「コンテンツ力」の強い作品が受賞!「サイゲームス クリエイティブコンテスト2024」結果発表 「審査員賞」「学校賞」編

サイゲームスは2024年9月~11月に、学生を対象とした「サイゲームス クリエイティブコンテスト2024」を開催しました。このコンテストは次世代クリエイターの発掘・育成を目的として2020年から毎年開催しています。
今回の応募総数は3500点以上となり、「キャライラスト部門」「背景イラスト部門」「3DCG部門」「ゲームコンテンツ部門」「広告・映像・衣装デザイン部門」「高校生部門」の6部門へ、非常に多くの作品をご応募いただきました。
「大賞」「部門賞」作品のご紹介に続いて、本記事では入賞作品に次ぐ優れた作品として入選した「審査員賞」「学校賞」作品をご紹介します。
クリエイティブコンテストの公式サイトでは、作品をより大きな画像でご覧いただけます。ぜひ上記リンクからご鑑賞ください。
- デザイン制作室・Webクリエイティブ室 マネージャーマコト
- Web制作会社にてWebプロデューサー・ディレクターとしてのキャリアを経て、サイゲームスには2013年に合流。広告制作を担うデザイン制作室のマネージャーを務める。Web・広告制作の他、イベントの企画制作にも携わり、2023年から「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営にも参加している。
- 佐賀スタジオ / サブマネージャーリョウヘイ
- アニメーション制作会社での制作管理、プロデューサーのキャリアを経て、サイゲームスには2020年に合流。佐賀スタジオでスタッフのマネジメントに携わり、2021年から「サイゲームスクリエイティブコンテスト」の運営にも参加している。
審査員賞(9作品)

ペンネーム:ほ~こうさん/Sakuさん
純粋な少女を描いたループアニメーションです。
ほ〜こうがアニメーションを制作し、Sakuが音効を制作しました。ぼーっと眺めていただけると嬉しいです。
『天動説』について講評をお願いします。
マコト こちらの作品はメリーゴーラウンドをモチーフにしたループアニメーションです。画面を構成する要素は少なめですが、光の当たり方が印象的で、幼い少女が回転する姿をかわいらしく描いています。画面は落ち着いた雰囲気なのに、すごく印象に残ります。メリーゴーラウンドの回転を、自分を中心にして世界が回っているかのように見立て、そこに天体を配置して「天動説」というタイトルを付けたところも上手いですね。
リョウヘイ ずっと眺めてしまう作品ですよね。気が付けば何ループも見続けてしまいます。これまでの応募作にはループアニメーションの作品があまりなかったので、新鮮でした。
ループアニメーションは、1~2分の映像を飽きさせずに見せる工夫が必要です。ストーリーものとはまた違った工夫が必要なのですが、そこにしっかり取り組んで、審査員にも「ずっと見られる」と言わせる作品に仕上げたところが本作の強みだと思います。


ペンネーム:リモコンさん
悪党に所属している不良の男の子です。場面、表情、動きなどをつけることによって、「どのような性格の子なのか」を表すよう心掛けました。イラスト以外にもコミックやラフ絵を載せることで、バリエーションを増やしました。
続いて、『VILLA!NS』。こちらはキャライラスト部門への応募作品でした。
マコト アメコミ風のテイストが強い作品です。描き慣れているなと感じさせる完成度の高さで印象に残りました。キャラクターの種類が豊富で表情も豊かなことに加えて、シチュエーションも描かれているため、見ていて楽しい作品です。
リョウヘイ キャラクターが活き活きしていて、アメコミやカートゥーン系の作品への愛が非常に伝わってきますね。自分がこれまでどんな作品からどういう影響を受けてきて、これからどういうクリエイティブを作っていきたいのか、意思表明のようなものを感じました。
この主人公が普段どういう生活をしていて、ヴィランとしての能力を使ってどんな活動をしているかなどが伝わるように資料をまとめると、より良い作品になるのではないでしょうか。


ペンネーム:せきせいさん
「世界を旅して香辛料を集め、激辛料理やポーションを作り最凶よろず屋を経営しよう!」
がコンセプトの架空のゲーム「よろず屋ジョロキア」のゲーム画面を想定したキャラクターデザインとコンセプトアートを制作しました。
デフォルメのかわいくてピリ辛な世界観を主人公の男の子ロキアを通して楽しんでいただければ幸いです。
『よろず屋ジョロキア』はどのような点を評価しましたか?
マコト デフォルメのセンスが良く、キャラクターのラインも気持ち良い作品です。小型の模型風に描かれている「よろず屋ジョロキア」店内のデフォルメも上手ですね。キャラクターデザインが独創的で、主人公の男の子・ロキアにも個性的な魅力があります。
リョウヘイ UIのデザイン力や見せ方の可能性を感じる作品です。マコトさんと同様にキャラクターデザインに独創的な魅力を感じましたし、ゲームキャラクターとしての魅力を効果的に伝える工夫がなされていて好印象でした。

ペンネーム:燐花工房さん
「リフレクション」をテーマに制作した、二枚の連作の二枚目です。
お互いにとって目に映る風景の一部になっている。そんな瞬間が素敵だと思います。
小物の描き込み、空気感や反射光の表現、誇張になるが違和感のないパースなどにたくさん工夫をし、一見ありきたりな日常情景をできるだけ魅力的に表現することにチャレンジしてみました。
キャライラスト部門の審査員賞はもう1点選ばれました。『秋晴に映えて』の講評をお願いします。
マコト 非常に細かい描写がされている作品です。背景も緻密に描かれていて、色合いにも雰囲気があります。木漏れ日を上手く描写することで画面に深みを持たせていますね。
加えて、見せ方が面白い作品だと感じました。メインに描かれている女の子は窓際の席に座っていて、待ち合わせ相手と思われる女の子に手を振っている。相手の子を直接描くのではなく、ガラス面に反射させるかたちで描いているところが面白いですね。
リョウヘイ タイトルどおり、上手く季節感を表現できている作品だと思います。色味や光の強さなどで外の気温を感じさせるような、色づく街全体のイメージが膨らむような丁寧な仕事をされています。
シチュエーションをよりわかりやすくすると、より高い評価を得られたかもしれません。例えば、切なさを表現したかったのか、友達との楽しい一瞬を切り取ったのか、見る人にはっきりとした印象を与えられるとさらに良い作品になるのではないでしょうか。

ペンネーム:mitsu9nさん
このたびは、栄誉ある賞を頂けたことを大変光栄に思っております。
今回のイラスト「Home:」は安心感と、そこから湧き出る遊び心をテーマに描かせていただきました。全体を暖色から緑へのドミナントカラーでまとめ、暖かい光で安心感を、屋内の細かなモチーフで遊び心を演出しました。特にこだわった点は、本棚の並びです。手の届かない上段は整然と並べられ、下の段につれて乱雑に配置することで生活感を作りました。
このイラストを見た方々が日々の生活に、ささやかながらも心躍る遊び心を見つけて頂けると嬉しいです。
背景イラスト部門への応募作品『Home:』の講評をお願いします。
マコト 日常的な空間をビネット(小型の立体模型)風に切り出して、柔らかな色合いでまとめています。第一印象が非常に良い作品です。
全体的な雰囲気のまとめ方が良いので、描かれている要素に統一性を持たせたり、細かな部分の整合性を図ったりするとより良い作品になると思います。
リョウヘイ 縦長の画角の中で、上から下までどこを見ても、小物一つひとつへの力の入れ方が素晴らしいなと思いました。例えば本棚に並ぶ本は、一つ素材を作ったらそれをコピーして並べる場合があるんですが、この作品では1冊ずつ個性を持たせようという気概が伝わってきます。
ただ、キャラクターがいない背景イラストでは、背景だけでここに住んでいる人や物語を表現する必要がありますから、その観点ですべての小物が上手く作用し合うように意識すると、より高い評価が得られると思いました。

ペンネーム:H.Shinodaさん
-とある森の中、白い花の群生地。そこは雨が降ると一時的に水が溜まって小さな湖になる。
やさしく降り注ぐ木漏れ日の中、いつもと違う風景を眺める様に一頭の白馬が佇んでいる。-
豊かな自然の情景とそこに住む動物をテーマとして、幻想的だけれどもどこか現実にもありそうな風景を表現したいと思い制作した3DCG作品です。制作にあたっては、リアルな動物を再現すること、自然の息吹を感じられるような風景を構築すること、この2点を課題として設定し取り組みました。
こだわったポイントは、空気感と奥行き感の表現です。近景・中景・遠景のコントラストを意識してオブジェクトの配置やライティングを行いました。キーとなるのが光の筋の表現で、これに一番苦労しました。
また、絵全体の青緑色を際立たせることで、清々しい森の空気と幻想的な雰囲気を感じられるような絵に仕上げました。
続いて3DCG部門への応募作品です。『翡翠の森』の講評をお願いします。
マコト 静謐(せいひつ)な空間の中に、白い馬が立ち止まっている様子を描いた作品です。高潔さ、荘厳さのようなものが表現されていて、3DCG感はあえて押し出さず、絵として成立させているところが良い作品だと思いました。
今回のコンテストは動物をモチーフにした3DCG作品が少なく、自然と動物を表現した作品として目立っていましたし、明暗を上手く使い分けて白馬を際立たせている点が印象的でした。
リョウヘイ 動物を3DCGで表現するのは難しいですよね。きちんとした骨格表現をして、生物としての生命感を表現するのは難度が高いと思うんです。実際、3DCG部門はメカや街並みといった人工物を描いた作品が多く、この作品は動物や自然を高いクオリティーでまとめきったことが審査員に評価されました。木漏れ日や木、花、馬などすべてが巧みです。2Dが得意とする表現を3Dで作れるというのが、この方の武器になっていくのかもしれません。

ペンネーム:Yuma Yamamotoさん
周りの実験施設の不気味さや、光る蝶の美しさ、そしてその花の光を吸い上げる蝶の異形な雰囲気などが伝えられるよう目指して制作しました。
3DCG部門はもう1点『Luminous』が審査員賞を受賞しました。どのような点を評価しましたか?
マコト 実験施設のような室内と植物や虫を描いた動画で、すべてを3Dで表現してそれをしっかりと一本にまとめているところが好印象ですね。
実際の蝶をよく観察して比べてみると飛び方や体の造形が異なるのですが、そうした違和感の数々が、上手く作品の不気味さとして作用しています。
リョウヘイ 短尺の動画ですが、盛り込まれている素材の数は尋常じゃないんです。建物やパソコン、植物など、17秒の中にこれだけの素材を詰め込むのは大変な労力だと思いますし、それをやりきって形にしたところが素晴らしいですね。動画としてまとまりがあります。



ペンネーム:ITOSHUNさん
「剣玉」は、その名の通りけん玉をモチーフにしたキャラクター、剣郎と玉梅が協力して旅をする和風アクションゲームです。
プレイヤーは剣士の剣郎を操作し、玉梅は回復や連携技をサポートします。技は実際のけん玉の技をイメージしたものになっています。また敵キャラは世界観を合わせるために独楽や万華鏡など伝統品がモチーフになっています。そしてけん玉の面白さでもある技の競い合いをバトルシステムに取り入れるため、ラスボスの帝は捕らわれた王子を操り、プレイヤーと同じようにけん玉の技で攻撃してきます。
けん玉をテーマにした新鮮なゲームシステム、そして好感を持ってもらえる世界観やキャラクターを目指しました。
続いて、ゲームコンテンツ部門への応募作品『剣玉』の講評をお願いします。
マコト けん玉をモチーフにした和風アクションRPGの企画書ですね。ゲームコンテンツ部門については実際に遊べるゲームを制作して応募してくださる方が増えているんですが、企画書の体裁で応募される方もまだまだ多くいらっしゃいます。本作はその中でも非常によくまとまっていて、けん玉というモチーフもわかりやすいですし、キャラクターのイラストも含めて、独自の世界観を上手く表現できていました。
リョウヘイ イラストは独特な魅力がありますよね。キャラクターや世界設定が、ゲームコンテンツの企画書としてわかりやすく書かれています。立ち絵や操作画面のイメージなども盛り込まれていて、力作だと感じました。

ペンネーム:よーざんさん
黄金があるという島を目指して航海をする海賊たち。島を捜索していると陽気に踊る島の住民と遭遇する。警戒心を抱く海賊たちに対し島民は明るく踊り続け、海賊たちの心が揺さぶられていく。
コマ割りを音楽のタイミングに合わせて設定することでテンポよく映像が流れるよう意識しました。サビの前のタイミングで「ブゥーン」と低音が響くシーンで、それぞれの海賊たちの中にあるダンスの魂が奮い立つ様子を視覚的に表現し、心情の変化を段階的にすることで、抗いながらも踊りにつられてしまう平和でおかしな雰囲気を演出しました。
広告・映像・衣装部門への応募作品『黄金よりもリズムにのせて』の講評をお願いします。
マコト 海賊をモチーフにした3DCGの映像作品です。3DCGとしてはシンプルなんですが、なんともいえない独特の味わいがあり、キャラクターの動きにも愛嬌があって、つい見てしまう作品です。
キャラクターが謎のリズムにのって踊るんですけど、カメラもリズムにのって動くんですよね(笑)。テイストの好みは分かれるかもしれませんが、自然とのせられてしまうところがこの作品の魅力だと思います。
リョウヘイ もしかしたら、応募作品の中でも一番コンセプトがはっきりしている作品かもしれません。「見た人をノリノリにさせたい」みたいな、そこに向かってひたすら作り上げたことが伝わってきて、一度見たら忘れられないですね。
この作品はもう、「ここをもっとこうしたら良くなる」という類のものじゃない、完成した作品だという気がしています。他の方の作品はより広い層にアピールするものですが、本作は刺さる人に刺されば良いものではないかと思います。次回以降のコンテストは、こういう作品がもっと増えると面白くなりそうだなと感じました。
学校賞(7作品)

ペンネーム:mitsu9nさん
このたびは、栄誉ある賞を頂けたことを大変光栄に思っております。今回のイラスト「一弾指」は写真の、刹那を切り取る儚さと、没頭する人間の美しさを表現する作品でした。
上下の黒帯で画面を大胆に切り取り、その手前に水飛沫を配置することで、奥行と切り取られる被写体であることを強調しています。また、全体的に淡い青色の中、カメラの重たい黒と青に対する補色である黄色のハイライトで、儚げながら力強いギャップを作り出しました。このイラストを見て、少女の生い立ちやその写真への熱量を想像して頂けたら幸いです。
続いては、学校賞を受賞した作品のご紹介です。キャライラスト部門への応募作品『一弾指』の講評をお願いします。
マコト こちらは背景イラスト部門の審査員賞を受賞した『Home:』の作者・mitsu9nさんの作品です。キャラクター部門は学校賞に入賞し、ダブル受賞となりました。
カメラを構えて、シャッターチャンスを狙う人物を描いた作品で、まっすぐで力強い眼差しの表現が評価されました。
リョウヘイ イラスト系の作品は応募数が多く、他の作品と差別化するためには工夫が必要ですが、このように大胆に画面を切り取って表現すると審査員の心に残るんだなと思いました。
全面に大きくカメラや顔、手などの要素を描いているので、もう少し細部にこだわれると、もっと引き込まれる作品になるのではないでしょうか。


ペンネーム:うしれんさん
この度は素晴らしい賞をいただき光栄です。
この作品は職業をテーマにしたスマートフォン向けRPGを想定して制作しました。
自分の思うカラフルでかわいいキャラクターを描くことができ、楽しかったです。
これからも制作に励んでいきたいと思います。
同じくキャライラスト部門への応募作品『派遣ガーディアンズ』はどのような点を評価しましたか?
マコト 様々な職業をテーマにしてキャラクターを造形した作品です。職業ごとにきちんと描き分けができる表現力が評価されました。
リョウヘイ キャライラストの基本に忠実な作品ですね。職業別に5キャラを作り、イメージカラーを設定して、職業にまつわるアイテムを1個入れて……と、しっかり押さえるべきところを押さえています。やりたいことがはっきりと審査員に伝わってきました。

ペンネーム:東山二三さん
オリジナルキャラクター、天真爛漫な郵便屋さんイノちゃんの、明るく元気でかわいらしいスタンプです。イノちゃんの性格が伝わるよう、表情豊かに描きました。
『てんしんらんまんなゆうびんやさんイノちゃんスタンプ』もキャライラスト部門の応募作品ですね。こちらはどのような点を評価しましたか?
マコト 女の子のデフォルメキャラクターを描いた作品です。デジタルスタンプ作品として応募してくださった方はほとんどおらず、他の作品と差別化されていた点が印象に残りました。かわいらしいキャラクターを表現する部分と、スタンプとしてバリエーションを作る要素が上手く組み合わさった作品です。第2弾、第3弾を考える余地もありそうですね。
リョウヘイ 今すぐ商品としてシリーズ化できそうなものに仕上がっていると思います。キャラクターもかわいいですし、個々のスタンプの出来も良いです。学生のみなさんは、こういった商材を想定したキャラクターづくりやデザインにチャレンジしても良いかもしれません。
感情の種類をもう少し増やすと、より使いやすいスタンプになりそうです。

ペンネーム:和℃さん
今日から新一年生のお兄ちゃんになる少年の期待感と、少年の新生活をよりリアルに伝えるため背景を描き込みました。
続いて、背景イラスト部門への応募作品『今日からお兄ちゃん』への講評をお願いします。
マコト 小学校の構内を描いた作品です。背景イラストでありながら躍動感があり、小学生が廊下を疾走するというシチュエーションで入学式の日の風景が上手く表現されています。背景がしっかり描かれているのはもちろん、人物画を含めたトータルのバランスが良い作品です。
リョウヘイ このような現実世界のワンシーンを切り取った作品の応募は、案外数少ないんです。入学式という多くの人が経験する場面を描いて、そのウキウキ感を良く表現できていました。また、小学生をしっかり小学生らしく描けているのも魅力ですね。


ペンネーム:そしたらなんとさん
とある王国の王子と姫のキャラクター設定画面です。
双子の兄妹である2人が住むその王国は、現実の砂糖の代わりとなる甘い花の名産地です。
ある日、その花が急に甘くなくなり、世界中から甘いものが無くなり始めます。
2人はこの異変を解決するために、冒険の旅に出ます。可愛くて少し不思議な、絵本のような世界観を表現しました。
2人の服装は揺れものを多めにして、目に楽しいデザインにしています。
それぞれの表情や武器で、2人の性格や戦闘のスタイルが正反対であることを表現しました。
こちらはキャライラスト部門への応募作品『Sugary Twin Flowers』です。講評をお願いします。
マコト 王子様とお姫様のキャラクターを描いたオーソドックスなイラストです。キャラクターの立ち絵と一緒に、表情のバリエーションまでしっかり表現できています。デザインが魅力的なので、もっとこの作品の物語が知りたいと思いました。
リョウヘイ キャラクターが良いとストーリーをもっと知りたくなりますよね。衣装デザインや小物のデザイン、カラーリングなどが高いレベルで調和しています。この世界観の中で双子のきょうだいがどう関わっているのか見たいと思わせる作品です。
やや頭身低めのキャラクターイラストの中では、最も審査員の評価が高かった作品です。一枚絵のようなものがあると評価はさらに上がったと思います。

ペンネーム:うみねずみさん
1960~70年代のnew yorkを参考に経済が急成長しにぎやかになる街に反して侘しさを感じ、表現できないかという思いから制作しました。
侘しさの表現として看板にも人間の顔を出さないようにし代わりに異形頭にすることで異質さを与え、親近感を感じさせないようにしました。
英語の文字は簡単なものにしチープなものにすることでレトロ感を表現し、統一感を感じさせないフォントや並びにして雑多な街並みにしました。また、アメリカのジャズ歌手に多くの影響を受けており、冒頭のゆったりとしていてさみしさを感じる歌声をルックにしたくて色合いやスケール感を調整しました。コンポジット作業でもレトロで懐かしい表現のためにフィルムカメラで収めたようなルックにしました。
3DCG部門への応募作品『My Way』はどのような点を評価しましたか?
マコト 音楽から着想を得て、街の風景を描いている作品です。アメリカの雰囲気をきれいに表現できていると思いました。音楽からインスピレーションを得るというアプローチは3DCG作品としては珍しいですし、作品の面白さに繋がっていると思います。
リョウヘイ 古き良きアメリカをモチーフにしたディテールが詰め込まれているので、雰囲気を上手く表現できていると思います。せっかくなので、そのままのアメリカではなく少し別世界的な要素を加えると、もっと独自性が出たのではないでしょうか。




ペンネーム:白餅さん
ここは虎が煙草を吸っていた時代の
古代韓国。
村の人々が次々と姿を消し始める。
村の巫女であるイファは、これが悪鬼と関係していることに気づき、
自分が信仰する神であり村の守護神である「獅子神」と共に事件の真相を調査し始める。
果たして彼らは事件の真相に辿り着けるのだろうか。
最後はゲームコンテンツ部門への応募作品『창귀(チャンギ)』です。講評をお願いします。
マコト 韓国の民間伝承「チャンギ」(※)をテーマにしたアクションRPGゲームを、企画書のかたちで応募いただきました。世界観の設定とイラストのイメージが非常にマッチしていますし、独特なアジアンテイストに魅力がある作品です。
ビジュアルの完成度が高いだけでなく、ゲームとしてどんな世界を作りたいかが伝わってくる、力のある作品ですね。
※ チャンギ……中国・韓国の民間伝承に登場する妖怪の一種。虎に食い殺された人間が成仏できず、その虎に仕える鬼になったもの。この鬼は他の人間を虎に捧げることで、自身が成仏できるとされている
リョウヘイ このテイストをしっかりと企画書としてまとめ上げているのが素晴らしいと思います。企画書に掲載されている一枚一枚のコンセプトアートやキャラクターイラストなどを切り出して各部門に応募しても、受賞したのではないかと思わせるほどの高いクオリティーです。
コンテスト全体の振り返り
あらためて、「サイゲームス クリエイティブコンテスト2024」の総評をお願いします。
リョウヘイ とにかく自分の好きなジャンルを突き詰めている方の作品が受賞に至ったと感じます。特徴がはっきりしている作品が多く、「刺さる人にはすごく刺さる」印象でした。
学生の方々にとっては、しっかりと自分の想いを込めたクリエイティブを誰かに届ける経験が必要だと思います。今回のコンテストでは、学生のみなさんが好きなものに振り切って作り上げた作品が審査員の心を掴みましたね。
マコト そうですね。自分が好きなものや持っている想いを突き詰めて、しっかり消化して表現している作品が選ばれました。これからも、そうした強みのある作品がどんどん増えてくれることを期待しています。
リョウヘイ クリエイティブコンテストの初回から作品を見てきて、年々応募作品のスケールが大きくなっている印象を受けます。初期の頃はキャラクターの三面図のみの作品や3Dのモデル一つ、テキストを主とした数枚の企画書などの応募が多かったのですが、今や10枚以上のコンセプトアートを含めた企画書や、長尺の3D動画、実際にプレイできるゲームの応募が珍しくなくなってきました。
マコト 本当に手の込んだ作品が増えましたね。一方で、似たコンセプトの作品が多いなという印象もあります。「このモチーフの作品、30件くらいあるな」というケースも珍しくありません。応募件数が多い場合、誰かと似た作品になることは起こり得るでしょう。だからこそ、他の人が扱わないような意外性のあるモチーフを選んだり、「これが良いんだ」とご自身の好きなものや表現したいことを強くアピールしたりするような、個性の強い作品を待っています。
リョウヘイ 応募作品のクオリティーは間違いなく上がってきています。現在は平均点が上がっている印象ですが、今後はもっと飛び抜けた作品や目を引く作品が増えていくと良いですね。多数の応募作品の中で「どうアピールしていくか」も意識してご応募いただくと良いかもしれません。
また、表現する技術に加えて、作者と鑑賞者・プレイヤーとのコミュニケーションや伝える力を大切にすると、より良い作品が生まれるのではないかと思います。
以上、「サイゲームス クリエイティブコンテスト2024」の受賞作品をご紹介しました。応募者のみなさま、想いの詰まった素敵な作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。
各賞の受賞作はコンテストの公式Webサイトにも掲載していますので、ぜひじっくりとご覧ください。
サイゲームスは2025年にもクリエイティブコンテストの開催を予定しております。次回の開催については、詳細が決まり次第、公式WebサイトやX(旧Twitter)アカウントなどで告知してまいります。お楽しみに。