挑戦的な作品多数!「サイゲームス クリエイティブコンテスト2023」結果発表 「審査員賞」「学校賞」編

2023年9月~11月、サイゲームスは次世代クリエイターの育成を目的に、学生を対象とした「サイゲームス クリエイティブコンテスト2023」を開催しました。
応募総数は過去最高である3629点となり、「キャライラスト部門」「背景イラスト部門」「3DCG部門」「ゲームコンテンツ部門」「広告・映像・衣装デザイン部門」「高校生部門」の6部門へ、非常に多くの作品をご応募いただきました。
「大賞」「部門賞」作品のご紹介に続いて、本記事では入賞作品に次ぐ優れた作品として入選した「審査員賞」「学校賞」作品をご紹介します。

「サイゲームス クリエイティブコンテスト2023」公式サイト
次世代クリエイターの育成を目的に、サイゲームスは学生を対象としたクリエイティブコンテストを開催。最高のコンテンツを全国から募集しました。

クリエイティブコンテストの公式サイトでは、作品をより大きな画像でご覧いただけます。ぜひ上記リンクからご鑑賞ください。


Cygames デザイナー本部 副本部長 デザイン3部部長ジュン
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Web制作会社を経て、2012年合流。アニメーションデザイナーとしてゲーム制作に携わり、以降はデザイナー部副本部長・アウトゲームの管轄であるデザイン3部部長職を務める。また、採用企画室・佐賀スタジオの管轄も担当。
Cygames デザイナー本部 デザイン制作室 マネージャーマコト
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Web制作会社にてWebプロデューサー・ディレクターとしてのキャリアを経て、サイゲームスには2013年に合流。広告制作を担うデザイン制作室のマネージャーを務める。Web・広告制作の他、イベントの企画制作にも携わり、2023年から「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営にも参加。
Cygames デザイナー本部 デザイン推進室 アシスタント室 マネージャーナツキ
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書籍の出版販売会社の営業を経験した後、サイゲームスには2017年に合流。デザイナー部の部署アシスタント、役員アシスタントを経て、2022年にデザイナー推進部アシスタント室のマネージャーに就任。デザイナー部内のイベント運営や社外向けカンファレンスの登壇サポートチーム総合事務局を担当している。「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営には2023年から参加。

審査員賞(8名)

▲『午後3時』

ペンネーム:ひょびさん
暖かい日差しを浴びながらパイを食べるキャラクターたちを描きました。

家主は右側の男性キャラクターです。西洋ファンタジーの世界に住んでいるキャラクターで、道に迷っていた化け狸ちゃんを自分の家に招待しました。

男性キャラクターは目の不自由な人です。村に似合わない格好をしているたぬきちゃんを気兼ねなく受け入れてくれたのは、そのためでもあります。

お互いに気兼ねなく、「お互い」として向き合うことができる彼らが一緒に笑う絵を通して、作品を見る人の心も温かくなることを願いながら描きました。

『午後3時』はどのような点を評価しましたか?

ジュン 柔らかい雰囲気の作品ですね。難しいアングルを収めつつ、細かいキャラクターの動きや昆虫などの表現も非常にしっかりしていました。

ナツキ 食べ物や衣装、小物をしっかり観察して描いていますよね。キャラクターだけでなく周囲のものをきちんと描いて魅力的な要素を増やしている点が、審査員の中でも評価が高かったです。

マコト 陽の光や色使いが印象的かつキャラクターの表情が穏やかで、ほんわかした雰囲気で目を引いた作品でした。一方で描かれているキャラクターの設定などは作品の解説を読まないと伝わりにくい部分があったので、その要素も絵で強く印象付けられていたらより評価が上がったかなと思いました。


▲『Sisters』

ペンネーム:こおりばこさん
人形の三姉妹が自分たちの妹を作るお話です。三人はそれぞれの方法を用い、協力して一人の妹を作ろうとします。いったいどんな妹が完成するのでしょうか?
縦読みのWebマンガ調にし、スマホなどの媒体で読みやすいように制作しました。

『Sisters』はどのような点を評価しましたか?

ジュン 縦読みのWebマンガのフォーマットの活かし方が秀逸な作品ですね。キャラクターのデフォルメやお話も、スマホで閲覧しやすい縦読みマンガと従来の日本らしいマンガを上手くブレンドして独自の世界観を構築していました。今回の受賞作に多かった「挑戦」をしている内容であったことも評価のポイントです。

ナツキ この方は、自身の表現したいものが一枚絵では難しいことから初めてマンガ制作に挑戦されたそうです。やりたいことに適切な表現方法を当てていこうとする挑戦と本人のインプットがうまく噛み合った結果、すごく良い作品に仕上がっているなと感じました。

マコト キャラクターもかわいらしいし、セリフではなく目線で誘導してストーリーを語っていく、縦読みのコマ送りがしっかりできていますね。内容が練られてきちんとオチがついているのも感心しましたし、非常に穏やかな気持ちで読み進めることができました。


▲『魔女と弟子』

ペンネーム:堤渉さん
現代を愛する魔女・スミレと見習い魔女・アカネ。スミレはアカネに薬草学の授業をしているのか、はたまた一緒に悩んでいるのか……
東京のとあるマンションの一室で紡がれる、あべこべで平和な日常の一コマを描きました。

『魔女と弟子』の講評をお願いします。

ジュン  こちらは女性スタッフからの評価が非常に高い作品でしたね。

ナツキ 日常を切り取った中で2人のキャラクターが際立っていて、関係性が気になる、続きが見たいなと思わせるイラストですよね。キャラクターデザインの素晴らしさが評価に繋がったと思います。

マコト シンプルな中にしっかりとした世界観がありましたね。二人の女性の対比を上手くまとめていて、何気ない雰囲気でありながら心に残る作品でした。


▲『AS-I ROCKET INTERCEPTOR』

ペンネーム:airuさん
外気圏外から飛来する航空機や宇宙船を迎撃する航空宇宙機をコンセプトに制作しました。

『AS-I ROCKET INTERCEPTOR』はどのようなところを評価しましたか?

マコト 近未来SFの世界観を随所に織り込んで作り込まれた3D作品です。一枚絵としても3Dとしてもきちんと成立していて、実在感を感じますよね。シンプルにかっこよさを感じました。

ジュン 雲の表現をここまでシンプルにはまとめるのは非常に難しいのですが、これは上手く表現されていますね。機体にフォーカスを合わせるために絵画的な表現と現実の雲の表現をミックスしながらシンプルな意匠を込めていて、見栄えを重視した内容になっていると感じました。

ナツキ 作業員の背中が印象的でした。リアリティがある立ち姿、座り姿で、対象をよく観察されているのがわかります。機体の整備や整備士さんの姿も含めて飛行機が好きなのが伝わってきて、好感が持てました。


▲『In the morning』

ペンネーム:ひとり写真部さん
飼い主とトカゲが過ごす朝の穏やかな時間をZbrushとMayaで作成しました。

『In the morning』の講評をお願いします。

ナツキ 爬虫類のアップが非常に丁寧にかわいらしく描かれている作品だと思いました。描かれているヒョウモントカゲモドキについて、作者の方はペットショップで見せてもらったりSNSで検索したりして、個体を識別できるくらいに観察されたそうです。

マコト これも3Dの作品です。トカゲの皮膚と人間の手の質感をきちんと差別化して、それぞれがしっかり成立していると感じました。人間の指や爪のディテールはもうちょっと作りこんでもよいのかなと思いましたが、全体的にはしっかりとした観察が作品に反映されていますね。


▲『Hack』

ペンネーム:いいちこさん
突破口はヒトのなかに!!NPCを乗っ取って攻略していくパズルアドベンチャーゲームです。
主人公はヒトの体を乗っ取る力を持っています。乗っ取ると、そのNPCの特性の力が使えるようになります。自分では解決できない問題を、NPCの力を借りて突破していきましょう!
この作品は大学の進級制作に向けて私が初めて作ったゲーム作品です。企画、シナリオ、2D・3Dデザイン、イラストレーション、モデリング、プログラムをほとんど一人で行いました。
歩いているだけでも楽しいと思ってもらえるよう、アートワークにはこだわりました!
NPCとの小気味良い会話も見どころです。ぜひお気に入りを見つけてください!

『Hack』はどのような点を評価しましたか?

ジュン 選考で意見が分かれた作品で、世界観を熱狂的に好きになる審査員もいました。現代風の舞台で、かつゲーム好きを引きつける魅力があり、弊社の3DCGやインタラクションデザインなどを取り扱うテクニカルアーティストチームの支持を多く集めた作品です。

マコト 私はまさに熱狂的に支持した側ですね。ゲームの精度としては荒削りな面が見られるものの、3D背景の中を2Dのキャラクターが動く世界観や手書き風の吹き出しなどの魅力が非常にマッチしていて、もっとこの世界を広げてほしい!と、かなり気に入ってプッシュしました。


▲『MOG』

ペンネーム:AMAさん
このゲームは童話『赤ずきん』をモチーフに制作した横スクロールゲームです。小さな主人公が障害物を乗り越えて目的地まで辿り着く、というシンプルな目的のゲームで、暗闇と光を意識して設定を練り、制作しました。制作人数は主に2人で、キャラクターデザイン/モデル制作/モーション制作の担当と、レベルデザイン/背景モデル制作/ゲームエンジン実装の担当で分け、制作しました。またその他に制作協力として、オープニング/戦闘/エンディングの3曲のBGMを制作してくださった方、エンジン実装の協力をしてくださった方がいます。Mayaでモデリングとアニメーション、SubstancePainterでテクスチャを制作しました。ゲームエンジンはUnreal Engine5を使用しています。

『MOG』の講評をお願いします。

ジュン こちらも意見が割れた作品ですね。世界観に入りやすいゲームシステムで作品テーマとの親和性が高い。良い意味で自主制作のゲームの王道的な作品だと思います。非常にこなれていて、ゲーム内でできることと自分がやりたいことを取捨選択しながら仕上げているなと感じました。

マコト この方は、制作したいものや目指す世界観を企画書にまとめた上で実際にプレイできるゲームやプレイ動画まで提出していて、きちんと一貫してクリエイティブを制作していたところを評価しました。ゲームの世界観としてはオーソドックスではあるものの、かわいらしさやオリジナリティーもあり、トータルでバランスが取れていた作品ですね。


▲『朝ごはんまで残り時間5分』

ペンネーム:バチオさん
家族の家事を担当する会社「ハウスヘルパーパンダ」の家政婦ヒャヤさん。彼女が朝から忙しい中で家族への朝食を準備するシーンをイラストで表現してみました!ヒャヤさんは会社内でもエリートと呼ばれるほどに鋭くて敏感な人物です。しかしながら、業務電話と朝ごはんの両方を同時に処理しようとすると大変ではないでしょうか?完璧さを求めるヒャヤさんは、いつもの慎重な姿勢を崩して右往左往することになります。

『朝ごはんまで残り時間5分』はどのような点を評価しましたか?

ジュン ラフからこの構図がばっちりと決まっていて、今回応募された作品の中では特にデータがきれいでした。全体的に硬く表現している一方、炎は柔らかいアナログのテイストを用いたアプローチで、対比として非常に秀逸です。単純明快なイラストですが、ここまで明快に示すことは本当に難しい。大胆かつ繊細に考え抜かれていて、イラストの中で特に勢いがあった作品でした。

マコト 絵柄そのものは決して万人受けするタイプではないものの、タッチの勢いや画面内の各要素の動き、描かれている鍋と食材などモノの描写が上手く合致していますよね。パッと見ただけでもインパクトがあり、審査員からも「心に残った」との声が多く上がっていた作品です。

ナツキ 本当に動き出しそうなイラストですよね。色使いもきちんと自分のトーンにしていて、着彩も上手いと思いました。そして、ごはんがおいしそう。食べ物はおいしそうに描けるかどうかが大事で、このイラストは見ていてお腹が空いてくるものでした。

審査員賞の作品全体で特徴はありましたか?

ジュン 独創性が高い内容になったと思います。技術的に未達の部分はあれど、チャレンジ精神や個性を審査員が評価して、応募作品全体の中でも大きな挑戦をした方が受賞しました。

学校賞(10名)

▲左から『河童つき』『天狗愚者』『鬼の力』

マしマさん(バンタンゲームアカデミー東京校)
私はタロットカードの愚者、月、力にモチーフとして三大妖怪を添えて
キャラクターをデザインしました。このキャラクターは敵陣三人衆を想定していて
色んな背景を抱えてる敵キャラならではのどことなく寂しい雰囲気や、
チームの中での関係性を考えてダークで生々しい表現にこだわりました。
この世界にどんなストーリーがあるのか一歩踏み込みたくなる魅力が出るように制作しました。

『河童つき』『天狗愚者』『鬼の力』3作品の講評をお願いします。

ナツキ 「このシリーズをもっと見たいな」と思った作品でした。怪しさを感じる妖怪のデザインで、色使いも独創性にあふれていて目を引きます。タロットについてもよく研究していて、設定がしっかりしています。

マコト 私も非常に魅力を感じた好きな作品でした。タロットカードという切り口から和風の妖怪を描いていますが、タロットのテイストはニュアンスにとどめつつ、自分の絵柄で作品を成立させている。イメージをきちんと形にする力を持った方だと思いました。キャラクターが身につけているもののデザインにも技術力の高さが見え隠れしていますね。


▲『審判』

ペンネーム:リチンヤさん(バンタンゲームアカデミー東京校)
私はタロットの大アルカナ「審判」をテーマにしております。
正位置のもつ、復活、覚醒、およびカードの音で審判を伝えることをキーワードに、神聖なグリフォン亜人の少女を描きました。
このキャラクターの構築について、「審判」のタロットカード自体が神聖で宗教的な感覚があります。
そこからグリフォン、ドラゴンなどの神聖なファンタジー生物を思い浮かべました。
同時に「音で審判を伝える」という点を具現化するには、歌声で審判を伝えるという発想に至り、歌で旅人を誘惑するセイレーンを考えました。
これらを組み合わせて【審判】が誕生しました。
神聖な印象をさらに出すために、配色に白と金色を選び、そしてキャラ足部と手首に金属の装飾品を追加しました。
また、デザインの意図をわかりやすく伝えるため、キャラクターが高く舞い上がり、歌声で審判をもたらす動きをデザインしました。

『審判』はどのような点を評価しましたか?

ジュン この方から何点か応募いただいた中で、自身の作風を理解しつつ100%の力で表現していたのがこの作品でした。キャラクターは上半身の露出の多さをあまり意識させない作りになっている点が技術力の高さを感じますね。

ナツキ 上半身と下半身で異なる生き物のドッキングに違和感がなく、非常に丁寧に描いている作品だと思います。女の子の髪をグリフォンに近づけるなど、色使いにも統一感があって工夫されていると感じました。

マコト 確かに、しっかりモンスター感のある絵になっているおかげで、人間的な造形の印象が上手く薄れていますよね。王道の絵柄ではありますが、自分の目指したいものや好きなものを理解して研究した上でイラストに落とし込んでいる印象を受けました。


▲『さくらノスタルジック』

もちもちうささん(バンタンゲームアカデミー東京校)
ゲームを作るという企画で、わたしは1番すきなジャンルである少し古めのギャルゲーを考えてみました。
主人公の小春ちゃんがこの旅館に入って、新米仲居として日々色々なお客様や仲間たちと交流し、たくさんのことを通じて成長していくような物語です。
主人公の小春ちゃんは、みんなに親しみやすくなってもらえるような設定やデザインを考えて描いてみました。
小春ちゃんのモチーフは桜と春で、他のキャラクターもそれぞれ花や季節をモチーフにして描きました。
自分がこの絵をみたときに、手にとって本当にやってみたいと思える絵や設定を目指して描いてみました。
まだ改善できるところもあると感じているため、これからもっと高みを目指してがんばろうと思います。

『さくらノスタルジック』の講評をお願いします。

ジュン 何度か学校訪問をしてフィードバックをさせていただいた方です。その中で、いわゆる2000年代のギャルゲーと呼ばれるものを自分の手で作りたいという明確な強い意志があり、「であれば、こうしたほうが良い」とアドバイスしたところ、それをちゃんと反映して制作してくれました。そういう意味で、学校賞の選考の仕方を考えさせてくれた作品です。作りたいものがはっきりしているからこそ、非常に細かく研究してこの画面を構築できたのだと思います。

マコト 作者の方が非常に粘り強くフィードバックにも対応して、最後までやりきったことが評価に繋がりましたね。きちんとステップを踏んでレベルアップしていく成長が見られたという点でも印象に残りました。


▲『Let’s eat!』

ペンネーム:鳥フさん(京都芸術大学)
ソーセージランドに捕らわれたプレイヤーが、敵から逃げつつ出口と家族を探すホラーゲームを想定してキャラクターデザインを制作しました。
この作品の世界観はソーセージをモチーフにしているので、怪物のデザインもソーセージの製造工程をデザインに取り入れています。
人は最初に顔を注視する傾向があり第一印象がそこで決まると言われているので、どのキャラクターにも「この怪物になら襲われたい」という思いで描きながら、顔を印象的にした忘れがたいデザインを目指しました。

最後に制作過程の話になりますが、最初にホラーゲームのキャラクターデザインを考える上で世界観も大切ですが、土台としてのゲーム性について考えました。
このゲームの特徴はソーセージを使い体力を温存するためにソーセージを「食べる」事と、ソーセージをスリングショットの弾として撃つ「狙う」動作が面白い要素です。
攻撃力が弱いソーセージが武器である状況があれば面白そうだという考えがキッカケで、ソーセージをモチーフにゲーム性や世界観、メインであるキャラクターデザインを制作しました。

『Let’s eat!』はどのような点を評価しましたか?

ジュン この作品は学校側の都合もあり、一度7月時点で完成したものが応募されていました。そのときはキャラクター設定とコンセプトアートの2枚だけだったのですが、その後の応募期間中に追加要素が送られてきたんです。それがいわゆる「人外」キャラクターのダークな個性を掘り下げた非常に独創性に富んだ内容に仕上がっていて、独特の世界観を広げられたことが受賞に繋がりました。

マコト 要素の追加で世界観に奥行きが感じられ、魅力が増した作品ですね。それに加えて、やはりモノを作る上では見る側にわかりやすいように深掘りして、魅力を広げる努力が大事なんだと改めて思い至った作品でした。結果、絵柄や世界観なども含め、非常に好きな作品になりました。


▲『お土産』

ペンネーム:田中憩さん(福岡デザイン&テクノロジー専門学校)
たくさん旅をして、たくさんのお土産に思いを馳せる、そんな少女に憧れて描いた作品です。旅の思い出を眺める少女は、感受性豊かで、色んなことに興味を持って、人生をめいっぱい楽しんでいるイメージで描きました。
「旅の思い出を振り返る少女」になるように、ジオラマのような小さい世界をゆったりとした雰囲気で眺めている構図にしました。

『お土産』の講評をお願いします。

ジュン 地図のようになっている部分は、どれだけ拡大しても描かれている世界が破綻していないのがこの作品のすごいところですね。よく見れば見るほど、建物の中で誰かが寝室にいるような描写など、絵の中で人が息づいているのがわかります。ただ、もう少し描き込んでもよかったのでは……という気持ちもあって、「惜しい」と強く感じる作品でもありました。

ナツキ 発想や構図は素晴らしいですし、世界観も作者ご自身のトンマナときちんと合っていますよね。より密度の濃い描き込みがあれば大賞を取れたかもしれないレベルだったと思います。

マコト 要素の詰まった世界を表現するのは技術があってこそできることで、この作品は拡大するほどに「こんなところにキャラクターがいる!」と様々な発見ができて面白かったです。それだけに、もっと作りこまれたものを見たい!という期待も生まれましたね。


▲『渦巻の魔女』

ペンネーム:灯籠AndreTownさん(宝塚大学)
「忘れられた歴史」と「渦巻」という二つのテーマを組み合わせたオリジナルキャラクターです。
更に「神話」と「宗教」の要素も取り入れ、独特な神秘性を表現することに挑戦しました。
これからも人の心に響き、創造力を掻き立てる作品を描きたいです!ありがとうございました。

『渦巻の魔女』はどのような点を評価しましたか?

ジュン 別の作品で10月度の月間賞を受賞された方で、技術力は非常に高い。この作品も他に引けを取らないクオリティーになっています。ただ、人体のひねりが強いことが構図として気になってしまいました。

マコト 帽子が塔になっていたりキャラクターの周りの要素も塔の一部になっていたりと、緻密に描き込まれていてアイデアも豊富な、全体的にハイスペックな作品だと思います。人体のバランスが特徴的すぎるかな?という点はあるにしても、非常に目を引かれた作品ではありました。

ナツキ 色使いが本当にきれいですよね。タイツの質感や装飾品なども工夫して描かれているんですが、これらは頭の中に発想がないと描けないと思うので、インプットをかなりされている印象を受けました。


▲『パレット』

ペンネーム:三谷 紗月さん(安田女子大学)
最近のゲームでよく見られる簡単な操作でキャラクターを動かせるスマホゲームではなく、戦闘手段を自分で選んだり考えたりする細かな作業が可能なコンシューマーゲームを想定して製作しました。
絵の具という現実で身近なものを使用して魔法を繰り出すファンタジーRPGです。
ボタン操作で絵の具を調節し、スティックで筆の動きを操作する半アクションをイメージして作成しました。
誰でも使ったことのある画材が魔法の道具になる、ありそうでない世界を旅できるゲームです。

『パレット』はどのような点を評価しましたか?

マコト キャラクター紹介の応募は今回も多数いただきましたが、中でもこの方はキャラクターの表情やアクションなども含めて雰囲気や個性をしっかり作っていて、それが評価ポイントになりました。

ジュン 女の子の笑っている感じやキャラクターを活き活きと表現しているところで技術力が出ていますね。かわいらしい部分が引き立っていて、荒削りではあるもののキャラクターメイクのセンスが光っていました。


▲『人間未満!』

ゆずのみさん(九州産業大学)
「人外の生徒たちが課題をクリアして人間になる」をコンセプトとしたオリジナルゲームのCMと、ゲーム内ストーリーをまとめたPVを作成しました。作品の共通テーマは「卒業」です。PVの方では、普通でない高校生達のありきたりな日常を卒業まで描きました。また、私自身、コロナ禍により学校行事が全て無くなってしまったことが心残りだったため、学生達には目一杯青春を楽しんで欲しいという思いを込めています。

『人間未満!』はどのような点を評価しましたか?

マコト 作成された方自身が「こういうものがすごく好きなんだろうな」と強く感じさせる作品でした。好きなものを形にして応募される方は多いのですが、この方はその「好き」を突き詰めてPVを複数作り、しかも異なる登場人物やパターンも描くなど、かなりの物量の制作をしっかりとやりきったことが力になったと思います。作品によって仕上げにムラを感じた点など惜しい部分はありますが、埋もれるにはもったいないということで賞に繋がった作品です。

ナツキ よりブラッシュアップしていけたら、部門賞に届く作品ではあった気がします。いつの時代でもティーンエイジャーに支持される「学園もの」のコンテンツで、流行を抑えつつ自分のやりたいことを突き詰めて何本も作品を出していて、とてもガッツがある方だと思いました。


▲『キャラクターデザイン : オン・ジャラ』

パドさん(京畿藝術高等學校)
傘とコオイムシという素材を合わせてデザインしたキャラクターです。可愛いグラフィックのゲームの主人公で企画したため、デザインどんどん簡略化して、可愛さを感じられるように修正しました。

『キャラクターデザイン : オン・ジャラ』はどのような点を評価しましたか?

ジュン 2Dイラストを手掛けるチームをはじめ、クリエイターからの評価が非常に高かった作品です。万人受けするタイプではないものの、このキャラクターをここまでまとめたセンスは計り知れない部分があります。学生さんでここまでできる方はなかなかいないと思いますし、テーマに愛情を持って接し、形にした点も大きく評価されました。

マコト まず、「これってなんの虫ですか?」と言われそうなニッチなモチーフを選んだ着眼点が面白い。そして、メインキャラクターの「発展過程」を見ていくと、リアルなアプローチからどんどんブラッシュアップして方向性を定め、最終的に愛らしい形に着地していて、作者の想像力の振り幅に感動しました。

ナツキ キャラクターもさることながら、ゲーム背景も雰囲気があって良いですね。高校生でこのコンセプトをここまで描ける方は本当に稀有だと思います。決してとっつきやすくはないコオイムシでキャラクターとしての魅力を極限まで引き出し、かつコミカルに落とし込んでいるのがとても素敵だと感じました。


▲『ネズミのチーズ配達員』

ペンネーム:RyWさん(佐賀大学)
姉妹で配達業を営んでいるベルナとセリナのキャラクターデザインを制作しました。見る人がキャラクターに対する理解を深められるよう、表情差分やキャラの特徴を抑えたSDイラストなどを詰め込んでいます。

『ネズミのチーズ配達員』はどのようなところが評価されたのでしょうか。

ジュン これはまったくの偶然なのですが、よく考えると受賞者の方が在学している大学から去年もバイクで配達するキャラクターの作品が受賞していて、「大学でこのモチーフにこだわりがあるのかな?」と思ってしまいました(笑)。それはさておき、キャラクター紹介の表情などが圧倒的にかわいらしかった作品ですね。女の子の魅力が非常に良いかたちで表現されていて、何よりバイクに乗っている活き活きとした感じが伝わってきました。

マコト パッと見て「かわいいな」という印象が残るのが良いですよね。1人は明るく押しが強そうで、もう1人は内気な感じ……とキャラクターがわかりやすく、一枚絵になってもそれが崩れていない。説明を読まないと個性が把握しづらい応募作もあった中で、この方は見ただけですっと腑に落ちる感じがありました。

ナツキ シンプルにイラストのスキルが高いですし、キャラクターの描き分けも非常に対比が効いていますね。一枚絵の表情の差や構図の差、ポーズの違いが明らかで面白いと思いました。

今回の学校賞は、どのようなものになりましたか?

ジュン 大賞や部門賞、審査員賞とは違うベクトルで選出されていることが、非常にはっきりとした賞になりました。今回の結果を見て「自分も入賞できるかもしれない」と思う学生さんもいらっしゃるのではと思います。我々が実際に学校に行かせてもらい、様々なかたちで活躍する学生さんを選出している賞であり、この部門のみ学校名も表示されますので、まだ応募されていない学校の方々もぜひ応募していただけたらうれしいです。

コンテスト全体の振り返り

あらためて、「サイゲームス クリエイティブコンテスト2023」の総評をお願いします。

ジュン 今年は想像を大きく超える力作が来ることを期待していましたが、実際、受賞作はすべて想像を超えていました。「クリエイティブコンテストではこのレベルが当たり前」と言えるほどに、審査する我々も自信を持って紹介できる内容に到達してきたなと思います。

マコト 昨年を上回る応募数、しかも熱量の高いものが多かっただけに審査が難航しましたが、最終的には「好き」を突き詰めながらしっかりと見る側に伝わるように仕上げた方が評価されたと感じています。「好き」だけでなく「伝えたい」マインドはやはり重要なので、今後応募する方はそれを意識してもらえたらうれしいですね。次回も我々がよりいっそう選考に悩むような優れた作品に出会いたいです。

ナツキ クオリティーが高い作品を作る方や全力をぶつけてきてくれる方が多数いました。だからこそ毎年受賞のハードルは上がっているように思えますが、自分のやりたいことを追求していかに表現しているかを審査員は見ていますので、来年挑戦する方は、審査ポイントを理解しつつ作りたいものを作るんだという想いを大切にして励んでいってほしいです。

ジュン クリエイティブコンテストは来年も開催を予定しています。引き続き熱量高く、他のライバルとは違う視点で想いのこもった作品をぜひ送ってきてください!


以上、「サイゲームス クリエイティブコンテスト2023」受賞作品をご紹介しました。
みなさま、熱い想いのこもった作品をたくさんご応募いただき誠にありがとうございました。
あらためて、より大きく、点数も多く受賞作品を掲載していますので、ぜひコンテストの公式Webサイトからじっくりと受賞作品をご鑑賞ください。

サイゲームスは2024年にもクリエイティブコンテストの開催を予定しております。次回の開催については、詳細が決まり次第、公式WebサイトX(旧Twitter)アカウントなどで告知してまいりますので、楽しみにお待ちください。