新卒制作管理が悩んで乗り越えた「インプット」と「報連相」

サイゲームスには、新卒・第二新卒のスタッフにキャリア形成及び生活全般のさまざまな悩み相談を行うメンターと業務上必要なスキルを教えるトレーナーがつくメンタートレーナー制度があります。その対象者に、それぞれのコンビで対談していただく連載企画「SJ対談」。
先輩(Senior)と後輩(Junior)、それぞれの立場から見た制度期間中の思い出や成長の軌跡などを話します。

記念すべき第1回は、イラストデータや制作スケジュールの管理といったイラスト管理業務を一手に引き受けるクリエイターの強い味方・制作管理チームの2人に振り返ってもらいます。

制作管理チームシンゴ
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2012年中途入社。外注管理として『神撃のバハムート』、のちにデザイン進行管理として『グランブルーファンタジー』ほか派生プロジェクトに携わる。
2016年度新卒ミズカ
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2016年デザイナー職として新卒入社。研修後、『神撃のバハムート』のデザイン進行管理として配属され、現職。

「人生の先輩」「突進力のある人」
お互いの印象

ミズカ 制度期間中は“教わる”というよりも、すごく困ったときに「シンゴさんならどうしますか?」といった内容の質問をすることが多かったですよね。制作管理という職種自体が「何かを教わったらできるようになる」ものではないので、それが理由かもしれません。

シンゴ そうですね。考え方に詰まったときや「これは自分以外の人はどうするんだろう」と思ったときに、直接的なやり方を教えるのではなく「僕だったらこう考えるけど」という感じで解決手段のバリエーションを伝えていました。

ミズカ 私から見たシンゴさんは身近な「人生の先輩」だったので、なんでも相談しやすかったです。また、これまでの経験談もふまえてアドバイスをもらえるので、とても有り難かったです。

シンゴ それは良かったです。僕から見たミズカさんは「突進力のある人」というイメージですね。なんでも全力で向かっていく……ただ、その方向が合っているかは置いといて(笑)。

ミズカ (笑)。正しい方向に走っていけるようにこれからもがんばります!

悔しかったキャパオーバー
新卒1年目の思い出

ミズカ 1年目で特に印象に残っているのは、『Shadowverse』のデザイン進行管理を自分から「やりたいです!」とお願いした結果、キャパオーバーになってしまい、結局担当から外してもらったことです。

シンゴ ありましたね。今振り返ってみてどうですか?

ミズカ 自分にとっては有り難い経験になりました。まず、自分が思っている自分の実力と、現実の差を客観的に知ることができたのは良かったです。「自分の今の実力はこれくらいなんだ」と落ち込みましたが、現在地を知らないと次に進めないので、1年目でそれがわかったのは収穫でした。
あと、元々担当していた『神撃のバハムート』以外のプロジェクトの様子を見ることができたのは経験として大きかったです。他のプロジェクトの様子を知るまでは「私は『神撃のバハムート』の進行管理として精一杯やってやるぞ!」と思っていましたが、『Shadowverse』チームの状況を知ることで「自分はまだできていないことがたくさんある。もっと『神撃のバハムート』のチームでやれることがある!」という気持ちになりました。
キャパオーバーしてしまったのは不甲斐なくて、本当に悔しかったですが、すごく勉強になりました。

シンゴ 「やりたい!」と手を挙げて、できなくて悔しがるというのはとても貴重な体験だと思います。担当を外れた直後の面談で悔しさを滲ませるミズカさんの姿はよく覚えています。その悔しさが次の糧になるので、それを活かして次に繋げてほしいですね。

ミズカ はい、がんばります!

シンゴ ちなみに今の会話の中でもわかる、新卒1年間でのミズカさん克服ポイントがあるんですよ。

ミズカ えっ、何ですか?

シンゴ 何かを指摘されたときに、無意識に跳ねのけなくなったことです。先ほどの会話を例にすると、以前は「その悔しさが次の糧になるので、がんばってほしいです」と言ったら「あ、そうなんですかね……がんばります」というふうに、最初に相手の考えや意見を素直に受け止められなかったと思います。それがすぐに「はい、がんばります!」と相手の意見を一旦受け止めてから発言できるようになったのはうれしいですね。

自分が意識してない部分を指摘されると、人はどうしても心の中で拒否する傾向があります。ただ、自分に対してのそういった意見や指摘は「自分以外の人にはそう見えている」「そう思われている」という理解に繋がります。一旦指摘を受け止めるのは仕事にかかわらず必要なことだと思っています。

ミズカ ありがとうございます!

シンゴ その他の課題の話をすると、以前のミズカさんは「報告」がとても苦手でした。1つの話題に関連して、A→B→Cという話があった場合、本来は順序良くAの後にB、そしてCの話をします。しかし、以前のミズカさんはBの後に全然違うFの話をして、次にAの話をして……という感じで報告がまとまっていませんでした。
報告は仕事の基礎でもあるので、「報告は簡潔に、明確に、結論を先に言う」ことを繰り返し伝えました。

ミズカ はい。すごく身に覚えがあります……。

シンゴ ただ、これは1年目の9月に課題として提示して、翌10月には大きく改善しました。癖を1ヵ月で直してきたのはびっくりしました!

「1日3冊マンガを読む」
トレーナーからのアドバイス

ミズカ もらったアドバイスで印象に残っているのはインプットの方法についてです。自分は作品や情報のインプットが苦手で、マンガを読むにしても「登場人物全員を把握して、1コマ1コマきちんと理解しないといけない」と思ってしまい、1冊読むのに何時間をかかっていました。それを見たシンゴさんから「まずは多くの作品を読んだうえで、きちんと理解して読まないと糧にならないよ」とアドバイスいただきました。

シンゴ 「マンガを1冊読むのに何時間もかかるんです」と言われたときは驚きました(笑)。それと同時に、たくさんの作品に触れることは大事なので「これはどうにかしないといけない」と思いましたね。
その解決策として提示した課題が「1日3冊マンガを読むこと」でした。ミズカさんは「完璧に内容を理解しよう」と思っているからこそ時間がかかっていたので、目標を数値化することで、内容よりも数を重視できるようにしました。

ミズカ その課題は今も続けています!そのおかげで昔よりもぐんとインプット速度が上がって、より多くのインプットをこなせるようになりました。
他のアドバイスだと「悩む必要がないものを悩むことはない」と言われたのも印象に残っています。一時期、なんでも自分のこととして必要以上に受け取ってしまって、悩まなくても良いことに悩む傾向があったので、そのアドバイスはとても助かりました。

シンゴ プライベートのことであれば大いに悩めば良いと思いますが、仕事は役割が決まっていて、責任範囲も明確です。だからこそ自分の手元でこねくり回しても答えが出ないものに時間や心を割くのではなく、その問題を判断できる人に相談や報告に行くのがおすすめです。

ミズカ ついつい悩んでしまっていたので、それを聞いて気持ちが楽になりました。あと実務的な部分だと「資料」の作り方を教えてもらえたのはとても有り難かったです。

シンゴ 「プレゼン資料」の作り方ですね。役員陣やアートディレクター、チームリーダーには時間を割いてチェックしてもらっているので、成果物を見てもらう際には念には念を入れた資料を用意しなければなりません。

ミズカ その考え方や方法は『神撃のバハムート』のイラストチェック業務でもとても役に立っています。イラストチェックはセクションリーダーにしてもらっていますが、『神撃のバハムート』に長く関わっていた人ではないので「前情報なしにスムーズに確認してもらうには何が必要か」を考えて資料を作るようにしています。
そうすると「このキャラクターは再登場だけど、初登場時のカード差分はどうだったのか」「ストーリーはどういったものだったのか」というふうに“リーダーに見せるための資料”に必要なものがたくさんあることに気が付くことができました。特にイラストは、キャラクターの性格や背景によって表情や動きが変わってくるので、より詳しい情報が必要になります。

シンゴ これは僕も『グランブルーファンタジー』のイラスト関連業務をしていたときに重要だと気付いたので、ミズカさんにもぜひ意識してほしいと思って伝えました。役に立っているようで良かったです。

「抜け道を教えない」
教えるときに気を付けていたこと

シンゴ ミズカさんは制作管理チーム初の新卒だったので、実は教え方でずっと意識していたことがあります。

ミズカ えっ、すごく知りたいです!

シンゴ 前のめりで来たね(笑)。意識していたのは「変な抜け道」を教えないことです。仕事は数をこなしていくと、手早く回すための理想的な手順がわかるようになり、それをふまえた準備や根回しをするようになります。ただ、これは経験から得た仕事のやり方で、まだ社会人として経験が浅く、基礎が不十分なうちには教えないようにしていました。
もちろん、いきなり最終的な回答を教えるというのも1つの手だとは思いますが、仕事の基礎的な部分がわからないと、それに付随する様々な気配りや心配りがおろそかになり、結果として成長が遅くなるかもと思ったからです。
そういった考えもあって、ミズカさんが質問に来た際には「僕だったらこれを考慮して、こう考えるけれど」という伝え方をしてきました。その考え方ややり方を聞いたあとでも「なんでこうするのだろう」「私だったらどうするべきだろう」と考えてほしかったので、意図的に最初から答えを出さないようにしていました。

ミズカ なるほど……!確かにアドバイスを聞いたあとは、それもふまえてどうすれば良いのか考えるようになっていました。

シンゴ 制作管理チームの方針が「自分でのびのび育て」という遊牧タイプだったのもあるかもしれないですが……。

ミズカ 遊牧(笑)。

シンゴ のびのび育ってくれてうれしいです!

ミズカ ありがとうございます!もっとのびのび育ちます!

お互いへのメッセージ

シンゴ ミズカさんはまだまだ“隠し玉”を持っていると思います。ぜひとも「ミズカさんってそんなこともできるの!?」と言わせてほしいですね!
あと、「実はまだアクセル踏んだら速度は出るんじゃないかな?」とも思っています。『Shadowverse』の件に関しては踏み過ぎてメーターを振り切ってしまいました。その経験を活かして、これからはどこまでアクセルを踏んで良いのかが把握できると思います。さらにスピードを上げて、このまま突っ走っていってください!

ミズカ はい、突っ走ります!シンゴさんにはこれからもたくさんお世話になることがあると思います。まだまだ一人前ではないですが、制作管理チームの一員として、チームを一緒に背負わせてください!
制作管理チームは「戦友」というイメージがあります。これからもみなさんと一緒に、戦友としてがんばっていきます!

シンゴ 一緒にがんばっていきましょう!今後ともよろしくお願いします!