VR展示も開催!山本二三美術館×Cygames「Cygames 背景アート展」リポート

7月24日(土)から9月5日(日)まで山本二三美術館(長崎県五島市)で開催している「Cygames 背景アート展~イマジネーションを形作る~」。

サイゲームスのクリエイターが「最高のコンテンツ」を目指して制作してきた『グランブルーファンタジー』『Shadowverse』『プリンセスコネクト!Re:Dive』『ウマ娘 プリティーダービー』の背景アートを約70点展示しています。

美しい背景アートを心ゆくまで
会場リポート

本企画展の会場である山本二三美術館は、長崎県五島市に位置する背景美術専門の美術館です。
40年以上にわたって日本のアニメーションを牽引し、多くの名作の美術監督・背景アートを担当してきた山本二三氏が描いた背景画や、五島を描いたオリジナルの絵画などを展示しています。

▲山本二三美術館の門構え。江戸時代に建てられた武家屋敷を改修し、美術館として活用しています

作品の展示エリアに足を踏み入れると、サイゲームスのゲームをプレイしている方にはお馴染みの背景アートたちがずらりと迎えてくれます。

▲建物の雰囲気に合うよう、普段から展示には屏風型のパネルが使用されています
▲会場内には、実際のゲーム画面の仕組みを紹介するタブレットが設置されています

その他にも、フォトスポットや山本二三氏の制作環境が紹介されているアトリエなど、魅力あふれる展示となっています。

▲もともと美術館内に常設されている「空と雲の部屋」。山本二三氏が描いた空と雲に囲まれた空間で、映像を楽しむことができます

描き下ろしコラボレーションキービジュアル
制作者コメント

本企画展には、山本二三氏とサイゲームスがコラボレーションした2種類のキービジュアルがあります。山本二三氏が手掛けたキービジュアルは『グランブルーファンタジー』の世界観をモチーフに描かれており、サイゲームスのクリエイターが手掛けたキービジュアルは山本二三美術館がある五島の風景をモチーフに描かれています。
それぞれのキービジュアルについて、山本二三氏とサイゲームスのスタッフからコメントを寄せてもらいました。アートに込めた制作秘話や想いを、魅力が詰まったキービジュアルと併せてご紹介いたします。

■山本二三作『グランブルーファンタジー』のイメージアート

山本二三氏:サイゲームスが制作した「メインビジュアル」をベースに、私なりにアレンジして「騎空艇・グランサイファー」(※)を描いてみました。最初は引きの構図で雲をたくさん描いてみようかとも考えたのですが、そうではなくグランサイファーをぐっとアップにしてパーツの質感をしっかり描き、バックも大胆に変えてみようと思い直しました。天空の冒険のダイナミックな迫力を出したかったのです。
※ゲームを進めて艇を強化することで手に入れられるグランサイファー(Lv9)のデザインがモチーフとなっています。

バックは私が好きなイギリスのロマン主義の画家、ターナー(1775-1851)の絵の色合いなどを参考に、筆のタッチの勢いが残るように彩色してみました。また、青く透けている翼の表現は描いていて手応えを感じた部分です。 地塗りはアナログならではの一発勝負で緊張感がありました。細部を描く際はお箸を持つように筆とペンを持ち、軸となるペンを定規の溝に当てて支えとして彩色しています。
デジタルのように画面のズームはできませんから、細い線は細く描いています。時々、「虫眼鏡を使って描いているのですか?」という質問がありますが、使っていません。たとえば映画の場合、B4程度の紙に描かれた背景画を映画館ではスクリーンサイズまで拡大して見せることになるのですが、非常に大きく拡大されても粗が出ないようにするために細部まできっちりと描き込んでいくスタイルになりました。

▲キービジュアルの制作風景は動画でご覧いただけます

サイゲームスのみなさんが制作された背景アートのクオリティーは高く、クリエイターの方々が一生懸命に楽しみながら、苦しみながら描いているであろうことが伝わってきます。私も画業約50年の中で格闘するように絵を描いてきましたが、私の絵を見た人が昔こんなことを言いました。
「あなたの絵は隙がないですね」。
これはいろんな意味に取れる言葉です。完成度が高い、弱点が見当たらないとも解釈できます。しかし、絵には見る人が入り込むような余地や余白、風や空気の通り道のようなものが必要なのではないかと、近頃の私は思うのです。そういったことも意識してみると、また新しい表現の道が開けるのではないでしょうか。

■サイゲームス作『堂崎教会とばらもん凧風ドローン』

サイゲームス 作画担当:山本二三氏が描かれた五島の風景をリメイクした1枚で、「五島の豊かな自然」と「歴史のある教会」を描いています。その上で、山本二三氏の作品とは違う雰囲気を描けたらと思い、ライティングと陰影の表現を変えてみました。
雨が止み、空は晴れ渡り、明るい一筋の光が教会を照らすように差し込む……そんな雰囲気を感じていただけたらうれしいです。

背景アートのキーであるばらもん凧風ドローンは、山本二三氏から「五島伝統のばらもん凧(※)と、最新の技術であるドローン輸送」という魅力的な組み合わせのご提案をいただいて生まれたものです。

(※)五島地方の郷土玩具のひとつ。男の子の初節句に掲げ、強健な成長と立身出世を祈願する習わしがあります。

形状的に平面のばらもん凧を、立体のドローンとどう組み合わせるかで結構あれこれと悩みました。最終的には「らしさ」を優先して、ばらもん凧の独特で特徴的な絵柄を立体的に表現したものに未来風のドローン形状を合わせて、今のデザインに落ち着きました。
実際の五島の美しさを表現できていたらうれしいです。こういった貴重な機会をいただけて感謝しております。
本当にありがとうございました。

期間中いつでも、どこからでも!
VR展示も実施

今回、全国各地の方に展示をお楽しみいただけるように、公式サイトにVR展示を無料で公開しています。
バーチャル空間で美術館内を巡って作品を鑑賞することができます。

▲VR展示の様子
※展示物を許可なく複製・転載する行為は禁止されています

「Cygames 背景アート展」を少しだけお見せしましたが、いかがでしたでしょうか。
本展をきっかけに、さまざまな作品の世界観を作り出す「背景アート」により興味を持っていただけますと幸いです。 本展の山本二三美術館での展示は9月5日(日)まで (※) 、VR展示は9月6日(月)午前10時まで開催中です。
会場で、またはVR展示で、ぜひ美しい背景アートの数々をご堪能ください。

(※)新型コロナウイルス感染拡大により、山本二三美術館の開館時間が変更となっています。最新情報は山本二三美術館の公式サイトをご確認ください。

「Cygames 背景アート展」公式サイト(VR展示)はこちらから