この地から「最高のクオリティー」を作っていく~佐賀デバッグセンター設立3年目を迎えて~

「Cygames 佐賀デバッグセンター」は、サイゲームスの開発拠点の1つとして2017年8月に設立されました。立ち上げ当時はわずか13名だったこの部署も、現在は130名以上の規模になりました。県内外からさまざまなスタッフが集い、活躍しています。本記事では、センター長を務める平岡にインタビューを実施。設立の背景や設立後の展開を聞くとともに、佐賀で築き上げたチームのこれからも語ってもらいました。

Cygames 佐賀デバッグセンター センター長平岡 徹也
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1999年よりデバッガーとしてさまざまなプラットフォームのコンシューマーゲームソフト開発に携わる。2012年デバッグチームリーダーとしてサイゲームスに参画。デバッガーが100%の力を発揮できる環境と、チームとしてより高みに至る組織づくりに従事。新しいプラットフォームでもクオリティーを落とさない体制や考え方を現場に浸透させている。
「最高のコンテンツを佐賀から世界へ」の言葉を掲げ、より良いゲームをユーザーの方々に届けるため奮闘中。

建設会社を経てゲーム業界へ転身
そして佐賀のデバッグセンター長へ

サイゲームス入社までの経歴を教えてください。

大学時代は建築を学んでいたのですが、元々ゲーム好きだったこともあり、ゲームからもかなり影響を受けていて、卒業制作も某有名RPGに出てくる施設を題材にしたほどです。建築物で人の心に大きな影響を与えたいという想いがあり、新卒では大手建設会社に入社しました。しかし、働いているうちにゲームへの想いが強くなり、ゲーム会社への転職を決意しました。

運良くコンシューマー大手のゲーム会社に入ることができ、品質管理部という部署で約13年間働きました。そこでデバッグの業務をしながら、入社当時は十数人だった部署が会社の成長とともに百数十人の規模にまで拡大する過程を見てきました。一定の経験を積み、自分でデバッグチームを一から作ってみたいと考えるようになったときに出会ったのが、当時設立間もないサイゲームスでした。

入社しようと思った決め手は何ですか?

面接で役員陣から「これからいろんな部署を強くしていきたい」ということを熱く語られ、自分のチームを作るのにうってつけの環境だと思いました。決め手になったのは、クオリティーへの思い入れの強さですね。第1作としてリリースされた『神撃のバハムート』でも、ほんの少ししか表示されない場面や、小さなアイコンにいたるまで、クオリティーをとことん高めてからリリースする姿勢に魅力を感じました。この会社でなら、きっと最高のデバッグチームが作れると確信したんです。

面接で印象に残っているエピソードはありますか?

自分の理想のデバッグチームを作るとしたら、「真面目にやっている人がきちんと評価される組織」にしたいと考えていました。上手く立ち回りたいとか、出世したいとかではなく、良いものを作りたいという想いがある人を大事にしたいと。私のそういう考えに同意してもらえたのがうれしかったですね。
それから、働き方について「残業や休日出勤した人が評価される会社ですか?」と質問した際に、役員も人事も全員が首を横に振ったのが印象的でした。サイゲームスに入って、実際に残業時間は大幅に減りました。締め切りがある仕事なので踏ん張らないといけないときもありますが、遅くまで残っていることを善とする風潮はなく、良い環境だと思います。

デバッグセンターを佐賀に設立することになったきっかけは何だったのでしょうか?

社長の渡邊から打診があり、佐賀に赴いてリサーチを始めました。2017年2月頃のことです。
佐賀を選んだ理由は、サイゲームスの社長の出身地であり、この地に貢献したいという想いがあったからです。それだけでなく、リサーチを重ねていくにつれ、新しい拠点を築く場所として好条件であることがわかってきました。大学や専門学校の先生たちに話を聞くと、「佐賀には実直で粘り強い人が多い」との回答が得られ、デバッグという職種と相性が良いと感じました。IT企業やゲーム会社などの競合が少ないため、優秀な人材を確保しやすい環境でもありました。また、佐賀県や佐賀市が企業誘致に積極的で、担当者の方が地元の魅力を熱心に説いてくれ、ここならやりたいことができそうだと思えたのも大きな要因でした。

▲佐賀県の地場産品である諸富家具を、執務室内やリラクゼーションルームなどで使用しています

自社ビルを建設するにあたってこだわったことなどはありますか?

冒頭で、学生時代に建築を学んでいたと話しましたが、実は、「Cygames 佐賀ビル」を設計した方は私の大学時代の先輩なんです。もちろん身びいきとかではなくて、素晴らしいデザイン案を出してくれたことが決め手になりました。せっかく自社ビルで一からの設計なので、複数の事務所から提案をもらい、検討を重ねて最も秀逸だった案を採用したんです。作っているゲームと同じで、最高の品質を追求しようというサイゲームスの姿勢がこのエピソードにも出ているのではないかと思います。
具体的な設計としては、東西南北の全面が正面になっていたり天井の高さを3mと高くとったり、その他にも1フロアの男子トイレの個室数を床面積からすると通常なら4個のところ8個にしたりと、快適さを追求したオフィスになっています。

▲夜はまた雰囲気が変わる「Cygames 佐賀ビル」。ロゴが黒から白へ変化します

佐賀では未経験の人材も採用
東京とともに最高の品質を目指す

現状のデバッグチームの体制を教えてください。

東京と佐賀ではデバッガーの採用方針が違っていて、東京は基本的に経験者のみ、佐賀は未経験者も積極採用しています。佐賀は、ゲームが好きで熱意があれば、初歩から育成する方針です。いずれは佐賀のデバッガー全員にスペシャリストになってほしいと思っています。
業務内容については、東京と佐賀での違いはほとんどないですね。サイゲームスのすべての作品は、東京、佐賀を問わず、デバッグチーム全体で品質を高めていくという考えです。

働き方に関しては佐賀の地域性を考慮して、自動車やバイク、自転車での通勤を可能としています。また、勤務時間は東京より30分短い7.5時間としています。これは、始業の時間を東京の10時に合わせつつ、終業を少し早めてアフターファイブを充実させてほしいとの考えからです。プライベートを充実させているスタッフも多いですし、定時後に社内イベントが開催されるときにも、参加率が9割以上と非常に高くなっています。

どんな人たちが活躍していますか?

デバッガーの9割は未経験で入った人たちです。初期メンバーはこの3年間で順調に成長し、新人の教育をするようになりました。一緒に働いてみて、実直で粘り強い人が多いという話は本当だったと実感しています。妥協せず最高のクオリティーを目指して奮闘してくれています。拠点を任されている立場としても、スタッフの「100%プラスアルファ」の頑張りをきちんと評価できる環境を実現できているのではないかと思います。

生活のしやすさは佐賀の大きな魅力
サイゲームスの認知度も高い

平岡さん自身は、佐賀にどんな印象を持っていましたか?

私は関西の出身で、高校からはずっと東京で暮らしていたので、九州にはほとんど縁がありませんでした。そのため、佐賀という土地に関する知識も当初はほぼゼロだったのですが、佐賀デバッグセンターの設立のためのリサーチで初めて訪れて、派手さはないけれど良いところだなと思いました。吉野ヶ里歴史公園とか呼子の朝市とかユニークな観光地もあるし、佐賀城本丸歴史館や佐賀県立博物館などの歴史的建築物は、建築を学んでいた者としてはとても興味深いですね。

実際に住んでみた感想はいかがですか?

何よりご飯がおいしいですね。スーパーに売っているような食材もすごく新鮮だし、値段も安いですし。佐賀に来て間もない頃、渡邊社長に「井手ちゃんぽん」や「ドライブイン鳥」など、地域の人が日常的に行くようなお店へ連れていってもらったのですが、すごくおいしくて感動したのを覚えています。
それから、市街には広い歩道が整っているし、大きな公園もあるので、家族がいる人にとっても子育てがしやすい環境だと思います。また、最近は大きな水害に遭いましたが、長期的に見ると地震や台風などの自然災害が少ない土地なので、安心して暮らしやすいと思いますね。
佐賀デバッグセンターは平均年齢が27歳と若いですが、これから長く働くことを考えたときにも、利点となるポイントは多いと感じています。

生活の中で、サイゲームスという会社や作品の存在を感じることはありますか?

日常生活とは少し違うかもしれませんが、佐賀空港の巨大な広告は圧倒的ですね。佐賀空港を利用する人に与えるインパクトは強いと思います。街なかで『ゾンビランドサガ』の痛車を見かけたこともあります。

東京と違ってクルマ社会なので、通勤電車の中でサイゲームスの作品をプレイしている人を見かけるような機会がなくなったのは少し寂しい部分ですね。でも、佐賀にはサイゲームスタイトルのゲーム大会で上位に入る人がけっこういるので、熱心なプレイヤーが多いのは確かです。また、採用の面接でも、家族に「サイゲームスを受けてみたら?」と提案されて来たという人も時々いて、広い年齢層の方に認知していただいているという実感はあります。

それから、行政の方もサイゲームスのことを知ってくれています。佐賀県では「弘道館2」という学びのイベントを2017年から継続して開催していて、以前、サイゲームスもこのイベントに協力したことがあります。行政のサイゲームスへの期待は大きいと感じますし、我々としても、地域の振興に貢献したいと思います。

▲左:九州佐賀国際空港では国内線・国際線でさまざまなビジュアルが!右:JR佐賀駅のサイネージでは毎月内容を変えて広告を掲出しています
▲佐賀市営バスと『ゾンビランドサガ』のコラボラッピングバス「フランシュシュ号」が運行中
▲劇中のアイキャッチと同じ位置から

九州のゲーム開発の中心地へ!
佐賀デバッグセンターのこれから

今後佐賀デバッグセンターを発展させるにあたって、どのような人と一緒に働きたいですか?

新卒で入ってくる方については、今ある環境で一生懸命何かに取り組んでほしいと思っています。取り組む対象はゲームである必要はなくて、部活動でも研究でも、前向きに全力で楽しんでいる人。それを面接で熱く語ってくれたらうれしいです。そんな人と働きたいと思っています。

中途で入ってくる方であれば、過去の経験にとらわれずに柔軟に対応できる人が良いです。あとは、自分の役割はここまでと線引きせず、仲間と協力して良いものを作っていける人。「すべてはユーザーの方々のために」という姿勢で仕事に取り組める人や、佐賀や九州を盛り上げたいという想いがある人と、一緒に働きたいですね。

サイゲームスのゲームが好きで、「作品をより高いクオリティーにする」という目標に向かって一緒に進んでくれる人なら大歓迎です。

今後の夢や展望を教えてください。

「サイゲームス作品のクオリティーについて、佐賀が最後の砦となっている」と言えるようにしたいですね。ゲームのクオリティーを確実にコントロールできるようなデバッグチームを目指しています。そしてゆくゆくは、「九州でゲーム業界を目指すなら佐賀で」と言ってもらえる拠点にします。


以上、「Cygames佐賀デバッグセンター」の設立の経緯や、今後の目標についてお伝えしました。サイゲームスでは、デバッガーとして一緒に佐賀を盛り上げてくれる人材を募集しています。我こそはという方は、ぜひ下記HPをご覧ください!

佐賀デバッグセンターHP

■編集後記

▲お気に入りの佐賀城本丸歴史館にて。佐賀で行きたい場所がまだまだあるそうです