カードゲームのさらなる面白さを求めて 『Shadowverse』の進化と挑戦

2016年に対戦型オンライントレーディングカードゲームとしてリリースされ、様々な形式でのeスポーツ大会の開催、プロリーグの発足、アニメ化、コンシューマーゲーム化、リアルカードゲーム化など、多様な展開を見せてきた『Shadowverse(以下、シャドバ)』。プロデューサー・木村唯人へのインタビューでその道のりを振り返りつつ、後続タイトルである『Shadowverse: Worlds Beyond』の開発の意図や展望を聞きました。

※本記事は「会社案内 2025」に収録されているインタビュー記事の抜粋です
※「会社案内 2025」のPDF版はこちらからご覧いただけます

Cygames専務取締役木村唯人
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東京大学大学院卒業後、カナデン、シリコンスタジオを経て、2011年に代表・渡邊耕一と共に、Cygamesを設立。『神撃のバハムート』をはじめ、『Shadowverse』『プリンセスコネクト!Re:Dive』などのプロデューサーを務める。2019年4月から専務取締役に就任。経営と並行して、各代表タイトルのプロデューサーとして、ゲーム開発にも深く携わっている。

『シャドバ』が拓いた道

『シャドバ』のリリースについて、あらためて経緯を教えてください。

僕がカードゲームを好きだったことと、当時、スマートフォンのスペックがデジタルカードゲームを遊べるくらいに上がってきていたので、そういったゲームを作りたいと思い企画したことが発端です。カードゲームは海外でも人気があり、世界的にeスポーツが流行し始めていた頃でもあったので、最初から海外でも展開していくタイトルとして日本語版と英語版を同時リリースしました。

どんな方をターゲットにしていたのでしょうか。

カードゲーム好きだけではなく、広くゲームをプレイする方に向けて制作しました。カードゲームって触ってみたらすごく面白いんですけど、リアルでやるにはカードを集めて対戦相手を見つけなきゃいけなくて、それが新しく始める人にとっては障害になっています。デジタルにすることでそれらのハードルを下げ、カードゲームの面白さを広められたらという思いがありました。

初期のユーザー層は、10代後半から20代後半くらいの若い方が多く、ユーザー参加型の大会では大きめの賞金も話題を呼びました。会場もスタートは約2000名規模でしたが、最大6000名規模にまで拡大しました。ありがたいことに、2020年1月には「オンライントレーディングカードゲームを同時に同一会場でプレイした最多人数」でギネス世界記録も樹立しています。

公式大会やプロリーグ以外に、大学生リーグや店舗大会なども開催していますが、どのような経緯があったのでしょうか。

リリース後、カードショップなどの店舗から「大会を開きたい」という声を多くいただきました。我々としても『シャドバ』を通じて地域に根差したコミュニティーが作れたら良いなという思いで、オフラインの大会やイベントの開催を支援する「ES(イベントサポート)」という活動を始めました。大学生リーグは、大学内でチームを組んで他の大学と戦うことで、サークルのコミュニティーが生まれたり他の大学のサークルと交流できたり、そうした繋がりが生まれたら良いなという思いがありました。

「『シャドバ』らしさ」を様々な形で

2020年4月からはTVアニメ『シャドウバース』『シャドウバースF』が放送されました。アニメ化のきっかけを教えてください。

子どもの頃から遊んでいただいて、大人になっても遊んだり、その方の子どもが親と一緒に遊んだりと、10年先まで続くIPにしたいという思いがあったことがきっかけです。2020年11月に発売したコンシューマーゲームの『シャドウバース チャンピオンズバトル』も、子どもの頃から『シャドバ』に慣れ親しんで遊んでもらいたいと思って制作しました。パッケージとして買ってしっかり遊びきれる『シャドバ』を作りたかったという意図もあります。

2022年にはリアルトレーディングカードゲームである『Shadowverse EVOLVE』が発売されました。「紙」にしようと思ったきっかけを教えてください。

「紙のカードゲームでも『シャドバ』を遊べたら面白くなる」と確信が得られるくらいまで『シャドバ』を運営してこられたことがきっかけです。それまでのゲーム性の成長やユーザーのみなさんとの交流などの蓄積があったからこそ、紙でもやりたいという思いが出てきました。

『Shadowverse: Worlds Beyond』が描く未来

『Shadowverse: Worlds Beyond』という新たなタイトルを制作することになった経緯を教えてください。

『シャドバ』はリリース当初から10年以上続くタイトルを目指して、前述のような地域のコミュニティーづくりや子ども向けの作品制作にも取り組んできました。10周年が近づいて、さらにその先の10年を見据えたときに、あらためてカードバトル自体の純粋な面白さをさらに進化させたいなと。これから初めて『シャドバ』に触れる人も楽しめるような新たな機能を加えることで、世界中でもっと多くのプレイヤーに遊んでほしい。それをアップデートではなくて、新しいアプリとして作る方法を選んだというのが大きな理由です。

『Shadowverse: Worlds Beyond』全体で、こだわった点や目指したコンセプトがあれば教えてください。

Ver1.0から、Ver2.0へ──つまり、「すべてが進化した『シャドバ』」を目指しました。カードバトルの新要素として「超進化」の能力が加わったり、メタバースのようなオンライン空間でプレイヤー同士がコミュニケーションやカードバトルが楽しめる「シャドバパーク」が追加されたりしています。もう一つには、「よりシンプルで万人が楽しめるカードゲーム」を目指しました。面白さと適度な難しさは直結しているため、『シャドバ』を運営していく中で難しさが増し、新しく始めにくくなっている点は課題でした。もちろん今までプレイしてくださっている方も十分楽しめるように開発していますが、より遊びやすくというのは一つテーマとして掲げていて、この2点がこだわったポイントです。

大きな大会も引き続き開かれると思います。プレイヤーのみなさんにどんなふうに楽しんでいただきたいですか。

大会の形式も少し変える予定です。今まで積み重ねてきた知識・ノウハウを活かして、カジュアルに参加しやすい大会でありながら、見るだけで熱狂できるeスポーツらしい大会を開催していきたいと思っています。

最後に本記事を読んでくださった方ヘコメントがあればお願いいたします。

『シャドバ』から進化したタイトルとして、『Shadowverse: Worlds Beyond』を頑張って制作していますので、ぜひプレイしていただけるとうれしいです。

※ 本記事の内容はインタビューが行われた2025年1月時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります

『Shadowverse: Worlds Beyond』公式サイト 会社案内 2025

© アニメ「シャドウバース」製作委員会・テレビ東京
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