サイゲームスがお届けしているのは、ゲームだけではありません。マンガ配信サービス「サイコミ」にて、数々の作品を連載しています。「サイコミ」編集部がおすすめするマンガの魅力に迫る連載「ヨミコミ!サイコミ」第2回は、芸能事務所がバケモノ退治をする異色マンガ『あっ、次の仕事はバケモノ退治です。(以下、次バケ)』をご紹介します。編集担当者に作品の見どころを聞きました。

【あらすじ】
底辺芸能事務所でお荷物社員として日々を悶々と過ごしていた久保田青春(アオハル)。ひょんなことから生意気な銀髪の少年ルカのマネージャーになり、正体不明のバケモノとの血で血を洗うバトル生活に身を投じることに。実はアオハルの芸能事務所は、魔界からくるバケモノを駆除する専門業者だった。
ある日、巨人のバケモノとの戦いでアオハルが魔界に連れ去られてしまう。窮地に立たされたアオハルは、自力で魔界からの脱出を図るが……。バトルあり、ドラマあり、コメディーありのちょっと変わったお仕事マンガ。

殺し屋たちの能力バトルから
芸能事務所のバケモノ退治に

企画はどのように立ち上がったのでしょうか?

作画を担当している市村基さんが「バトルマンガを描きたい」ということだったので、当初は「殺し屋たちの能力バトルにしましょう」と話を進めていました。

企画の話をしていたのが2018年にサイコミが再創刊する前ぐらいの時期でしたね。サイコミのリニューアルに向けて尽力していたZooさんにネームを見ていただいたところ、「ありきたりだから設定を変えてみたら?」とアドバイスをもらい、そこから芸能事務所のタレントが実は能力者でバケモノと戦っているという設定が生まれました。

市村さんは新人離れした画力をお持ちですが初連載だったので、ストーリー担当として途中からZooさんにも作品に参加していただくことになりました。

▲第1話で仕事のないアオハル(右上)が悶々としているシーン

印象に残っているシーンはどこですか?

第27話でアオハルが魔界で謎の肉団子を食べさせられるシーンです。実際に上がってきた原稿を見たときはゾッとするような描写にビックリしましたね。

アオハルが魔界に連れ去られてからの話を「魔界編」と呼んでいて、どん底からいかに這い上がるかが1つのテーマでした。だからこそ、魔界に来て最初のほうにアオハルがとにかくひどい目に遭うような展開が必要だったんです。最終的にまさかあんなに体がムキムキになるとは思ってなかったですけど(笑)。

▲魔界でバケモノのペットにされたアオハルが、謎の肉団子を無理やり食べさせられるシーン

アオハルの屈強な姿は、編集者としても予想外の展開だったのですね!(笑)

はい。ただ、魔界から脱出するために自力でバケモノを倒して逃げなければいけないので、体を鍛えたりバケモノの肉団子を食べたりしたことで強化されるだろうなとは3人で話していました。

先ほどお話しした肉団子を食べる回、ネームまでは細マッチョだったのですが、本番の原稿ではだいぶ仕上がった体になっていたんです。「これは細マッチョじゃなくてマッチョだよ(笑)」と言いつつ、これは面白いなと感じました。貧弱だったアオハルがムキムキになってバケモノを倒す場面が想像できたので。

▲初期のひ弱なアオハル(左)と魔界で強化されたアオハル

出し惜しみをしない
「魔界編」でアオハルの魅力を深掘り

序盤は芸能事務所のタレントとマネージャーがバディーを組むバトルマンガの色合いが強かったですが、「魔界編」に入ってからシリアスな内容に変わりますよね。大幅な変化の裏には何があったのでしょうか?

元々ストーリーの大枠は決めていたのですが、序盤の展開に対する読者の方々からの反応に手応えを感じられず、もどかしい気持ちがありました。そこで、読者の方に早くこの作品の面白さが伝わってほしいと思い、市村さんやZooさんと相談して一気に話を進めることにしたんです。

アオハルがバケモノによって魔界に連れて行かれてからは、先で考えていた展開を出し惜しみせずに全部出していこうと3人で話がまとまりました。そうしたことで逆に吹っ切れたといいますか、「魔界編」から私たち作り手側の意識が大きく変わりましたね。

「魔界編」では特にどういったことを意識されたのでしょうか?

主人公であるアオハルの掘り下げです。アオハルがお荷物社員なのにクビにならないのはなぜなのか、過去に何があったのか。そういった伏線をきっちり回収して、アオハルをもっと魅力的に見えるようにしたいと思いました。そのため、バケモノに拉致される最悪の状況を自ら打破していく“かっこいい主人公”を描くようにしたんです。

現実の世界と似ているようで何か違和感のある魔界の世界観はどのようにして作られたのでしょうか?

「魔界はどんな世界なんだろう」と3人で話していく中で、「寂しさ」や「物悲しさ」のある感じにしようということになりました。そこからさらに想像を膨らませていくと、私がアラフォーなこともあり、子どもの頃に団地が多かったのを思い出したんです。夕方の団地はどこかノスタルジックな気持ちになるといいますか、「寂しい」イメージと結びついたので、そのような世界観になっています。

▲アオハルが連れ去られた魔界の様子

ストーリーは作者さんとどんなやり取りをしながら作っていくのですか?

最初はZooさんがセリフや動きを書いた台本のようなプロットを準備して、それに対して市村さんが絵を描くにあたって「こうしたいです」とか、私も意見を言ったりしながらその都度手直しする感じですね。

「魔界編」は特に、毎週2時間以上かけて打ち合わせをしたり読者の方々の反応を見たりしながら、元々考えていた展開から変えた部分が多いです。毎回の打ち合わせで新しいアイディアが出て、それが面白いとなったらその都度先の展開も調整していくので、特にZooさんが柔軟に対応してくださっています。

そうやって密度高くスピード感を持ちながら作っていったことにより「魔界編」ではアオハルだけでなく、バケモノの生態や一緒に魔界に連れ去られた月島のことまで話を広げられました。苦労した部分も多いですが、その分より面白くするためのアイディアが飛び交うようなやり取りができたので、読者の方からの反響も大きくなりましたね。

▲長い舌のようなものを巻き付けて交流するバケモノたち
▲アオハルのライバル芸能事務所の月島(左上)。アオハルと共に魔界からの脱出を図ります

アオハルが魔界から脱出し、これからどんな戦いが待ち受けているのでしょうか?

アオハルが現実世界に戻り、ただ漠然とバケモノを倒すだけでは読者の方にワクワクしてもらえないだろうなと思っています。第57話で謎の能力者たちが出てくるのですが、今後彼らとアオハルたちがどう絡んでいくのか。敵なのか味方なのか、その辺を楽しみにしていただければと思います。

アオハルとルカが交わした過去の約束も気になります

もちろんアオハルとルカの過去編も構想しています。ルカはとにかく純粋無垢な子どもなので、今後どのように立ち回っていくかにも注目していただきたいです。

▲アオハルがマネージャーとしてコンビを組むタレントのルカ(左)

最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

『次バケ』は、アクションやヒューマンドラマ、コメディーといった要素をジャンルレスにお楽しみいただけるマンガです。

作品全体としての大きな流れは考えつつ、読者の方々の反応から期待されているものを読み取ったり、元の流れよりもっと面白いアイディアが浮かんだら柔軟に内容を調整したりしながら目の前の1話に全力を注いでいます。そういった、ある意味で先が読めない展開を楽しんでいただけるとうれしいです。

『あっ、次の仕事はバケモノ退治です。』

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