遊びながら学べるWebコンテンツ「Cygames MONSTER CREATIONS」企画・制作担当者インタビュー

主人公たちとともにサイゲームスのゲームを魅力的にしてくれるモンスターたち。そんなモンスターアートを集めたWebコンテンツ「Cygames MONSTER CREATIONS」を、2022年11月7日~12月8日に開催しています。
本展示は無料。スマートフォン/PCでの閲覧が可能です 。

この展示には、『グランブルーファンタジー』『Shadowverse』『プリンセスコネクト!Re:Dive』『ドラガリアロスト(配信元:任天堂株式会社)』『ワールドフリッパー』の5作品から、さまざまなモンスターが集結。サイゲームスがこれまで生み出してきた数々の「モンスターアート」を紹介するとともに、そのクリエイティブの裏側に迫る期間限定のオンラインアートコンテンツです。
閲覧する方は新人クリエイターとなって、研究所のクリエイターやデザイナーたちとやりとりをしながら、モンスターアートについて学び、「モンスターファイル」の完成を目指します。Webコンテンツに際してはゲームの手法も一部取り入れており、モンスターファイルのコンプリートを目指す中で、楽しみながらサイゲームスのモンスターたちの魅力に触れられます。

「Cygames MONSTER CREATIONS」キービジュアル

本記事では、企画・制作を担当したデザイナー部の担当者に、今回の展示に込めた想いや、ゲームの仕組みを応用した「遊べる展示」を実現するための工夫について聞きました。

総勢50体のモンスターが集結!
シナリオ仕立ての「遊べる展示」

ゲームのように「遊べる展示」を目指したそうですが、どのような展示になっているのでしょうか。

今回のコンテンツは地下1階から5階まで、6階建ての研究所を周るかたちにしていて、各階でモンスターアートに関わる職種の人たちと出会いながら知識を増やしていく設計にしました。階ごとに2Dのイラストレーターや、3DCGアーティスト、アートディレクターなど、特定の職種を集めています。そうして色々なフロアを周っていくことで、それぞれの職種の魅力や、その人たちが生み出したモンスターの魅力が分かるようにしたのです。

このように「探索しながらモンスターアートにまつわる要素を見つけていく」「モンスターファイルを完成させていく」という、みなさんに能動的に楽しんでいただけるような展示を目指しました。

▲本展示の導入部分にあたるエントランス(左)とフロアマップ(右)
▲主な登場キャラクター

今回の展示はファンの方々に楽しんでいただくだけでなく、若手クリエイターの学びになるような要素も意識したそうですね。

はい。さまざまな方に楽しんでいただきたいという想いで展示を用意していますが、将来のモンスターアートの担い手である若手クリエイター向けのものにしたい、という気持ちも強くありました。職業としてのモンスター制作への理解が深まり、「自分もこんな仕事を目指してみたい」と思ってもらえるような要素を入れることも意識しています。

そのため、展示は「モンスターアートを見せる部分」と「クリエイターの制作時の裏側を見せる部分」の2軸で構成しています。実際に社内のクリエイターへインタビューし、その内容を基に作っていますので、特に若手クリエイターの方々には設定や作り方にもご注目いただければと思います。

テーマを「モンスターアート」に絞った理由はありますか?

前例がなかなかないものであることと、コンセプトとして明快で面白そうだという話になったからですね。当初は他にも武器などさまざまな候補があり、複数のテーマで構成するアイディアも出ましたが、最終的に「モンスター」に絞りました。サイゲームスの5作品からモンスターを選んでおり、作品ごとに個性が異なるモンスターたちが一堂に会するところを見ていただけたらと思ったからです。

今回はWeb上での展示ですので、ただ絵を見せるだけだと飽きてしまうと思い、どういう展示にするかはかなり悩みました。最近はオンラインアート展が増えてはいますが、基本は美術館が保有する展示物を見せるタイプが一般的で、3D空間を用意して行う展示はまだ多くありません。そこで最適な形を考え、「サイゲームスらしいゲームの手法を取り入れ、作品との親和性が高い展示ができれば、最後まで飽きずに楽しんでいただけるのでは?」という案が出てきました。

「ゲームの手法」を取り入れた要素として、今回はシナリオを用意したそうですね。どんなストーリーなのでしょうか。

閲覧する方は主人公「新人クリエイター」となり、研究所にいるさまざまなイラストレーターやデザイナーに話を聞いたり、モンスターの情報を集めたりしながら、一人前に成長していくというストーリーです。このコンテンツのためのオリジナルキャラクターも用意しましたので、登場人物たちとの面白おかしい掛け合いで進んでいくシナリオをお楽しみいただければと思います。

▲キャラクターとの会話の一部

どんなモンスターが登場しますか?

5作品で各10体ずつ、総勢50体のモンスターが登場します。例えば、『グランブルーファンタジー』からはケイオスビーストが展示されています。このモンスターについては、今回、展示のため新たに3D骨格モデルを制作しまして、スペシャルコンテンツとしてインタビュー記事を公開します。そちらもぜひお楽しみください。

★スペシャルコンテンツ(全3回)
・モンスター空想的取扱説明書
・モンスター超立体的骨格標本
・モンスター考古学的解体新書

また、ゲーム上でレアなモンスターや普段はあまり日の当たらないモンスターが多く展示されているのも特徴の1つです。普段は注目される機会が少ないモンスターも、実はものすごく手間暇をかけて生み出されているので、そういった部分も見ていただけるとうれしいです。

知的好奇心を刺激する
スペシャルコンテンツも見どころ

古生物学者の先生などに、本来は架空の存在であるはずのケイオスビーストについてお話をうかがったりするコンテンツが用意されているそうですね

そうなんです。あくまでファンタジーの存在ではありますが、古生物学者から見てどう見えるのかなどをコンテンツにしています。

▲『グランブルーファンタジー』に登場するケイオスビーストの骨格を3Dで再現

その他に、デザイナー部として注目してもらいたいポイントはなんでしょうか?

今回のWebコンテンツはサイゲームスのゲーム作品とは趣が異なるデザインになっていますので、そのあたりも新鮮に感じていただけるかと思います。5作品のモンスターが集まるので、なるべく「どれかの作品の色を出しすぎない」ように、フラットに情報を見せることに注力して、イメージを特定の作品に合わせないようにしています。作品ごとの施策は各々のプロジェクトで企画をしますので、我々デザイナー部が企画をするならば、作品を横断した展示を実現したいと考えていました。

また、「Cygames MONSTER CREATIONS」内ではモンスターたちのアイディア段階のアートも展示しています。設定資料やイラストのバリエーションが多く存在するモンスターは、「隠しモンスター」として研究所の中に潜んでいるので、ぜひ探してみてください。
「Cygames MONSTER CREATIONS」を企画・制作した我々のチームはゲームの中身を制作しているわけではありませんが、モンスターたちのアイディア段階のアートを見て、デザインに携わる者として「こんなにパターンを出していたんだな」と驚きました。クリエイターたちの発想力を感じていただけたらと思います。

▲『プリンセスコネクト!Re:Dive』に登場するプチグリフォン

背景からモンスターへ
展示をはじめたきっかけ

「Cygames MONSTER CREATIONS」を企画・制作したスタッフたちは、普段はゲームの公式サイトや広告デザインなどを担当していますが、一方で、2019年に大阪芸術大学で行なわれた「Cygames背景美術展」も企画しています。これは何かきっかけがあって始めたものだったのでしょうか?

元々は社内のイラストレーターから挙がっていた「自分たちの制作物をもっと見てもらいたい」という声が始まりでした。そこで、サイゲームスのアートのこだわりを見てもらえる場所を用意しようと始めたのが「Cygames背景美術展」です。初の取り組みでもあり、どれだけ反響をいただけるかは未知数でしたが、開催してみると背景美術に関わっていらっしゃる方々が遠方から見に来てくださって、多くの方から反響をいただけたのがうれしかったです。

▲「Cygames背景美術展」の模様

そうした試みがあった上での、今回の「Cygames MONSTER CREATIONS」なのですね。

はい。これまでの企画は背景美術がメインだったので「次は別のテーマでやりたい」と話していて。最初は会場を使った展示も視野に入れたのですが、コロナ禍の影響でその企画がなくなり「オンライン展示にすれば面白いんじゃないか」というアイディアが出てきました。

その際、特に工夫したことはありますか?

ゲームらしい「遊べる」要素に特化しすぎると、本来の目的である「モンスターを見てもらう」ことから離れてしまいますし、逆に絵を見せることに特化すると、来てくれた方が途中で飽きて離脱する可能性が高まってしまいます。そのバランスを考えるのは苦労しました。最初はゲーム的な方向に寄りすぎていて、それぞれのモンスターアートをじっくり見なくてもクリアできるものになっていました。

また、途中で「アートを見せること」にフォーカスしたのですが、そうすると、今度は「遊び」の要素が薄れてしまい、「ただスライドで絵を見せたほうがいいのでは」という状態になってしまうこともありました。
そういった、ゲームで言う「レベルデザイン」にあたるものを調整するのが難しかったですね。ゲーム的な要素については社内のゲームクリエイターたちの意見も聞き、さまざまな模索をしながらスクラップ&ビルドを繰り返して作っていきました。

最後に展示をご覧いただくみなさんにメッセージをお願いします。

サイゲームスでは、さまざまなクリエイターが本当にこだわって一つひとつのゲームを作っています。この展示を通して、その魅力が色々な方に伝わってくれるとうれしいです。

また、サイゲームスという会社は何か面白い企画を思いついたら、それを提案して実現できる環境があると感じています。今までのかたちにとらわれずに、さまざまなゲームやサイゲームス自体の魅力を発信していきたいと思っていますので、今後もご期待ください。


以上、「Cygames MONSTER CREATIONS」の企画・制作者インタビューをお届けしました。

「Cygames MONSTER CREATIONS」
Webコンテンツは、2022年11月7日~12月8日まで開催しています。ぜひご覧ください!