UIデザイナーの仕事とは?快適でわかりやすいゲーム画面の設計に必要なこと【サイゲームス仕事百科】

UIデザイナーは、ゲームのUIを設計・デザインする職種です。ユーザーの方々が「この機能を使いたい」「この情報を見たい」と思ったときに、その操作をスムーズに実行できるように、画面を構成する各種パーツの配置や大きさ、ビジュアル、フォントの種類やサイズなどを適切に設計・デザインしていきます。今回は、UIデザイナーの仕事について、マネージャーへの取材を基に解説します。

UIデザイナーの仕事は
ゲーム体験を快適にする画面作り

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略で、サービスとユーザーの方々との接点となる部分を指します。ゲームにおけるUIは、ウィンドウやボタン類、メニュー項目など、ユーザーの方々が見たり操作したりする部分のことです。また、何らかの操作をしたときのリアクションや画面遷移の仕方といった「動き」もUIに含まれます。

サイゲームスでは、「操作感・押しやすさ・見やすさ・わかりやすさなどを最大化し、ゲーム体験を快適にする画面を構築すること」がUIデザイナーの仕事だと考えています。最適なUIを実現し、ゲームの世界への没入感を高め、コンテンツをフルに楽しんでもらうことを追求しています。

▲『プリンセスコネクト!Re:Dive』マイページ画面。「アニメRPG」である本作のUIデザインは、ゲームパートでストレスを与えず、アニメパートを存分に楽しんでもらえることを目指しています

UIデザイナーの仕事内容

具体的に、ゲーム画面のどこをUIデザイナーが作っているのか。大まかに言えば「キャラや背景以外の全部」です。例えば『Shadowverse』では、下記の要素を作っています。

  • 画面のレイアウト(各種表示項目の位置・サイズ)
  • カード枠のデザイン
  • アイコンのデザイン
  • ボタン類のデザイン
  • アニメーション用素材のデザイン
  • イベント素材のデザイン
▲『Shadowverse』のバトルの開発画面
▲『Shadowverse』のバトルの開発画面で、UIデザイナーが制作しているパーツ部分のみを表示したもの

アニメーション用の素材とは、操作に対するリアクションやロゴの表示など、何らかの動きがあるパーツのことです。パーツの外観は静止画としてUIデザイナーがデザインし、それに動きを付ける作業をアニメーションデザイナーが担当します。

アニメーションデザイナーの仕事については、こちらをご覧ください。

また、ゲーム内で定期的に開催されるイベントではゲームのベースとなる部分とは異なるUIを採用するコンテンツが多いため、イベント内容に合わせてその都度、専用のUIパーツをデザインする必要があります。

アイコンやボタン類などのデザインも重要ですが、UIデザイナーにとってより重要なのは「ユーザー体験を含めて画面を設計すること」です。企画者(ディレクターやプランナー)が想定している「ユーザーのみなさんにこんな風に楽しんでほしい」という意図を汲み取り、それを実現するにはどんなビジュアル・レイアウト・操作性にするのがベストかを考えます。その上で、作品の世界観に合ったデザインを作り込んでいくのです。世界観を構築するため、UIデザイナーは企画にも関わる仕事と言えるでしょう。

ゲーム内UIの制作フロー

続いて、UIデザイナーの制作フローを見ていきましょう。基本的には、以下のような流れとなります。

1.ディレクターやプランナーからゲームに必要な要素を伝えられ、発注を受ける

2.発注内容に沿い、画面設計や素材のデザインをする(必要に応じてアニメーションの素材も制作)

3.制作した素材をエンジニアに渡し、ゲームに実装してもらう/新規画面の場合はサウンドクリエイターにSE(効果音)といった音を付けてもらう

4.UIが完成

プロジェクト全体で見ると、UIデザイナーは下図のような位置にいることが多いです。

最初に「企画」があり、「開発」過程の前半でUIデザイナーが加わります。イラストレーターが制作した背景やキャラクターのイラストに合わせるかたちで、UIデザイナーがUIを作ります。UIにアニメーションが必要な場合はアニメーションデザイナーに発注してアニメーションを作ってもらいます。そうして出来上がった素材をエンジニアに渡して実装してもらう──という流れです。

実際には、UIデザイナーがどの段階から関わるか、またどんな関わり方をするかはプロジェクトや案件によって大きく変わります。プロジェクトの企画段階から関わり「このゲームの世界観に合う最適なUIとは」といった話し合いから始めることもあれば、エンジニアがある程度のところまで実装を進めた段階で、UIデザイナーへ具体的な発注がされることもあります。

他にも、例えばアニメーションを作るプロセスもケースバイケースです。プランナー側に「こんなアニメーションにしたい」という具体的な要望があり、それをブラッシュアップするケースもあれば、アニメーションデザイナー側から「こんなアニメーションを作りたいので、その素材を作ってほしい」と依頼されるケースもあります。また、UIデザイナー側から「こんな画面を作っているので、この部分にこういうアニメーションを入れたい」と提案するケースもあります。

アニメーションはゲームの世界での出来事を伝えることに加え、テンポ感や動きの面白さも含めて考える必要があるので、それを意識しながら作ります。UIに動きを付けるのはアニメーションデザイナーが担当することが多いのですが、場合によっては、UIデザイナーが動きのあるプロトタイプを作ってアニメーションの内容まで提案することもあります。いずれのパターンで作るにせよ、最終的に作り手が見せたい世界観を表現しつつ、ユーザーの方々にストレスフリーに楽しんでもらえるUIになっていれば良いという考えです。

制作ツールとしては、「Photoshop」や「Illustrator」といった2Dのグラフィックソフトを使うことが多いです。その他、ゲームエンジンの「Unity」を使うこともありますし、アニメーションの提案のために「After Effects」のようなモーショングラフィックソフトを使うこともあります。

サイゲームスのUIデザイナーに
求められるスキルとマインド

ここまでUIデザイナーの業務について説明してきました。続いて、UIデザイナーに求められるスキルやマインドについて述べたいと思います。絵を描くことが多い仕事であるため、グラフィックスキル(=上手い絵を描ける)は必須と言えます。それに加えて、下記の3つが求められます。

■相手の意図を理解する(多様な価値観を肯定する)

さまざまな指示や要望を受ける際は、その根本にある意図を理解することが大事です。例えば、「文字のこの部分を“赤くしたい”」という指示があったとき、その意図は「文字のこの部分を“目立たせたい”」だったとします。意図を理解していないと、指示通りに赤色にした結果、「ゲームのテイストに合わないので再度修正」といった不要なやり取りに繋がってしまいます。しかし、修正の意図を理解しておけば、「このゲームで目立たせるなら赤ではなく、別の色にするほうが良いのでは?」といった最適な提案ができるのです。

相手の意図を理解した上で多様な価値観を許容できる人のほうが、UIデザインの仕事に向いています。例えば、他部署から斬新なデザインのアイディアが出てきたとします。最初はピンと来ないアイディアだったとしても、否定するのではなく、試しに作ってみる姿勢が大事です。作ったものをプレイしてフィードバックを重ねることで、発注者側と認識をすり合わせられ、より良いものにできる可能性があります。最初は自信がなかった案が意外と実用的だったり、逆にいけると思ったものがダメだったりすることもよくあります。
自分の考えをしっかりと持った上で、他人の意見を否定せず前向きなトライ・アンド・エラーでデザインに取り組むマインドが求められます。

■全体像を把握する

精度の高い仕事をする上で重要なのは、個別の発注内容よりも「全体像の把握」です。パーツ単位や機能単位でしかデザインを見ていないと、ゲーム全体での統一感や一貫性のないUIが出来上がってしまいかねません。全体としてどんなテイストのUIにしたいかの認識を、企画者側とUIデザイナー側の双方で共有しておくことで、クオリティーの高いUIに仕上がります。

■情報設計をする

情報設計は必要な情報を整理して画面レイアウトに落とし込む、言わば「情報の整理整頓」のスキルです。画面内には複数の情報が表示されています。その中でどの情報を、どの程度優先するかを考えて、まとめる必要があります。きれいにレイアウトをすることも大切ですが、それだけではありません。例えば、企画者からは文字で説明するように指示があるところを、図を利用して直感的に理解しやすいように提案するなど、情報の扱い方と伝え方に関するスキルが求められます。

UIデザイナーの
仕事のやりがいとは?

UIデザインは、何が正解なのかを判断することが難しい仕事です。誰にとってもわかりやすく使いやすいUIをデザインすることは簡単ではありません。また、運用タイトルには終わりがないため、時代に合わせて常にデザインをアップデートしていく必要があります。運用していく中での環境の変化としては、スマートフォンの標準的な画面サイズが大きくなる、処理性能が上がるといった変化が起こります。それによって以前はできなかった表現が可能になる場合もあります。開発内部の変化としては、新しい機能やイベントの追加などがあります。そんな中で私たちは、より多くの人にゲームを楽しんでもらえるUIを作ろうと、日々試行錯誤しています。

それだけに、ユーザーのみなさんから「もっとこうしてほしい」などのご提案や「使いやすい」といったご意見が聞けるとやりがいを感じます。特に運用タイトルは、作ったものに対してダイレクトな反応があるため、良い評価を受けたときはうれしく思います。

UIデザイナーのキャリアパス

サイゲームスのUIデザイナーのキャリアパスとしては、大きく分けてマネジメントとスペシャリストの2つの方向性があります。いずれの道に進むとしても、最初は素材のデザインといった部分的な仕事から始めて、実力がついていくにつれて、導線を含む全体的なUI設計を任されるようになります。ある程度の実績を積んだあと、リーダーやマネージャーとしてチームを取りまとめたい人はマネジメントを、現場でデザインのクオリティーアップに専念したい人はスペシャリストを目指します。

では、ゲームUIデザイナーとしてどのレベルに達すれば一人前と言えるでしょうか。UIの定義自体がまだ曖昧なところがあるので、「○○ができればUIデザイナーとして一人前」と基準を設けるのは難しいところです。しかしあえて基準を設けるならば、発注者側から求められたものを適切に制作できるようになれば、一定の実力があると言えます。
また、単にデザインするだけでなく、相手に「なぜそのデザインなのか」を伝える力も必要です。デザインの意図をきちんと言語化して説明できること、また説明の仕方も相手によって伝わりやすい言葉を選んで合意形成ができること。それができるようになれば、UIデザイナーとして幅広く活躍できます。

サイゲームスのUIデザイナーを
目指す人へのアドバイス

サイゲームスのUIデザイナーは、ゲームの世界観を作りたい人、2Dキャラやアイテムのイラストを描きたい人など、さまざまなスタッフが集まっています。

UIデザイナーを志望する人は、常日頃から、絵の上達に励むことに加えて、色々なジャンルのゲームをプレイしてほしいと思います。プレイしたゲームの何が面白かったか、面白くなかったかを振り返り、なぜそう感じたか客観的に分析すると良いです。「なぜこのUIになったのか」を想像し、もっと良くするにはどうすべきかを自分なりに考えられる、UIデザイナーとしての目線を養っておくことをおすすめします。

採用試験へのご応募の際は、書類選考の材料としてポートフォリオを提出いただきます。ポートフォリオは、「グラフィックスキル」と「情報設計スキル」が伝わるように意識して作成することがポイントです。

ポートフォリオについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

また、面接にお越しいただく際は、ゲームを作りたいという想いをお聞きできればと思います。できればサイゲームスという会社について知っていてくれると、話も弾みやすいです。例えばサイゲームスのコンテンツの好きなところや、もっとこうすると面白くなる、自分はこうやって面白くしたい、といったアイディアを教えてもらえるとうれしいですね。


以上、UIデザイナーの仕事についての解説でした。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

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