CEDEC2023サイゲームス講演紹介 「最高のコンテンツ」を追求するゲーム作りの技術

サイゲームスでは、ゲーム業界の技術交流会である「CEDEC」を業界発展に繋がる重要な場と考え、毎年積極的に参加し、講演を行ってきました。今年も8月に開催される「CEDEC2023」で、サイゲームスは2つの講演を予定しており、いずれも「最高の講演」となるよう準備を進めています。本記事では当社の各講演概要、見どころをご紹介します。

また、各講演内容の理解をより深めていただけるよう、関連する過去の講演動画もご紹介。CEDEC2023サイゲームス講演と合わせてぜひチェックしてみてください。

「最高のコンテンツ」実現の過程で得たノウハウ共有
CEDEC2023サイゲームス講演のご紹介

講演1 AIによる自然言語処理・音声解析を用いたゲーム内会話パートの感情分析への取り組み

≪概要≫
この講演では社内のゲームプロジェクト向けに作成したゲーム内会話パートの感情分析ツールの開発について紹介します。
通常、ゲーム内の会話パートを作成するためにはシナリオと音声が完成した後で、細かい単位で表示する表情を設定していく必要があります。
こちらの講演ではAIを活用してシナリオと音声からキャラクターの感情分析を行い、キャラクターの表情を自動的に求める仕組みについて説明します。感情分析を行うために自然言語処理・音声解析の複数の手法を試したので、それらの手順と結果について話す予定です。

≪講演者≫
開発運営支援 ゲームエンジニア 立福 寛

講演2 「グラブルミュージアム蒼の追想」MX4Dシアターのサウンド制作事例 〜ゲームの世界観とアトラクション体験の両立に必要なこと〜

≪概要≫
「グラブルミュージアム蒼の追想」MX4Dシアターは、グランブルーファンタジーの世界観を「体感」できるアート展にて上映された、本編シナリオに登場するキャラクターたちの激闘を体感できるライドアトラクションです。
今回のアトラクションは、過去の弊社事例とは構造が違いゼロからの音響制作が必要でした。没入感豊かに体感できるよう行った、「システム設計・サウンドデザインとミキシング・進行面での工夫」の取り組みを紹介します。具体的には、使用した音響機材の導入に至るまでの過程・最終的なセッティングといった、システム設計に取り組む際の考え方や、原作の雰囲気を保ちつつコンテンツの要求する没入感・臨場感を出すためのデザイン手法、オブジェクトベースのイマーシブオーディオミキシング、本番環境想定のための対策実例、チームを分けた進行の工夫など、ゲームオーディオとアトラクション音響の次世代融合事例2.0としてご紹介します。

≪講演者≫
サウンドデザインチーム サウンドデザイナー 宮本 鈴奈
サウンドデザインチーム サウンドデザイナー 村上 健太
サウンドデザインチーム サウンドデザイナー 馬 明泓

カンファレンス運営委員会に聞く
CEDEC2023サイゲームス講演の見どころ

サイゲームスでは、CEDECや「Cygames Tech Conference」といった社外講演や、社内で部門・部署を横断したノウハウ共有を行う勉強会「CyStudy」に関して、発表内容のクオリティーを維持・向上させることを目的に、社内に「カンファレンス運営委員会」を設置しています。

今回はCEDEC2023でのサイゲームス講演について、カンファレンス運営委員会に各講演の見どころを聞きました。

―まず、講演1「AIによる自然言語処理・音声解析を用いたゲーム内会話パートの感情分析への取り組み」について教えてください。こちらはCEDEC2021、2022(※)でも発表されたAI利用に関する講演ですね。

はい、これらの講演では社内で開発しているゲーム開発支援サービスへAIを導入した事例について紹介しています。

CEDEC2021、2022では、主に自然言語処理AIを活用したシナリオテキストの誤字、表記揺れ検出機能について解説しました。
そして今回CEDEC2023では、これまで活用してきた自然言語処理AIに音声解析も加えた複数の手法を試し、感情分析に取り組んだ結果を紹介します。

どのセッションも、ゲーム開発でよく見かける工程にAIを導入した事例の一つとして、機能を導入した背景から具体的な実装、インフラの構築まで一通り解説しています。そのため、これからゲーム開発にAIの利用を検討している開発者にとって、導入の参考にしやすいセッションになっていると思います。

※CEDEC2021、2022でのAI利用に関する講演は以下からご覧いただけます。
【CEDEC2022】AIによる自然言語処理を活用したゲームシナリオの誤字検出への取り組み
【CEDEC2021】ゲーム制作効率化のためのAIによる画像認識・自然言語処理への取り組み

―講演内容で特に注目するべきなのはどのような点でしょうか?

キャラクターのシナリオと音声から感情分析を行うために自然言語処理・音声解析で複数の手法を試しました。
セッションでは、試した手法ごとに具体的な手順や結果を解説しているため、感情分析にはどのような手法があるか、そして手法にどのような違いがあるかがわかりやすくまとまっていますので注目してください。

その他にも、完成したツールと人間に感情を推測させる同じ問題を解かせて、正解率を比べている実験の結果もあります。こちらがどのような結果になっているかを想像しながら講演をご覧になっていただくと面白いかもしれません。

―次に講演2「『グラブルミュージアム蒼の追想』MX4Dシアターのサウンド制作事例 〜ゲームの世界観とアトラクション体験の両立に必要なこと〜」について伺います。こちらはタイトルのリアルイベントに関する講演ですね。

はい。この講演では、ゲームをベースとしたIP展開の一環として、ゲーム外のリアルイベントでの音響制作事例を紹介します。

サイゲームスでは、これまでもグラブルフェスにおける「グランサイファーライド」のようなライド形式アトラクションシアターでの音響制作にはこだわってきました。
今回は、過去のイベントで得たナレッジや反省点を活かしながら、より良い体験を提供するべく立ち上げた新たなチームが、どのような音響設計を行ったのかや、ゲームとは大きく体験内容が異なるシアター形式の映像音響にどのように取り組んだのかを、実例を交えて解説していきます。
リアルイベントに関する講演は2020年のCEDEC以来となりますが(※)、この講演を通して、あらためてサイゲームスが考える「最高のコンテンツ」にはゲームなどの作品に留まらず、ファンの方々に楽しんでもらえるイベントなど、IPに関連するすべてが含まれている、という点も感じていただける内容になっていると思います。

※CEDEC2020でのリアルイベントに関する講演は以下からご覧いただけます。
【CEDEC2020】ゲームの世界を完全再現する -グラブルフェスを支える技術とプランニング-

―こちらの講演はサウンドデザインチームの3名による合同発表ですね。

それぞれ異なる業務を担当する3人が、セクションごとに別れて発表を行います。
聴講される方に取り組みの成果がしっかり伝わるように、内容の吟味・選定はもちろん、スムーズな発表となるよう練習を何度も重ねました。アトラクション制作は珍しい実務ではありますが、それを担当する上での大切な心構えや重要なポイントが伝わる内容となっています。
リアルイベントをご担当される方やサウンド分野の方をはじめ、多くの方にご聴講いただきたいです。

―最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

サイゲームスとしても4年ぶりのリアル会場での講演となりますが、「最高のコンテンツを作る会社」として最高の講演をお届けできるように準備を進めていますので、ぜひ講演を楽しみにしていてください。


以上、CEDEC2023のサイゲームス講演についてご紹介しました。
サイゲームスではこれからも業界発展に向けた知見共有を推進していきます。