『ワーフリ』1周年!開発チームが振り返る、ユーザー目線で走り続けた1年

ピンボールをモチーフに、ドットアニメーションの世界を旅する『ワールドフリッパー(以下、ワーフリ)』は、2020年11月で1周年を迎えました。この1年でメインストーリーの第1部が完結した他、さまざまなアップデートやイベントストーリーを実施してきた『ワーフリ』。アニバーサリーを迎えた節目に、1年間の振り返りや第2部の展開について開発チームに聞きました。

予想以上の注目度!
ユーザーファーストで取り組み続けた1年

この1年を振り返って、どんな1年でしたか?

あっという間でしたね。一言で言うと、ユーザーの方々の期待に応えるべく走り続けた1年でした。というのも、開発時は緩やかに認知度を上げていくつもりで準備していたのですが、ありがたいことにリリース当初から大きく注目していただいたんです。ユーザーのみなさんがコンテンツをプレイするスピードも想像以上で、初めは供給が追い付かず、期待されたものをご提供するために走り続けて、想定の30倍ぐらい忙しかったですね(笑)。

この1年の大きなトピックスとしては、「メインストーリー第1部の完結」と「ユーザーファーストの改修」が挙げられます。

まずは改修について、色々なアップデートの中で特に反響が大きかったものはなんでしょうか?

ボスと戦うときの「協力バトル」ですね。マルチプレイの救援でマッチングしやすくなったのは大きな変化だと言えます。

リリース当初、救援を出してもマッチングしにくいのが最重要課題でした。具体的にどこをどう改善するべきかを見定めるために、まずはマッチングに関するデータ集めから始めたんです。主に「ルームに3人揃うまでの平均時間」「ランダム募集を開始してユーザーに救援が届くまでと救援ボタンが押されるまでの平均時間」「画面別の救援ボタン押下率」「クエスト別の参加率と辞退率」の4つを調べましたね。
情報が集まってくると、UI/UXやシステムに原因があるのだと仮説が立てられるようになりました。決してリリース初期でユーザーの方が少なくてマッチングしにくかったわけではなかったし、むしろ注目度が高かったので遊んでくださっている方はたくさんいたんです。

そこで11個の改善案を考えました。その中の1つにあった「救援に気付きやすくする」のを実現するため、救援を知らせるベルの合図に波紋を出したり、音やバイブレーションを付けたりしました。
2020年4月のアップデートで、救援の代謝を高める施策を入れたのが功を奏し、3人そろうまでのマッチング時間が半分近くにまで減りました。最も悪かった時期と比べると劇的に快適になっていますが、まだまだ改善していくので、今後のアップデートにご期待ください。

▲救援があると、左上のベルが揺れながら緑に光り、波紋や音、バイブレーションでお知らせします。以前は緑に光るのみで気付きにくかった点が改善されました

細かい部分の改修では、どのようなことがありますか?

たくさんありますが、例えばキャラの「Lv強化」画面で経験値を注ぎ込む速度を調整しました。以前はキャラのレベルを一気に上げようとしたとき時間がかかっていたんです。『ワーフリ』は「強化」のボタンに指を置いたままにすることでレベルが上がっていき、徐々に経験値の溜まるスピードが速くなる仕様になっています。初期はこの加速がゆっくりで、一度でも指を離すと最初の遅いスピードに戻るので手間がかかっていたんです。画面上で指を長い間静止させるのは意外と難しいので、最初から速度を速めました。
ただ、あまりに速すぎると演出が崩れて違和感が出るので調節は難しかったですね。現在は遅すぎず速すぎない、良い速度にできたと感じています。

他に印象に残っているアップデートはありますか?

編成画面の改修は、ユーザーの方々の反応がとても良かったのでうれしかったですね。スキルウェイトがメーターで見えるようにしたり、アビリティソウルを確認できたり、台座の色でキャラの属性がわかるようにしたりして一覧性を高めました。

▲2020年8月のアップデートによる編成画面の変化。改修後(右)は、スキルウェイトがメーターで表示されたり、キャラクターの属性が台座の色で識別できたりするようになっています

また、1周年のアップデートでは「グループ編成」ができるようにしました。元々、10個のスロットでパーティを組めましたが、キャラやコンテンツが増えて多くの組み合わせが生まれたので枠が足りていなかったんです。
『ワーフリ』は色々なキャラが多様なスキルやアビリティを持っていて、それをパズルのように組み合わせて楽しんでいる方が多いかと思います。枠が足りないがゆえにせっかく出来上がったパーティを崩すのは、これまで作ったパズルを崩すかのようにちょっと嫌な気持ちになりますよね。

そんなストレスをなくしたいと思い、今回は1グループに10組の編成を保存できるようにしました。全部で6グループ、60組の編成が可能です。また、6グループもあると見分けにくいので、色分けできるようにしてインデックス性を高めています。さらにパーティに名前を付けることで、どういう趣旨の枠組みかも表現できます。また、グループ内のパーティの順番を入れ替える機能や、既存のパーティを参考に新しく編成が組めるようコピー機能も追加しています。
快適になったパーティ編成を今後のプレイに活用していただきたいです。

「グループ編成」の他に、1周年のアップデートで重視したことはなんでしょうか?

ライトユーザーの方からヘビーユーザーの方まで、全方位で楽しめる施策を取り入れました。
初心者向けの施策は「ステップアップミッション」です。「編成で装備アイテムを装備しよう」や「パーティでユニゾンを組もう」など、実際にゲームを楽しみながら初歩的な遊び方やプレイサイクルの回し方を覚られるものになっています。初級編から上級編までの4つを用意していて、ミッションをクリアしていけば自然と強くなれます。ボスバトルの上級+クリアをゴールに設定しているので、そこを目標に遊んでいただけるとうれしいです。

また、上級者向けの施策は、ボスバトルでオロチの超級を追加したことです。このボスでは今までよりバトル参加者間の協力が必要になります。きちんと連係しないと倒しにくくなっているので、ヘビーユーザーの方々にも刺激的なクエストになっていると思います。HPが高いだけでなく、これまでになかったバトルギミックを追加しているので、ぜひ挑戦してください。

アップデートの内容や優先度は、ユーザーの方々からの反応を基に検討しているのですか?

ユーザーの方々の声を参考にすることはもちろんありますが、ベストなアップデートは、ユーザーの方が声に出す前に問題点を直すことです。改修案はディレクターが依頼を出す場合もありますし、ディレクター以外のスタッフが提案する場合もあります。とにかく自分たちがたくさん遊んでユーザー目線になって、アップデートごとに何かしら便利になるような改善を仕込んでいます。

イベントストーリー振り返り
メイン第2部の展望も

この1年でさまざまなイベントストーリーを展開してきました。中でも初のイベント「光彩の摩天楼」は、近未来の街が広告に埋め尽くされた独特の世界観でした。この発想は、どのようにして生まれたのでしょうか?

元々はメインストーリーを担当しているシナリオライターと、運用施策のリーダーをしていた担当で、体を機械化した人間の世界を描きたいという話からスタートしました。
それから、「メカ」と「人間」のキーワードでユーザーの方々を引き込む設定を考えているうちに「サイバーパンク」というテーマが上がったんです。さらに詳細を詰めていく中で、企業間の対立に主人公のアルクたちが巻き込まれる展開にしようとベースを作った上で、担当ライターに肉付けをしてもらいました。

このストーリーの舞台「クオリア・シティ」では、目や手足、脳を機械化するのが下流から中流層では当たり前になっています。キャラのデザインは物語の世界観にのっとって、階級によって機械化の度合いを調整するようイラストチームにお願いしました。

▲目や腕を機械化したバレッタ(左)と大企業の関連会社で社長を務めるキング・ジョンソン。彼女たちが暮らす「クオリア・シティ」では、生身の姿が上流階級のステータスになっています

サイバーパンクな世界の「広告」にスポットを当てた演出が特徴でしたね。

2社の対立を描くときに、企業と社会の接点は何だろうと考えると「広告」が浮かびました。空を埋め尽くすほどの広告が大手2社に買い荒らされて、いろんな広告が出ていると面白いなと思ったんです。

▲空を覆いつくすほど表示された企業広告。“本物の空”を見るため、バレッタがアルクたちと奮闘します

ちなみに、セリフのリアリティーを高めるために実際にどんな会話をするかスタッフ同士で音読することがあるのですが、担当ライターは熱が入りすぎて声を枯らしていました(笑)。

TVアニメ『ゾンビランドサガ』とのコラボイベントも実施しました。コラボするとき、お互いの世界観を壊さないために工夫している点はなんでしょうか?

いろんな場所へ跳躍できる「ワールドフリッパー」があるからこそ、何となくコラボしてしまうとアルクたちの世界とコラボ先の世界が地続きに見えてしまいます。お互いの世界観を守れるよう、あくまで違う世界にいる者同士の冒険にしたいので、相手がどうやって『ワーフリ』の世界に来たのか、元々使えた力がこの世界ではどこまで使えるのか、力が使える理由は何なのかをかなり思案していますね。

TVアニメ『ゾンビランドサガ』とのコラボでは、アニメの設定を活かしつつ『ワーフリ』でも成立する世界観に落とし込むのが難しかったです。コラボ先ともすり合わせをした結果、アイドルグループ「フランシュシュ」のメンバーが『ワーフリ』の世界に迷い込み、元の世界に戻るために異世界の“サガ”でアイドル活動をするストーリーになりました。

▲アイドルグループ「フランシュシュ」がライブをするシーン

シナリオは新しいキャラの感情に寄り添うことを大事にしているそうですね。

はい。登場人物の感情の流れが自然になるよう強く意識しています。曖昧な感情で人物を動かしてしまうと、ご都合主義で物語が展開してしまい、ユーザーの方々が感情移入できなくなってしまうからです。
登場するキャラはなぜそこにいて、アルクやステラと話して何を思うのか。そうして芽生えた感情の挙動として整合性が取れていて、なおかつ物語としても面白くなるよう、双方をしっかりと組み立てています。

メインストーリーも物語と感情の流れを緻密に作り上げていますよね。

そうですね。この1年、ことあるごとに物語の大きな流れやキャラの人物像を咀嚼し直してきました。書き手の都合で展開していないかを厳しくチェックしましたし、登場人物の心情や、どんな出来事を起こして何を伝えたいのかをライターたちとよく話し合いましたね。

シナリオを細やかに書いている分、ドットの演出やキャラのイラストにもバリエーションが増えました。アルクたちのイラストの表情差分は情感に合わせて作っているので約40種類あるんです。他にもドットのエフェクトや演出にも磨きがかかっていて、背景やキャラの立ち回りもどんどんリッチになっています。日々目まぐるしく現場が動き、作業に割ける時間は限られていますが、今後も質の高いものを提供し続けたいと思っています。

メインストーリーは今後、どのような展開になるのでしょうか?

第1部が完結したものの、8章の最後でいくつか謎を残しています。粛清者とは、勇者とは、ステラの力から紐解かれる新しい真実とは……。第1部でぼんやりさせていたところを第2部でどんどん展開していく予定です。
また、アルクたちが拠点にしているパルペブラの世界や、イベントクエストでおなじみの「揺らぎの迷宮」が何なのかについても明かしていきます。

1周年のイベントストーリーもパルペブラが舞台です。隣国のファーランド王国と友好条約を結ぶストーリーをゲームのアニバーサリーと絡めて展開しているので、ぜひプレイしていただきたいです。

▲1周年のイベントストーリーの1シーン

「より多く」「より長く」
『ワーフリ』2周年に向けて

2周年に向けて抱負をお願いします。

「より多くの人により長く遊んでもらえるアプリにしよう」と常に開発チームで共有しています。
「より長く」遊んでいただくには、「ボスバトル」や「チャレンジシングルバトル」といったコンテンツの定期的な追加が必要不可欠です。キャラを育成させる要素を充実させ、遊びの幅を増やすことで既存ユーザーのみなさんが飽きなく遊べるような開発・運営体制をさらに整えていきます。
また、「より多く」の人にアプローチするためには、イベントストーリーやコラボなどの充実が欠かせません。それによって新規ユーザーの方に興味を持っていただいたり、以前遊んでいたけど離れてしまったユーザーの方が再開したりするきっかけを作れればと考えています。

1周年のアップデートで全方向性を意識したように、新規ユーザーの方も既存ユーザーの方も楽しんでいただける施策を展開していくので、ユーザーのみなさんには楽しみにしていただきたいです。

最後になりましたが、ユーザー目線になったり、遊んでくださっている方々の声に耳を傾けたりして遊びやすさを追求することにゴールはないと思っています。
コンテンツを追加すればするほどユーザーの方々が求めるものは多種多様に分かれていくはずです。現状に満足せず、定期的にアップデートを重ねながらたくさんの人に長く遊んでもらえるように次の1年を頑張りたいと思います。

©ゾンビランドサガ製作委員会