これから始める人のための『グランブルーファンタジー』入門<メインクエスト編>

壮大な空の世界を旅しながら、仲間たちと冒険を繰り広げるRPG『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』。
前編では『グラブル』誕生の経緯や世界観、これから始める方におすすめの遊び方などを中心にご紹介しました。後編となる本記事では、メインクエストの概要をご紹介します。記事の後半では、シナリオディレクター、プランナー、スクリプター担当スタッフへのインタビューを通して、メインクエスト制作の裏側や、空の世界の物語に込められた想いをお届けします。

※記事内にネタバレを含みますのでご注意ください

三編で構成されたメインクエスト

『グラブル』のメインクエストは、現在第1部イスタルシア編の完結まで進行しています。
第1部は「蒼の少女編」「暁の空編」「星の旅人編」という三つの物語で構成されており、主人公が父を探して空の世界へ旅経つところから、長い旅路の中で一つの大きな節目を迎えるまでを描いています。
そして、2025年12月からメインクエスト新章が始まります。これから始める方も、これまで旅を続けてきた方も、新たな冒険の始まりに向けて、イスタルシアへと至る物語を振り返ってみましょう。

■「蒼の少女編」

空に浮かぶ小さな島「ザンクティンゼル」で暮らす主人公は、行方不明の父から届いた「星の島、イスタルシアで待つ」という手紙を胸に、相棒のビィとともに空の果てを目指して旅立つことを決意。旅立ちの矢先、エルステ帝国軍に追われていた謎の少女・ルリアと、彼女を守る騎士・カタリナと出会い、彼らと共に島を飛び出します。
最初にたどり着いた島で操舵士・ラカムに出会い、共に騎空艇のグランサイファーに乗って空の旅を進めることとなった主人公は、魔導師の少女・イオや熟練の老兵・オイゲン、謎の美女・ロゼッタらを仲間に加えながら各地を巡ります。
各地で起きる騒動や星晶獣にまつわる事件を通して明らかになっていく、エルステ帝国の思惑や宰相・フリーシアの陰謀。行く手に立ちはだかる黒騎士や、不思議な力を宿した少女・オルキスとの出会いを経て、仲間との絆を深めていきます。

▲「蒼の少女編」で出会う仲間たちと主人公。左から:イオ、ラカム、カタリナ、主人公(グラン)、ルリア、ビィ、主人公(ジータ)、オイゲン、ロゼッタ
▲左:黒騎士/右:オルキス

空の世界にはいくつもの“空域”が広がっており、「蒼の少女編」の舞台となるのは「ファータ・グランデ空域」です。穏やかな風が集まる「ポート・ブリーズ群島」をはじめ、鉄鋼業で発展した島や広大な海を擁する列島など、特色の異なる島々が点在しています。

▲最初に訪れる「ポート・ブリーズ群島」
▲ポート・ブリーズ群島の街並み

■「暁の空編」

瘴流域(しょうりゅういき)と呼ばれる乱気流に巻き込まれた主人公たちは、「ナル・グランデ空域」の各地へ、バラバラに流れ着きます。イデルバ王国に着いた主人公は、青年・カインやその仲間たちと出会い、彼らの力を借りながら仲間との再会を目指すことに。
旅を進める中で、戦争を利用して勢力を伸ばす国、政治の裏で暗躍する者たちなど、複雑な情勢が浮かび上がっていきます。
その中心人物として登場する“緋色の騎士”は、平和を願いながらも手段を選ばない行動により、争いを加速させてしまう存在。各々の思惑が交錯する中で、主人公たちは時に対立する勢力とも手を取り合い、大きな争いを防ぐために奔走します。

▲左:カイン/右:緋色の騎士

舞台となる「ナル・グランデ空域」は、イデルバ王国とレム王国の対立を中心に、複数の勢力がせめぎ合う空域です。主人公が流れ着いたイデルバ王国は、空域内で最も有力とされる国の一つで、主島「グロース島」に風光明媚な巨大都市を構えています。

▲イデルバ王国の主島である「グロース島」
▲イデルバ王国の首都「ルクスリエース」

■「星の旅人編」

「暁の空編」での戦いを経て、空図の欠片の導きにより「アウライ・グランデ大空域」へとたどり着く主人公たち。そこで、空域全体へと支配を広げる大国・イスタバイオン王国と、王国に抗うレジスタンスたちの姿を目の当たりにします。
そして、旅の途中で度々現れてきた謎の少年・ロキとの再会をきっかけに、物語は空の世界の根幹へと迫ります。
ルリアの秘密や主人公の生い立ち、旅のきっかけとなった父からの手紙。空の世界に散らばっていた謎が繋がり、旅が一つの節目を迎えます。

▲ロキ

舞台となる「アウライ・グランデ大空域」は、強大な軍事力を持つイスタバイオン王国が支配する空域です。各地では支配の影響に加えて、異変も広がりつつあります。

▲イスタバイオン王国の主島である「新島ユートピア」

『グラブル』の物語と“空の世界”をつくる人たち

ここからは、シナリオディレクター、プランナー、スクリプターのインタビューをお届けします。

シナリオディレクターキョウヘイ
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『グラブル』のシナリオ制作担当。シナリオチームのスタッフとともに、メインシナリオを中心に執筆。
プランナーイオリ
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『グラブル』のゲーム内イベントの企画から実装までを担当。また実装の他、イベントチームのリーダーとしてコンテンツの一次監修も務める。
スクリプターアナン
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『グラブル』のシナリオを元に会話シーンの制作から監修までを担当。スクリプトチームのリーダーを務める。

メインクエスト「蒼の少女編」「暁の空編」「星の旅人編」それぞれの魅力を教えてください。

キョウヘイ 「蒼の少女編」は『グラブル』の世界観が少しずつ見えてくる始まりの物語です。島ごとに展開される様々な物語の中で、次第に主人公や周囲の人物像が見えてきます。大きなテーマは、「蒼の少女編」の重要キャラクターである少女・オルキスのアイデンティティー。空っぽの肉体に「オーキス」という精神が芽生えた後に、肉体の本来の精神が復活してしまったとき、「その存在をどう扱うべきか」という葛藤を描いています。

続く「暁の空編」では政治をテーマの一つに据え、国家間の対立やその裏での暗躍など、より広い世界の情勢を描いています。平和のために戦いながらその手段が良いとはいえないキャラクターも登場し、きれいごとでは済まない局面で、主人公たちが対話を重ねて解決へ導いていく過程にご注目いただければと思います。

「星の旅人編」は、『グラブル』の根幹にある「旅」が大きなテーマです。主人公が父を探す旅を続ける一方で、行き先の定まらない「放浪者」だったロキが、自分の進むべき道を見出して「旅人」になるなど、“旅とは何か”という問いを掘り下げながら物語が一つの節目を迎えます。
謎の多かったルリアや、主人公の生い立ち、旅のきっかけとなった手紙と父との決着までを描いており、これまでの物語の集大成といえる内容です。

シナリオの魅力を伝えるために、制作時に意識しているポイントはなんですか?

キョウヘイ プレイヤーのみなさんに、主人公の視点から物語を見てもらうことです。キャラクターとのやり取りでは選択肢を選んで会話に参加してもらい、バトルシーンでは操作しながら物語を進めることで、よりストーリーを能動的に楽しんでもらえるように意識しています。

アナン 会話演出では、同じ絵が続かないよう、キャラクターのアップや画面分割で視覚的な情報量のメリハリを付けるように工夫しています。例えば、イベント「HEART OF THE SUN」のフェニックス戦のシーンでは、担当スタッフが動画ソフトを駆使してアニメーションのようにフェニックスが飛び回る演出を制作しました。大迫力の仕上がりになっていると思います。

▲ 「HEART OF THE SUN」のフェニックス戦

キョウヘイ メインクエストの最終章では、「バトルをシナリオに組み込む」前提で、初期段階からイオリさんと相談して制作しました。

イオリ 普段はシナリオが完成してからバトルシーンの制作を始めますが、最終章は「ルリアやビィが今こういう状態だから、バトルではこう見せたいよね」と最初に話し合い、バトルとシナリオを同時に制作しました。その分、没入感も高められたと思います。

『グラブル』はサイドストーリーも充実していますね。メインストーリーとはどのように紐付けて楽しむと良いのでしょうか。

キョウヘイ サイドストーリーでは、メインクエストでは描かれていない、より深い『グラブル』の世界観を楽しめます。メインクエストは島から島へ進む物語で、一つの島での滞在時間が短いため、サイドストーリーでは訪れた島に関わるキャラクターの深掘りや、再登場のきっかけを用意しています。

また、メインクエストで触れていない島が登場することもあります。ランスロットたちが登場する“フェードラッヘ”などがそうですね。
世界観をもっと知りたい方は、公式の関連アプリ『グランブルーファンタジー スカイコンパス』で一部の島の特産品やお土産品などの詳細がいつでも見られるので、あわせてお楽しみください。キャラクターや星晶獣の情報、イベントクエストの内容、ゲーム内外のイベントスケジュールも確認できるので、旅のお供におすすめです。

▲『グランブルーファンタジー スカイコンパス』操作画面

お好みのスタイルで遊ぶのが一番
制作陣が語る空の歩き方

物語を今から楽しみたい!という方に、おすすめの楽しみ方を教えてください。

キョウヘイ 『グラブル』はコンテンツが充実しているので、まずはプレイヤーご自身のお好みに合わせて遊ぶのが一番だと思います。シナリオは一本一本を映画のように楽しめるレベルを目指して演出を作り込んでいますし、バトルだけでもゲームとして遊び応えがあるものを追求しています。
メインクエストや月末イベントから入っても良いですし、サイドストーリーから触れてみるのもおすすめです。イベントの中にはキャラクターが仲間になるものもあるので、楽しみながら戦力を整えられると思います。

イオリ ほとんどのシナリオ内バトルはそのシナリオの登場人物で構成された特別な編成で戦えるので、始めたばかりの方も編成選択で迷うことなく、バトル中の演出を物語の一部として楽しめます。
また、「何を始めたら良いかわからない!」という方には「シェロカルテの特別訓練」がおすすめです。ミッションを進めることでゲームの仕組みや遊び方が自然と身に付き、どんどん編成が強くなっていくコンテンツなので、気軽に始めやすいと思います。

アナン スクリプト担当としては、「メインクエスト総集編」をぜひ見ていただきたいです。メインクエストの要点を押さえられるので、一度読んだことがある方には復習としてちょうど良いですし、「これからゲームを始めても、追いつけるかな?」と不安な新規の方にも安心して入ってもらえると思います。
個人的には月末イベントもおすすめです。プレイの前提条件がほとんどなく、その日に始めたばかりの方でも、その月のイベントをすぐに読める気軽さが魅力です。
『グラブル』を始めたばかりの方にとっては知らないキャラクター同士の会話が始まることもありますが、シナリオ内で補足もありますし、都度サイドストーリーも更新されますので、楽しんでいただけるのではと思います。

▲メインクエスト総集編

イオリ 『グラブル』はキャラクター愛にあふれた作品で、ハロウィンやクリスマス、バレンタインなどの季節イベントではキャラクターごとにシナリオが用意されています。一人ひとりがきちんと深掘りされているので、キャラクターを軸に楽しむのもおすすめです。

新しいシナリオイベントを出すときは、ゲーム内の予告ページにて登場キャラクターとの出会いや、関連するエピソードを紹介しています。新規シナリオから遊び始める方にも安心して楽しめるよう設計しているので、そこからキャラクター愛を深めてもらえるとうれしいです。

▲ゲーム内イベント「モノクロパレット」の予告ページ


ゲーム内の機能だと、メインシナリオとサイドストーリーが時系列順に並んでいて、各物語で仲間になるキャラクターがわかる「キャラクターチャート」というページも便利です。気になるキャラクターを見つけて、そこから登場するシナリオを読んで楽しむのも良いと思います。

▲ 「キャラクターチャート」

これまで携わってきて、印象に残っているシーンや出来事を教えてください。

キョウヘイ 『グラブル』チームに配属されたことが最大の転機であり印象に残っている出来事ですが、ゲーム内で挙げるなら、やはり『蒼の少女編』のラストです。「同じ人格を持った人間が2人いたら、どういう状態になるのか?」という命題をしっかり消化しながら書き切れたので印象に残っています。

イオリ 一番印象に残っているのは、シナリオイベントの中でも少し変わり種の「カッパサマー・クロニクル」で、「寿司を握って提供するミニゲーム」を作ったことです。
初めてミニゲームを担当したのですが、寿司を握るアニメーションやUIなど、細部までこだわりを持ちつつ、ストレスなく楽しんでもらえるにはどうすれば良いか、多くのスタッフと試行錯誤して作り上げました。実装後にみなさんが盛り上がってくださっている様子を見て、とてもうれしかったですね。その経験は、その後の仕事にも確実に繋がっていると思います。

▲ゲーム内イベント「カッパサマー・クロニクル」のミニゲーム

アナン スクリプトチームとしての転機は「HEART OF THE SUN」だと思います。会話シーンの演出の出力は、ライターさんと演出チームのシナジーがどれだけ生まれるかで大きく変わります。「HEART OF THE SUN」では、シナリオを読んだときにシナリオライターさんの熱意や、プレイヤーのみなさんを楽しませたいという想い、「ここは感動的に、ここは熱い展開に見せたい」といった意図が直感的にスッと入ってきたんですよね。実際に、その通りに見せることができました。過去最大のシナジーを発揮したのが「HEART OF THE SUN」だったと思います。
個人で印象に残っているのは、「ナビス」シリーズのイベントです。最初のシナリオを読んだときに、壮大なシリーズが始まる予感がありました。アニメーション演出をたくさん取り入れて挑戦しているシリーズなので、実装後にみなさんに良かったと言っていただけたのがとてもうれしかったです。

▲「ナビス」シリーズ のメインビジュアル
左: ゲーム内イベント「Marionette Stars」 /右:ゲーム内イベント「 Unbound Asterism 」

最後に、これから初めて『グラブル』を遊ぶ方に向けて一言お願いします。

キョウヘイ 物語やキャラクター、バトルなど、コンテンツが豊富なので、誰でもどこかに刺さる部分があると思います。サービス開始からもうすぐ12年になりますが、「今からでは遅い」ということは全くありません。初めての方でも楽しんでいただけるよう、様々な導線を引いているので、少しでも興味があればぜひ気軽に触れていただきたいです。
すでに遊んでくださっている方には、「メインクエストが新しいステージに入っていきます」とお伝えしたいですね。これからも色々な施策がありますし、ただ続いていくだけではなく、常にパワーアップしていきますので、これからも楽しみにしていてください。

イオリ 『グラブル』は個性豊かなたくさんのキャラクター、そしてたくさんのコンテンツがあるタイトルです。まずは軽い気持ちで一度触ってみて、実際に遊びながらお好みのスタイルを見つけてもらえたらと思います。
また、新しく騎空士となる方にも楽しんでいただけるイベントやコンテンツをこれからも作り続けていきますので、ぜひ期待していてください。

アナン 私は会話シーンを担当しているので、その視点から。会話シーンはずっと試行錯誤を繰り返しており、より良いものにしていけるよう努めています。私たちスタッフは熱意を込めて作っていますし、その気持ちが少しでも伝わればと思っています。これからもずっと楽しみにしていてください。


以上、『グラブル』メインクエストの振り返りや楽しみ方、制作の裏側についてのご紹介でした。
前編では、世界観や、これから始める方へのおすすめポイントをご紹介しています。あわせてご覧ください!

前編(世界観編)記事はこちら

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