アニメ制作チームの仕事とは?ゲームの世界観をアニメでもっと魅力的に【サイゲームス仕事百科】

「アニメ制作チーム」は、サイゲームスの「イラストチーム」内のいち部署で、ゲーム内のアニメーション周りにおける監修・制作などを専門に担当しています。『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』を中心に、ゲームに登場するキャラクターをアニメパートとして見せることで、世界観やキャラクターの背景にさらなる奥行を与え、コンテンツをより魅力的に見せる役割を担っています。今回はこのアニメ制作チームの仕事について、マネージャー陣への取材を基に解説します。

ゲームの設定をアニメ用に“翻訳”
世界観をより魅力的に見せる

アニメ制作チームは、アニメ化に必要な設定資料制作から、アニメーションの監修、ゲームのストーリー内で再生されるスチルイラスト(セル風の1枚絵)、ストーリーイベントのエンディング(以下、ED)制作などを行っている部署です。
元々はイラストチームの中のアニメ業界経験者がアニメ制作時の世界観設定を行っていましたが、『プリコネR』のリリースに際した本格的なゲーム内アニメの制作に伴い、より高度なスキルを持ったスタッフが集まって2018年春頃に専門チームとして発足しました。
キャラクターを動かし、喋らせることによって、立ち絵や1枚イラストだけでは伝わらないゲームやコンテンツ自体の魅力を最大限に引き出すというミッションがあります。

アニメ制作チームの主な仕事内容

アニメ制作チームの業務について、『プリコネR』での業務を例に説明します。

1.ショートアニメの資料作成・監修

ゲームのストーリー中に流れるショートアニメを制作するため、外部の協力会社へ依頼する際の資料を作成します。
ゲームのイラストは一枚絵として見せるため、装飾や背景がリッチに描き込まれていることがしばしばあります。しかし、その描き込みをそのままアニメ化しようとすると、数百~数千枚と作画した際には毎回莫大な時間がかかってしまう上、作画の破綻を起こす可能性が高くなります。例えば、ゲームに複数のキャラクターが同じ部屋で戦闘する描写があった際、そのままのバランスで該当のシーンをアニメ化しようとすると極端に部屋が狭すぎる、といったズレが生じます。また、横顔、後ろ姿などはゲーム内に出てきていないこともあるため、設定を補完・調整する必要があります。このように、キャラクター・モンスター・武器・背景などをゲームの印象を損なわずアニメ化できるように調整・設定するための資料を作成しています。
その後、協力会社が作成したアニメーションへ、作成した資料をもとに適宜監修を入れながら完成させていきます。

2.スチル制作

キャラクターやストーリーのスチルイラストを制作します。発注書を元に、作画、演出、仕上げ、背景(一部)、撮影まで一通り社内で行います。スチルイラストは、ユーザーのみなさんの印象に残る「絵としての魅力」を出すとともに、より一層アドベンチャーパートに没入できるようなものを意識して制作しています。

▲スチルイラスト案出しの一例
▲完成版スチルイラスト

3.ED制作

『プリコネR』のイベントEDやメインストーリーのEDを制作します。ストーリーからコンテ制作、作画、演出、仕上げ、背景、撮影までを社内で行っています。

4.カットインの作画制作

ユニオンバーストの途中で流れるアニメーションは、インタラクションデザイナーチーム内のアニメーションデザイナーチームと連携し、作画・監修をお互いに実施しています。

他にも、SNS用の描き下ろしイラストやカウントダウンイラストなどの特別イラスト制作、TVアニメシリーズの一部デザイン協力などを担当しています。

以上の業務を、ゲームと同様、あるいはアニメオリジナルの設定のどちらにするのかを細かに確認・決定しながら、ゲームとアニメの世界を違和感なく滑らかに繋げていく役割があります。

アニメ制作チームの体制

アニメ制作チームは300名以上がいる「イラストチーム」の中の組織です。イラストチームのメンバーは大部分が各ゲームタイトルのイラストレーターとして振り分けられています。

アニメ制作チームは業務内容から大きく4つの班に分かれ、それぞれ専門的なスキルを使って業務を担当しています。

■美術班

コンテンツ全体のコンセプトを基に背景の世界観や小物に関する細かな設定を決め、美術設定・美術ボードを作成します。

■スチル・ED・カットイン班

前述のスチル・ED・カットインを制作します。作画・演出・仕上げをこの班で制作し、背景・撮影工程は美術・撮影班で行っています。

■撮影班

絵や背景など別々に上がってきた素材データを、原画担当が設定したとおりに合わせて一つの映像にします。さらにグラデーションやボカシなどを掛け、ユーザーのみなさんが実際に目にする最終的な映像に仕上げます。

■ショートアニメ班

アニメの設定資料を制作する他、全体監修、中間監修、演出・コンテ、色彩・仕上げを担当します。

以上の四つの班を束ねているのが、プロジェクトに配属されたイラストチームのチームリーダー、サブリーダー、アートディレクターです。一般のアニメ制作会社では「監督」がアニメ制作の最終的な決定権を持ちますが、サイゲームスのアニメ制作チームではゲームのディレクターやプロデューサーが最終的なチェックを行います。

アニメ制作チームの業務/制作フロー

続いて、アニメ制作チームの業務フローを紹介します。制作物によってフローは変わりますが、ここでは毎月末に開催されるストーリーイベントのショートアニメ制作を一例としてご説明します。

1.企画立ち上げとプロットの確定

ストーリーイベントの企画が固まった後、イベントに登場するキャラクターやテーマなど大きなシナリオの方向性を確認し、各セクションにどのような作業が必要か検討します。その後イベントのプロットが確定し次第、ストーリー中でアニメ化する箇所を決定します。

2.設定・デザインイラスト制作

プロットの中でアニメ化する箇所が決まったら、アニメに登場させるキャラクター、モンスター、背景、武器をピックアップし、イラストチームでデザインや資料を作成。アニメに出るキャラクターなどはゲーム内立ち絵も優先的に作成します。

例えば、ゲーム内では1枚絵で表現されている背景も、アニメ化する際は建物の構造や周りの様子などを含めた設定が必要です。特にモンスターは資料を重点的に作っています。

3.絵コンテ・作画発注

設定資料とイラストができたら外部の協力会社に絵コンテの制作を依頼します。レイアウトが出来上がったら演出チェックを行います。協力会社から納品された成果物が資料どおりになっているか、また表情や動きは設定や演出に沿っているかなどを監修し、フィードバックを伝えて調整します。

4.彩色・撮影処理

出来上がった動画に色を着けます。キャラクターの設定を守るだけでなく、そのシーンの天候や時間、舞台、キャラクターの心情などを反映させながら着彩し、アニメの全体的な雰囲気を定めます。その後、撮影班が動画や背景などの素材データを全て合わせ1つの映像にした上で、グラデーションやボカシなどの処理を加えていきます。

5.実装・公開を確認

チームリーダー、アートディレクター、ディレクター、プロデューサーなどの承認を得たら、実装、公開へ進めて完了です。

細かな工程間でも擦り合わせやチェックが入るため、伝達のミスが起こらないよう、通話で会話した内容でもログとしてメモを残し、社内外の担当者と共有するようにしています。

アニメ制作チームのスタッフに
求められるマインドとスキル

絵を描くことが好きだという気持ちはもちろん、ゲーム会社の中のアニメ制作だからこそ必要な考え方もあります。ここでは、アニメ制作チームに求められるマインドやスキルについてご紹介します。

■現場のことを考えられる想像力と柔軟性

アニメ制作チームは、アニメとゲームの制作現場を繋ぐ架け橋のような役割を担っています。両方の現場の状況を考慮したり、先んじて起きそうな食い違いを防いだりできる想像力、そしてより良い落としどころを見つける柔軟性は非常に大事な能力です。

■伝えたいことを言語化できるコミュニケーション能力

演出面の監修は、これから作る制作物に対して未確定の情報を基に抽象的な依頼をする場面もあります。いかにフィードバックや修正のやりとりを少なくできるか、正確に相手に伝えられるかということが鍵になるため、上手く言語化して伝える必要があります。また、制作物を高クオリティーにするため、チーム内でのコミュニケーションも欠かせません。

■世のトレンドにアンテナを張る力

アニメ制作チームの業務は「言われたとおりにやる」よりも「どうすれば良い表現になるか考え、提案していく」ことが必要です。例えばEDアニメは自分で絵コンテから作画のテイストまでを決めることができます。そのため、イラストやアニメに限らず最新のトレンドを常にインプットし、アニメにアウトプットできると大きな強みになるでしょう。

アニメ制作チームの仕事のやりがい

アニメ制作チームは、どのようなアニメを制作するとユーザーのみなさんが喜んでくださるかを常に考えて制作をしています。「ここを見せ場にしたい!」と思ったシーンを、ユーザーのみなさんがSNSでコメントをくださっていたり、動画や配信で触れていただいたりすると、演出の意図がユーザーの方々に伝わったと感じて非常にうれしく、やりがいを感じます。また、ストーリーの要を汲んだイラストを制作して、シナリオやチーム内のスタッフなどから喜んでもらえたときもうれしいです。

『プリコネR』は2023年2月でリリースから5周年を迎えましたが、長く続くコンテンツだからこそ守るべき設定や世界観もある一方で、これまでにない新しい要素を取り入れたアニメを作るための試行錯誤が必要です。そこを乗り越えて大作が完成したときや、自分が提案した演出が採用されたときにも、大きな達成感を感じます。

アニメ制作チームのキャリアパス

アニメ制作チームは約9割のスタッフがアニメ業界出身です。前職はアニメ制作会社のスタッフがほとんどですが、中にはゲーム制作会社から合流したスタッフもいます。

専門的な知識と経験が必要なため、基本的には経験者を採用していますが、過去には中途で未経験の方を採用したこともあります。その場合は一人ひとりのスキルに合わせて、イラスト強化講座を受けていただいたり、練習用の素材などを使って基礎を学んでいただいたりした後、業務に携わってスキルを付けていくことになります。

キャリアとしては、スペシャリスト、シニア、リーダー、アートディレクター、マネージャーなどがあります。アニメ制作のスキル・知識を磨いて周りに教えるチーム内講師になることもでき、CEDECなどの外部イベントに登壇する機会もあります。

アニメ制作チームを
目指す人へのアドバイス

サイゲームスのアニメ制作チームでは、社のビジョン「最高のコンテンツを作る会社」が掲げる通り、必要機材の手配から福利厚生まで、クオリティーを追求するための環境が整っています。

採用面接では、募集しているポジションのスキルに見合っているかどうかに加え、人柄も大きく考慮しています。「マインド・スキル」で挙げた通りコミュニケーション能力を重視しているので、人とお話することが好きな方、また発信力のある方は大歓迎です。また、面接ではサイゲームスに入りたいと思った理由を聞いています。なぜゲーム会社であるサイゲームスを希望したのか、どんなことにモチベーションを感じて仕事をするのかといったことについて、詳しく教えてください。「チーム一丸となって良いアニメを作っていきたい!」という意志のある方のご応募をお待ちしています。


以上、アニメ制作チームの仕事についての解説でした。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

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