スマホゲームの内容は日を追うごとに高度化しており、ゲーム性、ボリュームともに、コンシューマーゲームに迫る勢いです。これに伴って、スマホゲームの開発現場ではコンシューマーゲームの技術やノウハウのニーズが高まっています。本記事では、コンシューマーからスマホに「ジョブチェンジ」したスタッフにインタビューを実施。両方を経験した者だからわかる、スマホゲーム開発の魅力を聞きました。

シニアディレクターケンスケ
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ゲーム会社数社を経て、2015年にサイゲームスに合流。サイゲームスでは『Shadowverse』『プリンセスコネクト!Re:Dive』「グランブルーファンタジー スカイコンパス」などに関わったのち、現在はコンシューマータイトルと新規スマホタイトルのディレクターを兼任中。
クライアントエンジニア/マネージャーゲンキ
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前職でニンテンドーDSやPlayStation 3向けのゲーム開発に携わったほか、ブラウザゲームも手掛ける。2014年にサイゲームスに合流し、複数のスマホ向けタイトルの立ち上げや開発を担当。プロジェクトでのエンジニアリーダーの経験を経て、現在はクライアントサイドエンジニアのマネージャーを務める。
3DCGアーティスト/サブマネージャートモヤ
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コンシューマーをメインに手掛けるゲーム開発会社にデザイナーとして入社。以降、3DCGのエフェクトを専門として、PlayStation Portable、Nintendo 3DS、PlayStation 3、同4向けのタイトルを担当。2017年にサイゲームスに合流し、スマホゲーム開発に本格的に携わる。

コンシューマー開発とスマホ開発は何が違う?
両プラットフォームの経験者に聞く

コンシューマーゲーム(以下、コンシューマー)とスマホゲーム(以下、スマホ)、両方の開発経験者として、どんなところに違いを感じますか?

ケンスケ 基本的にスマホは「運用ありき」で、コンシューマーは「買い切り」であることが多いので、その部分で色々と違いが出てきますね。スマホは作ったものを世に出して、ユーザーの方々からフィードバックをもらって、ゲームを成長させていく流れを含めて開発という感じ。

トモヤ そうですね。運用前提なので、「ユーザーさんに受け入れられなければゲームを作り続けられなくなる」という思いから、リリース前後はすごく緊張します。あと、僕個人の体験からすると、開発チームの一体感もコンシューマーのときより強いと感じました。コンシューマー開発時代はチーム内で意見を出すことがあまりなかったので、サイゲームスに来て、みんなでワイワイと意見を出し合いながら作っていくのが新鮮でしたね。

ケンスケ コンシューマーはマスターアップ(※製品版になるデータが完成すること)の瞬間がピークで、何年にも及ぶ開発期間の中でマスターアップは1回きりですが、スマホはリリース後もイベントなどのコンテンツを作る度にマスターアップしている感覚です。毎月のように「やり切った!」という達成感を味わえます。

ゲンキ スマホは運用が始まってからが本番というか、「リリースはスタートライン」という感覚。コンシューマー開発の頃は「作ったものを届けておしまい」という意識の方が強かったです。おのずと、力の配分の仕方も違ってきますね。コンシューマーはマスターアップで体力を使い果たすという感じですが、スマホだとリリース後に何らかのトラブルが起きても対応できるように、体力を温存しておくというか(笑)。

運用前提だと、力のかけ方やペース配分が違ってくるのでしょうか?

ゲンキ はい。コンシューマーは基本的にはリリースしたものが完成形なので、リリースまでに極力クオリティーを上げることに全力を注ぎます。スマホの場合も、リリース時にクオリティーを高くするのは同じなのですが、リリース後に定期的にイベントを開催したり、ゲーム自体にも新しい機能を追加したりと、定期的にコンテンツを更新していく必要があるので、「高頻度の更新に堪えられるコストとクオリティーのバランスになっているか?」という観点も大事なんです。

ケンスケ 最初だけめちゃめちゃ頑張って作り込んだとしても、それをずっと続けられるのかという話になりますからね。運用が始まってからクオリティーが下がったりバラツキが出たりすると、ユーザーさんに違和感を与えてしまう。継続して作れるクオリティーを見極めるのは大事です。

ゲンキ そうですね。ただ、工数が多すぎるという理由で簡単に実装を諦めたりクオリティーを下げたりすることはないです。無理のない運用を続けながらも、クオリティーを上げる方法を全力で探すというイメージです。

ケンスケ 既存の運用タイトルでも、毎月の短いスパンでは一定の開発工数で作れる範囲で楽しめるように工夫しつつ、半年や1年の長いスパンで大幅なアップデートをかけて全体を底上げするといったやり方をしていますね。

トモヤ スマホ開発では先を見越してデータを作成するのも重要ですね。作ったデータIDなどについても、運用が10年くらい続くことを想定しておかないと、割り当てる値が枯渇してしまった、みたいなことが起こりますから。

ゲンキ あり得ますね。スマホ開発ではプログラムも変化に対応できるように意識しながら書くことが多いです。仕様として確定していても、運用を続けるうちに作りたいものが変わって、手を加えたいとなる可能性は常にあるので、そういう変化に対応しやすい設計にしておくんです。

ケンスケ 最初から変更が「込み」で設計されているのはプランナー的にはありがたいですね。コンシューマーの現場で急に仕様変更したいって言うとちょっとした騒ぎになるけど、スマホだと普通に受け入れてもらえる(笑)。

スマホの場合、対応する端末の種類が非常に多いというのも、開発の考え方の違いに繋がるのでしょうか?

ゲンキ そうですね。コンシューマーにもマルチプラットフォーム展開はありますが、対応ハードの幅がある程度決まっているので、ハードの性能をなるべく引き出すという考えで設計することが多いです。でも、スマホは端末の種類が膨大でスペックの幅も大きいので、特定ハードの性能を引き出そうとするとそのスペック未満では動かなくなってしまいます。そのため、「端末の性能を引き出す」だけではなく「動作するスペックの幅を広げる」という点も意識する必要があります。

トモヤ グラフィックでいうと、シェーダーや描画負荷の調整などには特に気を使います。高度なシェーダーを使ったほうがリッチな表現になりますが、古い端末では重くなったり動かなかったりするので。

▲ゲームの設定で、個々のプレイ環境に応じて変更できる細かいオプションを用意するのは「端末の性能を引き出す」と「動作するスペックの幅を広げる」ための解決策の1つです

ケンスケ コンシューマーだと「このハードの性能を最大限に引き出したぜ!」という部分に喜びを見いだすことが多いですが、スマホだと「こんな低スペックの端末でもヌルヌル動くようにしたぜ!」というのが自慢になることもあります(笑)。

本質的な部分はどちらも同じ?
ゲーム作りの考え方や開発者のスキルについて

反対に、コンシューマー開発とスマホ開発の共通点はなんですか?

ケンスケ ユーザーを楽しませたいという点ではまったく同じですね。入社前は、スマホってもっと「いかに課金して遊んでもらうか」を一生懸命考えてるのかなって思っていましたが、全くそんなことはなく、現場は「いかに面白いものを作るか」しか考えていなくて。そこはコンシューマーと変わらないと思いました。

トモヤ 僕も、エンターテイメントを提供するという部分においては同じだと感じています。

ゲンキ 「お客さまに楽しんでもらいたい」というマインドは変わらないですね。ただ、遊ぶときのスタイルに差があるので、作るコンテンツの方向性が少し変わるだけだと思っています。

開発者に求められるスキルについてはどうでしょうか?

ゲンキ 昔のスマホは手軽に遊べるシンプルなものが多かったですが、今はより高度なクオリティーやゲーム性が求められるようになってきました。AAAタイトルのようなハイエンドは別としても、全体的に作るものが近付いているのは確かですね。

ケンスケ 数年前だとPlayStation 2時代の知識がスマホで役立ったりしていましたが、今はそれでは足りなくなってきています。スマホ版が先に出てコンシューマー版が出るみたいな流れも出てきましたし。

トモヤ 対象端末の幅を広く取る関係でスマホは技術的な制約が大きくなりがちですが、それも徐々になくなっていくんじゃないかと思いますね。スマホ自体のスペックが上がっていますし、クラウドゲーミングが普及する可能性も否定できないです。

ケンスケ 開発期間やコストの面でもあまり変わらなくなってきた気がします。

ゲンキ 開発環境も、Unityなどのようにコンシューマーとスマホ両対応しているものもありますし。ゲームとして作る内容が近づいてきたことで、エンジニアに求められるスキルの違いも少なくなってきた実感はありますね。

スマホ開発のここが楽しい!
作り手が達成感を得る瞬間とは

スマホ開発をしていて楽しいと感じるのはどんなところですか?

トモヤ やっぱり、ユーザーの方々からの反応がダイレクトに返ってくるところですね。個人的にはスマホ開発の一番の醍醐味だと感じている部分です。

ケンスケ 完成してからレスポンスが届くまでの時間が短いですよね。予想していたよりウケが悪いと、ツラいときもありますけど(笑)。

トモヤ 時々は(笑)。ただ、作ったものに対してすぐに反応が返ってきて、それを次の開発につなげて……というサイクルが回るのがすごく速いのは快感です。

ゲンキ コンシューマーでも発売タイミングなどでそういう刺激は得られますが、スマホはそのサイクルが速いので、モチベーションが保ちやすいですね。チャレンジする機会も多くて成長につながりやすいので、エンジニアとしても良い環境だと思います。

ケンスケ そうですね。プランナーも常に新しい施策を考えないといけないのが大変でもありますが、面白い部分でもあると思います。

ゲンキ スマホ開発の一番の魅力って、「ユーザーの方々と一緒にゲームを作っている」という感覚が強いところだと思います。遊んでくれた人の反応や意見を聞いたり、自分もユーザーとしてプレイして意見を出したりして、ユーザーの方と開発者が並走しながら開発している感じ。そういう感覚は運用をしている中でしか感じられない気がしますね。

トモヤ イベントや企画を行う中で、自分が好きな他社IPとのコラボを担当するなど、多種多様な仕事に関わる機会があるのも、デザイナーとしては刺激になります。

ケンスケ オジサン目線で言うと、若い人の成長を見られるのも楽しいです。コンシューマーだと開発スタート時にリーダーとしてベテランを置き、それが終盤まで変わることはあまりないですが、スマホの場合は、比較的早いタイミングで若い人にリーダーを譲って、ベテランは次の新規プロジェクトに取り掛かることがよくありますから。

ゲンキ 確かに、スマホ開発は若手にチャンスが回ってくることも多いですね。

ケンスケ リリース直前に私がヘルプに入った頃は新人だったスタッフが、1年後にはパートリーダーをやっているのを見たときは、うれしくなりましたね。逆に言えば、若い人がスピーディーに成長できる環境だからこそ、オジサンが新しいことに挑戦させてもらえるというメリットもあるのかなと(笑)。

継続して遊んでもらうために
運用タイトルならではの先進性とは

スマホのほうがコンシューマーより高度なことをやっていると感じる部分はありますか?

ゲンキ いかにたくさんのお客さまを惹きつけて、かつ長く楽しんでいただくかを追究している点では、スマホが先を行っている感じはありますね。スマホは多くが基本無料で、ゲームに触ってもらうまでのハードルは低いけれど、その分離脱するハードルも低いので。

ケンスケ それはありますね。ユーザーさんにストレスを与えないことに関するノウハウはスマホのほうが進んでいる気がします。コンシューマーは、お金を払った分は多少のストレスがあっても楽しむみたいなところがある。でも、スマホはある程度楽しんでもらった後でお金をいただく方式なので、ストレスなく楽しんでいただく必要があります。

ゲンキ スマホの場合、「このゲーム、ロード時間が長いな」といったストレスを感じさせてしまうと、ユーザーの方々はすぐ離れていってしまいますからね。いかに快適に楽しんでいただくかは、開発現場のみんなが常に知恵を絞っています。

▲『プリンセスコネクト!Re:Dive』でローディング中に表示される1コマ漫画。待ち時間を楽しんでもらうための工夫の一つです

トモヤ あと、現在先を行っているというものではないですが……。プロシージャル技術はコンシューマー開発を中心にすでに普及していますが、個人的には、開発サイクルが速いスマホのほうが向いていると感じるので、今後はスマホ開発でのニーズがさらに高まると思います。

コンシューマーもスマホも手掛ける
サイゲームスならではの強み

サイゲームスはコンシューマーとスマホの両方に力を入れていますが、どちらもやっている会社だからこその強みはあるでしょうか?

トモヤ 多種多様なコンテンツを作っていて、仕事に多様性があるのは長所だと思いますね。開発タイトル数が多いし、プロジェクトごとにゲームの方向性にも違いがあるので、色々なことにチャレンジできます。

ケンスケ 頑張っている人・手を挙げた人には、割合好きなことをやらせてくれる会社なので、やる気があれば両方経験できるのが良いところですね。私自身も最近、コンシューマータイトルのヘルプに呼ばれましたが、コンシューマーの現場は久しぶりだったので、新鮮な気持ちで楽しめています。

ゲンキ 両プラットフォームの開発者同士でノウハウの共有をしやすいし、未体験のことにチャレンジしやすい環境であることは強みかなと思います。実際に、コンシューマーとスマホのエンジニア間で技術情報の共有をしたり、互いにヘルプで開発に合流したりしています。

ケンスケ コンシューマーのみの会社だと、自分が作りたいタイトルを作る機会ってなかなかないと思いますが、スマホだといろんなタイトルでいろんな施策があって、ミニゲームみたいなところで自分の得意な領域を持ち込むチャンスもたくさんありますね。

こんな人にジョブチェンジを推奨!
スマホ開発に向いている人材とは

最後に改めて。スマホ開発に向いている人は、ズバリどんな人でしょうか?

ゲンキ これまでの話のまとめになりますが、作ったものをユーザーさんに届けることや、作ったものに対してダイレクトな反応を受けることに喜びを感じる人ですね。さらに、それを受けてより良いもの作ってやろうという意気込みがある人は向いているかと思います。

ケンスケ 「お客さまを楽しませたい」という部分は同じなので、もっとスピード感のある仕事をしたいとか、達成感を何度も味わいたいとか、いろんなことに挑戦したいといった人に向いている気がします。

ゲンキ スマホは間口が広いので「自分が作ったゲームをたくさんの人に遊んでもらいたい」と考えている人にはピッタリだと思います。スマホを作っていると、友達とか同僚とか親戚とか、すごくたくさんの人たちが遊んでくれていると感じる機会が多いですから。

トモヤ スキル面で言えば、コンシューマーの技術を持っている人は確実に活躍の機会があります。仕事の幅を広げたい人には向いていると思いますね。

スマホ開発へのジョブチェンジを考えているコンシューマー経験者に向けて、メッセージをお願いします。

トモヤ サイゲームスは両方の開発のことを理解している人が多いので、コンシューマーからスマホへのジョブチェンジはしやすい会社だと思います。いろんなことをやっている会社ですし、尖った技術を持っていて「これでハマるポジションあるのかな?」と思っている人がいたら、どこかしらで必ずハマところはあるのかなと。

ケンスケ ジョブチェンジしたからといって、スマホの作り方をイチから全部学ばないといけないわけでもないですしね。私自身もマスターアップの経験が多いところに強みがあるので、リリースまでをメインで担当して、その後の運用は得意な人に任せるみたいな関わり方をしています。

ゲンキ 自分の能力を試したい、チャレンジしたいという人にはぜひ来てほしいです。スマホ開発では作ったものを届けるまでのプロセスがすごく速いです。作ったものだけでなく、開発速度がゲームの評価につながることもあります。自分の力でゲーム自体が良くなるという感覚を味わえるので、チャレンジをしたいという人にはやりがいがある環境だと思います。


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