サイゲームスがお届けしているのは、ゲームだけではありません。マンガ配信サービス「サイコミ」にて、数々の作品を連載しています。「サイコミ」編集部がおすすめするマンガの魅力に迫る連載「ヨミコミ!サイコミ」第3回は、男子高校生と世界的ストライカーのサッカーマンガ『Forward!-フォワード!-(以下、フォワード!)』をご紹介します。編集担当者に作品の見どころを聞きました。

【あらすじ】
世界最強のサッカー選手が、男子高校生に憑依して無双!?CW杯に出場するため来日していた世界的ストライカーのブッキは、線路に落ちた冴えない男子高校性・心を迫りくる電車から助け、自分が身代わりに。それからブッキは幽霊となり、心の体に憑依しサッカーを始める。まるで生まれ変わったかのようなスーパープレイの連続に、心も次第にサッカーに惹かれていく。殻を破ってサッカーが上手くなろうとする男子高校生と最強のストライカーによる、本格サッカーマンガ。

主人公の成長が感じられる
王道のサッカーマンガを

企画はどのように立ち上がったのでしょうか?

2018年にサイコミで開催した新人賞で、作者の吉田雄太さんが受賞されたのがきっかけでした。キャラクターを描くのがすごく上手な作家さんだなと思ったのを覚えていますね。それで受賞の数日後にお会いし、連載に向けての打ち合わせをしました。
打ち合わせでは作家さんの関心事や過去の経験からネタを考えることが多いので、何に興味があるかお尋ねしたら「ワールドカップを見てからサッカーにハマっています」とのことでした。
当時はサイコミの再創刊前で、スポーツモノがほぼなかったんです。少年誌ならスポーツは必要不可欠なジャンルですし、編集部でも「スポーツマンガを作ろう!」という方針でしたので、ご本人が書きたいものとサイコミが求めているものが一致した瞬間でした。打ち合わせでネタが決まるまでは早かったですね。

主人公・心にスター選手のブッキが憑依する設定はどのようにして生まれたのでしょうか。

最初の打ち合わせから、吉田さんの好きな選手の話や、色々なサッカーの話で盛り上がる中で、スター選手を登場させようというのはすんなり決まったんです。ただ、強いサッカー選手が活躍するのは当たり前ですし、少年マンガの「成長」がないので、 高校生を主人公にしてブッキが憑依したら面白いんじゃないかということで今のかたちになりました。

印象に残っているシーンはどこですか?

挙げればキリがないですが、やっぱり1話のラストです。ブッキが初めて心の体に憑依して、圧倒的なドリブル技術を見せて同級生に勝負をふっかける展開がすごく好きですね。

また、他に印象に残っているのは 作中でブッキを象徴するような技として登場する「回し蹴りシュート」です。ブッキのあまりのかっこよさに、サッカーに関心のなかった心でさえ衝撃を受けます。後から登場するライバルの強力(ごうりき)もブッキへの憧れから回し蹴りでゴールを決めていて、強力が打った回し蹴りシュートが『フォワード!』で一番インパクトのあるゴールシーンですね。

▲第4話より、心(左)が動画サイトでブッキのスーパープレイを見て圧倒されるシーン
▲第83話で、強力が回し蹴りでゴールを決めるシーン

自分の意思でサッカーを
真逆の2人が紡ぐ絆

俺様キャラなブッキと“無関心君”とまで呼ばれていた心。正反対な2人の関係性を深めるために工夫した点を教えてください。

どうやって2人の距離を縮めるかは『フォワード!』の肝になるので悩みました。なんといっても主人公が成長していくのが少年マンガの基本です。壁にぶつかって成長し、またさらに大きな壁が立ちはだかっては乗り越えていく。そういうところに読み手は胸が熱くなるので、心をしっかり育てるのが連載初期のテーマでした。
ただ、そうするとブッキの立ち位置が難しくなります。いつでも憑依できてスーパープレイを連発するスーパーサッカーの展開も不可能ではないですが、そうすると先ほどお話しした「成長物」としては弱くなります。ブッキには、読者に爽快感を与えるスーパープレイをさせつつ、心に自分の意思で「サッカーをやりたい」と目覚めさせる導き手という側面も入れました。
スポーツマンガは試合シーンで一番人気が出る傾向があるのですが、その前に主人公の心情の変化をしっかり描かないと読者に感情移入をしてもらえません。そこでブッキを通して、心が目を背けていた家族や自分と向き合う流れを丁寧に描きました。
心は元々、地道にコツコツ努力を積み重ねられる人です。そういう姿勢は我々の生活に置き換えても何事にも通じる大事なことなので、主人公としての魅力がありますし、読者の共感も得られるのだと思います。

物語が進むにつれ、心がブッキに影響を与えるようにもなっていますよね。

そうですね。ブッキがいることで心は成長するのですが、最近は心からの刺激を受けてブッキも成長する話になってきていますね。当初からそうしたいと決めていたわけではないのですが、心がブッキと会話を重ね、物語が進んでいくうちに自然とそうなりました。心のプレイを見てブッキも サッカーへの情熱を燃やし、新しいことに挑戦しようと変化してきています。

▲第91話で、心の体に合ったプレイスタイルを模索し始めるブッキ

作者さんとはいつもどんなやり取りをしながらストーリーを作っていますか?

『フォワード!』は特殊な打ち合わせのスタイルで、作家の吉田さんと私、それからアドバイザーの方とサッカーに詳しい編集部のプロジェクトマネージャー(事業責任者)の4人で話し合いながら作っています。アドバイザーの方がストーリーで気になるところを指摘して、 プロジェクトマネージャーがサッカーシーンの監修、私が話の中身やスケジュールの調整をするチーム制です。
吉田さんはサッカー経験者ではないし、私もアドバイザーの方もサッカーに詳しいわけでないのですが、スポーツモノをやる上で知識が必須なので、プロジェクトマネージャーには2回目の打ち合わせから参加してもらっています。
打ち合わせは面白いですよ。プロジェクトマネージャーは非常にサッカーが上手いので、会議室でプレイを実演してもらうんです(笑)。それで作中に出したいプレイのテクニカルな話をしたり、作戦盤を使ってフォーメーションや動きを確認したりしています。

最新話では、東京予選で強敵・獅子堂戦の真っただ中です。心たちはこれからどんな試合を繰り広げていくのでしょうか?

獅子堂戦は東京予選のクライマックスです。今まで心たちが練習してきたこと、これまでの試合経験、紡いできた絆がすべて繋がっていきます。
心たちのいる鷹宮ヶ丘高校とかつて練習試合をした鷲ノ台高校が、東京予選で獅子堂高校に敗れているのも、実はクライマックスを盛り上げるための1つの布石です。因縁のある鷲ノ台を倒した絶対王者に心たちが挑む構図にして、ただ強敵に立ち向かうよりさらに闘志を燃やす展開になっています。

獅子堂戦が今までで最も長くて熱い試合になるので、心たちが勝つか負けるかも含めて読者のみなさんには楽しみにしていただきたいです。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

少年マンガらしい主人公の成長物語にしていますし、キャラクターの個性が引き立つネタ要素もあっていろんな部分を楽しんでいただけるマンガだと思っています。ただ、やはり見てほしいのはサッカーシーンですね。吉田さんの画力と演出力が連載当初と比べると格段に上がっているし、プレイの描写もまったく手を抜かずに描いているのでぜひ注目してください。

『Forward!-フォワード!-』

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