全スタッフ参加OK!即興でゲーム制作にトライ!「Cygames GameJam 2024」開催

1月某日、サイゲームスは、イベント用に編成されたチームで力を合わせ、2日間の即興でゲームを作る社内イベント「Cygames GameJam 2024」を開催。職種にかかわらず誰でも気軽にゲーム制作に挑戦できることから、参加者130名の枠がすぐに埋まる人気イベントとなりました。本記事ではイベントの概要と受賞作品の簡単なご紹介、実際に参加したスタッフたちの感想をお届けします。

職種も経験もバラバラの130名が
2日間でゲーム制作に挑戦!

「Cygames GameJam」は、社内のコミュニケーション推進やスタッフの挑戦の場として、これまでも何度か開催されてきたイベントです。コロナ禍などもありしばらく開催が見送られていたため、今回は7年ぶりの開催となりました。

クリエイターが集まり短い時間でゲームを制作するというイベントの骨子は、通常のGameJamと変わりません。「Cygames GameJam 2024」は5名1組でチームを作り、2日間かけてゲームを完成させ、その出来を競います。
本イベントの大きな特徴は、以下の2点です。

1、ゲーム開発の実務経験の有無にかかわらず誰でも参加ができる

ゲームを制作したことがあるか/ないかに関係なく、子会社を含む全スタッフが参加可能です。これは役職や部署を越えた交流の場を作ることで、社内のコミュニケーションを活発にしたいという経緯から設定されました。
実際には130名の応募枠に対して約150名の応募があり、下記の表のように様々な職種のスタッフが参加しました。

コンテンツ関連開発には、漫画事業部やサウンドデザインチーム、ライツ事業部、ローカライゼーション、デザイン制作管理チーム、シネマティクス室などのスタッフが含まれています。

2、本イベントに限った生成AIツールが利用可能!新たな挑戦を応援する場に

サイゲームスでは、著作権やプライバシーに関する権利の侵害、さらには機密情報漏洩を防ぐ観点から、コンテンツ制作において生成AIツールの利用を控えています。しかし、生成AIツールの適切な利用には、利用による影響やメリット、そしてコンテンツ制作での可能性と限界を理解することが不可欠です。この理解を深めるためにも、関連する研究や実証を進めています。

今回の「Cygames GameJam」では、そのイベント中に限り一部の生成AIツールの利用を許可することで、生成AIの潜在的な可能性を探る足掛かりにするとともに、生成AIに対するスタッフの理解を深めるきっかけにしたいと考えました。さらに、審査の評価基準に生成AIの利用について考慮することを事前に発表することで、意欲的な生成AIの利用を促しました。参加者は7割近くがGameJam未経験者、1割強が「GameJam玄人」でしたが、生成AIツールを使ったゲームの即興制作という意味では、ほとんどの人が初挑戦ということに。誰もが失敗を恐れず新しいことにトライできる場となりました。

▲大多数である約7割ものスタッフが短期間でのゲーム開発をしたことがないと答えました。また「その他」は1名で、短期間でのサイト作成経験があると答えていました

今回のイベントのテーマは「JOURNEY」。まるで長い旅路に出るかのように、AIなどの新技術とともに進むであろう新時代を見据え、ゲームに活かせるキーワードとして選定されました。イベント終了後には審査員による審査が行われ、「ベストゲームジャム賞」「ベストテーマ賞」「ベストチャレンジ賞」が1作品ずつ選ばれました。

開催の流れ

「Cygames GameJam」では、1日目にテーマ発表、企画決定、アルファ版発表、2日目にベータ版発表、完成版提出、発表会・試遊会が執り行われました。数日間の審査を経て、後日表彰式が開催された他、Unityの未経験者が多いことを受けて、事前にUnity講習会も催されました。
簡単にではありますが、順を追って参加者の様子を一部ご紹介します。

■Unity講習会

Unityの未経験者向けに行われたUnity講習会。これまでUnityを触ったことがない人ばかりで、講師から順を追って基本の使い方を教わりました。

■GameJam 1日目

【タイムスケジュール】
9:00 開場
10:00 開会式・テーマ発表
14:00 企画発表
19:00 アルファ版発表

まずは企画出しからスタートです。26グループが各部屋に分かれ、ホワイトボードや付箋を使ってアイディアを出し合っていきます。参加者にはオリジナルの黄色いTシャツが配布されました。

▲和気あいあいとした雰囲気、リラックスした様子、みなさんで真剣にホワイトボードに向かう姿勢など、早くもチームの色が見えてきました

企画がまとまったらすぐに制作作業に取り掛かります。適度な休憩やおやつタイムをはさみながら、各チーム1日目の最終目標であるアルファ版の発表に向けて着々と作業を進行していました。

▲途中、専務取締役の木村唯人が会場に来て参加者にアドバイスする姿も見られました

■GameJam 2日目

【タイムスケジュール】
10:00 ベータ版発表
17:00 制作終了・完成版提出
18:00 発表会・試遊会
20:00 閉会式
21:30 完全撤収

GameJamの2日目はベータ版の制作と提出から始まりました。ゲームづくりにとことん向き合う2日間は、泣いても笑っても今日が最終日です。

▲普段の業務にかかわらず、参加者は得意なことと知恵を出し合ってオリジナルのゲームを制作します

ここで制作時間が終了!発表会では各チームの代表から、自分たちが作ったゲームのプレイ方法やおすすめポイントがプレゼンされます。

発表会と同時に、審査員が各チームを回って作品を試遊しながら審査していきます。会場の至るところで驚きや歓声が上がっていました。

2日間の流れは以上です。参加者のみなさん、お疲れさまでした!

受賞作品のご紹介

■ベストゲームジャム賞

▲『絵画探偵ニャーロック』

評価された点:生成AIに指示した単語を推測して当てるという逆転の発想が面白かったです。スマホを想定したタップエフェクトの実装など、細かい点を含めて完成度が高く、抜群の出来でした。GameJamの2日間で作成できるゲームボリュームでありつつも、長く遊べるコンテンツになっている点も良いですね。アート全体の統一感やUIの作り込み、トランジションやSEも高精度でした。

■ベストテーマ賞

▲『Cooking Journey』

評価された点:世界に留まらず宇宙人まで飛び出して、場所、料理、人との出会いと幅広い要素がしっかりまとまっていました。開発スタッフのみなさんが楽しそうにプレゼンしてくれたのも好印象です。ゲームルールもわかりやすく、UIも明快で遊びやすかったです。イラストは生成AIをベースにしてレタッチするなど、使い方も上手かったですね。

■ベストチャレンジ賞

▲『ジャンケン勇者』

評価された点:ゲーム性はシンプルですが、奥深く遊べそうです。BGMやエフェクトといった様々なアセット制作で生成AIを使っており、ゲーム性と生成AIが密に組み合わされているわけではないですが、チャレンジとして評価できました。オープニング・エンディングもしっかり用意されていました。敵がランダムな点も、戦術を考えるヒントになっていて良かったです。

■審査員特別賞

▲『歌ヨミ鉄道』

評価された点:元々設定されていた賞からは外れてしまいましたが、審査員から強い支持があり、急ぎ賞を増設しての受賞となりました。汽車に乗った主人公は、相席したトラベラーと生成AIを用いて句を詠みます。句の内容によって旅行先のイラストが生成されるという、生成AIの使い方の面白さが出ていました。情緒あるエンディングまで作りきっているのも高評価。生成される画像含め、アートの統一感が高かったです。

新たな視点を手に入れた!
体験した参加者の声

開催後、運営から参加者に向けてアンケートを実施しました。103件もの回答が寄せられましたので、その中から参加者の声を一部抜粋してお届けします。

「Cygames GameJam」全体に対しての満足度を教えてください。

▲「満足できなかった」を1、「大変満足」を5としたときの5段階評価

自由回答より

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デザイナー
予想していたゲームはできませんでしたが、今回のイベントを通じて、いろんな勉強ができました。本当にマジで楽しかったですが、今回は反省するところもかなりありました。この経験を次のGameJamで活かしたい気持ちはとても強いです。
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イラストレーター
普段の制作は「時間をかけて試行錯誤しクオリティーを追求する」というのが基本だったため、真反対の体験ができてとても学びがありました。また、他セクションの担当者と緊密な連携ができ、「ゲームづくりをしている」という実感がとても強く得られてとても楽しかったです。
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イラストレーター
非常に強いプレッシャー・緊張感のある状況のロールプレイができて、大きな財産になりました。GameJam初参加だったので、機材や環境のサポートが手厚かったのも安心感がありました。
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デバッガー
初めての初期からのゲーム開発で、何をするかわからない、絵も描けなければコードも書けないし、Unityも使用したことがないという状態で不安ばかりが大きくなっていく準備期間でしたが、終わってみたら非常に楽しかったしとても勉強になった2日間でした。素直に最高のイベントでした。

今回のイベントで、生成AIツールを開発に利用しましたか?

自由回答より

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エンジニア
ゲーム内でランタイムに生成AIツールを利用しましたが、やはりレスポンス速度やAPI制限がネックとなり、本格的にゲームへ用いるのであればサーバーを自前で立ててローカルモデルで運用する必要があると感じました。ランタイムでない素材としての利用であれば、他チームがたくさん利用されていたように、こういう限定的な場で試してみる価値があるなと思いました。
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イラストレーター
触る前は、AIは万能なものだと思っていましたが、思っているより「生成AIツールで作ったんだな」というのが素材部分は特にわかりやすいなと思いました。クオリティーの低さに直結する部分もあり、改めてAIにできないこと、できることの役割の違いも認識できました。
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社内ツール開発
シナリオも一部生成AIツールの力を借りたし、3Dモデルも生成AIツールに生成してもらいました。時間がない中では非常に便利だし、上手く使えば5人が6人で戦えているようなものだし、このような即興制作の場では非常に役に立ちました。ただ、時間をたくさん使えるような場合はクオリティーと天秤にかけて慎重に判断する必要があると感じました。

「Cygames GameJam」での経験は今後の業務に活かせそうですか?

▲「活かせない」を1、「活かせる」を5としたときの5段階評価

自由回答より

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ライツ担当
失敗が怖く、「とりあえずやってみる」が本当に苦手なのですが、チャレンジしなければならない状況に置かれ、何度もそれを繰り返したため、ビビリが克服できた気がしています。また、一瞬ながら制作の現場を体験できて、今後実際にゲームプレイをする際や開発の方とお話しする際に、こんなところにこういう考えや工夫があるのかな……?と考えて見られる目線が持てた気がします。
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テクニカルアーティスト
メンバーとのコミュニケーションの仕方などが参考になりました。打ち合わせせずに進めた結果、共有フォルダのファイルの名前や置き方のカオスっぷりに驚き、資料のまとめ方などいろいろと最初に決めておかないと大変なことになると実感しました。各職種の人の特徴ややりたいこと、モチベーションなどもわかったので今後に役立てられそうです。
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プランナー
制約の中でできることを短い時間で判断し、推進することで道は拓けるという、仕事において極めて大事な原則を学んだ気がします。
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プランナー
GameJamを通して、自分が専門職間のコミュニケーションを促進したり、他の業務を兼任できたりする可能性を秘めていると気付きました。それと同時に、この強みは今のままでは「即興で簡単なゲームを作る」「ほぼ専門家しかいない」状況でしか活かせないことにも気付けました。今後の業務でより円滑に物事を進めるため、この強みを磨くことが必要そうです。この経験は今後の業務や人生の立ち回りにおいて、大きな影響を与えてくれると思います。

以上、参加者の声を一部抜粋してお届けしました。多くの参加者が2日間の限られた期間でゲームを開発することで、苦労と共に大きな達成感を味わっているようでした。

今回「Cygames GameJam」は7年ぶりの開催となりましたが、すでに社内からは「また参加したい」「次こそ参加したい」といった声が上がっています。

今後もサイゲームスは、業務外のこのような活動を通して、スタッフたちが新しいことに挑戦しやすい環境づくりに努めていきます。次回の開催はまだアナウンスされていませんが、新たな動きがありましたら「Cygames Magazine」でご紹介したいと思いますので、楽しみにお待ちください。