ライオンを起用!『プリコネR』6周年TVCM制作の裏側をプロモーション担当に聞きました

スマートフォン向けアニメRPG『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』は、おかげさまで2024年2月15日に6周年を迎えました。これを記念して、同作ではゲーム内外で様々なキャンペーン施策を展開。2月より全国で放映されたTVCMもその一つで、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

▲【プリンセスコネクト!Re:Dive】6周年大型アップデートCM「ライオン篇」

今回のTVCMではなんと、ペコリーヌ(※)がライオンの姿で登場。このTVCMはいかにして生まれたのか。制作を担当したスタッフに話を聞きました。

※ ペコリーヌがゲーム本編の主人公ととらえられる表現だったため、「主人公のペコリーヌ」を「ペコリーヌ」に訂正しました(2024年5月15日訂正)

プロモーションディビジョンケイタ
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2023年6月にサイゲームスに合流。前職ではゲーム会社のマーケティング職として、プロモーション映像制作の進行管理、生放送の進行、メディア対応などに携わる。サイゲームスではプロモーションディビジョンのスタッフとして今回のTVCMの制作進行を担当。
プロモーションディビジョンミズキ
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広告代理店にてWeb広告のプランニングや進行管理などに携わったのち、2021年にサイゲームスに合流。合流当初から『プリンセスコネクト!Re:Dive』の宣伝を手掛け、現在はプロモーションディビジョンにおいて『プリコネR』チームのリーダーを務める。

TVCMで制作陣が目指したのは
「大型アップデート」が直感的に伝わること

本物のライオンが登場する今回のTVCMは強烈なインパクトがありました。このTVCMはどのような発想で生まれたのでしょうか?

ケイタ このTVCMで最も訴求したかったのは、『プリコネR』の6周年に際して「大型アップデート」が実施されたことです。その事実をユーザーのみなさまにわかりやすくお伝えすることを主軸として制作しました。

ミズキ 具体的な内容については、 我々プロモーションディビジョン(以下、プロモディビジョン)や映像制作のチームがアイディアを出しました。その一案として、ライオンが登場する案がありました。過去には本物のネコが登場するTVCMを作っていたので、そこにライオンを組み合わせることで、視覚的にも「大型アップデート感」を出せたと思います。
かわいい雰囲気の中に迫力のあるライオンが登場する、インパクトのある映像にして、『プリコネR』を未体験の方にも興味を持ってもらうきっかけになればと思い制作しました。

▲『プリコネR』の6周年TVCMより。ライオンになったペコリーヌが吠える!

TVCMのポイントやこだわりを教えてください。

ケイタ 一つは構成です。 先ほどお伝えしたとおり、今回はネコとライオンを対比させることで大型アップデートを伝える意図がありました。それぞれのカットやシーンの繋がりでそれがわかりやすく伝わるように心掛けました。

ミズキ 周年ということでリッチ感を出すのも意識した点です。背景やケーキなどの小道具の装飾で、ちょっとリッチな雰囲気をパートナー会社と協力して演出しました。
また、ライオンが良い表情をしてくれましたので、ここもご注目いただきたいポイントです。

ケイタ あとはやはり、『プリコネR』ファンの方に面白いと思ってもらえることです。ファンの方が見て、ふふっと笑ってくれるような面白さを出すことも忘れずに盛り込もうと制作しました。『プリコネR』では通年で実写のネコを起用したCMを制作しているのですが、そこの関係性も引き出せたかなと思います。

▲CGプランの一部。CGやネコの写真を使って、映像のイメージをより具体的に決めていきます。今回は大型アップデートの豪華さを演出するため、背景や小道具もリッチな雰囲気です

制作に関して印象に残っていることや、面白いエピソードなどがあったら聞かせてください。

ミズキ 初めてライオンを超至近距離で見ました。想像の2倍くらい大きくて、対面したときにはびっくりしましたね。檻がなかったら確実に食べられちゃうなと思うくらいの迫力でした(笑)。

檻越しに超至近距離で撮影したんですね。

ミズキ 無理にライオンを動かそうとするとストレスを与えてしまうので、基本的にカメラを回しっぱなしにして、定点観測のようなかたちで撮影したんです。「がおー!」と口を大きく開けてくれたときは、現場のスタッフからも「おおーっ!」というどよめきが上がりました。

ケイタ ちなみに、ライオンは動物モデル専門のプロダクションに依頼したんです。ライオンのストレスにならないよう、プロの立ち合いの下で収録しました。

▲出演動物。ライオンのマネくんと、猫のさくらちゃん・あつあげくんは別日に撮影され、撮影はアニマルトレーナーの指導の下、安全かつ動物が苦痛のない状態で行われました

4か月〜半年前から制作に着手
周年のTVCMは1年前から構想することも

続いて、TVCM 制作の実態について聞きます。TVCMはどれくらいの時間をかけて制作しているのでしょうか?

ケイタ 今回のTVCM制作をベースに説明させていただきますと、6周年TVCMは2023年の10月から着手しました。最初にプロデューサーやディレクターの意向をヒアリングするところから始まります。放映開始の4か月くらい前ですね。他のTVCMについても4か月くらい前から、早くて半年前くらいから動き出します。

ミズキ 構想自体はもっと前から、周年のTVCM制作が落ち着いたタイミングで「次の周年はどうしようか」と担当者が考え始めます。そこから色々と考えを巡らせつつ、半年前くらいになったらチーム内で企画をして、2か月くらいかけて内部で調整や準備をしますね。その後、協力部署や外部のパートナー会社と一緒に制作していきます。

TVCM制作に入る際は、チーム内でアイディア出しの企画会議を実施するのでしょうか?

ケイタ そうですね。 毎回、プロモディビジョンや映像制作チームのスタッフでアイディアを持ち寄って、みんなの意見がまとまったらプロデューサーやディレクターに提案します。そこからフィードバックをもらい、具体的なTVCMのイメージに落とし込んでいきます。

TVCM制作のフロー

TVCM制作は実際にどのような工程を経て作るのでしょうか?制作フローを教えてください。

ミズキ まずは企画立案です。クリエイティブの軸になる部分なので、ここに一番時間をかけます。一概には言えませんが、約1~2か月、なかなか決まらないと3か月くらいかかることもあります。

▲TVCM制作の基本的な作業フロー。プロジェクト側や社内の協力部署、外部の制作会社、広告代理店など、様々な関係者と連携を取りながら進行していきます

企画が決定したら、協力部署やパートナー会社を選定し、連携して制作を進めます。サイゲームス社内にはノウハウを共有する文化があるので、パートナー会社の選定や作業手順は過去の事例に沿ってスピーディーに進めます。

その次は制作の進行管理と、広告枠の仕入れです。制作から放映までの進行スケジュールを組むと同時に、いつ・どこで放映するかを計画します。過去のTVCM施策のデータを基に、ユーザーの属性や傾向を考慮してTVCMの効果を最大化できる枠を押さえます。広告枠によっては、より早い段階から計画を練らなければならない場合があり、クリエイティブの企画と並行して半年以上前から広告枠の策定を行う場合もあります。

▲JR東日本のデジタルサイネージメディア「まど上チャンネル」でも広告が放映されました
※CMの放映はすでに終了しています

放映枠の検討と並行して、クリエイティブの制作も始めます。協力部署、もしくはパートナー会社に依頼して映像制作の実作業を担当してもらい、我々は進行やクオリティーの管理が主な仕事になります。最高のコンテンツをより輝かせられるように、クオリティーの底上げにはとことんこだわっています。

TVCMができたら、いよいよ放映です。協力部署やパートナー会社と連携し、自社SNSでの公開や広告出稿の手配を行っていきます。それらの進行を見守りつつ、当日の放映を確認します。

最後に振り返りです。TVCMの効果を定量・定性の両面から検証します。定量面では主にTVCMの視聴データから視聴数を確認。それに加えて、CMはYouTubeやXをはじめとしたWeb上の媒体でも公開しているため、それらのエンゲージメント数などの数値を過去の実績と比較します。定性面では、SNSなどでのユーザーのみなさまのコメントの傾向を見て、ポジティブ・ネガティブな気付きを取りまとめています。

次回に繋げるための振り返りが大切
積極的にデータを得ることで気付くことも

TVCMを作るだけでなく、施策の効果を検証するのもプロモディビジョンの大切な仕事なんですね。

ケイタ どれくらい認知向上が図れたのかという意味で定量面の確認は欠かせません。先ほど述べた広告的な数値をチェックし、TVCMにどれくらい効果があったのか、TVCMの放映後にゲームのDAU(※)がどれくらい増えたのかを見ます。DAUはあらかじめ数値目標を設定して、実際の到達度を確認しています。

※ DAU……Daily Active Userの略で、オンラインサービスやWebサイトにおいて、1日あたりのアクティブユーザー数を示す指標。ゲームの場合は1日に1回以上プレイしたユーザーの数をいう。新規ユーザーの獲得や既存ユーザーの活動状況を把握するのに役立つ

6周年TVCMにおいて、定性面で気付いたことはありますか?

ミズキ 例えばX投稿では「毎年楽しみにしてる」「ライオンがCGではなく実写なのがすごい」「ずっと見ていられる」「良い意味でおかしいCM」などのコメントがありました。今回はちょうどネット上で猫モチーフの素材を用いた動画がはやっていて、それに関するコメントも結構ありました。「ネコがかわいい」「家の猫が反応してる」といった感想です。狙ったわけではないですが、ちょうどタイミングが合いましたね。どんなものが流行しているのか、好まれるのかは企画者としてアンテナを張っておくのが大切です。

ケイタ 定性面は自分たちでデータを取りにいきますね。今回の施策についてネガティブな反応はほとんどなく好意的な意見が多かったので、そういった意味では良い手応えを感じました。

影響範囲が大きいゆえの
やりがいとプレッシャー

プロモディビジョンは様々な広告施策を手掛ける部署ですが、その中でTVCMはどんな位置づけでしょうか?

ミズキ TVCMは認知の最大化において重要な媒体だと捉えています。昨今はテレビの視聴数が減少しているとよく言われますが、それでもTVCMの影響範囲は依然として広いと思っています。 サイゲームスの目指す「最高のコンテンツ」を幅広いユーザーのみなさまに届けるためにも、TVCMは重要な広告媒体という位置づけです。
それから個人的なところで言うと、自分たちで作ったCMが日本中の多くの人に見られるので、プレッシャーも大きいですし、その反応を見ての喜びも反省も大きいのは確かです。

ケイタ TVCMは『プリコネR』のファンではない人を含めてたくさんの人々が見るものなので、ネガティブな印象を与えてはならないというプレッシャーがあります。良くも悪くも影響範囲が広いメディアだと思います。私はTVCMを担当するのは今回が初めてだったので、そういった意味でも緊張感がありました。

TVCMを企画するときに大切にしていることを教えてください。

ミズキ 一番はユーザーのみなさまに愛されるようなTVCMにすることです。それに加えて、 SNS上で拡散されるような話題性のある企画にしたいと思っています。

ケイタ とにかくわかりやすくすることです。15秒や30秒という短い時間の中で、伝えたい内容がきちんと伝わるものになっているか。どんなに奇抜で面白い演出であってもそこがぶれてしまうと本末転倒なので、次回もそのあたりは意識していきたいです。

6周年TVCMの制作で得た気付き、あるいは次に活かしたい点などはありますか?

ケイタ 今回はテレビもWebも同一内容の映像を流したのですが、例えば媒体ごとに見せ方を変えたり、ストーリー展開をさせたりといったこともできたかなと思います。バリエーションを作ることで、話題性を広げられる可能性があるなと。次回の企画を練る際に、そうした視点も盛り込めたらと考えています。

ミズキ 今回はケイタさんに進行を務めてもらって、私はリーダーとして監督する立場で関わりました。実際の進行を見ていて苦戦するポイントや時間がかかるポイントなどがわかってきたので、そういう部分をチームで共有しつつ、次回以降のスケジュールの組み方などに活かしたいです。

プロモディビジョンで活躍するのはどんな人ですか?

ミズキ プロモディビジョンの業務は企画から実行まで一気通貫で任せてもらえるので、責任感と行動力がある人は向いていると思います。 それからコンテンツの理解度。これはプロモーションの質に影響してくるので、サイゲームスコンテンツへの愛にあふれている人が活躍できるのではないかと思います。

ケイタ サイゲームスに来てまだ1年も経っていない身なので気が引けますが……。ありきたりですがやはり「コミュニケーション能力」です。サイゲームスは規模の大きな施策を実行できるので、様々な関係者からたくさんの情報が色々なかたちで入ってきますし、制作進行の役割として目を配らなければならない部分が多いんです。様々な情報、要望の意図を取りまとめて成果物に落とし込むためのコミュニケーション力が必要だと思います。

二人はいずれも中途でサイゲームスに合流していますが、サイゲームスのプロモとして働く魅力や面白さはどんなところにあると感じますか?

ミズキ 実は私もケイタさんと同様に、入って間もない頃にTVCMを任せてもらったんです。前職ではWeb広告しか担当したことがなかったのですが、サイゲームスではTVCMだけでなく雑誌広告や交通広告など色々なことに携わらせてもらっています。サイゲームスは意欲があればチャレンジさせてもらえる環境です。何か実現したいことがあって自発的に行動すると、その機会を与えてもらえるのが魅力だと感じています。

ケイタ サイゲームス社内には様々な情報が蓄積されており、広告プロモーションに関しても知見やノウハウの共有があり、その質がとても高いと感じています。私のように社歴が浅くても、そうした過去のデータや振り返り資料を参照して、すぐにキャッチアップして広告業務を遂行できるのが魅力だと思いますね。


以上、『プリコネR』6周年TVCM制作の裏側をお届けしました。
今後もサイゲ―ムスが制作するCMにどうぞご期待ください!