プロジェクトを横断して基礎から応用までの力を養う UIデザイナー人材育成の仕組み

特定のサービスとユーザーの方々との接点となる部分を指す「User Interface(ユーザーインターフェース)」こと、UI。ゲームでは、画面レイアウトや遷移の動作など、ユーザーの方々が直接見たり触れたりする部分を指します。それらを設計・デザインするUIデザイナーには、ゲームへの没入感を高めながら手触りの良い画面にすることが求められます。

UIデザイナーの仕事については、こちらをご確認ください。

サイゲームスには、プロジェクトごとにUIチームがある一方、特定のプロジェクトには属さず、さまざまなタイトルでUIデザインを請け負う「UI本部」という組織があります。このUI本部は、プロジェクトを横断してUIデザインを制作するだけでなく、若手を一から育てる役割も担っています。

今回は、UI本部で研修を受けた若手デザイナーと育成を行ったUI本部担当マネージャーにインタビューを実施し、UI本部とはどんなところなのか聞きました。

インタラクションデザイナーチーム UIサイド サブマネージャーツヨシ
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コンシューマーゲーム会社やソーシャルゲーム会社を経て、2016年にサイゲームスに合流。『ドラガリアロスト』『Shadowverse EVOLVE』などの開発に携わり、UI本部ではチームの管理やメンバーの育成を担当している。
インタラクションデザイナーチーム UIサイドハルカ
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前職ではスマホゲームの運用業務を中心に、画像の制作や国内で運営されているゲームの海外版開発などに携わっていた。2020年にサイゲームスに合流した後、UI本部に所属。プロジェクトを横断したUIデザイン制作や、後輩の育成にあたっている。

プロジェクトのサポートと若手育成
UI本部の担う役割

まずはお二人がいる「UI本部」という部署について、どんな部署なのか教えてください。

ツヨシ UI本部は、UIデザイナーやアニメーションデザイナーが所属する「インタラクションデザイナーチーム」内の組織です。UIデザイナーは基本的に各プロジェクトのUIチームに専属で所属しているのですが、UI本部は特定のプロジェクトには属さず、タイトルを横断してデザイン業務を請け負う部署になります。特定のプロジェクトに所属していたUIデザイナーが新規タイトルのリリースなどを機に異動する際、次の配属先が決まるまでに所属する部署として、設立されました。

ツヨシ 各プロジェクトの繁忙期にヘルプに入ったり、会社の広告デザインやカンファレンス資料のデザインも作ったりしています。基本的には「デザインについて横軸で協力し合おうよ」という呼びかけの中心になっている機関です。今のスタッフは10名強で、約半数がプロジェクトのヘルプ業務に携わっています。プロジェクトのスタッフが一度本部に入ってから次のプロジェクトに異動することもあるので、流動的なチームです。業務の1つとして、若手や合流間もないデザイナーの育成もしています。

ハルカ 私はサイゲームスに合流した約1年前からUI本部にいます。基本在宅勤務なので、ツヨシさんとはいつもやり取りしているのに直接お会いするのは合流して以来の2回目です(笑)。

ツヨシ 言われてみればそうですね(笑)。

ハルカさんは前職ではどんなことをしていたのでしょうか?

ハルカ サイゲームスに合流する前は、4年ほどIT系の会社でスマホゲームの運用業務に携わっていました。小さい頃から絵を描くことやぬりえ、図工、ゲームが好きで、クリエイティブな仕事に就きたいと思っていたので、ゲームのデザイナーを目指していたんです。

前職で運用業務やデザイン制作に関わっていく中で、もっとデザイナーとしてスキルを磨いて成長できる環境に身を置きたいと思い、ご縁があってサイゲームスに合流しました。

UI本部に入ると、どのような育成制度や業務があるのでしょうか?

ツヨシ スキルが高い方には、UI本部に依頼が来た仕事にすぐに取り掛かってもらっています。まだ成長途中の方に関しては、基礎を教えながら本部で用意した課題から始めてもらい、実戦で活躍できるようになるまで数か月かけて育てています。入ってくる方のスキルもまちまちなので、1~2か月でプロジェクトへ異動する方もいますし、初学者の方は少し長い期間本部で教育を受けるというケースもあります。

ツヨシ サイゲームスのUIデザイナーは「絵を描く画力」「ゲーム画面の設計力」「Unityなどでの実装力」など幅広いスキルが求められます。スキルアップの第一歩としては運用タイトルのバナー制作からスタートすることが多いです。サイゲームスは「最高のコンテンツ」を目指しているので、ただ作るだけでなく最高のバナーデザインができるように育成します。その後はアイコンやロゴのデザインに挑んでもらい、ゆくゆくはゲーム画面のデザインやUnity実装に進んでもらうことが多いです。個人の職務経験やスキル、適性に合わせて教育のカリキュラムを組んでいます。

「デザインにはすべて理由がある」
UIデザイナーとしての思考づくり

ハルカさんはUI本部での育成を経て実際の業務を担当するようになったそうですね。育成期間中、ツヨシさんがハルカさんに教える際に工夫したことはありますか?

ツヨシ ハルカさんは前職でもバナーやロゴなどの制作経験がありましたが、感覚的になんとなくで制作していたところがありました。そこで論理的なデザインができるようになってもらうため、基礎的なデザイン知識や基礎画力をしっかり身に付けてもらおうと思いました。

オンラインで資料を見せながらデザイン知識や画力を学んでもらうことから始めて、次にその内容を意識して実際にデザインを作ってもらいながら、座学と実践をサイクルさせていくという流れでした。

▲UI本部の講義で使われるスライドのイメージ例。文字の配置・色の使い方など基礎知識から学ぶことができる

ハルカ リモートでもしっかり研修を受けられました。Cygames 佐賀スタジオ(以下、佐賀スタジオ)のスタッフもいますし、どこの拠点でも同じ水準の教育が受けられていると思います。

ツヨシ 最初、ハルカさんはグラフィックを描くのが苦手だと感じたので、まずはアイコンなど小さい絵を描くことからスタートしてもらいました。あとはデザインの引き出しを増やすため、できるだけ幅広い業務やタイトルを経験しながらステップアップしてもらう感じでした。

「デザインにはすべて理由がある」という言葉がある通り、「なぜこの配色なのか」「ここの空けたピクセル数はどういう意図なのか」などを聞くようにし、デザインへの意識を高めてもらえるように指導しました。

ハルカ 私の場合、デザインの基礎を学びつつ、実際にはゲームの中のTips画像(操作説明の一枚画像など)を作成するところから仕事を任せていただきました。いろんな運用タイトルのTwitterに掲載されるガチャの告知画像、イベント画像など、比較的フォーマットの決まった運用素材から作っていって、少しずつ難しい内容のデザインを担当していきました。

ハルカさんにとって大変だったことは何でしょうか。また、どんなときに成長を実感しましたか?

ハルカ 『Shadowverse EVOLVE』で、タイトルロゴを複数のデザイナーさんたちと一緒に60案以上出したときですね!(笑)。私も20案くらい出しました。

ツヨシ これは僕流のやり方ですね。量を出すことによってパッと思いつかないアイデアが出てきますし、それによってアイデアの引き出しも増えていきます。量を出した後、方向性を絞ってブラッシュアップしていくようにしています。

▲「UIデザイナー募集広告」の例。最初に量を出してからどの方向性にするかを絞っていくことで、意図が込められたクオリティーの高いコンテンツが出来あがる

ハルカ 非常に大変でしたが、デザインをする際に案出しは絶対に必要なので、引き出しを増やすための参考資料の探し方など基本的な部分を学べました。

スキルアップを実感したのは、過去に対応したものと似た業務を再度任された際に、フィードバックの量が減ったときですね。あとは、デザインが確定するまでの期間が前より短くなったことも、成長したなと感じます。依頼された仕事に関して、より良いものを提案して運用タイトルのスタッフが驚いて感謝してくださることもあって、やりがいを感じます。

ツヨシ ハルカさんの一番の強みはチャレンジ精神ですね。ハルカさんは未経験のことでも「やります!」と言ってくれます。初めてでも前向きに取り組む素直さや向上心があるので、UI本部のデザイナー像としては理想的だなと。新しい仕事をお願いするたびに成長しています。

ハルカ ありがとうございます!ツヨシさんが指導してくださったおかげです。私は裏でツヨシさんのことを「親方」「棟梁」と言っています(笑)。

ツヨシ そんな呼ばれ方してるの?……ショックなんだけど(笑)。

ハルカ 若手の私たちやUI本部のチームを引っ張っていってくれている、存在感や頼りがいのあるリーダーということです。いい意味ですよ!(笑)。

「優秀なデザイナーを輩出していく」
UI本部をデザイナーとしての成長の場に

UIデザイナーとして、ハルカさんの今後の目標は何でしょうか。

ハルカ サイゲームスでは高いクオリティーが求められるので追いつくのが大変ですが、今持っているスキルをより伸ばして、得意なスキルの「軸」を作っていきたいですね。特に、UIでも世界観を保つことや、説得力を備えた使いやすさを完成度高くアウトプットできるよう、「グラフィック」や「情報設計」のスキルをもっと確立していきたいです。

ただ、UIデザイナーはゲームの画面上に表示されているものすべてに関わることができる分、仕事の幅が広いので、最低限できた方がいいことがたくさんあって大変です……。

ツヨシ 「どこまでがUIデザイナーの業務か」は会社によって違うことが多いですよね。サイゲームスの場合は、画面設計、グラフィック、UnityやUEなどゲームエンジンの実装、アニメーションまでを担当することがあります。ハルカさんの言う通り、幅広い領域に挑戦でき、力を合わせて最高のクオリティーを目指せるのがサイゲームスのUIデザイナーの魅力の1つだと思います。

また、僕個人で思っていることですが、ディレクターやプランナー、エンジニア、デザイナーすべてのセクションに関わるので、プロジェクトの中心的なポジションでゲームを作れるのがUIデザイナーの魅力だと思っています。

ハルカ 確かに、UIデザイナーはそもそも活躍の幅が広いですよね。UI本部ではさらに各タイトルの特色や大事にしていることを学べるので、非常に贅沢な環境に身を置いているなと日々思っています。タイトルによって可愛さを追求していたり、かっこいいエフェクトにこだわっていたり。そういった点をすべて吸収できるのはUI本部という横断部署にいるからこそだと思います。

ツヨシ ちなみに、最近はハルカさんに「うちのプロジェクトに来てほしい」という要望ももらうようになりましたが、各プロジェクトの要望に合ったデザインを制作することや横断的な役割が得意なので、私からお願いしてUI本部にいてもらっています。

ハルカさんは、今UI本部で教育も担当していると聞きました。教育をする立場になって、気を付けていることはありますか?

ハルカ はい。リモートワークで直接会う機会が少ないこともあって、質問したいことや不安に思っていることを相談しやすい環境づくりと、親しげな印象を持ってもらえるように意識しています。新しく入ってきたスタッフが不安なまま仕事することがないよう、通話やチャットなどを使って丁寧な対応を心がけています。

ツヨシ UI本部はUIデザイナーの方が合流してまず所属してもらうことが多いので、「最高のコンテンツ」を目指すサイゲームスのデザインの基礎を培って、その後プロジェクトで活躍するようなたくさんのデザイナーを排出していきたいです。これからさらに「UI本部で教育されたデザイナーは優秀だよね」と言われるようにしたいなと思います!

ハルカ 今は10名ほどですけど、どんどんスタッフが増えていって欲しいですね。私も、後輩に教える立場でももっと活躍できるように頑張ります!

最後に、UIデザイナーを希望されている方にメッセージをお願いします!

ハルカ 繰り返しになりますが、UIデザイナーはゲーム中に表示されているすべてに関わることができる職業です。UI本部はジャンルも作るものも幅広く、やりがいが強く感じられますし、周りにいるデザイナーたちも、向上心があって成長意欲が強いスタッフばかりです。デザイナーとして成長したい方にとって刺激的で魅力的な環境なので、かつての私のように、そういう場所を求めている方にたくさん来ていただきたいなと思います。

ツヨシ 「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンのとおり、サイゲームスから世に出ているデザインはどれも最高のものを目指して作られています。そのため「自分にはハードルが高くて無理かな」と言われることも少なくありません。でもそんなことはなくて、本当に初心者のところから第一線で活躍するまで教育するUI本部という環境があるので、ぜひ門をたたいてほしいです。

それから、サイゲームスでUIデザイナーになるとき、絶対にUI本部の育成期間を経たりタイトルを横断した業務をしたりしなければいけないわけではありません。ゲーム開発の経験が豊富な方は直接プロジェクトに配属される事が多いですし、個人のやりたいことやできることを尊重して、希望に合わせて仕事を任せることもあります。

まずはお気軽に、オンライン個別相談会「Cygames Online Meetup」にご参加いただき、あなたのやりたいことを教えてください。みなさまのエントリーをお待ちしております。

以上、UI本部の業務や育成制度をご紹介しました。サイゲームスでは「Cygames Online Meetup」のエントリーを受け付けている他、一緒に働く仲間をお待ちしております。興味を持っていただいた方は、ぜひ下記のリンクをチェックしてください。

Cygames Online Meetup UIデザイナー/東京の募集要項

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