イラストレーターの仕事とは?ビジュアル面の魅力を決定付ける責任とやりがい【サイゲームス仕事百科】

かっこいいイラストやかわいいイラストに惹かれたのがきっかけでゲームをプレイした、という経験がある人は多いのではないでしょうか。イラストはゲームの世界観そのものを表し、ビジュアル面でのゲームの魅力を決定付ける重要な要素です。今回は、サイゲームスのゲームを彩るイラストレーターの仕事について、マネージャーへの取材を基に解説します。

ゲームの世界観を伝えるとともに
サイゲームスのブランドイメージを形成

ゲームを構成する各種要素の中でも、イラストはユーザーのみなさんの目に最初に触れるもので、作品の世界観を表現し、ゲームの入り口となる重要な要素です。サイゲームスではゲームを構成する全ての要素でNo.1を目指すことを信条としています。「サイゲームスの作品といえば業界No.1の高品質なビジュアル」と言っていただけるよう、チーム全体で日々努力しています。

サイゲームス設立10年の歩みの中で、各作品から生まれた魅力的なキャラクターや、美麗な背景によるビジュアルの数々がサイゲームスのブランドを支える要素の1つとなっているのを感じます。ユーザーのみなさんのご期待に応えられるようにと、イラストレーターの責任もますます大きくなっています。

各々のクオリティーを高めることはもちろん、絵柄や色彩のバランス、シナリオとの整合性など、ゲーム全体としての統一感が何より重要となります。そうした要求に応えながら、スケジュール内に最高の成果物を仕上げていくことが、我々イラストレーターの役割です。

イラストレーターの主な仕事内容

イラストの仕事内容はプロジェクトによっても異なる部分があります。ここでは、『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』のイラストチームの例をご紹介します。『グラブル』のイラストチームでは、主に下記のイラストを制作しています。

■キャラクターイラスト

■背景イラスト

■表情差分イラスト

■三面図イラスト

■モンスターイラスト

■武器&ガジェットイラスト

■スチルイラスト

■Twitter用イラスト

この他、キービジュアルといった大がかりなイラストの制作はキャラクター班、背景班で分担し、それを組み合わせて1つの絵を作ることもあります。

▲『グラブル』キャラクター大集合の「グラブルフェス 2021」キービジュアル

時々、「ゲーム外のイラストは外注しているのですか?」と質問されることがありますが、例えばTwitter用イラストやバレンタインキャンペーンでの色紙など、世に出るビジュアルは基本的には全て社内のイラストチーム内で制作しています。
また、グッズのアイデアを社内で提案した際、採用されたものを実際にフェスで販売することもあります。

▲「バレンタインキャンペーン」の一例

イラストの制作フロー

続いて、イラストの制作フローをご紹介します。フローは各プロジェクトによって異なりますが、大まかには下図のような流れで進行します。各工程を監修者と相談・確認しながら進めつつ、出来上がったものをディレクターやプロデューサーにチェックしてもらいます。フィードバックを受けたものを反映して、再度チェックに回し、完成まで持っていくのが基本的な流れです。

1.受注

イラストレーターへ制作が依頼されます。サイゲームスの多くのプロジェクトではプランナーがイラストを発注するのが基本ですが、ディレクターが直接発注する方式を採用している場合もあります。

2.ラフ作成

発注内容を読み込み、ラフを制作していきます。作業者は、発注者の意図を汲みながら構想を練り、監修者と認識合わせのための打ち合わせをしたのち、ラフを数点制作して監修者にチェックしてもらいます。スケジュールや発注内容によって、詳細に描いたり、もっと多くの案を出したりします。監修者のOKが出たら、ディレクターやアートディレクター、プロデューサーのチェックに回します。

3.線画作成

上記のラフを元に、線画によるクリンナップを行います。後工程である着彩班の作業がスムーズになるよう、ごまかしのない線引きと高いデッサン力が求められる作業です。なお、作業の進め方は、ラフのクオリティーによって変わります。ラフが粗い場合は、着手する前に素体(参照用のモデル)を作成する、進捗データを適宜監修者に見せるなどして、デッサンの狂いや作業の巻き戻りがないように注意しながら進めます。出来上がった線画は、再度ディレクターやプロデューサーのチェックに回します。

4.着彩とクリンナップ

線画に色を塗って、最終イメージに近付けていく工程です。ラフで表現されている方向性を踏まえつつ、完成度の高い美しいイラストになるように制作していきます。出来上がったらまたディレクター、プロデューサーチェックに回し、そこでも問題がなければ完成となります。

キャラクターや情景をより魅力的に見せるためには、シナリオやシチュエーションとの整合性が重要になります。そのため、過去にリリースしたシナリオを繰り返し読み込んだり、キャラクター同士の関係性や世界の成り立ちなどの情報を作業者が把握できるようにしたりしておく必要があります。運用が長期化すればするほど、ゲームの世界やキャラクターについてより熟知していく必要があります。サイゲームスでは資料化したりツールを活用したりすることで、中途での参加者にも膨大な数のキャラクターの情報を把握できる仕組み作りをしています。

イラストレーターに必要な
スキルとマインド

イラストレーターにとってもっとも重要なスキルの1つにコミュニケーション能力が挙げられます。現在のゲームイラストの制作現場は、そのほとんどが分業での制作となっています。イラストを1枚リリースするまでに、そのイラストはさまざまなスタッフの手に渡り、実装時のクオリティーを上げていきます。
各工程のスタッフとの円滑なコミュニケーションこそが、最高のイラストを生み出すことに繋がります。それ以外に、以下のようなスキルやマインドが求められます。

■デッサン力とものづくりの知識

サイゲームスではイラストをリリースする際、人体やパース等、著しくデッサンが狂わないことを1つ指針としています。1つの角度からだけでなく、どこにカメラ(目線)があっても成立するイラストを描けることが求められます。

■エンタメに広くアンテナを張り学びを得る

ゲーム・アニメやマンガなどにたくさん触れる、有名な作品や流行っているものなどさまざまなエンタメ作品に触れ、積極的にインプットする姿勢が必要です。そうした蓄積があることで、「ユーザーの心に鮮烈に残る場面を描くにはどうすれば良いか」「広く長く愛されるキャラクターを生み出すには」といった視点が生まれます。

とりわけ、サイゲームス作品と中世ファンタジーは切っても切り離せない関係なので、中世ヨーロッパなどの服飾や意匠の知識は重要です。架空のものを描くときも、裏付けとなる知識があったほうが説得力のある絵になります。その意味で、できる限り中世の衣装や小道具などの知識を持っておいたほうが良いでしょう。

■他人にも他人の仕事にも興味を持つ

コミュニケーション能力にも関連しますが、他人や他人の仕事に興味を持つことは大事です。周りの人としっかり話し、いろんな立場の人のことを知ることで、自分の仕事ぶりが他人にどのような影響を与えるかを想像できるようになります。現在は在宅勤務がメインですが、離れていても周囲の人と積極的にコミュニケーションを取る人が理想です。

在宅勤務の場合、出社して顔を合わせていたときと違いコミュニケーションを取るのが難しい環境ではあります。そのため、メンバーの動向を把握し、適切にフォローするために、定期的に現状をヒアリングしたり、Slackなどのツールで雑談をしたりしています。また、ゲーム大会といったイベントも時々開催してコミュニケーションを図っています。

イラストレーターのやりがいとは?

自分が描いたイラストをユーザーのみなさんに見てもらえて、喜んでもらえたときにやりがいを感じます。予想を超えた反応がSNSで見られたときはうれしいです。我々の仕事はユーザーのみなさんからの反響に支えられていると言ってもいいくらいです。特に運用タイトルとSNSは親和性が高く、公開したものへのリアクションがすぐに返ってくるのは醍醐味です。スケジュールによっては仕上げたイラストがすぐに世に出て多くの人の目に触れることもあるので、そのスピード感も魅力です。

また、サイゲームスのゲームはテレビCMを打つことも多いので、自分が描いたイラストがテレビに映ることもしばしばあります。加えて、リアルイベントで作品を見てもらえたり、キャンペーンのイラストを見て喜んでいただいたりすることも励みになります。

イラストレーターならば描いたものを世の人々に見てもらいたい、無限に絵が上手くなりたいという欲求を持っている人が多いと思います。サイゲームスはイラストレーターだけでも数百人規模の精鋭が集まっており、この規模のイラストレーターが組織的に制作をしているゲーム会社というのは稀です。精鋭陣から直接指導を受けられるので、所属するだけで自ずと絵が上手くなっていきます。

イラストレーターのキャリアパス

スタッフの来歴もさまざまです。学校で美術を教えていた人や、珍しいところだと前職は自衛隊員を務めながら個人で絵を描いていたという人もいます。
新卒の採用が始まってから7年程が経ち、当時は新卒だったイラストレーターも今ではプロジェクトリーダーやアートディレクターとなって活躍しています。

イラストレーターのキャリアパスとして、マネジメントやリーダーに特化したジェネラリストや、リードアートやディレクションに特化したスペシャリストという、2つの軸があります。若手が志望するのはスペシャリストが多く、イラスト制作に直結したキャリアはやはり人気があります。

ただ、近年ではキャリアを積む中でマネジメントにも興味を持つパターンも増えてきています。組織も拡大を続ける中で、リーダーやマネージャーといった、チームをまとめることができる人材が不足しているので、興味がある場合はどんどんチャレンジしていってほしいと考えています。

イラストレーターを
目指す人へのアドバイス

サイゲームスではイラストレーターを積極的に募集しています。どんな人に来てほしいかと言えば、やはりコミュニケーションに自信のある方からの応募を待っています。

クオリティーには妥協しない会社なので、リリースまでには越えるべきハードルがいくつもあります。そのハードルを越えるためにも、周囲の人と連携し、積極的に自身の力に変えられるような適応力や柔軟な思考のある人がマッチすると言えます。加えて、普段から新しい技術やコンテンツに触れ、勉強熱心な人であってほしいと思います。

若手の方も積極的に採用していきたいと考えています。サイゲームスのこれからの10年、20年を支え世の中に最高のイラストを提供できる存在として成長してもらえるよう、育成にも力を入れています。


以上、イラストレーターの仕事についての解説でした。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

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