『グランブルーファンタジー』プランナーに聞いた ゲームプランナーが担う役割と大切にしていること
ゲーム作りになくてはならない職種の1つ「プランナー」。
ゲーム作りに関わる職種といえば?と聞かれて、最初に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
今回はサイゲームスのプランナーが、具体的にどんな仕事をどんな気持ちでしているのかを探るべく、『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』のプランナーに話を聞いてきました。
- プランナーヨシト
- コンシューマータイトルのプランナー・ディレクター・プロデューサーを務めた後、2017年よりサイゲームスに入社し、『グランブルーファンタジー』のプランナーに。現在は現場メンバーの育成や開発フロー作りにも取り組む。
「コンシューマーの経験をソーシャルで活かしてみたい」
『グラブル』プランナーになったきっかけ
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
『グラブル』でプランナーをしているヨシトです。現在は『グラブル』のゲーム内イベントや恒常機能追加に関するコンテンツの一次監修を担当しつつ、プロジェクト内で「イベント班」と呼んでいる、毎月末開催するシナリオイベントなどのイベント施策を担当するプランナーチームのリーダーを兼任しています。
サイゲームス入社前からプランナー職だったのですか?
サイゲームスに入社する前は、別のゲーム会社でコンシューマーのシリーズもののRPGタイトルを作っていました。その会社へ初めはプランナーとして参加したのですが、その後、ディレクターを経て、最終的にプロデューサーをしていました。
プロデューサーをされていたんですね!そこからソーシャルゲームでプランナーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
長くコンシューマーを作ってきた経験をソーシャルゲームでどこまで活かせるのか試してみたかったんです。そこで、ソーシャルゲームで高いクオリティーのゲームを提供していたサイゲームスへの入社を決めました。
キャリア的にはディレクション経験のほうが長いですが、ソーシャルゲームでもまずはプランナーとしてしっかり経験を積み、業務の進め方を理解した上で、求められればディレクションもしていきたいと考えました。メインとしてプランニング業務を担当するのは7~8年ぶりだったので、サイゲームスに入社したことはあらためて原点に立ち返って、自分の能力や経験がどれくらい活かせるかを客観的に見る良い機会になりました。
実際にソーシャルゲームのプランナーを経験してみていかがでしたか?
ディレクターとプランナーで行う業務自体は変わるものの、気持ちとしてはあまり変わりませんでした。「良いゲームを作るぞ!」という想いは共通ですから。
最終的に判断するのはディレクターですが、その前段階で「何を作るか」「何を提案するか」を考えて実行するのがプランナーです。ディレクターとは担当する範囲は変わるものの、責任感ややりがいという意味ではプランナーになった今でも同じ気持ちで仕事をしています。
特にサイゲームスのプランナーには私と同じような気持ちで働いている人が多い印象ですね。全員が「面白いゲームを作ろう」「ユーザーの方々にもっと喜んでほしい」という想いや責任感を持って担当業務にあたっています。
『グラブル』のプロジェクトはどんな方が多いのですか?
プロジェクト全体だと100人以上いるのでさまざまですが、共通するのは『グラブル』が好きということですね。私がリーダーをしている「イベント班」のプランナーは特に20~30代のスタッフが多く歳が近いので、熱意や活気があります。オンオフはきっちりしている人が多いので、仕事は仕事としてしっかりとこなし、『グラブル』を含めてゲームをしたり、遊んだりするときには思いっきり楽しむチームです。
自分たちで作っているゲームではありますが、多数のメンバーが熱心な騎空士(※)でもあるので、みんなでプレイして盛り上がったり、プレイして気付いた点を話し合ったりと、ユーザー目線でも楽しみつつ、仕事に活かす人が多いのもチームの特徴だと思います。
(※)『グラブル』のプレイヤーは、主人公として空に浮かぶ島々を旅する騎空士(きくうし)として冒険する
「プランナー」って何をしてるの?
とある1日の流れを公開!
担当しているプランナー業務について、詳しく教えていただけますか?
先ほどもお話ししたように主に2つあり、『グラブル』内のイベントや恒常機能追加に関するコンテンツの一次監修と、イベント施策を担当するプランナーたちで構成された「イベント班」のリーダー業務をしています。
監修業務では、「アーカルムの転世」「SIDE STORY」といったゲーム内コンテンツや、毎月末に開催しているシナリオイベントなどについて、操作感・バトル演出面などのクオリティーに関する部分をチェックし、出来上がったものをディレクターに確認してもらっています。
「イベント班」のリーダー業務では、スケジュールやメンバーのタスク管理をしています。各担当プランナーの進行状況をチェックしながら、場合によっては、自身でもイベント設定をしたり主担当になったりといった現場対応もしています。
なるほど。ではここで、実際どのように働いているかがわかる、とある1日のスケジュールを見せていただきたいと思います!
1日を通して、結構ミーティングが多いですね。
そうですね。チーム間の情報共有の場としても重要ですし、プロデューサーやディレクターとも何度も仕様やクオリティーについてすり合わせを行います。特に毎月末に開催されるシナリオイベントは、『グラブル』の目玉イベントの1つでもあるので、イベント内容から報酬まで、ユーザーの方々に満足いただけるものにできるよう、イベント担当者だけでなくバトル担当者やスクリプト担当者も交えて仕上げていきます。また、各シナリオイベントが終わった後の振り返りにも力を入れています。実施したイベントへの反響やリリース内容を入念に振り返って、次回に活かせるようにしています。
監修作業は合間合間の時間を使って、こまめにされているんですね。
「いつする」と確定できる業務ではないため、時間を見つけて随時できるようにしています。基本的には月末シナリオイベントのリリースに向けて、月の後半になるほど監修業務が増えていくことが多いです。繁忙期は1日中監修作業をしている日もありますし、進行状況によっては差し込みで作業が発生することもあるので、その日その日の状況を見て柔軟に動くことが多いですね。また、午前中にフィードバックを出したものの修正が担当者から当日中にあがってくることもあるので、その場合は夕方にあらためて確認し、担当プランナーに細かい指示を出しながら修正や最終調整をします。そうして一次監修でOKとなったものをディレクター確認に回します。
聞くだけで大変そうな作業ですね……。
スケジュールが読めない分、臨機応変に対処する場面もありますが、最近は監修前チェックリストを作ったり、同じフィードバックを受けないように「イベント班」のメンバーに共有したりして効率化を図っています。時間の削減もできますし、以前より精度の高いチェックができるようになってきたなという実感があります。クオリティーの高さという長所は『グラブル』の人気を支えている要素の1つだと思っているので、最高のクオリティーのものを提供するという意識で取り組んでいます。
また、「イベント班」としてはスケジュール管理にも力を入れていて、各ミーティングでこまめにすり合わせを行ったり、期限通りに進められるよう適宜ヘルプ作業も行ったりします。
ちなみに、個人的に一番好きな業務は何ですか?
実は、延々とデータを打つ業務が好きです(笑)。頭の中で想定したデータを打ち込んで、それが想定通りに動くとすごく気持ち良いんです。慣れてくると手で打ったほうが早かったリ、間違いのない良いデータが打てるようになったりします。普段している監修やスケジュール調整とは違った単純作業なので、逆に燃えるのかもしれません(笑)。
「ゲームは決して1人では作れない」
プランナーに必要なスキルとは?
『グラブル』のプランナーは「イベント班」のように、さまざまなチームに分けられているのでしょうか?
そうですね。プランナーで言うとゲーム全体の改修・新しい機能実装を担当する「コンテンツ班」、キャラクター・武器・召喚石といったバトル全般を担当する「バトル班」、メインストーリーやシナリオイベントの会話シーンを作る「スクリプト班」、月ごとのシナリオイベントの企画・進行を担当する「イベント班」の大きく4つの班に分かれています。最後の「イベント班」が私の所属している班です。『グラブル』では各班が、さまざまな企画・施策を並行して動かしているので、班を超えた連携が必須ですね。
また、「イベント班」で言うと、プランナー1人当たり2~3個のイベントを担当していることが多いです。直近のシナリオイベントから数か月先のイベントまで並行して進行しています。そのため、リーダー業務の中でもスケジュール管理や調整といった仕事は特に大切になってきます。
プランナーと一口に言ってもさまざまな仕事があるんですね。どのプランナーにも共通して必要なスキルは何かありますか?
「周りの人と協力し、中心となって進めていけること」です。ゲームは1人では決して作れません。さまざまな職種の人が集まった“チーム”で動き、チーム一丸となって目標の達成を目指します。そんな数ある職種の中で、プランナーは最も“ハブ”となる存在です。プランナー同士のみならず、エンジニアやデザイナーとも連携をしますし、スケジュールや全行程のタスクを管理するのもプランナーの仕事です。ですから、コミュニケーション能力や計画を立ててしっかり管理・実行する能力は重要だと思います。
そうなると、プランナーは幅広い視野や知識を持っていることも大切な気がしますね。
まさにその通りで、社内でもよく「なんでもできるのがプランナー」と言われています。ただ、全てのことを100%できる必要はありません。大体のことが80%できた上で、100%できること、つまり一番得意な「自分の武器」を持ってほしいと言われます。これは経営陣からもよくされる話の1つですね。
プランナーに向いてる人はどんな人?
一番のやりがいは「ユーザーのみなさまの笑顔」
なるほど。そんなプランナーに、向いているのはずばりどんな人でしょうか?
そうですね……「素直な人」だと思います。
プランナーの仕事は、プロデューサーやディレクターが求めていることを何倍にも何十倍にも面白くすることです。そのためにはまず、何か面白いものに触れたとき、素直に「面白い!」と思えることはすごく重要なんです。
素直に「面白い」と受け取った上で「なぜ面白いのか?」を分析して言語化・理論化し、きちんとアウトプットする。それがゲームの企画書や仕様書になっていきます。そして、これを繰り返すことで「こうしたらさらに面白くなるかもしれない!」というアイディアにも繋がって、ゲームを面白くするための“考える力”が付いてきます。
逆の場合も同じですね。「面白くない」と思ったら「なぜ面白くないのか?」を考えることで“コンテンツを面白くするスキル”というものが磨かれていきますし、最高のコンテンツを生み出せるプランナーへの近道だと思います。
……たまに、分析なしの100%感性だけで面白いものを作ってしまうプランナーもいますが、それはほんの一握りです。天才ってやつですね(笑)。
なるほど(笑)。ちゃんと、頭の中で面白さや面白くなさを体系立てて考えることが大事なんですね……!
また、仕事を進めるという点でも素直さは大事です。先ほど、開発チームの中心となって進められることが必要なスキルというお話をしましたが、そのために、まずは人の話をきちんと聞き、真っ直ぐに意見を受け止められる素直さがとても重要になってきます。改修や施策を進める上で、良い意見はもちろん、聞きたくない意見や厳しい意見をもらうことも少なくありません。それらの言葉を真摯に受け止め、「解決するためにはどうしたら良いか?」と素直にシンプルに考えられる人はとても良いプランナーになれるのではないかと思いますね。
あとは、単純にそういう方と仕事をするのは気持ちが良いです!サイゲームスは「みんなでもっと最高のコンテンツを作ろう!」という考えのメンバーばかりなので、感じたことはお互いにどんどん言い合います。素直に意見を吸収したり言えたりする方とぜひ一緒に働きたいですね。
最後に、サイゲームスプランナーのやりがいを教えてください。
プランナーのやりがいは……やっぱり「ユーザーのみなさまの笑顔」ですかね!かっこつけているように聞こえるかもしれませんが、ゲームを作る人間として、この気持ちは絶対忘れてはいけないと思っています。開発をしていると大変な場面ももちろんあって、例えば、自分の経験で言うと、初めて『グラブル』の新規イベントを担当したときが特に大変でした。2019年夏の「THE MAYDAYS」というイベントを途中から担当したのですが、それまで監修業務がメインだったので、主担当というのは初めての経験でしたし、『グラブル』のイベントストーリーで初となる本格的なミニゲームの実装などもあって……。
ですがその分、ユーザーの方々の「イベント楽しい!」という反応がとてもうれしかったんです。イベントに限った話ではありませんが、そういったユーザーの方々の喜んでいる姿、『グラブル』を楽しんでくださっている姿を見られたとき「がんばって良かった!また面白いものを作ろう!」と思えますね。
ユーザーの方々の存在が大きな支えになっているんですね。
そうですね。こちらが「刺さってほしい!」と思って作った部分に反響をいただいたときは「やった!伝わった!」と思いますし、中にはこちらが想像していなかった解釈や反応をしてくださるユーザーの方々もいて、逆にこちらが驚かされることや、新しい気付きをいただくこともあります。そういった反応を見て「次はもっとこうしよう」「実はこういうのもアリなんじゃないか?」と日々勉強させてもらっています。
その精度を上げていくことでプランナー自身の考え方も磨かれていくと思いますし、その都度、受け取ってくださる方、つまりユーザーのみなさんがいるからこそ成り立つ仕事なんだなと実感しています。
サイゲームスでは、2020年2月21日に『グランブルーファンタジー』開発プランナー&メディアプランナー採用セミナーを開催します。
ご興味のあるかたはぜひ奮ってご応募ください!