)に関する研究をしていました。例えば、「遊園地のアトラクションを最短時間で全制覇するにはどう移動するべきか?」といったような問題を解く方法を色々と考えていました。

高専生活の中で熱中したことを教えてください。

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タイヨウ
自分はコンテスト活動ですね。友人に誘ってもらって、1年生と4年生のときに「高専プロコン(全国高等専門学校プログラミングコンテスト)」に参加しました。
1年生のときはただただ緊張するばかりでしたが、4年生で参加したときは高専生や学生に声を掛ける企業の方々の熱量の高さを実感しました。プロコンの他に、2日間かけてシステムを作り上げるいわゆる「ハッカソン(※)」にも参加したことがあります。

※ ハッカソン……プログラムの改良を意味するハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語。技術者がチームを組み、定められた期間にテーマに即したソフトウェアやサービスを開発し、アイディアの斬新さや技術の優秀さなどを競うイベントのこと

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サトシ
ハッカソン的なものは僕も参加したことがあります。研修施設で3日間かけてゲームを作るというイベントで、大学生をはじめとした色々な属性の人と役割分担して開発しました。「協力してゲームを作るってこういうことなんだな」と実感できた体験でした。
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タイヨウ
プロコンやハッカソンに参加すると、普段会うことがない人と関わることができて勉強になりますよね!自分も下級生の頃からプロコンに参加して、上級生の開発内容を学べたのがすごく良かったです。
▲タイヨウさんがプロコンに出場した際の写真
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ワタル
少し毛色が異なるんですが、自分はなんといっても寮生活の経験が一番印象に残っています。
色々な学科の友人の部屋に行って遊んだり食堂でテスト勉強をしたりして、毎日が修学旅行のようでしたね。寮生が主催する「寮祭」に取り組んだり、寮で下級生に指導したりすることもあり、勉強や遊び、コミュニケーションや礼儀作法などすべてが培われた場所でした。
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サトシ
僕は学生会で会計長をやったことが印象深かったです。高専祭のスポンサー集めや収益管理など、お金が大きく動く部分を任されました。
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リュウト
僕は高専祭の実行委員長を務めました。高専祭は大学や高校の学園祭のように外部の人も楽しめるイベントで、クラスごとに作ったゲームを展示したりメイド喫茶を開いたりと出し物を行います。
当時は100人ほどいた実行委員のリーダーとして、スケジュールやお金の管理、ステージ企画の考案など幅広い経験ができました。

高専からゲーム業界へ
働きながら感じたこと、職場と高専との違いとは

それぞれ、高専の課程修了後の進路を詳しく教えてください。

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リュウト
自分は本科(高専教育)を卒業した後、さらに2年高度な技術を学べる「専攻科」に進みました。専攻科では医療関係のデータとプログラミングを合わせたデータサイエンスの研究に取り組み、学外の研究のお手伝いなどもしていました。
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サトシ
僕は卒業後に大学に編入して大学院へ進みました。そのために、高専の頃は受験勉強にも励みましたね。
大学を目指す人のコミュニティーで、先輩から役立つ情報を教えてもらったり、自分たちの受験後に後輩にアドバイスする会を主催したりしたこともありました。
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ワタル
自分は高専卒業後に学校推薦でIT系の会社に就職、その後退職して、第二新卒採用でサイゲームスに入社しました。
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タイヨウ
自分もワタルさんと同じく学校推薦で就職しました。最初の勤務先はITベンチャー企業で、その後第二新卒採用でサイゲームスに入社しました。

高専卒業後、様々な道を選んだみなさんが、ゲーム業界、そして、サイゲームスに就職しようと思った理由、きっかけを教えてください。

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リュウト
僕は昔からカードゲームが好きで、『Shadowverse(以下、シャドバ)』でよく遊んでいたんです。
スマホゲームには特に思い入れがあって、高専在学中にスマホで動作するサービスを自分で作ってみたこともあり、就職するならゲーム会社、それも大好きな『シャドバ』を作っているサイゲームスしかないと思って志望しました。
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サトシ
僕もリュウトさんと同じく昔からゲームが好きで、高専時代も休み時間によく友人とゲームで遊んでいました。
それで、これだけ熱中してきたなら就職先もゲーム会社が良いだろうと思い、『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(配信元:バンダイナムコエンターテインメント)が好きだったこともあって、第一志望をサイゲームスに決めました。
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ワタル
前職を退職することになったとき、ゲームが好きでゲーム業界に関わりたいけれど、業界経験がなかったので選択肢にないと思っていました。
しかし、高専の頃の同級生がサイゲームスで働いていて「情報システム部門もあるので、受けてみては」と紹介してくれたことがきっかけでサイゲームスに応募しました。
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タイヨウ
自分も学生時代からゲームでよく遊んでいて、特にゲームを通じて学外の友人がたくさんできた『グラブル』に思い入れがありました。
社会人3年目の年に「第二新卒としてチャレンジできるのは今が最後だ」と転職を決意し、サイゲームスの第二新卒募集が業界未経験でも大丈夫だったので、採用試験に挑戦して入社できました。
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ワタル
そういえばリュウトさんは、専攻科修了後に学校推薦は考えなかったんですか?
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リュウト
僕の場合、行きたいところと推薦で入れる企業がマッチしなかったんです。当時からゲーム会社を志望していましたが、高専に来るエンタメ系の求人がそもそもあまりなかったので、自分で就職先を選ぶことにしました。

サイゲームスに入ってみて、高専時代と比べて似ているところ、違うなと思ったところを教えてください。

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ワタル
似ていると思ったのは、物事を突き詰めていく熱量の高さですね。高専は「専門的に何かがしたい」という想いを持って入学する人が多いと考えています。
サイゲームスには「好きなことや興味のあることを自ら突き詰めていく」熱意やストイックさを持っている人が多いと思っていて、高専の学生とどこか似たタイプの人が集まっている気がしています。
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タイヨウ
自分が携わっている開発の仕事における、期日までに作って使ってみてまた改善していく……という工程が高専プロコンの取り組みに似ていると感じました。
しかし、開発に向き合う姿勢は全く違いますね。高専での取り組みあくまで学習の一環でしたが、サイゲームスの開発はプロとしてお金をいただく仕事なので、打ち合わせの段階から真剣かつ積極的なやりとりが交わされますし、自分も強い責任感を持って取り組んでいます。
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リュウト
違うのは、至極単純にものづくりのスケールですね。高専だと何かを作るときには授業なら2~3人、ハッカソンでも20人を超えることはないと思うのですが、サイゲームスではエンジニアやプログラマー、UIデザイナーやプランナーなど各分野のスタッフが揃い、物量的にも役割の分担面でも規模感の大きさを実感しています。
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サトシ
確かに大人数で一つのコンテンツを作り上げていく仕事には、高専時代には味わえなかった感覚がありますね。
あわせて、どこかで誰かが困っているような声が挙がるとすぐに対応に動く人がいて、仕事上の連携がよりしっかりしているのも感じます。

高専の学びで役に立っているのは?
「プログラミング言語」「開発の経験」

現在、みなさんはどのような業務に携わっていますか?

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リュウト
僕は新規タイトルの開発に関わっていて、UI部分の実装を担当しています。プランナーやデザイナーなど、様々なセクションのスタッフと密なコミュニケーションを取りながら進めています。
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サトシ
僕はコンシューマーゲームの開発に携わっています。担当はグラフィックですが、それ以外の部分に関わることもあり、デザイナーなど各部署のスタッフの「この機能がほしい」「こういうツールを使いたい」のような要望を聞いて対応することもあります。
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ワタル
社内サービスやSaaSサービスの適正管理や新規導入に携わりながら、スタッフのより良い業務環境の提供に従事しています。チームリーダーを努めているので、チームメンバーのタスク管理も業務の一つです。
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タイヨウ
少し前まで社内で開発したシステムにエンジニアとして携わっていました。
現在は完成したシステムの運用管理チームのリーダーとして、調整や不具合修正、チームメンバーのタスク管理などを請け負っています。

高専での学びで、現在の仕事に活かせていることはありますか?

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ワタル
社内サービスやSaaSサービスを取り扱っている部署にいるため、幅広い知識が必要になりますが、専門的に学んだ経験があるおかげで、抵抗なく業務に入れました。
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タイヨウ
自分はやはりプロコンに参加したこと、そしてシステム開発の研究をしたことですね。
実際に何かを制作することや、その過程でフィードバックを受けて改善していくことを学生のうちに経験できたことが、今の仕事でも非常に役立っています。
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リュウト
僕も高専で一からものづくりをしたことが仕事に活きていますね。あとは、Java言語やプログラミングを学んだのも役に立っています。
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サトシ
僕も現在の業務で使っているプログラミング言語が高専でずっと学んできたものだったので、すごく役立っています。
他にも、開発の際に使用する機器が高専時代に触ったものですごく助かったことがありました。

今後の抱負、展望を教えてください。

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サトシ
まだ入社して間もないので、少しずつ知識を付けてベテランの先輩方に追いつくことが目標ですね。いずれ周りの方と肩を並べられるよう、これからも励んでいきます。
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ワタル
スタッフのみなさんが最大限の力を発揮できる業務環境の整備を進めたいです。また、昨今AI技術が勢いを増しているので、その方面にもアンテナを張って知識や技術を深めていこうと思います。
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リュウト
現在入社2年目で、ようやく先輩に助けてもらいつつ業務ができるようになってきたので、今後の目標は周りの方のフォローなしでこなせるようになること。ゆくゆくは自分がフォローする側に回って、助け合える体制を作っていきたいです。
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タイヨウ
最近は別の分野の仕事を任せられるような立場になってきたので、目標はこれまでと違う分野でもきちんと対応できるようになること。そのためにも自己研鑽して能力を付けていきたいです。

最後に、ゲーム業界やサイゲームスへの就職を考えている高専生に向けてメッセージをお願いします。

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サトシ
サイゲームスは好きなものや趣味に対する思い入れの強い人が多く、入社して高専と似ているのを実感しました。
趣味について話すと必ず誰かが答えを返してくれてすごく楽しい職場になっていますので、みなさんぜひ面接などから話を聞いてみてほしいです。
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ワタル
寮生活は家族以外の人たちと生活する貴重な機会で、普通とは違う環境だからこそ学べる礼儀作法などがありました。
その経験は社会人になった今も活きていますので、みなさんにも一つひとつの経験を大事に過ごしてほしいです。
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タイヨウ
高専時代にはサイゲームスのような会社で働くとは思ってもみませんでした。
ゲーム業界の仕事はゲームそのものを作るだけでなく、それをサポートする業務もたくさんあるので、高専の学生さんは「ゲームを作るスキルがないから」と諦めず、むしろ「好きだから挑戦してみよう!」という気持ちで一歩踏み出してみてほしいです。
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リュウト
組織で働くためには、個性と協調性を両立させることが大切だと思います。高専に通っている方は、自分が好きなことに熱中するのとあわせて、周りにいる人たちとの調和を意識して生活を送ってみてほしいですね。高専生活は楽しいことがいっぱいあるので、就職するまでにぜひ色々な経験をしてみてください。応援しています!

以上、高専出身のスタッフによる座談会をお届けしました。

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