コンテンツをお客さまに楽しんでいただくためには、コンテンツ内での施策展開に加えて、その魅力を広く伝えることも重要です。サイゲームスでは、運営ゲームの節目である周年記念やゲーム内アップデートなどに合わせて、動画を用いた情報発信をしています。

今回は「サイ技(わざ)」企画として、SNSやオフラインイベントで流すPV、TVCMの映像などを制作する「映像制作室」にインタビューを実施!過去に制作した映像の中からクリエイターズセレクトでお届けします。それぞれの制作で意識したところや注目ポイントについて聞きました。

映像制作室  マネージャーカズヒロ
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アニメ業界や遊技機の映像制作を経験後、2017年にサイゲームス入社。デザイン制作室 映像班として、『Shadowverse』『グランブルーファンタジー』関連の動画のディレクション・制作・進行管理を担当。2018年8月より現職。
映像制作室モエミ
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ポストプロダクションにてTVCM、映画などの映像編集に携わった後、2019年サイゲームス入社。『ドラガリアロスト(配信元:任天堂株式会社)』を中心とする動画の制作・進行管理を担当。
映像制作室 サブマネージャータケアキ
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2016年にサイゲームスに入社。デザイン制作室 映像班として、『アイドルマスター シンデレラガールズ(提供元:バンダイナムコエンターテインメント)』のフラワースタンド映像をはじめとするプロモーションや社内行事に関わる映像制作に従事。2018年8月より現職。
映像制作室ヒロト
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ポストプロダクションにて映像編集に携わった後、2016年にCygamesに合流。『グランブルーファンタジー』、『アイドルマスター シンデレラガールズ(提供元:バンダイナムコエンターテインメント)』のフラワースタンドなどの映像案件などのプロモーション、社内の映像制作などを対応。
映像制作室カツヒコ
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映像プロダクションにてTVCM、PVの制作を経験後、2017年にサイゲームスに入社。デザイン制作室 映像班として、『プリンセスコネクト!Re:Dive』『グランブルーファンタジー』のCM映像をはじめとするプロモーション関連の動画の企画・ディレクション・制作・進行管理を担当。

社内ニーズを受け部署として独立
映像制作室の概要と成り立ち

まずは映像制作室がどんな部署か教えてください。

カズヒロ 一言で言うと、ゲーム外の映像を制作する部署です。プロモーションに関わるものやオフラインイベントで流すものなど、PR用の映像をメインに作っています。
最近だとYouTubeやTwitterといったWeb用の動画が多いですね。あとはTVCM用の映像を制作することもあります。各ゲームの開発運営プロジェクト(以下、PJ)や、プロモーション室といった他部署からの依頼を受けて制作しています。

部署発足のきっかけは何だったのでしょうか?

カズヒロ 私が入社した当初は、映像制作のみを行う独立した部署はなく、ゲーム外のデザイン業務を主に担当している「デザイン制作室」という部署の中にある「映像班」という立ち位置で業務をしていました。
そこから年々、社内のPJの数も増えるにつれて、徐々に映像制作の業務が増えていきまして……。ゲームとの親和性が高いTwitterで、もっと動画を用いたPRもしていきたいという相談や、YouTube向けの動画に関する相談も増えていったかたちでしたね。そこで2018年8月に部署として独立し、今に至ります。

音楽から想像を膨らませる
『ドラガリ』らしさを守ったPVづくり

ここからは、各タイトルに携わった映像制作室のスタッフに、これまでに制作した中で特に印象に残ったPVについて聞いていきたいと思います。まずはモエミさんからお願いします。

モエミ 私が担当している『ドラガリアロスト(配信元:任天堂株式会社 以下、ドラガリ)』で言うと、2020年7月末に開催したレイドイベント「デッドエンドアイランド」の予告PVです。ミステリー、サスペンステイストのストーリーなのですが、かっこ良さと可愛さを兼ね備えた“『ドラガリ』らしさ”を守るため、あまり怖くなり過ぎないように注意しました。
制作にあたっては、ゲーム開発のPJに共有してもらったイベントの概要資料を基に、このイベント用に作られた新曲を聴きながら想像を膨らませました。『ドラガリ』はゲーム内の音楽を重要視しているので、音楽に合わせてイベントの雰囲気に合うような演出を効かせ、ユーザーのみなさんに「プレイするのが楽しみ!」と思っていただけるよういつも心がけています。また、楽曲に合うようにカットを小気味良く切り替えたり、被写界深度や構図を取ったりという部分についても意識しました。

▲レイドイベント「デッドエンドアイランド」予告PV

モエミ 『ドラガリ』は王道ファンタジーとして、キャラクターデザインやセリフ、世界観など、ゲームのイメージを大切にしています。ゲーム外でのPV制作の際もそのイメージを崩さないために、ゲーム内のUIデザインを1つの基準にして作っています。
例えば、PV内ではゲームにあわせたフォントを使い、色もキャラクターの属性ごとに決まっているものを使用します。PJからフィードバックが入ることはもちろんありますが、映像制作室としても“『ドラガリ』らしさ”を守っていこうと思って作っています。構成に関しては自由度が高くて、PJもこちらの意図を尊重してくれるので色々チャレンジもできてありがたいです。

▲冒頭からドキドキ感が演出されています

1つのイベント予告PVを作るのにどれくらい時間がかかるのでしょうか?

モエミ 「デッドエンドアイランド」のようなイベント予告の動画制作は定期的にあって、依頼が来てからTwitterに動画を上げるまで約1か月です。ただ、海外に向けて多言語の動画を含めて完成させる必要があるため、映像制作だけに1か月すべて使えるわけではありません。海外版は英語と繁体字、場合によって簡体字のバージョンも作りますが、映像自体は同じでも文字やゲーム画面の差し替えなどに結構時間がかかります。
1か月の内訳で言うと、PJ側との打ち合わせから始まり、10日で映像を固めて、あとはローカライズの作業になります。ただ、PJ側にイメージの確認をしてからでないと本格的な制作に移れないので、実際は1週間程度で映像の流れを作ってPJに共有しています。本制作に入るまでに何度もやり直す場合もありますし、1回でオッケーが出る場合もあります。
限られたスケジュールではありますが、どんなストーリーで誰が登場するのかがわかるように意識して作っています。映画の予告編のようなイメージですね。

『ドラガリ』で出す数々の動画はすべて映像制作室で作っているのでしょうか?

モエミ 8割くらいは私を含め、内部のスタッフで制作しています。『ドラガリ』はサイゲームスが運営している他タイトルと比較してTwitter動画の数が多く、イベント以外にも機能説明やキャラクター紹介で毎週のように動画を公開しています。これらはすべて内製していますね。
量が多いので協力会社さんと一緒に作りたいと思う部分もありますが、ゲーム制作の状況は目まぐるしく変わるので、社内のスタッフが作った方が連携を取りやすいんです。まだPJ側の意向がはっきり決まっていない段階から仮の映像を使って動画を構築しつつ、ゲーム開発の進捗を聞いてどんどん反映していけるのは、社内の部署である私たちだからこその強みだと思います。

▲『ドラガリ』公式Twitterより新キャラ紹介動画の例

展示と映像でライブイベントを盛り上げる!
「フラスタ」への想い

次に、タケアキさんにお聞きしたいと思います。

タケアキ 私が担当した『アイドルマスター シンデレラガールズ(提供元:バンダイナムコエンターテインメント)』の動画制作だと、PVに限らず広い意味での映像施策になると思いますが、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」(2018年9月開催)のライブ会場でフラワースタンド(フラスタ)の展示として行ったプロジェクションマッピングが特に印象に残っています。

あらためてフラワースタンドについて教えていただけますか?

タケアキ サイゲームスでは、2014年より、ライブ会場にてオリジナルのフラワースタンドを展示しています。フラスタ制作を一から始めた前任者や、前任者から業務を引き継いだ私とヒロトさんは多くのフラスタを制作してきましたが、「最高のコンテンツ」を作るためには過去の展示や映像を超えていかなければならないと思い、この時はプロジェクションマッピングを企画しました。イベント中はその場で見てくださったユーザーの方やSNSの反響が大きく、とてもうれしかったですね。

フラワースタンドと言うと、花やバルーンをベースにした「お祝いに贈るもの」のイメージがありますが、『アイドルマスター シンデレラガールズ』のライブ会場では毎回大規模な展示を提供されていますよね。

タケアキ 『アイドルマスター』のライブでは、お客さまや関係者の方々から公演をお祝いするフラワースタンドを贈っていただくようになっており、それに参加するようなかたちで展示を提供させていただくようになったと聞いています。「来場したお客さまが楽しめるようなものにしたい」との想いから年々その規模が大きくなっていきました。
それまでのイベントでも「お城をモチーフにした展示」や「アイドルたちが馬車に乗って全国を巡る展示」など、“シンデレラ”を意識した大枠のコンセプトを踏襲しながら制作してきましたが、2018年9月のライブでプロジェクションマッピングを企画する際も、ただ壁に投影するのではなく、お城の外壁のようにしました。

▲プロジェクションマッピング映像より、特別に一部シーンの映像と画像をご紹介します!

タケアキ この展示で私が実現したかったのは3Dライブです。
「アイドルたちがリアルに目の前にいるように見せたい!」と思い、中心に映っているアイドルたちを等身大に映して、その場で見てくださったファンの方が実際にアイドルに会えるような演出にしました。カーテンが閉じて場面転換したり、アイドルたちが曲を踊りながら代わるがわる登場したり、一人ひとりが魅力的に映るような構成・演出を考えたんです。
サイゲームスのフラワースタンドは恒例になっていて、「今回もすごいものが出ているはず!」とファンの方々が1つのイベントとして楽しみにしてくださっています。フラワースタンドを見て喜んだり感動してくださったりしているファンの方の反応を見たときが、やっていて一番うれしい瞬間ですね。

踏襲されてきた王道の“シンデレラ”コンセプトの演出ですが、それ以降のフラワースタンドは一味違った演出になっていきましたね。

ヒロト はい。少しずつ形を変えながら毎回新たな挑戦をしています。2019年から2020年にかけて幕張(千葉)、名古屋、大阪の3か所で開催されたライブ「CINDERELLA GIRLS 7thLIVE TOUR Special 3chord♪」では、ライブのテーマが会場ごとに異なり、幕張は「Comical Pops!(コミカルポップス)」、名古屋は「Funky Dancing!(ファンキーダンシング)」、大阪は「Glowing Rock!(グローウィングロック)」でした。それに合わせて、お城をベースにした王道のキラキラした感じとは異なった演出にしたのですが、これらも印象に残っています。

▲(上から)「CINDERELLA GIRLS 7thLIVE TOUR Special 3chord♪」の幕張・名古屋・大阪会場でのフラワースタンド映像より、特別に一部シーンの画像をご紹介します!

ヒロト 3つの会場それぞれにこだわったポイントがあり、幕張会場ではコミカルなデザインを取り入れた可愛さを表現しました。名古屋会場ではファンキーさの演出としてクラブDJをイメージしたものを、大阪会場では映像用に描き下ろしてもらった“リーゼント姿”のぴにゃを登場させて、ロックな可愛さを表現しました。
また、幕張や名古屋会場での公演タイミングは『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(提供元:バンダイナムコエンターテインメント)』や『アイドルマスター シンデレラガールズ』の周年のタイミングと近かったので、その2会場ではプロデューサーのみなさんへの感謝の想いを込めて制作をしました。
PJやイラストチーム、サウンド部など多くの社内スタッフたちに協力してもらって作り上げることができ、会場でご覧になった方にも楽しんでいただけてとてもうれしかったです。

ヒロトさんは『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』についても担当されていますが、『グラブル』についてはいかがでしょうか。

ヒロト 『グラブル』だと、オフラインイベントや生放送で流す「イベントヒストリー」を工夫しながら制作しています。

▲今夏の生放送「グラブル生放送 熱いぜ!グラブルの夏!SP」でもイベントヒストリーが流れました

ヒロト シナリオイベントに登場したキャラクターたちのイラストを使用してシナリオを振り返るというシンプルな作りではありますが、毎回、細かいところをPJと詰めながらスケジュールぎりぎりまで調整しています。ユーザーの方たちが見たときに、イベントを振り返りながら懐かしんでいただけたらと思っています。例えば、「THE MAYDAYS」のカットは、サメが登場するシナリオということで、さながらB級映画のような印象になるように作りました。

▲開催時も話題になったシナリオイベント「THE MAYDAYS」のカット。映画風にするため、上下に黒帯が敷かれているとのこと

ヒロト 節目ごとに継ぎ足して作っているので、各シナリオイベントで見え方が一緒にならないように工夫していますね。6年間の積み重ねで今では1時間近くの長編になっています。

各メディアの特徴に合わせて作り分ける!
TVCMやTwitter動画との違い

映像制作室ではここまでにお聞きしたPVやTwitter用動画の他、TVCMも制作されています。それぞれ作り方に違いはあるのでしょうか?

カズヒロ すごく簡単に言うと、CMでは流せる時間が決まっているので、そこから何が表現できるか逆算します。PVは長尺な分、30秒くらい使ってアバンタイトル(※)をカッコよく見せようとか自由度が高いです。あとは、Twitter動画だとアップロードできる容量制限もありますね。
他には、見られるメディアや、新規ユーザーの方と既存ユーザーの方のどちらに向けて発信するかで作り分けています。例えば、CMでは冒頭に必要なことを一言で簡潔に説明するとか、Twitterだとスマートフォンといった小さなメディアで見られるので描写を細かくし過ぎないように意識しています。

(※)映像作品でメインタイトルが出る前に流れる短いプロローグシーンのこと

映像ごとに押さえるポイントがあるのですね。それでは、これまでに制作した中で特に印象に残ったTVCMについてもお聞きしたいと思います。

カツヒコ 私がCM制作を担当している『グラブル』と『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』からそれぞれ紹介したいと思います。
まず、『グラブル』だと、5周年を控えた2019年2月に公開された「どうして空は蒼いのか」篇が印象に残っています。3部作である「どうして空は蒼いのか」シリーズから、サンダルフォン、ルシフェル、ベリアルというメインの3人を据えて制作しました。3人のイラストを全部集めることから始めて、ゲーム内の動きを参考に、CMだったらどんな動きができるかをイラストから逆算して作っていきました。最後に出てくるサンダルフォンの奥義「パラダイスロスト」も、ゲーム内の動きを再現できているのではないかと思います。

カツヒコ 苦労した点としては「どうしたら15秒で3人をしっかり見せつつ、それぞれの個性を出せるか」ということです。先ほどカズヒロさんも各動画の違いをお話ししましたが、長尺のPVと違って、CMは実質13秒程度の中に情報を詰め込まなければいけません。そのため、構成はすごく考えましたね。羽が舞う中でカットが切り替わっていく繋がりや、バストアップと引きのバランスをとることで、テンポよくメリハリを付けています。

『プリコネR』のCMについても、特に印象に残ったものを教えてください。

カツヒコ 2019年末に公開したCM「世界の謎」篇が印象に残っています。『プリコネR』は、バトルシーンの爽快感やピンク色を基調とした明るいイメージのCMが多いのですが、「世界の謎」篇では一転、シリアスな雰囲気を演出しました。

▲CM「世界の謎」篇

カツヒコ 冒頭に『プリコネR』では普段使用しない赤色を用いて「世界の謎に挑むのはキミ。」と表示したり、随所にメインストーリーの内容に迫るテキストを散りばめたりと、緊張感のある構成にしています。使用するアニメシーンも“アストルム”と“夢の世界”のカットを混ぜながら、テンポ良く切り替わるように意識しました。新しい切り口で『プリコネR』の魅力を表現できたのではないかと思っています。

最後に、映像制作室がこれから取り組んでいきたいことを教えてください。

カズヒロ やはり、サイゲームス内にある映像制作の部署なので、社内で綿密な連携を取りながら自分たちでコンテンツを発信していけるのが強みだと思っています。これからもユーザーのみなさん、そしてまだ各コンテンツを知らないみなさんにも、サイゲームスのコンテンツの魅力が伝えられるように映像を通して取り組んでいきたいと思っています!


以上、PV・CM制作の裏側をお届けしました。
ゲーム内とはまた違った形で制作しているPVやCM。今後公開されるさまざまな映像についてもぜひご期待ください!

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