学生の力作集う!「第3回クリエイティブコンテスト」結果発表 「大賞」「部門賞」編
次世代クリエイターの育成を目的に2022年9~11月、サイゲームスは学生を対象とした「第3回サイゲームス クリエイティブコンテスト」を開催しました。「キャライラスト部門」「背景イラスト部門」「3DCG部門」「ゲームコンテンツ部門」「広告・映像・衣装デザイン部門」「高校生部門」の6部門で作品を募集し、応募総数2000点を超える作品の中からペンネーム・ヒラムシさんの作品が大賞に輝きました。本記事では「大賞」「部門賞」作品をご紹介します。
- 第3回「サイゲームス クリエイティブコンテスト」公式サイト
- 次世代クリエイターの育成を目的に、サイゲームスは学生を対象としたクリエイティブコンテストを開催。最高のコンテンツを全国から募集しました。
応募総数2092点
大賞はゲームコンテンツ部門の応募作
第1回及び第2回のクリエイティブコンテストを主催したCygames佐賀スタジオは「最高のクリエイティブを九州から」というコンセプトのもと、サイゲームスの開発タイトルで使用するイラスト・UI・アニメーション・3DCGなどの制作を担う部門として、2020年4月に設立されました。
佐賀スタジオの理念でもある「次世代デザイナーの育成」に向けた施策を行いたいという想いのもと始まったのが「クリエイティブコンテスト」です。今回は「広告・映像・衣装デザイン部門」を新設し、応募作品の幅を広げ、審査には佐賀スタジオに加えて、大阪サイゲームス、サイゲームス(東京拠点)も加わりました。
応募総数は2092点あり、佐賀スタジオの1次選考で460点、大阪サイゲームスとサイゲームス(東京拠点)デザイナー部の2次選考で159点、最終選考で34点が通過。最終選考を通過した作品から大賞や各部門賞、審査員賞、学校賞を選ばせていただきました。コンテストの運営チームを代表し、サイゲームス(東京拠点)のトシユキとコンテスト運営統括のジュンに各受賞作の講評やコンテストの振り返りを聞きました。
- サイゲームス 執行役員 デザイナー本部 本部長トシユキ
- DTPを扱う制作会社にて営業職を経験。その後、イラストを独学し、ゲーム制作会社や映像制作会社にてイラスト、UI、ドット、アニメーション、3DCGなどの制作、ディレクション業務やリーダー職の経験を積み、サイゲームスに合流する。2014年より執行役員に就任。
- サイゲームス デザイナー本部 副本部長 デザイン3部部長ジュン
- Web制作会社を経て、2012年合流。アニメーションデザイナーとしてゲーム制作に携わり、以降はデザイナー部副本部長・アウトゲームの管轄であるデザイン3部部長職を務める。また、採用企画室・佐賀スタジオの管轄も担当。
大賞
ペンネーム:ヒラムシさん
私は「ウニの牧場」という架空の育成アドベンチャーゲームを考えました。
架空のパッケージやプレイ画面を制作し、他者にこのゲームのインパクトや魅力を伝えることを意識してデザイン、描写しました。
このゲームは、「遥か昔に『ウニ』という生物を地球に放流してしまった異星人が、地球で増えすぎてしまったウニの管理をしつつ、元の星に出荷していく」というストーリーです。主人公はウニを放流してしまった異星人の子孫であり、ウニ飼いの一人目として現代の地球に送り込まれます。
異星人は地球人と比べてはるかに小さいので、様々な困難や壮大な海の景色が主人公を待っています。
大賞はゲームコンテンツ部門の作品でした。どのような点を評価しましたか?
ジュン こちらの作品は、トシユキさんが激推しされていましたよね。
トシユキ そうですね。まず見た目のインパクトで思わず設定を見たくなりました。実際に設定を読んでみたら中身もまた魅力的で、「やってみたい」と強く感じたのがこちらの作品を推した一番の理由です。
ジュン 1次、2次、最終と全ての審査で話題になった作品ですね。「面白そう」の声が上がるだけでなく、様々な選考の場でウニを含めた海洋生物の生態について詳しく語り合ってしまう、といったことも起こりました。
トシユキ パッケージをイメージしてデザインするのは大事なことで、その点でもプレイ感やゲームの特徴などが非常に伝わりやすい作品であると感じました。ゲームコンテンツ部門でシステム寄りのお話を描いた作品が多かった中、「ビジュアルでまず惹きつけるべき!」という強い意志が感じられたのが、他作品と大きく違っていた点でもあります。
ジュン 今年は力作が多く、選考する中で意見が割れることも多々ありましたが、こちらの作品は審査員たちの満場一致で大賞に選ばれました。
キャライラスト部門賞(4名)
ペンネーム:王漫さん
謎の邸館の中、とある部屋でキャーキャーと騒々しい声が聞こえてきた。
指をさすアリス:「ほら!あの駒を右よ!」
あごに手をやるアリス:「ほほぉ、なるほどこんな手が」
混乱したアリス:「次はどこを打てばいいの…」アリスの頭から煙が上がった。
今夜も楽しい夜になりそうだ。
『アリスたち』の講評をお願いします。
ジュン 設定が愉快な感じで、引き込む力が非常に強い作品だと感じました。
トシユキ キャラクターを描くときは見た目を重視してしまいがちですが、魅力的にするにはストーリーを盛り込むことが大切です。そのためには、キャラクター単体で描くよりもシチュエーションや構図、キャラクターの表情やポーズなど様々な情報で“魅せる”技術が必要になります。こちらの作品は人数が増えるほどに難しい多人数の構図をうまくまとめつつストーリーも伝わるかたちで表現していて、レベルの高さを感じました。
ジュン 描かれている5人の性格がひと目でわかるところがすごいですよね。理解しやすく、深読みができるデザインで、茶器や駒などの細かい装飾もよく練られている。とても構成力が高い作品だと思います。
ペンネーム:ほ~こうさん
日本の沈没から16年、「地面を知らない世代」の彼女たちは、かつての陸上車両を改造したボートで今日も釣りに出かけます。非日常的な日常風景にワクワクを感じてもらえるように表現しました。キャラの動きや小道具など、細部まで楽しめるように工夫しています。
『街釣り日和』はどのような点を評価しましたか?
ジュン 今回は、若い世代の方が手掛ける80年代をテーマにした応募作品がいくつかありましたが、その中でもこの作品は自分らしい表現で昔風のタッチを再現していて「ナウい」作品だなと感じました。強引にまとめているところもありますが、それも勢いがあって良いなと。
トシユキ ゲームというより広告イラストレーションのような一枚で魅せる作品として、非常にレベルが高いです。実際にどこかの街に貼られていても違和感がないクオリティーだと思いました。世界観が魅力的で、ドット表現による効果なども今の世代の人たちにポジティブに刺さる仕上がりになっている。コンセプトが明確でそれに基づいた表現も取捨選択されていて、総合的に優れた作品ですね。
ジュン 動物に関する描写も非常に上手いですね。これは一朝一夕でできるものではないと思います。
トシユキ エフェクトのようにも見えるサークルの意匠を大胆に載せたあたりもハイセンスだなと感じました。
ペンネーム:萩野梨那さん
ソーシャルゲームを想定して、そのヒロイン達をデザインしました。
見てくださる方に、興味を持ってもらえるような世界観になるように意識してキャラクターデザインだけでなく、レイアウトにも力を入れています。
無機質で薄暗い背景なので、キャラクターはそのイメージを残しつつ、モチーフに無機質とは逆の花や蝶で飾り、衣装のフリルなどで女の子らしい華やかさや可愛らしさを出して背景に埋もれすぎないようにしました。
キービジュアルは、立ち絵や表情差分では伝わりづらい2人の関係性を、檻を使った構図や表情で表現しました。
『CARDIAC CHRONOS』の講評をお願いします。
ジュン これもまた秀逸な作品ですね。キャラクターがかわいらしく表情も描き分けられていて、設定や一枚絵もしっかり仕上げている。コンテストでどのような作品が求められるかも熟考されています。何が悪いというわけでは本当にない。例年なら大賞に選ばれておかしくないクオリティーだと思います。
トシユキ かなりゲームを意識したデザインになっていて、どんな部分が評価されるかを理解していると感じました。何より良かったのは、絵から強いメッセージが届いてきたところ。絵で伝える仕事において、気持ちを込めるのは大事ですが、ただ伝えるだけでなく、どのような伝え方をするかまで既に昇華できているのが素晴らしいです。
ジュン キャラクターもさることながら、イラストの下部に花が描かれているのが個人的にとても気に入っています。ここに花がある必要は決してないけれど、あることで非常に映えるように描かれていますよね。
トシユキ 作品自体もレイアウトがうまくて非常に見やすい。キャラクターを伝えるのに配置が一役買っていて、レイアウトのセンスを感じました。
ペンネーム:真昼。さん
信仰を題材としたイラストです。
田舎の宗教をイメージした世界観を表したかったのでキャラクターデザインをシンプルに周りには白装束や仏花を配置しました。
周りの手は千手観音をイメージしています。
『渇仰』はどのようなところが評価されたのでしょうか?
ジュン 独自の世界観を打ち出してくる作品は独りよがりになりがちですが、この作品は決してそうならず、一枚のイラストとして完成させつつ自身の表現の限界に挑戦しているのを感じました。難しいモチーフでしたが、評価した審査員はかなり多かったです。
トシユキ イラストレーション以外の職種の審査員からも支持されて、全方位で票を集めた作品ですね。画力だけでない魅力が詰まっていて、世界観の作り方や構成力でも群を抜いていたと思います。
キャライラスト部門の応募作全体で特徴はありましたか?
ジュン 今年は全ての部門において例年よりレベルの高い作品が集まりましたが、特にキャライラスト部門は最終選考に100作品ほど残ったので、急遽受賞枠を増やして最多4人の受賞となりました。受賞作は、いずれも「なんでこれが大賞じゃないんだろう?」と思ってしまうハイレベル。それぞれ方向性は異なりますが、自身の表現を絵に込めようとしているところは変わらず、若い方が様々な表現に挑戦しているのを感じました。
背景イラスト部門賞(1名)
ペンネーム:あおい日記さん
夜の暗い森だったり、墓地だったり、たいていの人間はそういった場所は怖くて近寄りすらしないと思います。でも、中には度胸試しや怖いもの見たさを理由に肝試しをしに人間がやってきます。その一部の人間が恐怖を感じながらも訪れる理由は幽霊です。幽霊は未知なものでそれに恐怖を抱いたり魅力を感じたりするのは当たり前のことです。でももし、その幽霊が未知のものではなくなったら?そんな世界では夜の森や墓地はどのように変わるでしょうか。そんな想像を絵にしました。
『願いを葬る場所』の講評をお願いします。
トシユキ 背景を描くときに大切なのは、やはりストーリー性です。ゲームの世界観を風景や空間で表現するということ。第1回、第2回の受賞作が背景を主としていたのに対して、この作品は世界観を主にしていて、描かれているキャラクターが多い。しかし、そのおかげで背景の世界観がより成立している。キャラが入った背景ストーリーとしての完成度が高かったことから、背景イラスト部門賞に選出しました。
ジュン 描写が細かいですよね。あと、この作品、実は長編小説が作者の手で書かれており、その小説の世界がイラストで表現されています。そちらも非常に面白い取り組みだと思いました。
背景イラスト部門では、どのような特徴がありましたか?
ジュン ゲームの世界観に対する意識の高い作品が多かったですね。受賞作も背景を用いた世界観を表現したというところで、評価に繋がったと思っています。また、背景イラスト部門は他の部門に比べて応募が少ない分、色々な可能性を試せる場になってきているのを感じました。
3DCG部門賞(2名)
ペンネーム:吉田さん
近場にある素敵な八百屋をモデルに製作しました。リアリティを追求する為に値札は実際に写真を撮りに行ってテクスチャとして使用、野菜は一部3Dスキャンを使ったりと様々な手段に挑戦しました。無骨な空間に人間の息遣いが感じられる様な作品を目指しました。
『八百屋』の講評をお願いします。
ジュン 異色の作品で、選考でも意見が分かれました。私は熱く支持した側ですね。発想力が試されるコンテストで他の人と違う視点をはっきりと打ち出していることに、破壊的な魅力を感じました。
トシユキ ワンシーンとして切り抜いたときに、「ひとけがなくひっそり店を構えている?」「コンクリートの建物の1階にある八百屋?」と深掘りするほどに違うテーマも見えてくるのが魅力ですね。噛めば噛むほど味が出るスルメのようなところもあり、コンテンツ部門の受賞作としてこれまでと違う軸を示すものになったと思います。
ジュン ともすると「何だこれは?」となりそうですが、応募データを見ると、実は店内の反対側もちゃんと作っていたり、ダンボールをいちから手作りしていたりと、八百屋に対する愛情が非常に感じられる。見れば見るほど好きになる作品です。
トシユキ 確かに、値札の書き文字が一つひとつ違っているなど、細かい作り込みから気持ちの入れ方が伝わってきますね。
ペンネーム:柏木一樹さん
遠くに崩落した太古の神殿が臨める、異教徒の祈祷広場。ボスはそこでずっと神殿を眺め続けている。
アクションゲームのボス背景を作るという課題でテーマ文を元にコンセプトアートを描き、それを元に3Dで仕上げていった形になります。
『球の神殿を臨む者』はどのような点を評価しましたか?
ジュン ある意味、非常に王道な作品ですね。オリジナリティーもさることながら構成力も巧み。また、ライティングが非常に良いなと思いました。暗いところをちゃんと暗くして、明るいところへ目線を運ばせている点でレベルが高いです。
トシユキ 作者の方はこの他にも数点作品を出しているのですが、どれも作り込みがしっかりしていて、確立された世界観があるのを感じました。中でもこの作品は王道たらしめる構図をよくわかって描いている。ゲームをかなりやり込んだ思い入れが伝わってきて、また「こう見せたい」という意志もはっきりしていたので、見ている側からしてもわかりやすかったです。
3DCG部門では、どんな作品に期待していましたか?
ジュン どの部門においても共通して言えることですが毎回、我々の想像を少しだけ超えてくる作品を期待しています。本部門はこちらの思惑が吹き飛ぶくらいすごい作品が多数ありました。ユニークさという点でもバラエティーに富んでいて、特に受賞2作品は群を抜いた個性とクオリティーを持っていましたね。
トシユキ 3DCGの表現は、モデリングして、配置して、レンダリングすればそれなりに見えてしまう。それだけに、ただCGを作るだけでなく、一枚の画像の中で人やキャラクター、世界を伝えるという点をどこまで追求したかが明暗を分けたと思います。
ゲームコンテンツ部門賞(2名)
ペンネーム:Utaさん
創世記「ノアの箱舟」を基に、異様な雰囲気のある世界観を制作しました。プレイするときに、新鮮味を感じられるようなキャラクターやゲームシステムを世界観と練り合わせることに注力しました。そのため、ストーリーを具体化するのは大変でしたが、とてもやりがいを感じられた作品です。
『NOAH in the sky』の講評をお願いします。
ジュン 受賞した2作品に共通して言えることですが、「ゲームの画面が面白そう」と審査する側を引き付けたことが非常に大きかったです。
トシユキ そうですね。絵だけでなく付随するストーリーやシステムをしっかり世界観に合わせていて、トータルバランスが非常に良かったです。戦闘などの各シーンも想定して世界観が作られています。文字を読まなくてもわかるし、文字を読めばもっとわかる。見ている側もイメージしやすかったです。
ペンネーム:鰻美々さん
「本当は怖いおとぎ話」をテーマに、「物語の世界を体験する」というコンセプトのゲーム企画です。
7人姉妹の2番目であるルルニシュカが、姉妹たちが次々狼に殺されていくのを阻止してハッピーエンドを目指していく物語です。
しかし、真犯人は狼ではなく……?というミステリー展開が待ち受けています。
謎を解き明かし、真犯人を見つけて姉妹を救ってください!
この作品は「絵画を見る」という体験がベースになっています。それなので少しでも、美術展に足を運んでみようかな、なんて思っていただけるきっかけになったら嬉しいです。
『Who bunny it?』はどのようなところを評価しましたか?
ジュン 企画書の見栄えの点でずば抜けていましたね。すごく考えて作っている作品だと思います。ここまではっきりと色々なところを説明しているがために、逆に色々と気になってしまう部分もありましたが。
トシユキ 企画書に絶対的な正解はない……というのを前提にしつつですが、あらゆるところが上手いと思いました。絵が得意な方は絵で語りすぎてしまう場合がありますが、これは絵以外の要素でもデザイン力が抜群に高い。装飾やレイアウト、アイテムの見せ方からも世界観が伝わってきて、受け取れる情報が非常に多かったです。
今年のゲームコンテンツ部門はどのような特徴がありましたか?
ジュン 前回から最も大きく進化した部門ですね。応募作品のクオリティーがはっきりと高くなりました。優秀な作品が多数送られてきた中で明暗を分けたのは、シンプルに引き込まれたかどうか。大賞もこの部門の応募作品ですが、こちらもまた圧倒的に引き付けられたのが大きかったと考えています。
広告・映像・衣装デザイン部門賞(1名)
ペンネーム:KWAさん
「完璧な生徒会長である主人公、家ではだるいオタク?」
主人公の二重生活を可愛いく表現したMVアニメーションです。
気軽に見られるアニメーションを作ることがモットーです。どうぞ楽しんで下さい!
『次の案件はオタ活です!』の講評をお願いします。
ジュン この部門の受賞者は実は高校生の方、しかも海外からの応募で、そのことにびっくりしました。動画の間とテンポが圧倒的に良かったです。アマチュアリズムを貫いてはいるものの、見た目は非常にプロっぽい作品に仕上がっている。ここまで作るのは意識しないと難しいですよね。
トシユキ 動きの緩急が非常に上手いです。間やテンポの取り方は経験を積まないと難しいのですが、ただ動かすだけでなく、ストーリーやキャラクターを動画にしっかり合わせて作っている。「レベルが高いね」と話していたら、作者が高校生だと知って、審査員一同驚いた作品です。
広告・映像・衣装デザイン部門賞は今回から新設された部門ですが、どのような作品が送られてきましたか?
ジュン 応募作品が最も少なくて、運営もそれは覚悟で気を揉んでいた部門ではありました。とはいえ、衣装デザインやプロモーションビデオ、実写映像や応募者自身の作ったものをまとめた広告作品など幅広く集まり、当初予想もしていなかったような作品も集まりました。今後、非常に楽しみな部門になっていきそうです。
高校生部門賞(1名)
ペンネーム:kawaさん
『禱り』
森の中に忘れ去られたように存在しているピアノと花畑を描きました。ピアノの音に共鳴し、まるで誰かを弔うかのように花たちは白く輝きます。全体的に彩度を低くし、神秘的な雰囲気が伝わるように描きました。
『Retime』
ここはどこなのだろうか。思い出せる最後の記憶は宙を掻く感覚と遠ざかって行く屋上のフェンス。時計は–時–分をさして止まっている。
–時–分。それは1年前彼女が自ら命を絶った時刻。そしてさっき私が屋上から一歩を踏み出した時刻。
ここがどこかも、私は生きているのかどうかもわからない。ただ私のやるべき事ははっきりとわかる。狂ってしまった時間を修復すること。
大丈夫だ。時間だけはたくさんある。
時間の止まった世界で自らの過去と向き合い、狂ってしまった時間を修復する旅が始まる。
『Night Park』
夜の駐車場とクラシックカーを制作しました。
クラシックカーの計器やハンドルを参考にモデリングしました。皮や金属のシルエットが綺麗に出るようライティングし、臨場感が出るようにカメラアングルを工夫しました。またあえてノイズを追加して渋い雰囲気が出るように調整しました。
『異世界への入口』
森の中にひっそりと佇む、別世界へ繋がっているトンネルをイメージして制作しました。
特に斜めにさしこむ光芒や光の反射にこだわり、森の朝の透明感を表現できるよう制作しました。
『Morpho』
サイバーパンク風の裏路地とモルフォ蝶を制作しました。裏路地の寂れた感じとモルフォ蝶の美しい青色が映えるようにグレーディングしました。蝶のアニメーションも制作し、レンダリングの際にモーションブラーをかけ実際に蝶が飛んでいるイメージを再現しました。
『Qualia』
その鍵盤には感情が割りあてられている。ドは悲しみの音、レは喜びの音。
私の感じている悲しみや、喜びは、本當に私が感じているものなのだろうか。
私たちは支配されているのではないだろうか。
鍵盤を弾く何者かによって。
高校生部門賞の受賞作への講評をお願いします。
ジュン 実はこの6作品(7点)の中に背景部門賞の受賞作と競った絵がいくつかあります。クオリティーがとにかく高く、また作者が明確なコンセプトを決めつつそれを昇華しながら作っていて、どれ一つ外れがなく圧倒的でした。
トシユキ よく見るとわかるのですが、イラストだけでなく3Dも活用していて撮影技術も高い。色々な要素が詰まった作品を何枚も仕上げられていて、「高校生?」と当初は信じられなかったです。
高校生部門賞ではどのよう傾向、特徴がありましたか?
ジュン ものづくりをしたいという意志がどの作品も非常に強かったのが、この部門の特徴でしたね。
トシユキ ここ最近、若い世代の方たちの伸びがすごいですね。高いレベルのスキルや世界観を持った学生が増えてきているのを実感しました。
ジュン 高校生部門は、昨年より「高校生以下から申込み可」になり、第3回でも「上は高校生から、下は小学生まで」応募がありました。小学生の方の作品で最終選考まで残ったものがあるので、今後クリエイティブコンテストWebサイトで発表予定の、惜しくも受賞には至らなかった最終選考通過作品紹介でぜひ探してみてほしいです。また、高校生部門で審査員賞に選ばれた方もいますので、そちらの講評もぜひ見てください!
以上、「大賞」「部門賞」作品をご紹介しました。
「審査員賞」「学校賞」の作品や「第4回クリエイティブコンテスト」の展望はこちらの記事でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!