新卒スタッフ育成・研修担当者座談会 「最高のコンテンツを作る」人材を育てる施策とは

サイゲームスでは、学生向けインターンシップをはじめとした若手の人材育成に取り組んでいます。さらに、全社共通の研修だけでなく、各部署で様々な育成施策を実施。新卒スタッフが仕事を習得しやすい環境づくりに努めています。

今回は、プランナー・デザイナー・エンジニアの各職種で研修や育成に携わるスタッフの座談会を開催。各職種に特化した育成施策の紹介の他、育成における課題や大切にしていることについて話を聞きました。

プランナー戦略本部 / 本部長ケイスケ
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新卒でサイバーエージェントに入社し営業職を経験。その後、2011 年10月にサイゲームスに合流。『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』のディレクターをはじめ、様々なゲームのディレクター、プランナーを経験する。現在はプランナー戦略本部で、プランナーの採用・アサイン・ケアなどのマネジメント業務に加えて、スキルアップのための施策考案といった組織全体の強化にも取り組む。
デザイン2部 / 副部長 / デザイナー職育成支援室タツヤ
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大学卒業後、劇団やWeb制作会社、ゲーム会社を経て2013年にサイゲームスへ合流。複数のゲームタイトルのアニメーション制作を担った後、現在はデザイン2部の副部長、アニメーションチームのマネージャー、さらにはデザイナー職育成支援室のマネージャーとして、新卒スタッフが早期に活躍できるように研修体制を構築、研修終了後のフォローにも携わる。
技術職育成支援室 / マネージャーシュウト
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大学院で情報ネットワーク学専攻を修了後、2014年に新卒入社。『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(配信元:バンダイナムコエンターテインメント)』にクライアントサイドエンジニアとして携わり、リーダーを経て2019年から現職。エンジニアの新卒研修や学生向けインターンシップの運用担当として、若手エンジニアへの教育・育成全般を担う。

育成に携わるまでのキャリア
社会人1年目の頃の思いは?

まず、みなさんのこれまでのキャリアについて教えてください。

ケイスケ 自分はサイゲームスに入社してすでに10年以上経ちました。プランナーやディレクターなど様々な業務に携わってきた後、プランナー部署のマネージャーに就任して、マネジメントや人材育成に携わるようになりました。

タツヤ 入社した当初はアニメーションのデザイナーでした。そこから、プロジェクトリーダー、サブマネージャー、マネージャーと管理方面にキャリアがシフトしていき、自身のチーム内で新卒の育成を行っていたこともあって、研修関連の業務を担当するようになりました。

シュウト サイゲームスに新卒入社した後、クライアントサイドエンジニアとして現場で開発に携わり、チームリーダーなどを担当してきました。その後、「育成担当をやってみないか」という話をいただいてチャレンジしたことをきっかけに、直近5年近く新卒の育成に携わっています。

社会人1年目のときはどのような思いで仕事をしていましたか?

ケイスケ 新卒でインターネット広告の営業をしていました。自ら望んで営業に関わるようになったのですが、社会人スキルも未熟だったので、とにかく苦しい時期でしたね。自分の発案で最新のインターネット広告の事例をまとめて、協業している広告会社に説明に赴くなど、不器用なりに色々チャレンジもしたのですが、とにかく苦労していた記憶が残っています。

シュウト 1年目からエンジニアとしてゲーム開発に携わっていました。周りが経験豊かなベテランの先輩ばかりだったので、とにかく追いつこうと必死でした。焦りに近い気持ちを覚えながら、「周りから何かを吸収しなくては」と必死で頑張っていた記憶があります。

タツヤ 今思えば恥ずかしいのですが「俺はなんでもできる」という謎の自信がありました(笑)。ただ、もちろん経験がないのできちんとできるわけはなく……。できなかったときに「今度は失敗できない」と縮こまってしまったんです。よくない1年目でした(笑)。

今はマネジメントに携わっているみなさんにもそんな時期があったのですね。そこから研修・育成担当になったきっかけを教えてください。

ケイスケ プランナーやディレクターの経験を経てマネージャーに着任したのですが、育成についてもマネージャー業務のなかの一つという認識でした。そのため、マネージャー着任と同時に、プランナーの育成、スキルアップの方法、若手スタッフへのケアといった課題について、採用も含めてどういったかたちが望ましいか包括的に模索していくようになりました。

タツヤ UIデザインや2Dアニメーション領域のマネージャーになったとき、チームに新卒スタッフが合流することがあり、そこで「新卒は最初の数年の過ごし方が大事だな」と感じる場面が何度かあったんです。それを機にデザイナーの育成や研修に携わりたいと思うようになり、担当させてもらうことになりました。

シュウト 必死だった私の新卒1年目はメンターやトレーナーに叱咤激励されていて、そのおかげでエンジニアとしてすごく成長できた実感がありました。その後、私自身もメンターやトレーナーとして新卒スタッフの育成に関わる機会があり、育成の面白さも感じていました。そんな時に育成支援室の前任のマネージャーが退職することになり、後任として声をかけていただきました。

座談会や勉強会に「なんでも相談会」も
各セクション独自の育成施策を展開

ここでは、サイゲームスが実施している主な新卒向けの育成施策をご紹介します。

【入社後】

■メンタートレーナー制度
全部署共通で新卒・第二新卒が受けられるサポート制度です。実務内容を教える「トレーナー」と精神的な支えとなる「メンター」の先輩が付き、新卒スタッフをフォローします。メンターはどんな悩みでも相談しやすいように新卒スタッフと所属プロジェクトが異なる先輩が担当し、定期的に各部署の役員やマネージャーと対応や様子を共有します。

■座談会
新卒スタッフと役員や部署のマネージャーなどが参加でき、雑談から業務の相談までを自由に行えるコミュニケーションの場です。会社やプロジェクトに対する理解やスタッフ同士の意思疎通を深めるため、入社1~2年目の新卒スタッフを対象に各部署で定期的に開催されています。

【入社前】

■内定者アルバイト
内定者のみなさんを対象に、新卒入社前にサイゲームスの社風やものづくりに対する考え方を知ってもらうための取り組みです。開発・運用タイトルに所属して業務にあたる場合と、育成専門の部署で課題型の業務を通してゲーム開発のスキルを鍛える場合があります。

■インターンシップ
学生向けに各職種で長期・短期のインターンシップを開催しています。ゲーム開発についてプロのスタッフからアドバイスをもらうことができます。

※その他新卒1年目の成長機会については、下記もご覧ください。

上記の育成施策における、それぞれの部署の特色を教えてください。

ケイスケ プランナーの部署では「メンタートレーナー制度」を終えた2年目以降のスタッフに対しても、定期的に同じように話す機会を設けています。というのも、一通り業務ができるようになったプランナーが「面白さの正解とは?」といった壁に、2年目、3年目でぶつかる場合が少なくないからです。

座談会は新卒2年目のスタッフを対象に実施していて、ディレクターやプロジェクトマネージャーなどのゲストを招いて定期的に開催しています。回によってはマーケティングやアニメ製作の部署のスタッフをゲストに呼ぶこともあり、幅広い職種の先輩の話を聞いて今後の糧にしてもらえればと思っています。

タツヤ デザイナーの新卒研修は約2か月をかけて行われ、デザイナー職全体共通のカリキュラムと、細かく職種ごとに分かれた研修の大きく二つで構成されています。

デザイナー部署の育成の特色として、毎年テーマを設定し、育成に関わる関係者全員と新卒スタッフ本人にそれを共有しています。本人やメンターとトレーナー、マネージャーや役員も合わせて「今年の新卒はこのテーマで成長する/育成していく」としっかりイメージしてもらうことが狙いです。

例えば2024年新卒は、スキルに加え、マインド構築と行動の重要性にフォーカスしました。社内で活躍している新卒出身スタッフについて考えたとき、社会人としてのマインドや会社の考え方を早い段階で適切に理解できていた人や、とにかくたくさん行動して色々気付きを得ていた人が多いことがわかったためです。

周囲で見守る上司や先輩がそれぞれバラバラの指導方針を持っていたら指導される側も混乱してしまうため、丁寧な認識共有が大切だと考えてこれを実践しています。

また、デザイナーの座談会は、役員や部長陣と週1回話せる機会を設けています。会社の文化や、会社が新卒にどんな期待をしているかを知ってもらい活躍に繋げることを目的にしていますね。その際、社歴の長い役員たちと新卒スタッフの間で視座の違いがあるのを考慮して、比較的現場に近いスタッフが間に入ってフォローすることもあります。

シュウト エンジニア部署では、CTO(最高技術責任者)である芦原と新卒1~2年目のスタッフが話す座談会を週1で開催しています。会社のCTOがどのようなことを考えているのかを含めて、会社の方向性を理解してもらうためです。

また、クライアントサイドやサーバーサイドなどの部署単位で座談会を定期的に開催しているところもありますね。1年目のスタッフが先輩に悩み相談をしたりチームリーダーと話をしたりできる、ざっくばらんな会が行われています。

その他に、各部署やチームで行っている育成施策や勉強会などがあれば、教えてください。

▲各職種ごとの育成施策の一例。部署単位やチーム単位で、大小様々な施策があります

ケイスケ プランナーの部署では、プランナーのノウハウを動画化して蓄積していく「プランナースタディ」という施策を行っています。コロナ禍でオフラインの勉強会がやりづらくなったこと、単発の勉強会では参加した人しか知識を得られないことなどの問題を解決するために立ち上げたものです。

プランナーの業務の特性上、あるゲームで得られた知見が別のゲームでは成り立たない・通用しない場合も多いです。それゆえエンジニアやデザイナーに比べて、プランナーは習得したノウハウを、資料化して共有するという意識が薄い傾向にあります。そこで、賞金ありのコンテスト形式で動画にすべきノウハウを募集するという、参加へのインセンティブがある仕組みにしました。始めて3年ほどの施策になりますが、すでに「若手プランナーが知っておくべきハウツー」や「パラメーターの極意」「コンセプトの考え方」など多様なノウハウの動画がストックされてきています。

▲プランナースタディの一例「コンセプトの考えかた」。プランナーの仕事で重要なコンセプトを、どのようにゲームデザインに落とし込むかを解説しています

もう一つ実施して良かった施策が「プランナーなんでも相談会」です。社内のプランナーたちが様々な悩みを抱える中、自分の上司にはどうにも悩みを打ち明けづらいという人もいます。そこで普段の枠組みの外で話せる場を作る必要があると考え、社内のベテランプランナーをリストアップして、話したい人を指名できる相談会を開催しました。誰からどういった相談があったかは、上司に対しても秘密が守られるというかたちで実施して、非常に好評でした。

シュウト 類似の施策だとエンジニア部署でも「キャリアアドバイザー制度」を新設しました。
今後のキャリアや新しいチャレンジについて、社内のアドバイザーに相談ができるものです。ゲーム開発現場の経験が長いベテランから、開発サポート部門のスタッフ、新卒としてサイゲームスでキャリアを積んできたスタッフまで、悩みや目的に合わせて様々なバックグラウンドのスタッフを紹介できるようになっています。

組織が大きくなるにつれて、同じ社内でもキャリアの選択肢が多岐に渡るようになってきています。悩んだときに第三者からの客観的なアドバイスがもらえるので、これからどんどん活用してもらいたい制度ですね。

あとは、「CyStudy(サイスタディ)」での講演や勉強会、発表会などはもはや私がすべて把握しきれないほどあちこちのチーム、セクションで行っていますね。面白いものだと、毎年12月に技術記事をリレー形式で投稿していく「サイゲームス アドベントカレンダー」と呼んでいる施策もあるんですよ。
また、勉強会とは少し異なるのですが、サーバーのチューニングをしてそのスコアを競う社内ISUCONというイベントも開催しています。

手を挙げれば誰でも参加可能なものがほとんどなので、自身が成長するためのインプットやアウトプットの機会として活用している人が多いです。

タツヤ デザイナーの部署では「デザイナーズトーク」という施策があり、月に一度担当の登壇者が講演を行うかたちでスタッフ同士で知見を共有しています。さらに、デザイナーも「CyStudy(サイスタディ)」での講演や各セクションでの勉強会も活発に行われていますね。例えばイラストレーター向けだと、美術解剖学や武器・ガジェットの描き方、3DCGをイラストに活用する方法など、短期集中講座として開催されるものもあります。

これらの施策は発信者側のハードルを低くすることも心掛けており、新卒1~2年目のスタッフが登壇することもあります。

育成をする過程で課題が生じるときもあると思うのですが、それに対しどんな施策を実施しましたか?

ケイスケ 会社が歴史を重ねる中で、プランナー間の年齢差も広がり、世代差に起因した価値観の違いから、メンタートレーナーが新卒プランナーにどう向き合って良いかわからないという場面が増えてきたように感じます。
その結果メンタートレーナーが新卒との間に必要以上に距離を作ってしまい、踏み込んだ育成が出来ていない場面を見かけることがたびたびありました。

そこで、あらためて若手プランナーとの向き合い方や育成方針をまとめて、自分からメンタートレーナーに伝える場を設けました。
育成についてはまだまだ手探りのところもありますが、一つの指針を示したことで、何か課題があった際もメンタートレーナーからの報告の解像度が上がり、より踏み込んで課題に向き合えるようになったと感じています。

タツヤ 常に起こる問題ですが、何を新卒研修で学んでもらう必要があるのかは毎年少しずつ変わります。
一部職種の例としては、グラフィックソフトだけではなくゲームエンジンの操作も知る必要が出てきたり、自身の工程だけでなく他セクションも含めた一連の工程を知ってもらうことがより良い効果に繋がることがわかったりと、各チームのマネージャーと育成支援室はその変化を捉えて研修に反映させ、現場配属に必要なスキル、マインドを伝えられる研修を追求しています。

シュウト ケイスケさんと同じくメンタートレーナー制度について、メンターやトレーナーは何度も経験しているスタッフと初めて担当するスタッフで、どうしても育成ノウハウに差が出てしまいます。この問題を解消するため、エンジニア部署では新卒育成のためのガイドラインを作りました。各種スキルの方向性をまとめて、指導する際の参考にしてもらっています。

あわせて、エンジニア部署ではメンターやトレーナーの知見をまとめた育成ノウハウFAQも作っています。ガイドラインやFAQがあるおかげで、スタッフが一定程度底上げされた状態で育成が始められるようになりましたね。

タツヤ 私もエンジニア部署の育成ノウハウは参考にさせてもらうことが多いですね。すごく充実しているんですよ。

シュウト 私もデザイナーの勉強会やデザイナーズトークを見ると刺激になりますね。エンジニア部署の勉強会とは異なる工夫もあって、色々なやり方があるんだなと参考にさせてもらっています。

ケイスケ 月に1回、全社的な各部署のマネージャー陣が集まるラウンドテーブルミーティングでも、育成に限らず様々な知見や課題について話し合っていますよね。

育成施策を考える上で大切なのは
応援すること・スタッフの人生を考えること

研修・育成施策を考える際に大事にしていることはなんですか?

ケイスケ プランナーはゲーム開発で関わる領域が広く、キャリアもベテランの職人的なプランナーを目指したり、ディレクターやプロジェクトマネージャー方面に進んだりと多種多様です。それだけ色々な活躍の仕方があってしかるべきと考えて、育成においても本人がどういう方向に進みたいか理解することを大切にしています。こちらが方向性を提示するのではなく、本人の希望と向き合っている業務内容をすり合わせて見極めながら方向性を考えるようにしています。

タツヤ 大事にしているのは、スタッフがよりレベルの高い仕事をしていけるよう応援していくことです。研修や育成施策を実際の業務に役立ててもらい、中長期的なキャリア構築の助けとするにはどうすれば良いのかをこれからも考え続けます。

シュウト 育成を受けるスタッフたちの人生をきちんと考えるように努めています。エンジニアもゲーム開発に直接関わったり裏方として支えたりと様々な選択肢があり、それぞれの方向で輝けるキャリアがあります。その人が本当にやりたいこと、やるべきことのためにどのような進路が良いのか、一緒に考えることを大切にしています。

最後に、どんな人材を育てていきたいかなど今後の展望を教えてください。

ケイスケ プランナーは個人の様々な強みを発揮できる職種です。自身の能力や個性を活かしつつ、「最高のコンテンツを作る」ために邁進していけるような人材を増やしていきたいですね。

タツヤ ユーザーのみなさんを楽しませることを第一に考えられ、自信を持って、そして何より楽しんで「最高のコンテンツ作り」に熱中できる人材を増やしていきたいです。

シュウト 育成施策そのものと少し離れた展望になるのですが、エンジニアとして「作りたい」だけでなく、「育てたい」に興味がある人もさらに増やしていきたいですね。今後、社内にしっかりとエンジニアの育成文化を作っていきたいです。先輩が培った技術を後輩に伝えていく循環を、よりきちんと確立できたらと思います。そういった環境のもとで、会社と一緒に自分も成長していきたい方が今後どんどん増えてくれたらうれしいです。


以上、育成・研修担当スタッフによる座談会をお届けしました。

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