キタサンブラック役・矢野妃菜喜さんとライブ演出を振り返る「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND」全4公演

『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』のナンバリングイベント「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND(以下、5th EVENT)」が、2024年3月に開催された「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND – NEW GATE – (以下、第4公演)」をもって千秋楽を迎えました。
企画の動き出しから1年余りにわたって開催された『ウマ娘』史上初のアリーナツアー。全公演、全く異なる内容になっている点が見どころであり、一方で出走者(※)やスタッフにとっては非常に高いハードルを超えていくツアーとなりました。

今回のサイマガでは、全公演に出走したキタサンブラック役・矢野妃菜喜さんをお招きし、前回の記事に続いてライブを支えたスタッフを交えて、ツアーを終えた感想や、各公演に込めた想いなどについてインタビューを実施しました!

※ 『ウマ娘』のイベントでは出演者のことを「出走者」、出演のことを「出走」と呼びます

■参加者

声優(キタサンブラック役)矢野 妃菜喜(やのひなき)さん
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ソニー・ミュージックアーティスツ所属。女優、声優、歌手として活躍。ウマ娘プロジェクトにはキタサンブラック役として参加。初登場はTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』(2021年)。TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』(2023年)では主役を務めた。
サイゲームス スタッフライブ演出スタッフ
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メディア統括としてメディア展開全体を担う傍ら、キャスティングからセットリスト制作、総合演出、イベント全体の統括を行う。
サイゲームス スタッフ音楽プロデューサー
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音楽プロデューサーとして楽曲制作を行う傍ら、ライブ用の楽曲アレンジやステージサウンドディレクションを担う。

※以下、敬称略

出走者とスタッフがツアーを経て成長
全員の力で限界を超えた5th EVENT

アリーナツアー全公演の完走、本当にお疲れさまでした。まずは矢野さん、アリーナツアーを終えた率直な感想をお聞かせください。

矢野 ツアーの序盤は不安で、大丈夫かな?という気持ちでいっぱいでした。でも、たくさんの公演に出走したり、TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3(以下、TVアニメ第3期)』を挟んだりして、精神的に、そして役者としても成長することができました。本当に貴重な経験をさせていただいたなと思います。非常に内容の濃いツアーでしたし期間も長かったので、今は「あ、本当に終わったんだ」という気持ちです。

第4公演では『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉(以下、劇場版ウマ娘)』の出走者をはじめとした新しい世代にスポットが当たりました。新しいウマ娘たちに対する矢野さんの想いをお聞かせください。

矢野 私はウマ娘という大きなコンテンツに途中から参加して、5th EVENTではセンターにまで立たせてもらいましたが、やっぱりコンテンツを背負うプレッシャーはすごく感じていました。とはいえ、私の場合、2021年の「3rd EVENT WINNING DREAM STAGE」から出走していたので心の準備をする期間がありました。でもジャンポケちゃん(ジャングルポケット)の場合、いきなり映画です!センターどん!じゃないですか。ですが、ジャングルポケット役の藤本侑里ちゃんは歌っていても演技をしていても「ジャングルポケット」になっていたので、とにかく度胸がすごいな!と。だから、私なんかが言っていいのかって感じですけど、第3公演-YELL-では「これからのウマ娘は心配ねえな!」の言葉が自然と出ていました。

▲矢野さんが「これからのウマ娘は心配ねえな!」と声をかけたときの様子

ありがとうございます。スタッフの二人はツアーを終えてみて、どうですか。

ライブ演出スタッフ 5th EVENTの立ち上げ当時を振り返ると、実は2022年にベルーナドームで開催した「4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! EXTRA STAGE(以下、EXTRA STAGE)」の直後に動き始めていて、そのときには「5th EVENTは矢野さんやトウカイテイオー役のMachicoさんを中心に構成し、演出を起点として新たなイベントのかたち・新たなメンバーが魅力となる公演にしよう」という考えがあって、かなり早いタイミングでオファーしていたんです。ただしEXTRA STAGE後はアイディア・気力・体力すべてを出し尽くしていて、ゴールも見えない状態でがむしゃらに走り始めていました。でも、動き始めたら「全公演の内容を全く異なるものにしてみよう」と考え始めていました(笑)。

準備期間を含めても1年間で8回も公演するのも『ウマ娘』としては初めての試みですよね。

ライブ演出スタッフ そうですね。しかもツアーの間にTVアニメ第3期も始まり、さらにゲームリリース3周年、TV番組出演、そちらのプロモーションをはじめとした業務もあって終始バタバタしていたので「本当に終わるのかな?」と思ったりもしました。ですが、トレーナー(※)のみなさん、キャストさん、パートナー企業さん……たくさんの方のサポートのおかげでなんとか終えることができました。本当に感謝しかないです。

※ トレーナー……ゲーム『ウマ娘』では、プレイヤーの方が「トレーナー」となってトレセン学園に通うウマ娘を育成します

※配信チケットの販売はすでに終了しています

音楽プロデューサー EXTRA STAGEが終わったときは、先ほども言ったとおり「やり尽くした!もう出がらしだ~」の気持ちでいっぱいでした。でもNEW GATEを終えた今は全く違って、矢野さんもおっしゃっていたように「これからもやっていけそうだな!」という気持ちが強いですね。こんなにも層の厚いキャストが揃っていて、コンテンツとしてもゲームを軸として映画、アニメ、コミックス、そして音楽など、クロスメディアで幅広く展開しています。ですので、この先もさらに色んなこと、驚きのあることができるのではないか、そんな期待感が大きいです。

▲千秋楽(第4公演 DAY2)出走者たちの集合写真

今回のツアーはメインタイトルが「GO BEYOND(超えていく)」となっています。タイトルに込めた想いを聞かせてください。

ライブ演出スタッフ 「超えていく」という言葉は、夢に向かって挑戦をしていく『ウマ娘』の物語で大事な要素を表現できる言葉の一つとして選びました。メタ的な意味でも2023年はツアーとTVアニメ第3期を控え、スタッフたちも限界に挑み超えていかなければならない。そんな姿も重なって、決意表明的な意味合いも込めてこのタイトルに決めました。

ありがとうございます。続いて「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -YELL- (以下、第3公演)」、第4公演のサブタイトル、キャスティングに込めた想いについて聞かせてください。

ライブ演出スタッフ 第3公演の開催はTVアニメ第3期が終了した直後だったので、まずは主人公のキタサンブラックやサトノダイヤモンドなど第3期メンバーを中心に据えた2日間にしました。それ以外でもライバルや憧れなど、お互いが心を通わせ、エールを送り合った組み合わせを横軸にキャスティングしています。また、サブタイトル名「YELL」=「声援」という言葉は、お互いに応援し・応援される、そんなトレーナーとウマ娘の関係性も表しています。作品にとって大きな要素である「YELL」を体現するために各コンテンツの主役たちを集めた結果、『ウマ娘』というコンテンツの総決算といえるキャスティングになりました。

▲第3公演 オープニング

ライブ演出スタッフ 『これまでのウマ娘』は第3公演で一区切りついたので、第4公演は「新しい扉を開けよう」ということで、発表されて間もない、比較的新しいウマ娘たちを中心に据えたキャスティングとなりました。なお、サブタイトル名を「NEW GATE」に決めたタイミングくらいで劇場版ウマ娘のタイトルも「新時代の扉」に決まったので、このイベントから映画に繋がっていくと良いな、という想いも込めています。

▲第4公演 オープニング

いつも笑顔で全力!
矢野さんが演じるキタサンブラックの魅力

ツアー中、矢野さんが常に笑顔でパフォーマンスしているのが印象的でした。全公演を出走するだけでも大変なのに、どうやってそのパワフルなパフォーマンスを生み出しているのでしょうか?

ライブ演出スタッフ キタサンブラックがメインではない曲のときも、精一杯踊ってくれたりするじゃないですか。最近入ったキャストさんたちにも「あれ、どうやってやるんですか!?」って聞かれますよ。みんな気になるみたい。

矢野 フィジカル面でいうと、私は元々ダンスとか体を動かすことが好きで、小さい頃から何かしら舞台に立ってきたので、今まで積み重ねた筋肉や経験でできあがっているのかなと。精神面だと、常に目の前のトレーナーさんたちに喜んでもらえると良いなと思って舞台に立っているので、笑顔で力いっぱいパフォーマンスすることをいつも意識しています。

▲第4公演のワンシーン

ステージ上でキタサンブラックを演じるとき、特に意識していることはありますか?

矢野 やっぱり遠目で見てもキタサンブラックに見えたら良いなと思って、立ち振る舞いには気を使っています。例えばダイヤちゃん(サトノダイヤモンド)だったら、立ち姿は足を揃えておしとやかな雰囲気にすると思います。それに対してキタサンブラックは仁王立ちで、動き出したら大きく動いて、他のウマ娘ちゃんたちにリアクションするときも大げさなぐらい元気。そんな人懐っこさが伝わってくる「キタサンブラックらしさ」を意識して動いています。

▲第3公演より。キタサンブラックの躍動感が伝わってくる

5th EVENTを振り返る
思い出に残っている曲や出来事は?

ツアー全体を通して思い出に残っている曲や出来事を教えてください。

音楽プロデューサー 特に思い出深い楽曲ということであれば「DRAMATIC JOURNEY」ですね。「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -WISH- (以下、第1公演)」の冒頭で、この楽曲のファンファーレ中に出走者全員が現れた瞬間に「ああ、ついにツアーが始まった、始まってしまった」と一気に心が引き締まったことを覚えています。今回このインタビューを受けるにあたって映像を見返したのですが、各公演で異なる演出となり、楽曲の意味合いも少しずつ変化していきました。その様子が非常に頼もしく、とても感慨深かったです。

矢野 第3、第4公演が「DRAMATIC JOURNEY」から始まらなかったのは寂しかったです。

音楽プロデューサー 確かに私にもその気持ちはありました。ですが、例えば第4公演では映像に歌詞が表示されてトレーナーさんも一緒に歌える演出になり、夢へ歩み出すウマ娘たちに直接声援を送ることができる、そんな位置付けの楽曲に昇華されていました。第1公演のオープニングで歌ったときとは違った意味合いを感じられる、楽曲自体の懐の深さを感じて嬉しかったですね。

▲第4公演 DAY2の「DRAMATIC JOURNEY」。モニター上部に歌詞が表示されている

ライブ演出スタッフ 思い出深い出来事でいうと、5th EVENTはこれまでやっていたセットリスト制作や演出案の制作の範囲をさらに広げて細かい部分まで演出や全体のクオリティアップを行う体制に変えたので、より深く立ち位置や出入りの指示まで考えるようになったんです。その結果、楽曲ごとの演出やニュアンスを、キャストさん一人ひとりに向き合って作り上げるようになった我々の変化が印象深いですね。例えば、第4公演 DAY1の「ソシテミンナノ」は前曲からの流れでトロッコからステージに降りていくストロークを利用してキタサンブラックとサトノダイヤモンドの掛け合いパートを入れたのですが、以前の我々だったらやらなかった発想だと思います。

▲第4公演 DAY1の「ソシテミンナノ」。歌唱前にキタサンブラックとサトノダイヤモンドの掛け合いがあった

ライブ演出スタッフ 同じ曲でもどんどん演出をブラッシュアップしたい想いが根底にあって、場数を踏んで、様々な演出を考えられるようになりました。また、その流れでキャストさんたちとの信頼関係が出来上がっていって「ここまでならできる」とコミュニケーションを取りやすくなったのも、表現の幅を広げる上でありがたかったです。

ありがとうございます。矢野さんの思い出はいかがでしょうか?

矢野 私の一番はやっぱり、第1公演で初めてMachicoさん(トウカイテイオー役)とダブルセンターに立たせてもらったことですね……!「2人でセンターに立つぞ!」って緊張でガチガチになっていたのが良い思い出です。あと第1公演だともう一つ、ステージ裏で天海由梨奈さん(ミスターシービー役)がキャストのみんなの交流を促してくれたんです。そこからずっとキャスト同士で支え合う気持ちの繋がりができたので、本当に感謝しています。

▲Machicoさんとダブルセンターに立ったときの様子

ライブ演出スタッフ キャストさんたちの団結力には本当に助けられました。実はとある公演前に様々なトラブルに見舞われてバタついてしまったことがあったんです。しかし、矢野さんをはじめとしたキャストさんたちが「ウマ娘のライブはこうだ!」と考えをしっかり持って事前に共有し合っていたから、本番でバッチリ仕上げてくださったのが印象的でした。そんな状態だったので、オーバーチュア(※)直後に「DRAMATIC JOURNEY」でウマ娘たちがステージにせり上がってくるシーンは一層胸を打たれました。

矢野 「DRAMATIC JOURNEY」で幕が上がっていって、ステージからトレーナーさんたちがペンライトで作った芝が見えたときは感動しましたね!「すごい景色だなぁ」って思いました。

※オーバーチュア……歌劇、組曲などの開始部に演奏される序曲のこと。5th EVENTでは映像演出やダンサーによるパフォーマンスなどが披露された

▲第1公演 DAY1の「DRAMATIC JOURNEY」

“お祭りウマ娘”が語る
「トレセン音頭(どんどこみっくす)」の舞台裏

「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -GAZE- (以下、第2公演)」を振り返ってみるといかがでしょうか。

矢野 ライブ演出スタッフさんに「太鼓を叩いてください」と言われまして。最初は小ぶりのおもちゃみたいな太鼓を叩く感じかな?と思っていたら、日本の伝統的なお祭りで見るような、振りかぶってドンドコやる感じの和太鼓だったんですよね(笑)。そこから和太鼓の叩き方をゴールドシップ役の上田瞳さんと一緒に習いに行って、もう全身筋肉痛ですよ!その上、本番に披露したトロッコの上で太鼓を叩くのも初めてで、何もかもが新鮮でしたね。第2公演は「トレセン音頭(どんどこみっくす)」を4連続で、それから立て続けに「走れウマ娘(どんどこみっくす)」をやってトレーナーのみなさんもヘトヘトになっていました。その後の公演で、私が「お祭り」って言うたびにトレーナーさんがビクッと反応していたのも良い思い出です(笑)。

▲「トレセン音頭(どんどこみっくす)」のワンシーン

第2公演といえば、矢野さんは見事なダンスを披露してくださいました。

矢野 ありがとうございます。実は第1公演でBoC’zを見て「いいな~」と思って、マチカネタンホイザ役の遠野ひかるさんと「ダンスで何かパフォーマンスしたいよね」と話していたんです。ライブ演出スタッフさんにお願いしたところ、第2公演 DAY2の「ぱか☆アゲ↑ミックス SHOWCASE」パートで叶えてもらいました。

ライブ演出スタッフ トレーナーさんたちが見たことのないものを見せたい、ウマ娘たちのより生き生きした姿を見せたいという想いで、歌唱や楽曲だけに留まらずみなさんに頑張ってもらいました。これはウマ娘のイベントで演出を考える際に毎回考えていることの一つです。

▲「ぱか☆アゲ↑ミックス SHOWCASE」パフォーマンス中のワンシーン

第3公演はTVアニメ第3期をフィーチャー
主人公・キタサンブラックのソロ曲の演出意図に迫る

続いて第3公演についてお聞かせください。TVアニメ第3期放送後でもあり、アニメを振り返るような構成でした。中でもDAY1の「ロストシャイン」は、元気いっぱいのキタサンブラックのイメージを覆すような、苦悩や葛藤に満ちたパフォーマンスが非常に印象的でした。

矢野 「ロストシャイン」はレコーディングするときからずっと、『ウマ娘』史上こんなにも救いのない曲は初めてでは?と思っていました。どんなに暗い曲でも、大抵は少しでも希望に向かっていくようなニュアンスがあるじゃないですか。でもこの曲は本当に先が見えなくて。それをステージでも表現したいと思って、第1話で勝てなかったキタサンブラックの気持ちを込めて歌うぞと心に決めていました。ただ、その前に歌唱した楽曲が「アコガレ Challenge Dash!!」で雰囲気が真逆だったので、感情はわちゃわちゃでした。

矢野 いざ曲が始まるとステージの雰囲気はガラッと変わって、ピンスポットライトが私だけに当たるかたちで照明が落ち、トレーナーのみなさんが暗闇の中で赤いペンライトを灯してくださっていました。スッと気持ちが切り替わって、集中して歌うことができましたね。

▲「ロストシャイン」は苦悩や葛藤が伝わるパフォーマンスに

音楽プロデューサー 「ロストシャイン」は、前向きな感情や希望といった「光」の要素を排除していくことを特に意識して制作していきました。作詞家さんからの初稿の段階では最後サビにほんの少しだけ、希望を仄めかすような表現を入れてくださっていたのですが、そのわずかともいえる「光」さえも排除してもらいました。
一般的には、楽曲の流れ的な時間経過の中で、構成が進むにつれ感情が動き、何かしら気持ちが前に進んだりすることは歌唱曲としてセオリーの一つではあります。
そこを最後まで心は立ち止まったまま、楽曲が進んでいってもラストまで「光」が見えない、そんなニュアンスを作詞家さんとすり合せて完成させた一曲です。

ライブ演出スタッフ ステージでもその雰囲気とキタサンブラックの感情をしっかりと出すため、余計な要素はそぎ落とし、照明から演出、モニターに映る雨の落ちる速度や奥行きに至るまで調整を重ねました。

矢野 「ロストシャイン」は元々バックダンサーさんがいる予定でしたね。

ライブ演出スタッフ そうなんです。でも迷いに迷って、没入感を演出するためにも「やっぱり矢野さん一人で行こう!」と決めて、本番直前にカットしました。また、第3公演 DAY1で披露してもらったキタサンブラックのソロ曲「空のほほえみ方」も同様で、元々はバックダンサーさんに登場してもらう予定でした。ですが、この楽曲ではキタサンブラックの衣装が勝負服「結願のしまい華」に変化する、彼女の心情や境遇の変化を象徴するような一曲ですので、ここはキタサンブラック一人を魅せたほうが良いと考え、一人でステージに立ってもらう構成にしました。

▲ソロ曲「空のほほえみ方」は単独でのパフォーマンスとなった

5th EVENTのラストを飾る第4公演
サトノダイヤモンド役・立花日菜さんとの関係と次代への想い

それでは、最後に第4公演についてお聞かせください。やはり最初に思い出すのはダイヤちゃんのギターパートでしょうか?

矢野 立花さん(サトノダイヤモンド役)は本当にちゃんと練習していましたね。

音楽プロデューサー 元々別のイベントの控室で立花さんに直接話したところからスタートしましたが、ギターパート用にアンプはもちろんのこと、マイクの種類やベダルボード等々、機材はしっかりこだわって揃え、さらには専任のギターテックを1名付けてかなり大がかりにやりました。でも、あくまでドゥラメンテのソロ曲なので、MCでもあえて一切触れずにサラッと進行しました。

▲Xでも立花さんとドゥラメンテ役の秋奈さんのパフォーマンス動画が公開されて話題を呼んだ

ライブ演出スタッフ やっぱり立花さんと矢野さんは仲が良いのは伝わってきますね。ステージ裏で色々話しているんだろうなと思っています。

矢野 はい、ずっと隣にいますね。DAY1の「Ambitious World」ではトロッコに乗り込む前に掛け合いがあるのですが、そのセリフをすべて暗記しなければならず、さらに尺もしっかりと決まっていました。そのため、本番中もずっとステージ裏でセリフを読み合わせたり、掛け合いのスピード感を調整したりしていました。

▲二人の仲の良さが伺える「Ambitious World」での様子

第4公演のその他の所感はいかがでしょうか?

ライブ演出スタッフ 第4公演には全公演に出走した矢野さん、Machicoさん、明坂さんをはじめとした経験豊富なキャスト陣を揃え、安定したパフォーマンスを作り上げることができました。そういった状況があったので、逆に初出走のキャストさんにもしっかり挑戦の場や見せ場を安心して設けることができたように思います。

公演が終了して一言をもらう場面でも、感極まって涙する初出走のキャストさんが多くいらっしゃいました。やはりプレッシャーがかかっていたのでしょうか。

矢野 そうだと思います。例えば劇場版ウマ娘の主役キャストである藤本侑里さん(ジャングルポケット役)、上坂すみれさん(アグネスタキオン役)、小倉唯さん(マンハッタンカフェ役)、福嶋晴菜さん(ダンツフレーム役)の4名や、初出走となったメインストーリー第2部のメンバーなどはリハーサルでもみんなで集まって支え合っていましたね。

ライブ演出スタッフ やはり上坂さんや徳井青空さん(テイエムオペラオー役)、Machicoさんなど、キャリアを積んだ方がたくさんいる現場に加わるのはプレッシャーがすごかったろうと思います。こういった背景や、ライブ演出のために挑戦することがたくさんある中、一発勝負で挑んだ初出走キャストさんが完走した姿を見たとき、トレーナーのみなさんに何かが伝わると良いなと思います。

▲第4公演 DAY2 バックステージより 矢野さんと藤本さんの様子

5th EVENTを終えて
未来に向かって走り出す

お話をたっぷりとありがとうございました。最後に、トレーナーのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

矢野 トレーナーのみなさん、全公演を一緒に走り抜けてくださって本当にありがとうございました。5th EVENTを通してすごく成長できたと思いますし、無事にゴールインできたからこそ、これから見せられるものもあると思っています。楽しみにしていてくださいね。キタサンブラックとしても、もっと走っていきたいと思いますのでこれからも応援よろしくお願いします!

▲第4公演 DAY2 バックステージより 矢野さんの様子

音楽プロデューサー EXTRA STAGEが終わったときはやり尽くしたという気分でしたが、5th EVENTを終えた今は期待感に満ちあふれています。まだ次の展開について何か言えるような状態ではないのですが、トレーナーのみなさんのおかげで色々なことができるチャンスが生まれています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

ライブ演出スタッフ 『ウマ娘』はゲーム、アニメ、マンガ、そして大型イベントと様々なコンテンツを展開しています。どれか一つのコンテンツを見ても楽しめますし、一つに捉われず様々なコンテンツや「競馬」そのものにも視野を広げることで、楽しめるポイントが繋がっていくと思います。そうしてコンテンツを楽しんでいただくことでトレーナーのみなさんをはじめとした『ウマ娘』に関わる全ての方々に、驚きや感動、より人生を豊かにするような小さな影響がもたらされたら良いなと思います。
ぜひ色々なコンテンツを楽しんで、またイベントに足を運んでいただけたら嬉しく思います。また、今後はイベント・ライブ企画制作チームがメインとなって作り上げる様々なイベントも控えているので、私自身もファンとしてその開催を楽しみにしています。
『ウマ娘』はイベントのみならず、この先ももっと楽しんでいただけるコンテンツに磨きをかけてまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いします!


5th EVENTは大盛況のうちに幕を閉じました。ご来場、ご視聴くださったみなさん、ありがとうございました。今後の大型イベント、ならびに『ウマ娘』の展開にどうぞご期待ください!

『ウマ娘 プリティーダービー』公式サイト

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