学生の力作集う!「第3回クリエイティブコンテスト」結果発表 「審査員賞」「学校賞」編
次世代クリエイターの育成を目的に2022年9~11月、サイゲームスは学生を対象とした「第3回サイゲームス クリエイティブコンテスト」を開催しました。応募総数は2092点。「キャライラスト部門」「背景イラスト部門」「3DCG部門」「ゲームコンテンツ部門」「広告・映像・衣装デザイン部門」「高校生部門」の6部門へ、クオリティーの高いたくさんの作品をご応募いただきました。
「大賞」「部門賞」作品のご紹介に続いて、本記事では「審査員賞」「学校賞」作品をご紹介します。記事の最後に、コンテスト運営チームが「第4回サイゲームス クリエイティブコンテスト」への展望も語っていますので、作品の応募を検討されている方はぜひお読みください。
- 第3回「サイゲームス クリエイティブコンテスト」公式サイト
- 次世代クリエイターの育成を目的に、サイゲームスは学生を対象としたクリエイティブコンテストを開催。最高のコンテンツを全国から募集しました。
- Cygames 佐賀スタジオ代表 アートディレクターチヒロ
- さまざまなゲームのイラストやコンテンツ制作に携わり、2011年合流。2Dイラスト制作・監修を行い、イラストチームのマネージャーを経て20年に「Cygames 佐賀スタジオ」代表に就任。
- Cygames デザイナー本部 副本部長 デザイン3部部長ジュン
- Web制作会社を経て、2012年合流。アニメーションデザイナーとしてゲーム制作に携わり、以降はデザイナー部副本部長・アウトゲームの管轄であるデザイン3部部長職を務める。また、採用企画室・佐賀スタジオの管轄も担当。
審査員賞(9名)
ペンネーム:ちゃこたたさん
六角形に区切られたような構造が特徴のハニカムシティ。その都市で生産される黄金の蜂蜜を日々モンスターが狙い、襲ってきます。彼らの仕事は都市の平和を守ること!
『ハチミツ防衛隊!』の講評をお願いします。
ジュン 第2回で部門賞を受賞された方で、今回も力作でしたね。技術が向上していて色々な要素が組み込まれており、多くの審査員の印象に残った作品です。
チヒロ 様々な要素が入って、しかも一つひとつ細かく丁寧に描かれている印象ですね。かなり難しいテーマを表現しようとしていますが、それを一枚にまとめる力を持っているなとも感じました。
ペンネーム:堀田たほさん
宇宙人と人間のハーフの女の子の、「プニ・ユニ」というキャラクターです。宇宙を飛び回って、住民にお弁当を配達するアルバイトをしています。
直接的なモチーフがなくても、なんとなく宇宙が舞台だと分かるように、色味の設定にこだわりました。また、表情の乏しい性格でありながらも愛されるキャラクターにしたいと思い、かわいいなと感じられるような特徴を盛り込みました。
『宇宙のお弁当配達屋さん プニ・ユニ』はどのような点を評価しましたか?
ジュン 審査員賞ならではという異色の作品ですね。フォントの選び方やコマ割り、キャラ紹介などが巧妙で、全体的な統一感のあるチョイスが見事だと思います。テイストとしてコミックへのオマージュやリスペクトが感じられる内容だなとも感じました。
チヒロ 昭和の三色刷りのような印象があり、なおかつポップさも感じられる良い雰囲気だと思いました。こちらは私がかなり推した作品ですね。
ジュン キャラクターの色使いが独特なところは好みが分かれそうですが、難しい配色を上手く合わせてまとめているなとも思います。
ペンネーム:流星軍曹さん
何気ない日常に溶け込む「支度」という一コマにファンタジーな要素を折り込み幻想的な作品へと仕上げました。
また透明感のある表現に特にこだわり水やガラスの質感にとことん力を入れました。
魚眼を用いることでまるで引き込まれるかのようなその魅力を感じていただけたら嬉しいです。
『Blueberry色の朝と一雫の魔法』の講評をお願いします。
ジュン 今回の受賞作品の中で、唯一の魚眼レンズの表現を用いた意欲作ですね。魚眼を取り入れながらも要素が盛りだくさんで、私が個人的に強く推した作品です。
チヒロ さまざまな技術が必要になる複雑な構図を選んで描いていて、頑張ったのが伝わってくる作品ですね。
ジュン 確かに頑張り屋さんですね。キャラクターの魅力が伝わりにくくなるリスクをいとわず、魚眼レンズを使った表現にこだわって挑戦した点も、評価のポイントでした。
ペンネーム:なとりうむさん
和風な背景イラストを意識して描きました。中央にあるものは様々な時代へ繋がっている鳥居で、作品中の人物が時を超え、鳥居を通じて荒廃した未来を救うという設定です。
『未来は託された』はどのようなところを評価しましたか?
チヒロ 柔らかい雰囲気があり、手前の暗さと奥に見える明るさの対比などから色々なことを想像させてくれる、魅力的な作品だと感じました。
ジュン 鳥居をモチーフにした応募作が多い中で、特に優秀だった作品です。深みのある表現ができるとより良いかなという声もありましたが、鳥居の中に違う世界がはっきり見えているところや内外の背景の描き分けができている点、「異世界に通じる門としての王道」という作品に仕上がっている点で高評価でしたね。
ペンネーム:Zonさん
どこからか運ばれた胞子によって、辺り一帯は突如としてキノコで覆い尽くされました。ほとんどの街がキノコに分解されていく中、石造りの建築が並ぶこの地区だけはかろうじて原型を保っています。彼はいつものように、殖え続けるキノコを黙々とゴミ袋に詰めていくのでした。
『諦念』の講評をお願いします。
ジュン キノコをモチーフにした作品も多かったのですが、その中でも「悪」としてキノコを表現したという点で最高峰の作品ですね。毒々しい印象を強く描いていて、モチーフとそれに対比する背景が秀逸でした。
チヒロ 一つひとつしっかりと描き込まれている作品ですよね。ただ、絵がまだ一つになりきれていない感もあるので、要素がもう少し混ざり合えると良かったかなとは思います。
ジュン 毎年、キノコを描いた作品の応募が何点かあるのですが、キノコにポジティブな愛情を持って接している人が意外と少ない気がしています。「善」のキノコを描くクリエイターさんもどこかにいると思いますので、第4回はそんな作品の応募もお待ちしています。
ペンネーム:Leoさん
タイトルにあるニュートロという言葉の意味は未来と過去を融合させた新しい過去、なのでそんな概念の別の世界線のオタク部屋を架空の雑誌やゲーム、部屋の内装や機械などと既存のレトロなものを組み合わせて大人が子ども心を思い出すようなワクワクする作品に仕上げました。
『ニュートロオタクルーム』はどのような点を評価しましたか?
チヒロ 細かく描いて、非常に丁寧に作られた3D作品だなと思います。
ジュン 確かに力作ですね。ただ、描かれているものの中で「フロッピーディスクはこんなに小さくないのでは?」など、些細ですが実物のサイズ感とは異なるところが気になりました。これだけで作品自体が架空のものという印象になってしまうかなと。他のモチーフはしっかりとリサーチをして描いていて、ネオン管の光やモニターのグリーンなどが再現されています。作品の雰囲気はとても良いです。
ペンネーム:Nerowaさん
和風ホラーゲーム『カミゴロシ』はビジュアルでいかにユーザーを魅了できるか。さらに、ゲーム開発時に必要となる様々な視点を考慮して企画制作しました。
ユーザーにこのゲームの世界観特有である、じめっとした恐怖、後味の悪さ、何度も噛み締めたくなるような体験が届けられたら嬉しいです!
『カミゴロシ』の講評をお願いします。
ジュン こちらは部門賞を受賞してもおかしくなかった作品です。世界観の構築が巧みで、発想も秀逸。特にモンスターのデザインで非常に良いセンスを持っていると思いました。惜しかった点としては、ゲーム画面で面白さが伝わりづらい印象があったところ、モンスターに比べて人間のキャラクターに強みを活かしきれてない印象があったところです。
チヒロ これだけのボリュームの作品をきちんと描き上げているのが見事ですね。モンスターデザインは好き勝手に描いている感もありつつ魅力的で、得意なのが絵にも現れていました。
ペンネーム:綿雪トモヤさん
絵本などの密度の高い絵が好きで、青色をテーマに武器や雪、鉄パイプ、階段など好きなものを詰めました。
『青の街』はどのようなところを評価しましたか?
ジュン こちらは高校生部門の応募作品の中で評価が高かった作品でもあります。背景の描き込みやキャラクターメイクなどすべてが良くできていて、これからが非常に楽しみな方だと思いました。
チヒロ 1枚の作品の中で様々なものを描く挑戦をしていて、期待感が高まりましたね。これから先、遠近の部分で描き分けができるようになると、さらに絵としての魅力が増していくと思います。
団体名:木3本山2なった(メンバー:すぎ。さん/LenoNeさん/しきさん/夜䐧さん/通りすがりのファントムさん)
本作品は、学生5人で作った企画書です。企画書にはゲームシステムとそれぞれのキャラクターと背景を含めたコンセプトアートが掲載されています。
内容は、漫画世界に迷い込んだ主人公が元の世界に戻ることを目指す2Dアクション×謎解きゲームです。このゲームの大きな特徴は、漫画に沿ったゲームシステムがあり、漫画を読む感覚でストーリーやアクションを楽しむことができることです。
世界観については、ホラー、恋愛、ファンタジーなど様々なジャンルを模した世界観が広がっています。そこには様々なボスたちがおり、倒すことによって主人公は少しずつ感情を取り戻していくというストーリーです。
審査員賞、最後に『Alter Ego』の講評をお願いします。
ジュン 企画やシステムなどがしっかり作られていて、要素も多い作品でした。一方「ゲームとして面白いか」と疑問を感じた部分もあり、ゲーム画面があるとなお良かったかなと思います。
チヒロ 数人のメンバーが集まって一つの企画を仕上げたというのが、いいですよね。
ジュン メンバーのみなさんにもお会いしましたが、イラスト・UI等の作業を分担して取り組んでおり、特にリーダーの方にはみんなを引っ張っていく力があるのも感じました。チームとしてゲームの企画を作った点が非常に良かったので、これからも作品づくりへの興味を持ち続けていってほしいです。
あらためて、第3回の審査員賞はどのような特徴がありましたか?
ジュン 意欲的だったり、アプローチが斬新だったりする作品が選ばれる傾向がありました。何より大きな特色は、部門賞を受賞してもおかしくない作品ばかりだったことですね。今回は最終選考まで残った良い作品が非常に多く、それだけに審査員である我々も苦渋の選択をして部門賞を選びました。
学校賞(13名)
ペンネーム:93bellさん(東京コミュニケーションアート専門学校)
オリジナルゲームのヒロインのデフォルメイラストをデザインしました。
デフォルメイラストなので、シルエットやポーズを、被らないようにする点に苦労しました。
『鬼戸 ツバキ』『鞍魔 マオ』の講評をお願いします。
ジュン これは、デフォルメキャラクター制作のセンスが抜群ですね。ここまでまとめられる学生さんはなかなかいないのでは、と思います。非常に秀逸でした。
チヒロ 確かに、こちらの作品は構図や色の入れ方などにもセンスを感じました。
ペンネーム:paku3さん(東京コミュニケーションアート専門学校)
あまりファンタジー的ではないのだけど日常の1コマの中に少しだけ現実ではありえない要素が入っているみたいなコンセプトのイラストです。
異世界から来てしまった女の子の何ともない日々の1コマを上手く表現できていれば嬉しいです。
『酒屋の娘 大狼しゃる』はどのような部分が評価されましたか?
ジュン 「こんな女の子のキャラクターが好きなんだろうな」というのが伝わってきた作品ですね。好きでないと踏み込めない部分がたくさんあり、人体のバランスなどもかなり考えて作られたのではと思います。好きなものに一生懸命取り組む姿勢がとにかく印象的でした。
ペンネーム:諾海 Norseaさん(東京コミュニケーションアート専門学校)
とある自然豊かな世界で、遠い昔から不思議の力を持つ獣神が存在しています。この土地で、遊牧民と動物が共存しています。動物と仲良く暮らしている遊牧民に対して、密猟者集団と動物実験をするブラックシャーマンもいます。
ある日、神殿司祭は「全ての獣神を認められる人間は第十名の獣神になる」と預言し、色々な力が動き始めました。そして、主人公の遊牧民少年も神になるために、獣神を訪ねる旅に出ました。
『蒼き黎明』の講評をお願いします。
ジュン モチーフは昨今よく見られる雰囲気のものではありますが、しっかり描きつつ世界観などの設定もまとまっていて、良いところが多い力作でした。チヒロさんはかなり気に入っていましたよね。
チヒロ はい。かなり良いと感じた作品ですね。背景やアイテム、キャラクターなどすべてが一つにまとまって魅力を持っていて、作者の方が自身の世界観をフルに表現しようとしているのが伝わってきました。
ペンネーム:waniさん(日本工学院専門学校 蒲田校)
人々の記憶から忘れさられ、廃れ森に埋もれた神社は生き物の気配もしない静かでまるで時が止まったような場所となり、そこに一人の狐の少女が鈴の音を鳴らし、私たちに遊ぼうと誘ってくるといった様子です。
妖子は無邪気にいたずらをする女の子です。
神社に人を呼ぶために化けたり、驚かせたりしますが、耳やしっぽの毛の部分は狐火でできており、暗い森で迷った人間をほのかに照らし帰り道まで連れてってくれます。
『狐に誘われて』はどのようなところを評価しましたか?
ジュン これはとにかくかわいくて、キャラクターメイクや神社に対するアプローチが良かった例ですね。全体をきちんと描いて、なおかつキャラクターの魅力も伝わるようになっている。一枚絵のほうで狐の少女が自然に溶け込みすぎて目立たなくなっている感もあるのが、惜しい点ではあります。
チヒロ とはいえ、一枚絵は魅力的な作品でしたね。雨上がりの景色で何かが始まる感じが表現できているのが良いなと思いました。
ペンネーム:有吉美咲さん(安田女子大学)
ポラリス:主人公とストーリーの導き手として考えました。名前は北極星に由来します。
明朗快活で、ムードメーカーとしての役割を果たしてくれるイメージです。
舞台は、創世から世界を守り続けてきた魔女を迫害する人間たちにより、あらゆる加護が失われていくことで荒廃した世界です。
ポラリスは空を司る魔女です。人知を超えた力を持ちながら、感情豊かなその振る舞いは誰よりも人間的に見えます。ストーリーの導き手である彼女はムードメーカー的存在でもあります。
どれだけ虐げられても、彼女は人を愛しています。その光のような人柄と、強さと、魔女の神秘性が伝わるように考えながらデザインしました。
『ポラリス』の講評をお願いします。
ジュン 3、4点応募された方で、この作品が賞に選ばれました。キャラクターメイクが秀逸で色使いもきれい。第1回、第2回であれば、部門賞を受賞してもおかしくないレベルだと思います。手の描き方が少し気になるので、そこが課題かなと感じました。
ペンネーム:吉本さん(代々木アニメーション学院)
ライトノベルのカラーページのようなイラストを目指して制作しました。
キャラクターは学院のクラスメイトとグループ制作したものを引用させていただきました。
それぞれの個性が、ポージングや仕草、描いている絵などから感じてもらえるように意識しました。
アイテムが非常に多いイラストなので、配置に破綻しているところがなるべく出ないようにクリスタの3Dモデルを駆使して制作した作品です。
レイヤー数は過去最高になりましたが、良い作品が描けたと思っております。
『Let’s Dessin!』はどのような点を評価しましたか?
ジュン 色々なことに挑戦していて、なおかつ上手くいっている作品ですね。通常4コマくらいで説明する内容を1コマで表現して、しかも挿絵、イラストとして成立している。意欲作であると同時に自信も感じられますし、筋肉の描写に勢いがあるのもいいと思いました。
チヒロ イラストコンテストの作品として、これを選んだのがすごいですよね。やはり目立っていただけに、選ばずにはいられなかった作品でした。
ペンネーム:べあさん(京都芸術大学)
フルーツパフェをモチーフにデザインしました。
グラスに詰め込まれているキャラクターは自分が感じるフルーツのイメージで作っています。
大きく目立つてっぺんの女の子はチョコレートアイスクリームがモチーフになっているので、フルーツのキャラクターたちと違いが出るように色味や大きさ、見せ方などを工夫しました。
パフェを食べる前のワクワクするようなうれしさ、食べたときの幸せな気持ちなどをポップに表現しました。
是非お気に入りのキャラクターを見つけてみてください!
『POP PARFAIT POP』の講評をお願いします。
ジュン 拡大してよく見ると、実に色々なタイプの女の子を様々なアプローチで描いていて、意欲的かつ冒険的でキャラクターに対する執念が感じられる作品ですね。このこだわりを食品の方にも込められたらより良くなったかなと思います。
チヒロ キャラクターがどれを見てもかわいく、しかも色々なポーズを表現できている作品ですね。それだけに、もったいない部分がありました。食べ物のおいしさなどのシズル感が色味でより伝わると良いなと思いました。
ペンネーム:osicさん(京都芸術大学)
悪魔とかわいいお洋服が好きな女の子のお話です。キャンバスサイズにとらわれない一枚絵に仕上げることと、内臓などのモチーフを花や蝶で表現し、美しくも少し恐ろしく感じるような画面を目指しました。
『Feast a little later』はどのような点を評価しましたか?
ジュン 昨年も応募された方ですが、ずっと同じ作風を続けていて極めようとする意気込みを感じています。今回はバランスと配色がよく、着実に成長していました。少々グロテスクなモチーフを取り扱いつつ、それを要素として溶け込ませるために心血を注いでいる感じがあり、このテイストで頑張っていってほしいなと思います。
チヒロ 構成や線の引き方などでも実力があるのがわかる作品ですね。線がかなり省略されているところも、こだわりが伝わってきました。
ハムマヨさん(京都芸術大学)
ほんの少し魔法が使えて料理が得意な、誰にでも優しい女の子「ひかるん」と、悪魔とドラゴンのハーフで強く、無愛想で傲慢な「デビルドラゴンナイト」を描きました。
個性・性格・体格・イメージカラーはなるべく対比するようにデザインしています。イラストを見た方が「もっとこの二人の物語を知りたい!」と思って頂ける様なキャラクターデザインを目指しました。
『A trip around the world with Devil Dragon Knight』の講評をお願いします。
ジュン 前回審査員賞を受賞された方ですね。かわいらしく作っていて作風も進化しているのですが、ところどころ気の迷いがあるというか、キャラクターの魅力が伝わりづらくなっているのを感じました。色々な作品を見て引き出しを増やすことでより成長できるのではと思うので、今後に期待しています。
チヒロ 詰め込もうとしすぎてぼやけている部分があると感じました。技術レベルは向上しているので、キャラクターの魅力を何で伝えるか?という点で気付きがあると、より伸びていくのではと思います。
かむ豆さん(九州産業大学)
ヴェネは⾝体から毒を出せるキャラクターです。毒というとネガティブなイメージをもちやすいので、あえて明るく元気な⼦にしています。ドクロを服や帽⼦にたくさん取り⼊れ、可愛くもあり怖さもあるようなデザインを⽬指しました。
ソニャはヴェネと⼀緒にいても違和感のないようなデザインにしています。この⼦は攻撃や守りの補助をしつつ、ヴェネにとって癒しの存在です。とっても仲良しな⼆⼈です!
『ヴェネ&ソニャ』はどのような点を評価しましたか?
ジュン 要素が盛りだくさん、かつキャラクターの良さを出すことに心血を注がれたのが伝わってきました。どうしてもドクロを描きたい!という熱意が感じられて、それも良いと思います。
チヒロ たくさんのドクロに対して見ている側の目線が泳いでしまう気がしたので、一つ大きいものを置いて周りに小さいものを配置するといったように、大小描き分けて抑揚を付けるとより良くなると感じました。ドクロを入れたい気持ちはわかります。
ペンネーム:ふわりーぬんさん(九州産業大学)
お裁縫が得意な妖精を主人公にしたADVゲームで、見た人が優しい気持ちになるようなかわいい世界観を目指して描きました。また、キャラクターの設定の作り込みはもちろん、インタビュー風のページや場面写などを用意して想定しているゲームの雰囲気を伝えられるように工夫しました。作っていてとても楽しかったです。
『リリィとルル〜Re◆make〜』はどのようなところが評価されたのでしょうか。
ジュン 今回の学校賞受賞作品の中で、特に頑張り屋さんと言える作品ですね。とにかく細かく描きこんで衣装やメインキャラクター、サブキャラやライバルに至るまで魅力が伝わるように仕上げていて、非常に意欲的な作品だと思いました。
チヒロ 作品のボリュームから本当に努力したというのが伝わってきますね。キャラクターの部分は、プロポーションや羽のデザインなどにもう少しこだわるとより良くなるのではと感じました。
ペンネーム:26兎さん(佐賀大学)
「人には言えない秘密があるヤギ(?)の郵便屋さん」というテーマで設定画を制作しました。世界征服を目論む悪魔なのに馬鹿正直で親しみある性格や、彼女たちの過ごす日常の温かい部分を知ってほしいという想いで小話も載せています。配達時に尻尾が見えているかもしれませんが、その際は指摘せずに見守って頂けましたら幸いです。
『小悪魔双子の配達ケイカク』の講評をお願いします。
チヒロ とてもかわいらしくて線のまとめ方もきれいですね。衣装のデザインも良いボリュームになっています。それだけに、キャラクターの角が長く、まっすぐと突き立って目立つのが気になるところでした。
ジュン 衣装の質感が出るところは出して、そうでないところは抑えたアプローチにしていて、キャラクターメイクは非常に秀逸だと思います。だからこそ、角の描き方が引っ掛かるなと。
チヒロ この長さの角だと、もう少し変化があって良いと思います。
ペンネーム:Takaさん(福岡デザイン&テクノロジー専門学校)
人が亡くなった後、生きてきた人生を振り返る空間があったらいいなという思いで制作しました。
原案は私が小さいころから夢で見ている頭の中のおぼろげな記憶から着想を得ています。
手前から画面奥に向かって、高齢期・壮年期・幼少期を思わせるアセット群を配置し、一つ一つのアセットのサイズは主人公である人の人生に影響を与えた順の大きさとなっています。
『Time Travel』はどのような部分を評価しましたか?
ジュン 寄れば寄るほどにテーマの通りの精巧な作りなのがわかる労作ですね。すべての要素が3Dで組まれていて、描写も非常に丁寧。ただ、全体の印象がおぼろげな感じなので、メリハリを利かせていたらまた印象が変わったと思います。
チヒロ 作品自体の雰囲気が非常に良いですね。一方で作者が描こうとしているものがパッと見でわかりづらいので、テーマを感じさせるものが一つ見えるとより良いのかなと思いました。
第3回の学校賞は、どのようなものになりましたか?
ジュン 学校賞は、学校単位で申し込まれた40校程の生徒さんの作品から選出しました。審査員賞の延長線上にあると言っても過言ではなく、これまでの努力が結実した瞬間や、これからの成長への期待という部分を意識しつつ選考した賞です。
コンテストの振り返りと
「第4回クリエイティブコンテスト」の展望
あらためて、第3回クリエイティブコンテストの総評をお願いします。
ジュン 2000点の応募を目指していたところにそれを超える量の作品が送られてきて、学生向けとして規模の大きなコンテストとなりました。そして、作品の数々を見たときに「信じられない」「こんな才能を持った人が、今までどこに隠れていたんだ?」と衝撃が大きかったです。第1回、第2回と比較して、応募作品の質が著しく向上しました。
チヒロ 応募数が増えただけでなくクオリティーも高くなり、なおかつ個性がよく出た面白い作品が多かったですね。みなさん力が入っていて、非常に見応えがありました。
最後に、「第4回クリエイティブコンテスト」の展望を聞かせてください。
ジュン 第4回は「日本最大級」と標榜するコンテストを目指したいと考えています。運営側としては、「応募しない選択肢がない」と思っていただける名誉ある登竜門にするべく、認知度を高める活動をしていきます。クリエイティブの指標となる良いコンテストにするためにより一層力を入れて取り組んでいきます。
チヒロ 過去の受賞作の作風にはあまりとらわれず、みなさんが本当に表現したいもの、自分の「最高」と思うものを作品に込めてもらいたいです。「出来上がった作品はすべてクリエイティブコンテストに応募してやろう」と思っていただけたらうれしいです。次回もたくさんのご応募をお待ちしています!
運営側の想像を超えるクオリティーの高い作品をたくさんご応募いただきまして、ありがとうございました。
サイゲームスは「第4回クリエイティブコンテスト」の開催を予定しております。第4回の開催については、公式WebサイトやTwitterアカウントなどで告知します。