データマイニングの仕事とは?ゲームを成功に導く参謀役となるために【サイゲームス仕事百科】

データマイニングは、コンテンツの企画や運用に関係する各種のデータを取得し、分析する仕事です。会社によってはデータアナリストやデータサイエンティストと呼ぶこともあります。ユーザーのみなさんにコンテンツを最大限に楽しんでもらうには、どう設計するのがベストか。そのための施策や改善の根拠の一端となるデータを抽出し、ディレクターやプランナーと議論をしています。今回はデータマイニングの仕事について、マネージャー陣への取材を基に解説します。

最高のコンテンツを作るために
データを駆使するプロフェッショナル

データマイニングの役割をざっくり言うと、「蓄積された大量のデータを駆使して、ゲームやサービスの改善に繋げる」です。サイゲームスのデータマイニングの特徴としては、収集したデータに基づいてコンテンツの仕様策定に関わるだけでなく、より幅広い業務に携わることが挙げられます。ディレクターやプランナーが面白いことを考えるプロフェッショナルだとしたら、データマイニングは参謀役としてデータ的な裏付けでその考えを支援し、意思決定に導くプロフェッショナルと言えます。

実は、サイゲームスのデータマイニングチームはプランナーから派生して生まれました。 元々プランナーの部署で数字(データ)を活用して成果を上げていたスタッフが起点となって、データを専門的に扱うチームを立ち上げました。組織としてデータを取得・分析し、より開発や運用に役立てようと考えたのです。このチームには現在、プランナーだけでなく、エンジニアだったスタッフも所属しています。組織構成上、データマイニングチームはエンジニア部門の管轄下にありますが、チームとしては最新技術を追うことが目的ではなく、「どうしたら面白いものを作ることに役立てるか 」を優先しています。

データマイニングの仕事内容

データマイニングチームの作業例を具体的に挙げると下記となります。ただし、単に数値をまとめてレポートするだけの定型的な作業ではなく、データに基づいてどうしたら課題解決やクオリティーの向上を実現できるかという観点で、ディレクターやプランナーと議論をしています。

  • SQLを使ったデータ集計やレポート作成
  • 課題発見と施策検証
  • 社内のさまざまなスタッフに対する助言と提案
  • 分析ツールを使ったデータの可視化と運用
  • 新しい数値指標の発見と提案
  • 統計解析や機械学習などの専門的知識を活用したモデリング

2~3人のデータマイニングのスタッフがチームを組み、各運用プロジェクト(ゲームタイトルやマンガ配信サービス)の専属となります。各プロジェクトが抱えている問題についてディレクターやプランナーから相談を受け、解決のための方法を検討・提案しています。

この他にプロジェクト以外の依頼も受けており、カスタマーサポートと連携して、ユーザーの方から報告された問題が実際に起こっているかを調査することもあります。また、プロモーションの部署とも連携して、最適な施策の打ち方を検討する、施策後の効果測定をして次の施策に役立てる、といったことも行っています。

データマイニングの業務フロー

続いて、データマイニングの業務フローを見ていきましょう。必ずしも一方向に進んで終わるものではなく、反復的なステップを踏むことが多いですが、大まかには下図のような流れです。

まずは、プロジェクトごとのスタッフが抱える課題について、ディレクターやプランナーから相談を受けます。例えば「このコンテンツの平均プレイ回数が知りたい」といった相談です。データマイニングはその調査結果を共有するのですが、その過程で「その人の抱える課題は何か」「平均を知ることでその課題は解決できるのか」を考え、議論し、施策の提案までやり取りをします。

その他に「平均プレイ回数が知りたい」という相談があった場合は、平均プレイ回数のみを抽出して調査を終えるのではなく、まず施策の意図として、どのようなユーザーの方に、どうプレイしてもらいたかったのかを確認します。そして目的に沿った課題解決のための分析を行い、その結果についてユーザーの方々の反応やいちプレイヤーとしての所感を交えつつ議論しながら、相談者と次の施策の改善を図ります。

依頼を受ける際にデータマイニングとして重視しているのは、「本当に解決すべき課題は何か」を考えることです。「アクティブユーザーを増加させたい」と相談があったとき、新規ユーザーの流入が十分確保されているか、想定より離脱が多いのか、特定のポイントでつまづいていないかといった課題では、それぞれ打つべき施策が変わってきます。効果的な施策を打つためには、精度の高いデータ分析が必要です。

サイゲームスのデータマイニングに
求められるスキルとマインド

サイゲームスのデータマイニングでは、仕事の性質上、高い論理的思考力やコミュニケーション能力、データの集計やビジュアライゼーションなどを正しく行うエンジニアスキルが求められますが、これに加えて下記についても重視しています。

■数字を正しく解釈する力

例えばゲームでの「レベル100」という状態が、数字として大きいのか小さいのか、基準が何もなければ判断はできません。しかし、ゲームの全体像を把握し、難易度、プレイ感といった基準を設けることで数字の大小が判断できます。このような数字を解釈する際の判断基準が設定できると、収集したデータを正しく活用できるのです。
それから、数字に誠実に向き合えること。色々なデータを調べていく中で、疑問がたくさん出てきます。それを納得いくまで調べて、自ら筋道立てて考えられる人が向いている仕事と言えます。そんな人であれば、新しい気付きを得て数字を見る能力を伸ばしていけるはずです。

■懐疑的な見方をしてみる

データマイニングの仕事には、取得した情報を真に受けず、裏付けや根拠を慎重に考察する人が向いています。仕事以外にもニュースや新聞、本などでたくさんの情報を得ますが、違和感や引っかかることがあったときには、何事も自分の頭で考えてみるのが大切です。人に言われたことをそのまま受け取るのではなく、「(分析的な意味で)本当にそうなのか?」と疑い、物事を多面的に捉えて自分で調べてみる姿勢が分析者に求められます。

■ゲームへの好奇心や情報感度を高める

マインド面では、好奇心があることや情報感度が高いことが大切です。実際に、データマイニングチームの定例ミーティングで話題のゲームの話しをしてみると、全員がゲームの情報や知識を仕入れています。仕事に関係する話題だからというよりは、関心があるものに対して普段から情報を収集している人が多いです。
それに、自分が面白いと思うものや仕入れた情報を咀嚼して、相手に伝わる説明を普段から心掛けることも大切です。データマイニングのスタッフはディレクターやプランナーから相談を受けて助言する立場にあるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

データマイニングの仕事のやりがいとは?

データマイニングの仕事にやりがいを感じるのは、自分たちの分析結果がコンテンツに反映され、ユーザーの方に届いたときです。ディレクターやプランナーと議論した施策や提案が新しいイベントに活かされ、ユーザーのみなさんからも高評価だったときには手応えを感じます。

また、チームではゲーム以外にマンガ配信サービスのデータ分析やTVCMの効果測定も行っていますが、コンテンツによってどの数字を拾うべきか、その数字をどう評価すべきかが変わります。

例えば、アプリの利用状況の指標としての数字です。毎日楽しんでもらいたいコンテンツでは、DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)を指標とすることが多いですが、マンガ配信サービスの場合はコンテンツの更新が週1回なので、WAU(1週間のアクティブユーザー数)のほうが指標としてより適切と言えるかもしれません。
また、精度の高い分析のためには、数字だけを見るのではなく、ユーザーのみなさんの関心がどこにあるかを探る必要があります。そこがデータマイニングの難しさであり、面白さでもあります。

私たちサイゲームスが作っているコンテンツは、ユーザーのみなさんに面白いと思ってもらうこと、楽しんでもらうことが最大の目的です。データマイニングも、突き詰めれば「どれだけ楽しんでもらっているか」を測定し「もっと楽しんでいただくにはどうしたら良いか」を考えるのが仕事と言えます。
しかし、面白さ・楽しさを定量的に測ることは簡単ではありません。定量的なデータからいかに面白さ・楽しさという定性的な評価を導き出すかが、データマイニングの永遠の課題と言えるのです。

データマイニングのキャリアパス

データマイニングのキャリアとしては、まずはプロジェクトに所属して経験を積み、プロジェクトの課題解決がきちんとできるようになることを目指します。その際、各プロジェクトで求められる課題や解決手法は異なるため、データマイニングとしての習熟度を判定するためにチーム内で基準を設けています。専門性、ゲームへの理解、コミュニケーション力などを備えた上で、特定の分野でチーム全体をリードできる知識やスキルを持っていれば、データマイニングとして一人前と言えるでしょう。

キャリアの方向性としては、スペシャリストとして専門性を高めていく方向と、シニアとしてリーダーやマネージャーを目指す方向があります。それに加えてデータマイニングの場合は、プロジェクト専属のアナリストになるか、プロジェクト横断型チームとして複数のプロジェクトに関わるかという選択肢もあります。
長く同じプロジェクトに所属して理解を深め、より意思決定に近い立場で仕事をするケース、複数のプロジェクトを経験して知識の幅を広げるケースがあります。プロジェクトの中でスペシャリストになっていく人もいれば、マネジメントや若手の育成をメインにする人もいます。
また、プロジェクトをまたがって分析をする横断型チームのスタッフもいます。どの道に進むかは本人の指向や適性によります。

サイゲームスのデータマイニングを
目指す人へのアドバイス

データマイニングを目指す人は、普段から「ものの見方」のトレーニングをしておくことをおすすめします。知識面として、RやPythonなどのプログラミング言語や、数学、統計学などを勉強するのも有益ではありますが、それ以上に、どうすればコンテンツがより良くなるかを考えることのほうが大切だと思います。自分が遊んでいるゲームや面白いと感じるコンテンツについて、何がどう面白いかを言語化して、より良くするためにどんな数字を見るかを考えてみるのは大事です。自分の中でコンテンツの課題やその改善策を想像してみるクセを付けておくと良いでしょう。

採用の面接では、以前の仕事や経験についてお聞きしますが、上記のような思考力に関する質問をすることが多いです。その人の分析者としての姿勢や考え方が表れるので、分析スキルのことよりも、「分析を通じて何をしたいか」をゲームやその他のエンタメを例にお聞きしています。

データマイニングチームではこれから人員を拡大し、さらに機能を強化していきたいと考えています。運用タイトルの分析をレベルアップさせつつ、今後はさらにプロモーション施策やコンシューマータイトルの分析にも注力し、データマイニングとして「最高のコンテンツ作り」に繋げられるよう貢献していきます。


以上、データマイニングの仕事についての解説でした。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

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