これから始める人のための『グランブルーファンタジー』入門<世界観編>
壮大な空の世界を舞台に、仲間たちと冒険を繰り広げるRPG『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』。11年にわたって描かれてきた空の旅は大きな節目を迎え、いま新たな物語が始まろうとしています。
今回は、これから『グラブル』を始める方に向けて、本作の紹介記事を前後編でお届けします。前編では世界観や旅の基礎となるメインクエストの魅力を、後編では物語を彩る演出やゲームとしての楽しみ方をまとめてご紹介します。
さらに前編では、『グラブル』シリーズのクリエイティブディレクター・福原哲也に、『グラブル』誕生の経緯とこれから始める方におすすめの遊び方を聞きました。長く旅を続けている騎空士のみなさんもぜひご覧ください!
※記事内にネタバレを含みますのでご注意ください
『グランブルーファンタジー』とは
2014年にリリースされ、累計登録者数3800万人を突破した王道スマホRPG。プレイヤーは騎空士(きくうし)として騎空艇(きくうてい)に乗り、空に浮かぶ島々を巡る旅に出ます。物語の舞台となるのは、歴史や文化、価値観が異なる様々な“空域”。古代遺跡が眠る島、機工が発達した都市島、自然豊かな群島など、島ごとに違う物語が待っています。

本作の魅力の一つでもあるのが、800以上に及ぶ個性豊かなキャラクターが織りなすドラマと、戦略的コマンドバトル。世界中のプレイヤーと協力して挑むマルチバトルの他、ジョブやキャラクター、武器の育成など、やりこみ要素も数多く用意されています。
■あらすじ
物語は、空に浮かぶ小さな島〈ザンクティンゼル〉から始まります。
主人公のもとに届いた、父からの手紙――
「我が子よ、星の島、イスタルシアで待つ――」
その言葉に導かれ、主人公は小さな相棒ビィとともに、空の果てを目指す旅に出ることを決意します。旅立ちの矢先、謎の少女・ルリアと彼女を守る騎士・カタリナと出会ったことをきっかけに、果てしない空をめぐる壮大な冒険が幕を開けます。

『グラブル』の世界観・戦闘システム
■空に島が浮かぶ世界
『グラブル』の舞台は、無数の島々が雲の上に浮かぶ空の世界です。遥か昔、この空の世界に「星の民」と呼ばれる侵略者が現れました。彼らは世界の理から外れた圧倒的な力と、「星晶獣(せいしょうじゅう)」と呼ばれる存在を操って空の世界を支配していましたが、空の世界に暮らす「空の民」との長い戦いの末に姿を消します。この戦いは「覇空戦争(はくうせんそう)」と呼ばれ、星の民の遺産や影響はいまも各地に残っています。

空に点在する島々を繋ぐのは、「騎空艇」と呼ばれる空飛ぶ船。主人公は騎空艇で様々な島や遺跡を巡り、時には星晶獣の眠る地へと足を踏み入れます。

■各地に眠る大いなる力、“星晶獣”
空の各地には、星の民が遺した星晶獣が眠っています。星晶獣は星の民の最大戦力であり、神にも等しい力を与えられた大いなる獣。覇空戦争の後は「星晶」となって眠りにつき、各地の信仰や文化と一体化していきました。星の民にしか従わないため、その暴走は天災に等しい出来事とされています。

■空の旅を支える“バトル”の仕組み
『グラブル』の戦闘は、ターン制のコマンドバトル。キャラクターや武器、星晶獣の召喚石を編成し、仲間と力を合わせて敵に挑みます。6つの属性による相性や、キャラクターごとに異なるアビリティを活かした戦略が勝利へのカギです。さらに、プレイヤー自身も「ジョブシステム」によって役割を切り替えられるため、攻撃に特化したり、仲間を支援したりと、多彩な戦い方を楽しめます。

そして、空の旅を始めたばかりのプレイヤーをサポートしてくれるのが、2024年4月に実装された「シェロカルテの特別訓練」。属性別の課題を進めることで育成に役立つアイテムが手に入り、編成を強化しながらゲームの仕組みや戦い方を自然に学べます。訓練をすべてやり遂げると、強力な装備や特別な仲間が入手できます。

広がり続ける“空の世界”の魅力とは
ここからは、クリエイティブディレクターへのインタビューをお届けします。
- クリエイティブディレクター福原 哲也

- 2012年入社。『グランブルーファンタジー』のディレクターとして、プロジェクトの立ち上げから2024年までの約11年間、開発・運営に携わる。現在は『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』や『グランブルーファンタジー リリンク』など、スピンオフ作品のコンシューマー展開においてもクリエイティブディレクターを務め、新たな『グランブルーファンタジー』シリーズの世界を広げ続けている。
『グラブル』の物語や“空の世界”は、どのようにして生まれたのでしょうか?
福原 コンセプトの中心は「王道ファンタジー」です。企画立ち上げ当初から、幅広いゲームファンが好きになれて、安心して楽しめるという意味での王道の物語にしてほしいとオーダーを会社からいただきました。
方針が決まった段階ですでに、CyDesignationの皆葉英夫さんら何名かがアイディア出しとして描かれていたアートや、“空に島が浮かぶ世界”という、今の『グラブル』のビジュアルに近い風景のコンセプトアートがありました。それを活かすかたちで空の世界を題材にしたRPGという方向性が明確に定まったんです。
スマホの小さな画面の中でも、空に浮かぶ島々を旅していくという展開にすることによって、島ごとに全く異なる風景や、国と文化の違いなどを描きやすくなります。画面の奥に広がる、空の世界の広大さを感じさせやすくする設定となったのではないかと思います。


クリエイティブディレクターとして、長い冒険を描く上でプレイヤーに「空の旅」を楽しんでもらうために意識していることはありますか?
福原 “空”という舞台は『グラブル』の大きな特色で、現実の世界ではありえない物理法則を扱えることから、現実では想像しないような現象や風景を描ける点が魅力です。「この先に何が起きるんだろう」「空の世界の果てはどうなっているんだろう」といった未知へのワクワクを感じてもらえるような余白や、途方のなさを演出することを意識していました。
実は、“空の世界”は実際の宇宙をモチーフにしているんです。宇宙って、私たちの常識からは全く理解が及ばないようなスケールの事象がありますよね。『グラブル』でも、そういった未知や神秘に対する好奇心をくすぐる描写を大切にしています。
『グラブル』にはこれまで多種多様な島や空域が出てきました。印象的に残っている舞台を教えてください。
福原 空の景色というのは、単に“空”として描くと青空と雲による似た風景になりがちなので、アーティストの力も借りながら、シーンごとに雲や風の表情に差異をつけるという点を重視してきました。その中でも思い出深いのは、メインクエストで初めて空域を横断するという展開にあたって、見た瞬間に新しい空域と判別してもらえるインパクトが必要と考えた末に誕生した巨大な壁「ナル・グレートウォール」です。

その名の通り、宇宙の「グレートウォール」構造から着想を得ています。作中の常識からも少し外れた、不思議な景色として描かれています。島々よりも圧倒的に大きいスケールの壁が空にそびえ立っていることで、「あれは一体何なんだ?」「行ってみたい!」と思ってもらえるような空想的な景色を作りたかったんです。新空域はアジアンテイストにして異文化感を出そうという方針もあり、村や草原、洞窟といった汎用的な風景からも、これまでの冒険の舞台から気温や湿度の変化が感じ取れるように、新空域用の背景イラストをたくさん準備させてもらったことも思い出深いです。
これまで携わってきて、印象に残っている出来事を教えてください。
福原 リリース直後から「このゲーム、面白い」という反響をたくさんいただくことができ、チーム全員がその声に応えたいという思いになりました。早期のバグ対応やアップデート対応を全員でものすごく頑張ったときの熱気を今でも覚えています。一度リリースを延期し、2回目のβテスト直後でのサービス開始となったのでみんな疲労も溜まっていたはずなのですが、それを乗り越えていった体験は糧になったはずだと思っています。
それから11年経ち、イベントでプレイヤーの方々とお話できた機会などで、「『グラブル』は青春の思い出です」と言っていただけたり、『グラブル』をきっかけにゲーム業界を目指したという方もいたりして、「あのとき頑張ってよかったなぁ」とうれしく思うことも増えました。
『グランブルーファンタジー』の楽しみ方
これからの『グラブル』の展開を、お話できる範囲でお願いします。
福原 まもなくメインクエストの新章がスタートします。新章からは、私はメインクエストの担当から一歩退き、シナリオチーム主導で展開させていくのですが、その点では新しい風が吹くというか、良い意味で少しテイストが変わるのかもしれません。予告段階ですでにそれを感じさせてくれるものになっているので、これから始める方にも、長く遊んできた方にも、新鮮な驚きを同時に感じてもらえるのではないかと思います。新たな舞台と物語を楽しんでいただきたいです。


これから始める方には、どのように楽しんでいただきたいですか?
福原 メインクエストには11年分のボリュームがあるので、じっくりと味わってほしいのが本音ではありますが、最初からすべてを追っていくのは大変ですよね。「メインクエスト総集編」というものが10月に実装されたので、「大体の内容を把握しつつ、すぐに新章を楽しみたい!」という方は総集編を見ていただくのをおすすめします。物語の要点となる部分を、再構築されたエピソードとして楽しめるので、とても手軽かと思います。(※)
総集編とは別に、大きな区切りごとにシナリオをスキップし、専用演出でダイジェスト版のストーリーを楽しめる機能も用意しています。お好きな方法で気軽にプレイしていただきたいです。
※本記事公開時点では、「第1部 蒼の少女編」の総集編のみ実装されています。「第2部 暁の空」「第3部 星の旅人」の総集編は今後のアップデートで順次追加予定です

また、毎月末にはメインクエストとは別の、独自の物語が展開される“シナリオイベント”を開催しています。様々なキャラクターや舞台が登場するストーリーなので、気になるキャラクターがいたら同じキャラクターが登場するサイドストーリーをプレイして……という流れで、気に入ったキャラクターを軸に少しずつ触れていく方法もおすすめです。

今後も新しいシナリオや敵、新たなコンテンツが追加され、メインクエストの新章も始まります。これから始める方もスキップや総集編を利用してひとたび最新のストーリーに追いつけば、先輩騎空士と一緒に楽しめるようになると思います。ぜひ気軽に始めていただけたらうれしいです。
最後に、『グラブル』を遊ぶ方に向けて、進め方のコツや楽しみにしてほしいポイントを教えてください。
福原 これから遊ばれる方は、まず「シェロカルテの特別訓練」からプレイしてみていただきたいです。プレイヤーが強くなる過程をサポートするコンテンツで、進めていくうちに自然とゲームの流れを掴めてくると思います。課題をクリアしていくと少しずつ編成が整っていくので、成長を実感しながら遊んでもらえるはずです。
また、久しぶりに戻ってこられた方は、マルチバトルが増えていると思うので、クリアしていないものから順に挑戦していってみてください。その過程で新しい素材や武器も手に入るので、以前の勘を取り戻していけるかと思います。
11周年を迎えた現在も、『グラブル』の運営チームは「プレイヤーのみなさんを楽しませたい・驚かせたい」という熱意を大切にしています。これからも新しい冒険を通じて、『グラブル』を楽しんでいっていただけたらうれしいです。

以上、『グラブル』の世界観や、これから始める方へのおすすめポイントをご紹介しました。
後編では、メインクエストのあらすじや、冒険を彩る演出などをお伝えします!
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