【11月16日&17日開催】サイゲームスの技術カンファレンス「Cygames Tech Conference」開催! 「エンジニア」編
「Cygames Tech Conference 2024」は、「最高のコンテンツ」を目指してきたサイゲームスが自社単独で開催する技術カンファレンスです。2021年に続いて2回目の開催となる今回は、2024年2月に発売した『GRANBLUE FANTASY: Relink(以下、リリンク)』の開発や、2023年9月に東京・上野の森美術館で開催した「Cygames展 Artworks(以下、Cygames展)」に関連する講演をはじめ、生成AI技術やモーションキャプチャー、そして作編曲家の成田勤さんをお招きした特別講演など、バラエティー豊かな17の講演をお届けします。
開催に先駆け、サイゲームスのカンファレンス運営委員会に今年のテーマや各講演の見どころについて聞きました。本記事では、全17講演の中から「エンジニア」関連の内容を中心にご紹介します。
Cygames Tech Conference 2024 「エンジニア」関連の講演一覧
■11月16日(土) Day1
12:00~13:00 [Track1]
生成AI技術がゲーム開発にもたらす未来
13:15~14:15 [Track1]
21種類の異なるプレイヤーの遊び心地!?『GRANBLUE FANTASY: Relink』におけるプレイヤー制作事例の紹介
13:30~14:30 [Track2]
「生きているモーション」を作り出すCygamesのモーションキャプチャー
14:30~15:30 [Track1]
『GRANBLUE FANTASY: Relink』開発を支えた変換パイプライン
15:45~16:45 [Track1]
『GRANBLUE FANTASY: Relink』の長期開発を支え続けたテスト自動化の取り組み紹介
17:00~18:00 [Track1]
『GRANBLUE FANTASY: Relink』キャラクターの魅力を支えるリグ制作事例
■11月17日(日) Day2
15:15~15:40 [Track2]
『Cygames展 Artworks』におけるShadowverseデジタルサイネージ制作事例
15:55~16:55 [Track2]
全高3m超のバハムート像がスマホを通して躍動する! ~『Cygames展 Artworks』ARコンテンツの開発プロセスと実装~
「ビジュアルアーツ」関連の講演情報はこちら
3年ぶりの開催!
2日間で17講演をお届け
Cygames Tech Conference 2024の開催経緯について教えてください。
Cygames Tech Conference(以下、当カンファレンス)は、ゲーム業界の発展に寄与したいという想いから、サイゲームスのゲーム開発をはじめとした様々な取り組みを経て培った知見やノウハウをお届けするため、2021年に初めて開催した自社単独の技術カンファレンスです。
2021年の開催はサイゲームスとして初の試みでしたが、ありがたいことに当カンファレンス運営チームが「CEDEC AWARDS」(※)のエンジニアリング部門で最優秀賞に選出され、また新卒採用の場でも学生の方から当カンファレンスを視聴したことがきっかけでサイゲームスへの応募を決めたという声をいただくなど、ゲーム業界の開発者や学生の方々から一定の評価をいただけたと感じました。
その後、長年開発を続けていた『リリンク』の発売やCygames展の開催をはじめ、様々な取り組みを通して技術的なノウハウを蓄積してきましたので、このタイミングで2回目となるCygames Tech Conference 2024を開催し、あらためて多くの方に共有したいと考えました。
※ CEDEC AWARDS……一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、ゲーム開発者の功績をたたえる賞。ゲーム開発の技術のみならず、業界への高い貢献があった情報発信にもフォーカスし、受賞の対象としている
前回の開催と異なる点はありますか?
「最高のコンテンツ」を目指すサイゲームスらしく、「最高の講演」というテーマは前回から変わりませんが、前回以上に充実したカンファレンスを目指しています。まず基調講演については、前回は「ゲームクリエイター」という比較的幅広いテーマでパネルディスカッションを実施しましたが、今回は分野ごとにお話ができるよう、「エンジニア」と「デザイナー」で職種別の基調講演を予定しています。基調講演はいずれもサイゲームスのCTOや執行役員が登壇します。さらに、『リリンク』の楽曲制作に携わった作編曲家の成田勤さんをゲストにお招きした「サウンド」分野の特別講演も行います。
通常講演については『リリンク』やCygames展に関する講演を中心とし、前回よりも総講演数を増やしました。 また、今回は生配信でお送りしますので、ライブ(※)ならではの講演者の熱量もぜひ感じていただきたいです。
※ 各講演は後日、Cygames公式YouTubeチャンネルでアーカイブ化いたします。
技術カンファレンスというと専門的なお話が多いのではと感じますが、ゲーム開発者ではない方でも楽しめるのでしょうか?
「ゲーム業界の発展に寄与したい」という想いで本カンファレンスを開催しているため、まずはゲーム開発に携わる方々の開発や日々の業務の参考になる講演を目指しています。
しかし、ゲーム開発者以外の方が楽しめないかというと、決してそうではありません。聴講者に伝わりやすく、かつ楽しんでもらえる講演づくりを大切にしているため、ゲーム開発の流れやクリエイターたちのこだわりを知る足掛かりになると思います。サイゲームスのコンテンツに触れたことがない方でも、本カンファレンスで「最高のコンテンツ」を目指すための開発過程を知り、サイゲームスのコンテンツに触れるきっかけにしていただけると幸いです。
大規模開発で培った技術と制作進行のノウハウ
『リリンク』での制作事例をご紹介
今回のCygames Tech Conference 2024で中心となっている、『リリンク』関連の講演について教えてください。
『リリンク』は、今年10周年を迎えたスマートフォン向けゲーム『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』の世界を舞台に、ユーザーが騎空士となってフィールドを歩き回り、冒険や戦いを追体験できる3Dグラフィックのゲームです。ダウンロードコンテンツによるアップデートで、現在では21種類ものプレイアブルキャラクターを操作できます。
本作は、アクションゲームを普段遊ばれない方や、原作の『グラブル』を遊んでいるがコンシューマーゲームを遊んだことがない方でも楽しめるゲームを目指しました。それを実現するために、豊富なNPCキャラクターや、簡単な操作でスタイリッシュに戦えるアシストモードが実装されています。
今回の演目にある「21種類の異なるプレイヤーの遊び心地!?『GRANBLUE FANTASY: Relink』におけるプレイヤー制作事例の紹介」では、各キャラクターの異なる遊び心地や多様な操作体験がどのように考えられ、制作が進んでいったのかをエンジニア視点で解説します。
また、本作に登場する数多くのNPCキャラクターやエネミー(敵キャラクター)も、『リリンク』の世界観を彩る要素として一体一体こだわり抜いて制作されています。『グラブル』の2Dキャラクターの魅力を損なうことなく、3Dモデルで再現するためのリグ制作ワークフローは「『GRANBLUE FANTASY: Relink』キャラクターの魅力を支えるリグ制作事例」の講演でご紹介します。
キャラクター1体ごとに強いこだわりを持って開発されているのですね。『リリンク』はとても大きな規模の開発だったと思います。
そうですね。大規模なゲーム開発でしたので、先ほど伝えたようなユーザーが直接触る部分を担当するエンジニア以外にも、ゲーム開発を支えるエンジニアが一定数います。その開発支援の一例についてご紹介するのが「『GRANBLUE FANTASY: Relink』開発を支えた変換パイプライン」の講演です。変換パイプラインとは、アーティストやプランナーが作成したアセットを管理し、実際にゲーム中で使われる実機データに変換するまでのシステムを指します。大規模なゲーム開発を支える仕組みの中で、このパイプラインの保守、改善の取り組みに注目したのが本講演です。リリンクのCI(※)が実際にどのように最適化されていったのか、プロジェクトが抱えていた課題とその解決策を交えながら詳細に解説します。
※ CI……「Continuous Integration(継続的インテグレーション)」の略。ソフトウェア開発手法のひとつで、ビルド(構築)・テスト・デリバリー(提供)・デプロイメント(展開)を自動化し、継続的に行うこと
また、開発支援の業務の一つにテストの自動化があります。昨今のゲーム開発では各社が独自の取り組みを行っている分野ですが、リリンクにおいても「AutoPlay」というシステムで動作テストを自動化し、製品の安定性向上に貢献しました。
「『GRANBLUE FANTASY: Relink』の長期開発を支え続けたテスト自動化の取り組み紹介」の講演ではテスト自動化の必要性と、具体的にどのようなテストが行われているのか、そのテストはなぜ必要だったのかまで詳しく説明します。
タッチパネルやAR技術を活用したリアルイベント
「Cygames展」での制作事例をご紹介
『リリンク』関連の講演以外にも、2023年に開催されたCygames展に関する講演がいくつか予定されています。どのような話が聞けるのでしょうか?
Cygames展は、「最高のコンテンツの系譜」をテーマに、サイゲームスが会社設立から同展開催までの約10年間でリリースしてきたゲームタイトルのアートの歴史をひもとき、その魅力を発信する展示会です。本展では、サイゲームスファンの方はもちろん、普段サイゲームスのゲームに触れない方々にも楽しんでいただけるよう、同展ならではのコンテンツを用意しました。
その一つが『Shadowverse』のコーナーで設置したタッチパネルです。『Shadowverse』に登場する4122枚のカードが18台ものデジタルサイネージに表示され、触れるとカードの進化後のイラストに変化するというインタラクティブな体験ができます。このようなインタラクティブ技術とデジタルサイネージの活用、リアルイベントでの技術的課題や注意点、特殊デバイスの使用における実際の問題とそれらの解決方法について、『Cygames展 Artwork』におけるShadowverseデジタルサイネージ制作事例」の講演で紹介します。
Unityを活用した実践的な事例が紹介されるため、Unityによるイベントコンテンツ制作に興味があるエンジニアやクリエイターの方にもおすすめです。
また、本展ではARとフォトスキャン技術を活用したインタラクティブコンテンツも制作しました。会場に展示されている全高約3mのバハムート像に専用のARカメラをかざすと、マグマや雷などのAR演出を体験できるというものです。展示されたバハムート像をフォトスキャンし、3Dモデルを準備することで高精細な3D表現を実現しており、その技術的な手法や実在感の高い表現方法などについて「全高3m超のバハムート像がスマホを通して躍動する! ~『Cygames展 Artworks』ARコンテンツの開発プロセスと実装~」の講演で解説します。
最新技術の活用方法と課題
モーションキャプチャーと生成AI技術の事例
フォトスキャンに関する講演の他にも、モーションキャプチャーや生成AIといった先端技術に関する講演がありますね。
モーションキャプチャーに関する講演は、前回の開催でもご好評をいただきました。今回は「「生きているモーション」を作り出すCygamesのモーションキャプチャー」という講演をお届けします。モーションキャプチャーは、人や物の動きを撮影し、データ化してCGキャラクターなどに反映する技術です。
例えば、『ウマ娘 プリティーダービー』のウイニングライブのようにゲーム内で使われる映像の場合は撮影後に編集で調整しますが、「グラブルフェス」のCGキャラクターライブのようにリアルイベントでモーションキャプチャーを活用する場合は、撮影と配信がほぼ同時に行われます。サイゲームスではどちらのケースでもキャラクターの意思や感情が感じ取れる「生きているモーション」を目指しており、その実現に向けた独自の編集方法やツールの活用についてご紹介します。普段は外に出ることがないアクターさんの演技と完成動画を同時に鑑賞できる映像など、貴重な資料が盛りだくさんなのでぜひ楽しんでいただきたいです。
そして、近年話題の生成AI技術を題材にした「生成AI技術がゲーム開発にもたらす未来」の講演では、サイゲームスのゲーム開発者、経営者、研究者という異なる立場の3名が、生成AIの現状と課題に焦点を当て、その解決方法や未来について討論します。それぞれの役割や視点が異なるため、生成AI技術の多様な側面を理解し、最新技術をどのように活用していくかを考える良い機会になると思います。
ゲーム開発に携わるエンジニアや生成AI技術に興味があるクリエイターの方々にも聴講いただけるとうれしいです。
以上、「エンジニア」関連の講演情報をご紹介しました。
作編曲家の成田勤さんをお招きした特別講演や、アート、デザインをはじめとするビジュアルアーツ関連の講演情報はこちらの記事でご紹介しております。ぜひご覧ください!
「Cygames Tech Conference 2024」は2024年11月16日(土)~17日(日)の2日間にわたりオンラインで開催いたします。また、各講演は後日、Cygames公式YouTubeチャンネルでアーカイブ化いたします。
各講演のスケジュールや概要は、特設サイトからお確かめください。みなさまのご視聴をお待ちしております。
「Cygames Tech Conference 2024」特設サイト