アニメ事業部の仕事とは?サイゲームスのアニメ製作の仕事に必要なこと【サイゲームス仕事百科】

サイゲームスは事業の1つとしてアニメ製作を手掛けています。業界的には新参ながら、オリジナル作品の『ゾンビランドサガ』、ゲームを原作とする『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』や『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』、マンガ配信サービス「サイコミ」のマンガを原作とする『群れなせ!シートン学園』など、バラエティー豊かな作品を次々とリリースしています。今回は「日本を代表するアニメーションブランド」を目指すサイゲームスのアニメ事業部の仕事について、マネージャーへの取材を基に解説します。

とにかく面白いアニメを作る
アニメ事業部のミッション

サイゲームスはゲーム事業を主軸とした会社ですが、「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンのもと、面白いものであればゲームにとどまらず幅広いコンテンツを提供していきたいと考えています。もともと社内で「アニメを作りたい」という声はあがっていましたが、アニメ事業部が立ち上がる前に製作されたTVアニメ『神撃のバハムート GENESIS』(※)(2014年放送)が非常に大きな反響をいただき、サイゲームス内でのアニメ事業部発足の機運がさらに高まりました。これをきっかけに「最高のコンテンツを作る会社」として最高のアニメ作品を生み出すために、製作の舵取りまでを自社でも本格的に行うことになりました。

※『神撃のバハムート GENESIS』……ソーシャルゲーム『神撃のバハムート』の世界観をベースとしたTVアニメ作品

現在はゲーム原作以外のオリジナル作品も展開しています。最高のアニメ作品を製作し「アニメでもサイゲームス」と世の中に期待される存在になることがアニメ事業部のミッションであると考えています。

アニメ事業部の仕事内容

サイゲームスのアニメ事業部は、アニメの「製作」を担う部署であり、「制作」については子会社のCygamesPicturesや外部の制作会社に依頼しています。
さて、読者のみなさんはアニメにおける「製作」「制作」の違いをご存じでしょうか?簡単に言うと、「製作」はアニメに関するビジネス面を中心に担当することを指し、「制作」は作品そのものを作ることを指します。ビジネス面とは、資金調達、放送枠の選定、ソフト化、商品化、海外への販売、宣伝、イベントなど、アニメを事業として成立させるための作業全般のことです。特に重要なのは資金調達です。アニメ製作には多額の予算が必要なため、複数の企業に出資を募る「製作委員会方式」を採用することが多く、サイゲームス製作の作品の多くがこの方式を用いています。そして、この委員会の立ち上げも我々アニメ事業部スタッフの仕事の1つです。

サイゲームスのアニメ事業部は、「プロデューサー」「アシスタントプロデューサー」「宣伝」の3つの職種で構成されています。以下に、各職種の仕事内容をご紹介します。

■プロデューサー
担当するアニメ作品において、上記の「製作」工程全般の指揮をとる役割です。最も重要な役割は、アニメをどんな作品にするのか方向性を決めることです。華やかな仕事だと思う人も多いかもしれませんが、実際には、地道な作業の積み重ねで製作を進行していきます。

■アシスタントプロデューサー
プロデューサーの補佐役的なポジションですが、プロデューサーが最終的な決定権を持っているというだけで、実務内容はプロデューサーとほぼ同じです。プロデューサーとともに製作の各工程に携わり、必要な手配や交渉、スケジュール管理などを担当します。

■宣伝
アニメやソフトの宣伝を担当します。公式サイトやTVCM、雑誌広告、イベント、SNSなど各種の広告媒体を活用して情報を発信し、より多くの視聴者にコンテンツを届ける役割です。宣伝手法のトレンドを押さえる嗅覚が大切で、最近では特にTwitterといったSNSが主流です。情報発信の手段としてのSNS活用が身に付いていること、特定のツイートが伸びている際などにその理由を分析できることが求められます。

サイゲームスのアニメ事業部の特徴は、『グランブルーファンタジー』『Shadowverse』『プリコネR』『ウマ娘』といった自社のゲームを原作とする作品が多いことです。ゲームの開発サイドと話し合いながらアニメの方向性を決める点は共通ですが、どのように関わるかはプロジェクトによって異なります。大きくは、我々アニメ事業部が主導する場合と、開発側に「こんなアニメを展開したい」という意向があり、それを実現する方向で作る場合があります。

また、ゲームの開発側とどのようにコミュニケーションを取るかも、プロジェクトによって異なります。アニメ事業部に一任するかたちで、進捗確認など最低限のミーティングを開催するのみのプロジェクトもあれば、密にコミュニケーションを取ってミーティングを頻繁に開催し、毎回の本読み(※)にゲーム開発側スタッフも参加して意見交換するプロジェクトもあります。

※本読み……脚本の内容について検討する会議のこと

いずれのケースでも、どんなコンテンツが人々に求められているか、どういう反響が考えられるかを踏まえて舵取りをしていくのがアニメ事業部(プロデューサー)の仕事です。ゲームの開発側の意向がはっきりしている場合も、絶対にブレてはいけないことを押さえた上で、どうしたら映像作品にしたときに面白くなるかを考え、意見を出し合いながら最高のアニメ作品を作り上げます。

アニメの製作フロー

1.企画

まずは企画を立てることから始まります。原作ゲームがある場合、どの時点でアニメの企画が立ち上がるかはプロジェクトによってまちまちです。例えば『プリコネR』は原作ゲームの人気が出てからアニメ化の話が出ましたし、『ウマ娘』は企画当初からメディアミックス展開する前提で、ゲーム開発と並行してアニメの企画が進行しました。

2.スケジュールの策定

企画を立てたら、制作会社とコミュニケーションを取りながら、放送する時期を決めて放送枠を確保し、スケジュールを組みます。TV放送は希望する放送枠が埋まってしまう可能性があるので早めに準備する必要があります。

3.監督や制作スタッフの選定

どんな作風にしたいか、作品の方向性に基づいて監督や制作スタッフを決めます。監督や制作スタッフによって得意とする作風が異なるので、作品の方向性に合う監督や制作会社を選びます。

4.製作委員会の組成

企画がある程度固まり、スケジュールや制作チームの目途が立った時点で、製作委員会を立ち上げます。どんな企業に参加を募るかも作品の方向性によるところが大きく、例えばキャラグッズを作る玩具メーカー、キャラクターソングを作るレコード会社、小説やマンガを作る出版社といったように、ビジネス上の相乗効果が高い企業を中心に出資を募ります。

5.宣伝

作品の方向性に基づいて宣伝戦略を決め、広告出稿先を決めたりSNSで情報を発信したり、イベントを開くこともあります。どんなターゲット層に向けた作品であるかを考慮し、その層に適切にリーチできる手法を選定する必要があります。

アニメ事業部スタッフに
求められるマインド

ここでは、サイゲームスのアニメ事業部が求める人材像をご紹介します。いずれの職種も大前提として必要なのはコミュニケーション能力です。プロデューサーやアシスタントプロデューサーはゲームの開発側、監督、制作会社、製作委員会のメンバー、放送局などさまざまな立場や職種の人と交渉する必要があります。また宣伝担当者はさらに幅広い人と関わるため、より高いコミュニケーション能力が求められます。スキル面に関しては「これがないとダメ」というものはありません。主にマインド面で、下記のような素養があると理想的です。

■「面白いアニメを作りたい」という強い意志

面白いものを作りたいという意志がなければ、面白いアニメを作ることはできません。自分が作っているものを面白いと信じて、関係者を説得し、意見をすり合わせて、周囲を巻き込んで製作を推進する粘り強さが求められます。また、「自分はこれしかやりません」と自らの担当範囲を制限することなく、どんな仕事も粘り強くやり遂げる力が必要です。

■クリエイティブに関する引き出し

アニメだけを見ていては面白いアニメは作れません。話題になっているアニメを押さえるのは当然として、アニメ以外の色々な映像作品や音楽、イラストなど、クリエイティブなものをたくさん見聞きして、引き出しをたくさん持っていることが重要です。原作小説を読んでアニメ化や実写化された映像版との違いを分析するのも良いでしょう。なぜ媒体によって変えているのかをビジネス視点で分析することも重要です。その他、歴史が好きであったり活字の小説が好きであったりなど、何か得意な分野があることは強みになります。

■行動力

面白いものを作るために行動を起こせること。「こう思っています」と言うだけでなく、実現に向けて行動を起こす力が必要です。プロデューサーになりたいのであれば、例えば、企画を出してみたり、良いクリエイターを探してみたりと、どんどん行動してみましょう。「面白いアニメを作るためにプロデューサーとして何をしたら良いか」を自ら考えて、実行する姿勢が大切です。自ら動いて、何かしらの作品を作りきったことがある人は、すでにプロデューサーです。

アニメ事業部の
仕事のやりがいとは?

最もやりがいを感じるのは、作ったものを面白いと言ってもらえたときです。なぜなら我々の使命は面白いアニメを世の中へ届けることだからです。では、どんなアニメが「面白い」かというと、「自分が面白いと思っているもの」です。エゴだと思われるかもしれませんが、自分が面白いと思えないものを世の中に出すべきではありません。だから、こちらの考えとユーザーのニーズがマッチしたとき、面白いと信じて作ったものを評価してもらえたときが、作り手として一番やりがいを感じられるのです。ビジネスとして成功することももちろんうれしいですが、成功するかどうかはタイミングと運によるところも大きいと感じています。

そして難しいこともたくさんあります。アニメ製作には多くの関係者がいるので、自分が考える「面白さ」がどういうものかをきちんと伝えられないと、意図したものは出来上がりません。自分がイメージしていることを企画書だけで伝えることは難しいですし、ゲーム開発側との意見の衝突もときにはあります。でも、それはものづくりをする上では当たり前のことです。伝え方が大事ですが、自分が絶対に面白いと強く信じられるものは、周りも面白いと思って同意してくれる可能性が高いと感じています。さまざまな意見をすり合わせて、落とし所を見つけて、なんとか作品をかたちにしていくのも、この仕事の醍醐味です。

上でも述べたように、アニメ製作の仕事は地味な作業の積み重ねです。しかし、それらの積み重ねが面白いアニメを作ることに繋がっていると感じられる人であれば、日々やりがいのある仕事だと言えます。

アニメ事業部スタッフの
キャリアパス

現在、アニメ事業部には複数名のプロデューサーが在籍しています。彼らの経歴はさまざまで、アニメ制作会社出身の人もいれば、メーカーから転身した人、実写の映画監督を兼務している人などがいます。

プロデューサーの補佐としてアシスタントプロデューサーがいますが、上でも述べた通り仕事内容はプロデューサーとほぼ変わりません。アシスタントプロデューサーの育成はOJTが中心で、さまざまな業務を経験して仕事のやり方を身につけていきます。企画の進め方は案件によって異なるため、状況に応じて自分で考えて行動することを意識しながら、伸ばしていけるようにサポートしています。アシスタントプロデューサーとして実力をつけたらプロデューサーとして製作の指揮をとることになります。他には、事業部のマネージャーといった組織運営に携わる方向性もありますが、基本的には製作を続けたい人が多い傾向です。

宣伝の仕事のキャリアパスは、SNS運用やイベント準備など、各種宣伝業務をこなしながら、宣伝企画の立案と予算の管理をできる知識を身につけていき、宣伝プロデューサーを目指すかたちになります。
そのためには、現在のトレンドと時代に即した新しい発想を生み出す能力が必要です。また、仕事が多岐にわたることから、自分の仕事の進捗をきちんと管理できる几帳面さが求められます。
多くの人と関わることが多い仕事のため、コミュニケーション能力も問われます。色々な人を巻き込みながら、決められた予算内で宣伝効果が最大限に得られるよう企画を実行していき、生み出されたコンテンツを一緒にヒットに導いていける宣伝プロデューサーを目指します。

サイゲームスのアニメ事業部を
目指す人へのアドバイス

採用の面接では「面白い人かどうか」を見ています。もちろん面白さに定量的な基準はなく、色々な面白さのかたちがあります。だから、自分なりの「面白さ」をしっかり持っている人に来てほしいと考えています。さまざまな価値観を持った人間が集まったほうが、すごい化学反応が起きそうだという期待もあります。「この人と働いたら楽しそう!」と思える人は、積極的に採用していますので、「こんな面白いアニメを作りたい」という熱意のある方はぜひご応募ください。


以上、アニメ事業部の仕事についての解説でした。
※現在アニメ事業部に関連する職種の求人募集は行っておりません

サイゲームスでは、その他の職種でも一緒に働く仲間を募集中です。ご興味のある方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

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