【マネージャーの思考】3DCGアーティストチームの組織づくり 1+1で2以上を作るチームプレイ
「マネージャーの思考」は、サイゲームスの各部署のマネージャーから、組織づくりの考え方や今後の展望を語ってもらう連載です。今回は「3DCGアーティストチーム」のマネージャー・ユウマにインタビューを実施。3DCGアーティストチームで行っている施策やユウマの仕事に対する姿勢を語ります。
- 3DCGアーティストチーム マネージャーユウマ
- プロダクトデザインの専門学校を卒業後、玩具のデザイン事務所に入社。3DCGに出会った後、ゲーム業界に転職し、コンシューマーゲーム、モバイルゲームの開発に携わる。サイゲームスには2013年に合流。複数タイトルを経験した後、3DCGアーティストチームのマネージャーに就任。『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(配信元:バンダイナムコエンターテインメント)』『リトルノア』などを手掛けた。
コンシューマーからソーシャルへ
3DCGゲームの最前線を走る
最初に、ユウマさんがサイゲームスに合流するまでのキャリアについて教えてください。
はい。実は最初に就職したのはゲーム業界ではなく、玩具のデザイン事務所に入社し約6年間、企画、デザイン、設計を行っていました。最初は手書きだったんですが、PCが導入されてから3Dの仕事も出てきて、図面設計ツールのCADや3DCGを触るようになり、そちらの方に興味を惹かれてゲーム業界に転職しました。
そこから3DCGアーティストとして、いくつかの会社でコンシューマーゲーム、スマートフォン向けのゲームを何本か開発しているうちに、出向先で出会った社長の渡邊に声を掛けてもらい、サイゲームスに合流したという流れです。
ありがとうございます。3DCGについては元々興味があって勉強していたのでしょうか?
そうですね。学生時代は専門学校でプロダクトデザインの勉強をしていました。子ども時代はなんとなく絵を描くことが好きだったんですが、何になりたいかはよくわからなくて。そんなとき、兄がいわゆる映画オタクで……部屋に映画『ブレードランナー』で有名なインダストリアルデザイナーの本が置いてあったんです。それを見せてもらったときに、「あ、これが自分がやりたいことだな」と思いました。そこからプロダクトデザイナーを目指して専門学校に入ったんです。
玩具のデザイン事務所では2Dの仕事がメインでしたが、そこからコンピューターグラフィックスに出会って、すごく親和性が高いと言いますか、自分の天職と言いますか……とにかくやっていて楽しいなと思いました。
そこからサイゲームスに入社を決めた理由を教えてください。
2013年当時はソーシャルゲームが花開いていって、勢いが凄かった時勢だったんです。その中でもクオリティーが特に高いと感じたゲームをリリースしていたのがサイゲームスでした。当時そこからお声掛けいただいたのは非常にありがたかったですし、自分もチャレンジしてみたいと思って飛び込みました。
合流後はどんなタイトルに関わったのでしょうか。
2013年3月に合流した当初からスマートフォン向けゲームの3D制作に携わり、『LINE ペーパーダッシュワールド』(※)の背景を担当、『リトル ノア』(※)では監修やアドバイスのようなポジションで入りました。その後、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(配信元:バンダイナムコエンターテインメント)』を3Dで作るということでアサインされて、立ち上げからリリースまで立ち会いました。
※現在はサービス終了
役職としてはどんな経緯でマネージャーになっていったのでしょうか?
そもそも入社したときには3DCGアーティストチームがなく、3DCGができるスタッフは数名いるのみでした。そんなわけで私の最初の肩書きはイラストレーターだったんです。僕、絵は描けないんですけどね(笑)。そのうち3DCGアーティストチームができて、半年くらい経った頃にマネージャーをお願いしたいと声を掛けてもらい、お引き受けした次第です。
約250名のスタッフを
7つのセクションに配属
3DCGアーティストチームはユウマさんが合流してからできたということですね。どのような経緯で設立されたのでしょうか?
設立自体は2013年の秋頃です。3DCGを扱う業務自体はあったんですが、デザイナー部のUIデザイナーやイラストレーターで3DCGができる人が担当していました。そこから3Dのタイトルを制作するためにスタッフ数を増やして、それに伴って部署が設立しました。当初は約10名ほどだったのですが、今は約250名ものスタッフで構成されています。
約10名からかなり増えましたね……!前職はどんな業界にいた方が多いですか?
ほとんどがゲーム業界から中途採用で合流したスタッフですね。大手パブリッシャーから中小規模のデベロッパーにいたスタッフもいるといった感じです。あとはアニメや映画など映像業界の3D映像制作会社にいたスタッフもいます。年齢層は30代が多く、男女比は男性7:女性3ですね。
具体的にどんな体制でどんな業務を行っているチームなのでしょうか?
マネージャー、サブマネージャーなどの管理部門の下で、セクションごとに7つの班に分かれ、開発・運営中のあらゆるプロジェクトで3DCGのアセット制作・管理を行っています。
3DCGって、実はキャラ、背景、モーション、エフェクトなど、セクションごとにやっていることがかなり違ってくるんです。だからそれぞれに現場の人たちをまとめるセクションリーダーを立てて、マネージャー陣がそれをまとめる、といったような三重構造で全体を管理しています。また、プロジェクト単位でもプロジェクトリーダーが1人、その下にセクションごとのパートリーダーが1人ずついて、制作物のクオリティーチェックを行っています。
●キャラクターアーティスト
キャラクターやエネミーの2Dイラストを基に3Dのポリゴンモデルを作り、その表面にテクスチャー(色や模様)を付ける。
●エンバイロメントアーティスト
エンバイロメント(背景)を制作する。ゲームによって、すべて3DCGで作ることもあれば、2Dと3Dを組み合わせることもある。
●アニメーター
キャラクターの3DCGモデルに動き(モーション)を付ける。動きを手動で付ける「手付け」と、実際の人間の動きを撮影する「モーションキャプチャー」がある。
●リギングアーティスト
モデルにジョイント(骨・関節)を入れ、「リグ」と呼ばれるコントローラーを設定する。また、動きに合わせてモデルを変形させる「スキニング」も行う。
●カットシーンアーティスト
ゲーム内でムービーとして再生されるイベントシーンを制作する。カメラアングルを決め、素材を配置して一連のシーンを作る。
●エフェクトアーティスト
爆発や魔法などのエフェクト(特殊効果)を制作する。エフェクトには動きが加えられるため、アニメーションの知識が必要。
●スタジオ
モーションキャプチャースタジオとそこで作られたデータを管理するモーションスタジオ班、フォトスキャンスタジオとそこで作られたデータを管理するスキャンスタジオ班の2つに分かれている。
組織づくりや人材育成で大切にしていること
大人数、複数のセクションを束ねていますが、大変なことや工夫していることはありますか?
他のチームと被る所もありますが、下記のような施策を行っています。
■1on1面談
初期の頃は半年に一度、マネージャーである私自身がチームメンバー全員と1対1で面談を行っていた。人数も増えたため現在はサブマネージャー陣やセクションリーダー、プロジェクトリーダーなどと分担して一人ひとりと話をしている。
■チーム全体定例ミーティング
年に数回、チーム全員でオンラインミーティングを実施。マネージャー陣から連絡・共有を行う他に、メンバーから3分スピーチなども行っている。自己紹介でも自分の好きなことでもテーマは自由で、チーム内のコミュニケーション促進や、プレゼンの練習も兼ねている。
■リーダー間の連携強化
プロジェクトリーダーは月に2回、セクションリーダーは毎週、リーダー同士で情報共有会を開催。セクショナリズムが生まれないようにしている。
■3DCG情報誌作成
コロナ禍でもメンバーやマネージャーを身近に感じてもらえるよう、毎月3DCGチームに向けた情報誌を発行。情報誌には企画やマネージャーのコラムコーナー、全体アンケートの実施と結果発表、リレー形式でスタッフのおすすめグッズ紹介など。
新卒・第二新卒のような未経験者はいますか?
現状まだ第二新卒はいませんが、新卒は毎年1~2名以上採用しています。全体の研修の後にプロジェクトに配属されて、メンタートレーナー制度を通してOJTでサイゲームスでの仕事の進め方、3DCGアーティストとしての業務を学んでいくことになります。
組織づくりや育成において、ユウマさんが大事にしていることは何ですか?
社内外問わず、付き合い方や接し方は「人」を意識しています。当たり前ですが、チームにはいろんなスタッフがいて、さまざまな感情やいろんな歴史を持って来ている方がいるので、その気持ちや背景を尊重して一緒に仕事していきたいなと。作業を依頼するときも「これお願い」と言うだけじゃなく、なるべく目的や目標をその人目線で伝えたり、感謝の気持ちや挨拶、礼儀など、当たり前のことを大切にしています。
ユウマさんにとって、「仕事」とは何ですか?
楽しいことややりがいを感じること、やっていておもしろいことを選ぶようにしています。大変な仕事でも、自分の中で何か面白いことがないか、考えて仕事するようにしていますね。
1+1を2以上に
個の繋がりを大切にしてチームが強まる
サイゲームスの好きなところを教えてください。
会社も10年以上経って、僕も10年目になるんですが、好きなところは基本的にずっと一緒です。「スピード感」と「風通しの良さ」ですね。何かを決めるときもそうですし、現場から相談や提案があったときにすぐに役員に届けることができて、役員が即時判断してくれるようなスピード感は、他社だとなかなかそうはいかないなと思います。「風通しの良さ」もスピード感に近いですが、いちスタッフと役員の距離が近いなと思います。役員でなくても上長が提案や問題提起をすれば耳を傾けてくれますし、正当な提案であれば対応してくれる会社です。
3DCGアーティストチームを一言でいうとどんな組織ですか?
これも先ほどの人の話に繋がると思うんです。変化球じゃないんですけど、「チーム」かなぁと思っています。野球やサッカーのチームに近いかもしれないですね。
サッカーだったらチームの中に点を取る担当がいて、ゴールキーパーがいて、ボールを回す人が間を繋ぐといったかたちで役割がありますよね。3DCGアーティストチームの中でも、キャラクターアーティストもいれば、エフェクトアーティストもいて、いろんな役割を持っているスタッフが集まっています。さらに、キャラクターアーティストがモデルを作って、それにモーションアーティストが動きを付けて、さらにエフェクトアーティストがその動きに合わせてエフェクトを付けて……という流れで、3DCGの中でも上流工程下流工程があります。
そして、例えば最初のキャラクターアーティストの作業が遅れると、全部が後ろにずれ込むんですよ。全体が遅れないように意識してみんなで組み立てていくことや、それぞれが持つ役割を理解して連携することで1+1が2以上になることが、僕の中で「チーム」なのかなって思います。
3DCGチームの展望を教えてください。
数年前までは100人突破やクオリティーアップなどを目標に掲げてきていましたが、開発中のコンシューマーゲームに心強いスタッフが集まってきて、モバイルゲームの開発でもスペシャリストクラスのスタッフたちが集結してきているので、そこは達成できたかなと思っています。
今後の展望としては、どんどん新しいプロジェクトが立ち上がっているので、人を増やしてさらに大きくしていくと同時に、中の組織づくりや関係性構築のため、リーダークラスや監修者などをもっと育てていかなきゃいけないなと感じています。
3DCGチームにどのような人に来て欲しいですか?
そうですね、技術の高い方にはもちろん来ていただきたいんですが、それ以外のところで言うと、気持ち的に前向きな人、ポジティブな人に来ていただきたいですね。先ほど僕自身の話をしましたけど、やはりどんな状況でも楽しめる人や、面白さ、やりがいを自分で見つけられる人と一緒に仕事をしたいと思います。加えて受け身ではなく、積極的に意見を言ったり提案したり、何か問題があったら問題提起したり、前に出られる方に来ていただけると非常にありがたいと思っています。
あとは……サイゲームスの根幹はコンテンツづくりなので、ゲーム、アニメ、漫画、映画など、エンタメコンテンツが元々好きな方と一緒に仕事ができたらうれしいです。
以上、3DCGアーティストチームのマネージャーのインタビューをお届けしました。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。
3DCGアーティストの募集要項編集後記「マネージャーの横顔」
休日はどんなことをしていますか?
休日は家族と過ごすことが多いですね。妻や娘が行きたいところに車を出したり、娘の習い事の送り迎えをしたり、行ったり来たりです(笑)。
あとは最近あまり活動できていませんが、たまにカメラを持って近所の散歩に出掛けています。写真撮影とは別に団地を見に行くのも好きなので、たまの休みの日には、気になる団地を見に行ってその周辺で写真を撮ったり、ぶらぶらしたりしてのんびりしています。
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