【マネージャーの思考】佐賀スタジオの組織づくり クリエイティブの技術を磨く「修練者の隠れ里」

「マネージャーの思考」は、サイゲームスの各部署のマネージャーから、組織づくりの考え方や今後の展望を語ってもらう連載です。今回は、「Cygames 佐賀スタジオ(以下、佐賀スタジオ)」の代表・チヒロに佐賀スタジオの現在の体制や取り組み、スタッフに求める人物像などを聞きました。

Cygames 佐賀スタジオ代表 アートディレクターチヒロ
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様々なゲームのイラストやコンテンツ制作に携わった後、2011年合流。2Dイラスト制作・監修を行い、イラストチームのマネージャーを経て2020年に「Cygames 佐賀スタジオ」代表に就任。以降、新人・新規合流者の育成やチームビルドに携わる。

佐賀スタジオ設立の経緯と人材育成
地域貢献と認知拡大への取り組み

佐賀スタジオが設立された経緯を教えてください。

佐賀スタジオは「最高のクリエイティブを九州から」というコンセプトのもと、サイゲームスの開発タイトルで使用するイラスト・UI(※)・アニメーション・3DCGなどの制作を担う部門として2020年4月に設立されました。東京、大阪に次ぐ第3のクリエイティブ制作拠点として、規模を拡大しています。

※ UI……ユーザーインターフェースの略。ボタンやアイコン、バナー、ロゴデザインなど、背景やイラスト以外でゲーム画面に映るあらゆる要素を指す

佐賀スタジオではどのような業務を行っているのでしょうか。

佐賀のスタッフもサイゲームスの各タイトルに参加しています。新規タイトルに参加することが多いですが、運用中のタイトルに入ることもあります。

佐賀独自の取り組みですと、佐賀広告センターさんと連携している仕事が特徴的です。JR佐賀駅の商業施設「えきマチ1丁目佐賀」「サガハツ」のイメージキャラクターである「マチ」と「ハツ」のキャラクターデザインや、佐賀県警の詐欺被害防止プロジェクトのポスターデザインを担当させていただきました。
実は、マチとハツは新卒のスタッフが描いたんです。こういった取り組みで、地域に貢献しながらサイゲームスの認知拡大にもなれば良いなと思っています。

佐賀スタジオが行っている育成のための取り組みについて教えてください。

社内で定期的に任意参加のイラスト勉強会を企画しています。1テーマにつき、大体2時間の勉強会を4回くらいに分けて開催していまして、キャラクターデザインや背景など、いつもテーマを変えながら実施しています。実践的なものもあれば座学のようなものもあり、毎回希望者が参加しています。

あとは、監修者を育成するワークショップもやっています。1枚のイラストを用意して、制限時間内に監修ポイントを見つけ、自分なりのブラッシュアップ案を出すというものです。複数人同時にイラストを確認してから30分後に集まって、「私はこういうところを調整したら良くなると思います」みたいに話し合うんです。そうすることで、イラストの中でみんなが注目する要点を掴めたり、逆に自分になかった視点を見つけたりできます。

こういった勉強会は、スタッフから「普段からスタッフ同士でコミュニケーションを取りたい」「みんなで高め合える機会が欲しい」という声が上がったことから始まりました。

勉強会による変化は見られていますか?

はい。監修担当者らの注目するポイントが段々一緒になってきたのが良いなと思っています。もちろん、イラストによって見るべきポイントは変わってきますが、基本は同じですので。回数を重ねていくうちに、自分が描くときにも見るときにも気を付けなければいけないポイントを掴んできてくれているなと感じています。

佐賀スタジオの中長期的なビジョンを教えてください。

今は東京で運用しているタイトルに関わる業務がメインなので、佐賀発でゼロから作るようなものを生み出していきたいと思っています。佐賀スタジオを設立した意味がそこで明確になる気がするので、佐賀がメインの拠点となるタイトルを作ること。これが目標です。

マネージャーの視点と
組織づくりで大切にしていること

チヒロさんのことについても聞いていきます。サイゲームス入社までの経歴を教えてください。

以前サイマガの別の記事でも触れていますが、元々ゲーム業界を目指していたわけではないんです。就職時に色々な業種の企業を受けました。ただ、絵に携わる仕事をしたいと思っていて、その中でたまたまご縁があってゲーム会社に就職しました。それから30年近くずっとこの業界でやってきています。

サイゲームスに入ったきっかけは何ですか?

社長の渡邊から誘いを受けたことです。以前の職場で一緒に仕事をしていた関係で、2011年のサイゲームスの立ち上げ時に声を掛けてもらったんです。当時から凄腕な人だったので、この人に付いていけば、自分も何かを成し遂げられるのではないかと考えました。

入社後はどんな仕事をしていたのでしょうか?

2Dイラストの制作や監修を担当していました。設立当初は会社の規模が小さくスタッフ数も少なかったので、大変なこともありました。当時は主に『神撃のバハムート』に携わっていて、4枚1セットのイラストを(今と比べると)極めて短い期間で仕上げることもあったんです。ただ、『神撃のバハムート』はイラストのクオリティーをユーザーのみなさんに高く評価していただいていたので、大きな充実感もありました。

サイゲームスの好きなところを教えてください。

風通しが良いところです。マネージャー同士横の繋がりもありますし、上長とも話しやすいので。あとはゲームづくりと真剣に向き合っている人が多いところも好きですね。好きなことに一生懸命になれる人が多いなと日々感じています。

では次に、佐賀スタジオの組織づくりにおいて大事にしていることを教えてください。

一人ひとりが第一線で活躍できるスタッフが集まる組織を目指しています。佐賀スタジオは現場で実際に手を動かすプレイヤーたちのスタジオであり、新卒のスタッフも含め、全員がきちんと一人前に仕事がこなせるような組織づくりを目標としています。

マインド面で、佐賀スタジオにどんな人材が集まる組織にしたいですか?

「自己研鑽ができて、周りにも気を遣える」というのが理想ですね。自分に厳しく、人に優しい。そういう人ばかりだと、やっぱり良い場所になるだろうなと。また、マネージャーとしては、今いる人たちの良いところをどれだけ上手く活かしていけるかが重要だと思っています。

チヒロさんご自身が、イラストレーターの仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

イラストレーターの仕事には、依頼されるときに必ず納期があります。限られた期間の中で何ができるかを考えた上で、相手の想像を超える仕事をしようと意識してやってきました。
例えば納期より早く出せたら、「このスピードでできるのか!」と相手の想像の上をいけますし、依頼者の想定よりも高いクオリティーのものを出せたら「やっぱりこの人に頼んで良かった」と思ってもらえますよね。そこが信頼に繋がって次の仕事をもらえることもありますし、依頼者に「この人にお願いしておけば大丈夫」と信頼してもらえるように仕事しています。
早く出すときは効率を考えている部分もあるんです。時間をかけて出した制作物が相手の思っていたものとズレていたら困りますが、納品が早ければ早いほど修正する余裕が生まれます。そういった余裕がより精度の高いクリエイティブに繋がると考えています。

技術を磨き鍛えながら打ち込む「隠れ里」
佐賀スタジオの特徴

佐賀スタジオにはどのような経歴を持ったスタッフが在籍していますか?

ゲーム業界で、UIや3DCGなど、それぞれの専門でキャリアを積んできた人たちが在籍している他、2021年からは新卒スタッフも毎年加わっています。
スタッフ数はイラスト部門が一番多く、続いてUIデザイン、3DCGデザイン、アニメーションデザイン、それから一部、制作管理のスタッフがいるという感じです。

年齢層や男女比はどうでしょうか?

平均年齢は33.6歳で、年齢としては30代前半の人が多いです。男女比は1:2で女性が多いですね。

元々九州在住の方が多いのでしょうか?

半分くらいはそうですね。ただ、海外出身の人もいれば、北海道から沖縄まで、様々な場所からスタッフが集まっている状況です。

働き方について、東京と大阪拠点は基本10時から19時(※)が業務時間ですが、佐賀スタジオは9時から18時までと1時間早くなっています。これはどういった理由なのでしょうか。

※ 東京拠点は出退勤時の混雑・過密を避けるため時差出勤制度を導入し、11時までの出社としています

定時後の時間を充実させてほしいからです。会社近辺に住んでも家賃が東京ほど高くないので、朝の通勤時間を減らしやすい環境だと思います。その分、出勤時間を早くして夜の自由な時間を増やせたらなと。自分自身、東京にいた頃は仕事が終わったら外食して帰る感じでしたけど、今は平日でも自炊できるような時間の余裕が生まれました。せっかく佐賀にいるので、スタッフたちにも業務時間外に地元の食材や佐賀という土地を楽しんでくれたらなと思っています。

2020年4月に設立して約5年が経つ今、佐賀スタジオを一言で表現するとどのような部署と言えますか?

「修練者の隠れ里」です。東京から離れた佐賀に位置するこのスタジオは、技術を磨き、鍛えながら制作に打ち込む者たちが集う隠れ里のような場所だと考えています。

佐賀スタジオの今後の展望
「技術とマインド面の強化」

今後、佐賀スタジオで強化していきたいポイントを教えてください。

個々の技術スキルや、マインド面です。特にマインドは、東京から物理的に離れている分、同じ方向を向いて仕事ができているか常に意識する必要があります。「最高のコンテンツを作る会社」をビジョンに掲げており、妥協のないものづくりをする会社なので、各拠点間で意識の差が出ないように強化していきたいですね。

佐賀スタジオには、どのような人に来てほしいですか?

キャリアを積んだ、即戦力になるような人ですね。若手のスタッフに来てほしいのはもちろんなのですが、せっかくやる気のある若手が来てくれても、中堅がいないと育てる側の人材が足りなくなってしまうからです。

現在、会社の中でも徐々に佐賀スタジオの信頼度が上がってきているのを感じますが、まだプロジェクト内でリーダーを務めている人はいません。監修を任せてもらえるようにはなったので、これからアートリーダーやアートディレクターになるような人材を輩出していきたいです。今は佐賀スタジオができて約5年なので、まだその道中ですね。

以上、佐賀スタジオのマネージャーのインタビューをお届けしました。

サイゲームスでは現在一緒に働く仲間を募集しています。ご興味を持たれた方はぜひご応募ください。

佐賀スタジオの募集要項

編集後記「マネージャーの横顔」

休日はどんなことをしていますか?

最近ハマっているのはドライブですね。気分転換になって楽しいです。佐賀の風景で好きなところは「干潟よか公園」で、行ったときにはコーヒーを片手に干潟をぼーっと見ています。
佐賀以外だと、鹿児島が良かったですね。桜島を見たり、西郷隆盛のゆかりの地を訪れたりして、良い旅行になりました。
車でどこまで遠くに行けるか、チャレンジしているところです。