アニメーションデザイナーの仕事とは?わかりやすく心地良い演出をするために必要なこと【サイゲームス仕事百科】

アニメーションデザイナーは、ゲーム内の2Dキャラクターのモーション、エフェクト、画面演出やUIアニメーションなどを制作する職種です。キャラクターをイキイキと動かしてゲームの楽しさを増幅したり、ゲームのわかりやすさを補強したり、何度も操作したくなる心地良さを与えたりする役割を担っています。今回は、アニメーションデザイナーの仕事について、マネージャーへの取材を基に解説します。

いかに快適にプレイしてもらうか
ゲーム内アニメーションの3つの役割

アニメーションデザイナーは、ゲームの画面要素に命を吹き込む仕事です。キャラクターやモンスターが多彩なアクションを見せ、華麗な必殺技を繰り出すことで、ゲームの楽しさは何倍にも膨らみます。また、ユーザーインターフェイス(UI)に関しても、操作をしたときの手触りやエフェクトが上手く設計されていると、わかりやすさや楽しさが増します。

モバイルゲームの表現がリッチ化するとともに、ゲーム内で使用されるアニメーションもどんどん豪華になってきました。これに伴い、アニメーションデザイナーが活躍する場面も増えています。アニメーションデザイナーは主に2Dのアニメーションを作る仕事ですが、近年では2D表現の中に3Dの技術を取り入れる場面も多くなってきました。このため制作時には3Dのソフトを使う機会もあります。

ゲームコンテンツそのものや開発手法は進化し続けていますが、アニメーションがゲーム内で果たす基本的な役割に変わりはありません。それは「ゲームの理解を助ける」「ストレスを与えない」「ゲームを彩る・没入感を高める」の3点に集約されます。どういうことか、1つずつご説明します。

■ゲームの理解を助ける

画面内で今何が起こっているかを、ユーザーの方々がすぐ理解できるようにアニメーションを制作します。例えば、ファンタジーRPGのめまぐるしいバトル画面で、あるキャラクターが火の魔法を使う場面を想像してみましょう。そのときに、画面がチカチカと赤く2回点滅するのと、リアルに燃え上がる炎のアニメーションが描かれるのとでは、後者のほうが何が起こっているかイメージしやすいですよね。このように、どんなアニメーション演出を用いたら、ユーザーの方々がゲームの世界での出来事を直感的に理解できるか考えながら、アニメーションを制作しています。

▲『Shadowverse』のゲーム画面。バトル中のエフェクトやキャラアニメーションにより臨場感が高まります

■ストレスを与えない

ゲームは基本的に「何らかの課題が与えられ、それをクリアする」という行為の繰り返しです。ユーザーの方々には常に乗り越えるべき課題があり、それに対してゲームプレイ中は軽いストレスがある状態です。そこへ「演出が長い」「テンポが悪い」といった別のストレスが重なると、遊ぶことを楽しめなくなってしまいます。ゲームの世界での出来事を伝え、かっこよく気持ちの良い演出でありながらストレスを与えないこともアニメーションの大切な役割の1つです。
例えば『プリンセスコネクト!Re:Dive』では、バトル中に流れるキャラクターの必殺技「ユニオンバースト」の演出がプレイにメリハリを与えつつも秒数に上限を設けてストレスをなるべく感じさせない工夫をし、ストレスよりも気持ち良さや楽しさが上回ることを目指して作成しています。

▲『プリンセスコネクト!Re:Dive』のユニオンバ―ストアニメーションの一例

また、画面に見えていること以外に気を付けなければいけないのが、「処理負荷」と「データ容量」です。見栄えがするからと無闇に凝った演出をして、動きが遅くなったりアプリの容量を肥大化させたりしては、かえってユーザーのみなさんのストレスに繋がってしまいます。データ量を抑えて軽快に動作させながら、メリハリのある演出を加えます。

■ゲームを彩る・没入感を高める

ゲームを楽しんでいるとき、自分自身がその世界に入り込んだような感覚を覚えたことがあるのではないでしょうか。そんな没入感を高めることもアニメーションデザイナーの仕事です。例えば派手に攻撃をしたいときに、あるキャラクターが派手なエフェクトと共に攻撃するアニメーションが流れ、勝ったときには一緒に喜んでくれる。それでも没入感は得られるのですが「作品の世界観に合っているか」「そのキャラらしく立ち振る舞えているか」という点にも注意してアニメーションを作成することで、臨場感やキャラクターの魅力がさらに深まります。

また、没入感を高める上で欠かせないのが「自然である」ことです。ゲームの世界はフィクションであり、現実離れした身体能力を持ったキャラクターや、魔法や必殺技といった架空の現象が登場します。しかし、制作時の基本となるのは現実世界の物理法則です。なぜなら、人は無意識にゲームの世界を現実と重ねて見るからです。人間型のキャラクターであれば、姿勢や関節の動きが人間と余りにもかけ離れていると、違和感が生じて没入感が削がれます。火や水といった物理現象も同様です。原則を押さえた上で、動きを誇張したり、省いたりすることで、開発者が見せたいものを効果的に見せられます。ユーザーの方々の注意を不必要に逸らさず、見せたい部分に集中してもらうのが、アニメーション演出の肝です。

▲『グランブルーファンタジー』より十天衆シエテの奥義演出

ゲーム内アニメーションの制作フロー

続いて、アニメーションの制作フローを見ていきましょう。各プロジェクトでのアニメーション制作は、基本的に以下のような流れとなります。

1.プロデューサーがゲームの方向性を決め、ディレクターやプランナーに伝える

2.ディレクターやプランナーが「こんなアニメーションを作りたい」と企画を立て、アニメーションデザイナーに伝える(字コンテ)(※1)

3.アニメーションデザイナーがイラストレーターやUIデザイナーに対し、素材となるイラストやUIデザインを発注する(Vコンテ)(※2)

4.イラストレーターやUIデザイナーが制作した素材を使い、アニメーションデザイナーがアニメーションを作成する

5.エンジニアにアニメーションのゲーム内への実装を依頼し、サウンドクリエイターにアニメーションへ音を付けてもらう

6.アニメーションの完成

※1,2 アニメーションの内容を文字で書いたものが「字コンテ」。これを基に、アニメーションデザイナーがイメージ動画「Vコンテ」を作り、各クリエイターに渡して作るもののイメージを共有します。

これらの作業は一方通行ではなく、各パートの制作物がディレクター・プランナーの意図通りの内容や品質になっているか、不具合がないかなど確認を繰り返しながら完成させます。
ディレクターやプランナー、イラストレーターから「キャラクターをこんな風に見せたい」「ユーザーの方々にこんな感動を与えたい」という意図を説明してもらい、演出の方向性をすり合わせています。アニメーションデザイナー側から演出の提案をする場合もあります。

【『プリコネR』ミニゲーム「ホームランドリル」での提案事例】

応援の演出をアニメーションデザイナーから提案しました。発注の時点ではよくある帯状の形のカットインが想定されていましたが、ミニゲームのテイストであるコミック調に合わせ、コマからキャラクターが飛び出しているような演出を加えています。

▲『プリコネR』ミニゲーム「ホームランドリル」の応援シーン

モンスターの登場シーンもアニメーションデザイナーの腕の見せ所です。当初は海の上にモンスターが登場する予定でしたが、バトル画面で使用しているモンスターを鳥観図の背景の上に載せるのは困難だったため、エフェクトと一体化してカットインするかたちの演出としました。

▲『プリコネR』ミニゲーム「ホームランドリル」のモンスター登場シーン

アニメーションデザイナーに
求められるスキルとマインド

アニメーションデザイナーには、「クリエイター」および「発注者」としてのスキル・マインドが求められます。

■クリエイターとして

アニメーションデザイナーに限らず、クリエイターは普段からさまざまなコンテンツに触れ、観察・インプットをする必要があります。TVアニメ、ゲーム、映画、コマーシャルなど、日々生まれているコンテンツは数多くあります。そこにどんなアニメーションが用いられているか、あるいはどんな表現がゲームのアニメーションに活かせるかといった視点でインプットをしておきます。たくさんの引き出しを持っておくと、クリエイターとしての成長が早まります。

■発注側のスタッフとして

アニメーションデザイナーは、クリエイターではあるものの、1人で黙々と作業をするというよりはさまざまな職種と円滑なコミュニケーションを図る場面が多くあります。その際に難しいのは「職種が変わると共通言語も変わる」場合があることです。ある職種では当たり前に使っている用語も、別の職種では説明しないと通じない場合がよくあります。その前提を理解していないと、制作がスムーズに進まないのです。そのため、コミュニケーションを取る際には以下に気を配ります。

1.具体的で相手が腑に落ちる説明をする
コミュニケーションを取る相手にどんな情報があったほうが良いかを考え、独りよがりにならず相手も理解できる言葉で説明します。逆に、やり取りの中で自分が腑に落ちなければ説明してもらいます。お互いが理解し、確認し合うのです。

2.「自分の職種ではわからない」で済ませない
やり取りの中で不明確な事案があった際に、「自分の職種ではわからない」で済ませてしまうと、それでは問題が解決できません。その場で解決できない問題も、誰ならわかりそうかという見当を付け、「○日までに確認して共有します」というように、具体的な問題解決に向けて動く必要があります。

3.意見や提案があれば積極的に行う
「こうしたほうが良くなるのではないか」といった意見や提案があるときは、積極的に伝えます。しっかり根拠を持って提案をすると、相手も納得してくれます。

■自身の課題を見つけ解決する力

サイゲームスのアニメーションデザイナーは、自身の手掛ける作品や自分自身の課題に自分で気付き、改善する力が求められます。提出前に、意図した表現ができているか、不具合がないかをきちんとチェックすることや、なかなか制作スピードが上がらないとき、原因を考え自己改善を行えることです。もちろんデバッガーのチェックや先輩からのアドバイスなど周囲の助けはありますが、それに加えて自身を客観視し、足りないものを埋めていく姿勢がある人が、アニメーションデザイナーとして大きくスキルアップしていけることが多いです。

アニメーションデザイナーの
仕事のやりがいとは?

ゲームキャラクターや画面全体に命を吹き込む作業そのものが、アニメーションデザイナーの仕事の醍醐味です。キャラクターがどんな性格なのか、それをどんな動きで表現するのか。あるいは、ゲーム内で起きていることをどのようなかたちで伝えるか、どんな印象を与えたいか。かっこいい、可愛い、楽しい、面白い、シリアス……。自分の力量で動かす素材の魅力を何倍にも膨らませることができるのが魅力です。ユーザーのみなさんの目に触れる部分なので、自分のした仕事への評価がダイレクトに返ってきますし、良い評価をもらえるとやりがいを感じます。

アニメーションデザイナーの
サイゲームスにおけるキャリアパス

サイゲームスには、現在100名強のアニメーションデザイナーが在籍しています。チーム内にはゲームのアニメーション制作経験者が多いですが、前職でTVアニメの作画を担当していた人もいます。また、新卒で入社した若手もいます。制作ツールはプロジェクトによって異なりますが主に「Spine」「Unity」「Adobe After Effects」「Adobe Animate」などの他、「SPARK GEAR」を用いてのエフェクト制作など、新しい挑戦も日々行っています。

入社時はまず1つの分野に専念していただくことが多いです。監修者の意図を理解し、大きな手助けを借りずに自分の力で制作を完結させる状態を目指します。その後は適性やキャリアビジョンに応じて、できることを増やしていきます。

その次のキャリアとしては、マネジメントとスペシャリストの2つの方向があります。ゲームのアニメーション作りを極めるべく、スペシャリストを目指すスタッフが多いですが、アニメーションデザイナーとして一定のキャリアを積み、リーダーやマネージャーとして現場を率いていくスタッフもいます。

アニメーションデザイナーを
目指す人へのアドバイス

アニメーションデザイナーを志望する方は、ある程度ツールについてのスキルは必要ですが、それよりも「理想のアニメーションを実現したい!」という気持ちと、そのためのインプットを積極的に行う姿勢が大切です。

活躍するスタッフに共通する点として、スピードと正確性が挙げられます。業務の初めは誰でもミスをするもの。焦らずにミスを振り返り、どうしたら次はもっとスムーズにできるかを考えて自身を改善していけると、こなせる制作量が増え、実力もどんどん伸びていき大きな信頼を得られることが多いです。

ちなみに、サイゲームスの採用の面接で最も重視しているのは「ゲームのアニメーションを仕事にしたい」という熱意です。なぜゲームのアニメーションをやりたいのか、どんなアニメーションを作りたいのか、どんな点にこだわるのかをお尋ねしています。サイゲームスのアニメーション制作ではクオリティーへのこだわりが重要です。面接時に「自分だったらサイゲームスのアニメーションのこの部分をもっとよくできる」という意見も歓迎しています。入社後にはその熱意を存分にアニメーション制作に注ぎ込めるよう、マネージャーとしてPCや必要な機材の導入はもちろん、上司や周りの人への相談がしやすい雰囲気作りもサポートしています。

アニメーションデザイナーとしての腕を磨いていける環境と言えますので、一緒に最高のコンテンツを作りたい方は、ぜひサイゲームスで働くことをご検討いただけるとうれしいです。


以上、アニメーションデザイナーの仕事についての解説でした。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

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