サイゲームスは「最高のコンテンツ」を提供するため、常に技術を進化させています。設立9周年を機に、技術的課題の解決に向けた環境整備と、エンジニアたちが能力を発揮できる組織づくりを担うサイゲームスのCTO・芦原栄登士へインタビューを実施(全3回)。第1回では、どんな会社なのかとCTOの役割についてお伝えしました。
この第2回では、CTOの組織文化づくりについてお話しします。

CTO(最高技術責任者)芦原 栄登士
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大学ではオブジェクト指向言語のコンパイラを作る研究に没頭。卒業後はゲーム業界に就職し、日本のインターネット最初期からネットゲームづくりに携わる。ゲーム会社で開発の経験を積みながら夜間の大学院に通い、MBAを取得。その後、プログラマー全体を管理する立場やネットワークコンサルタントなどを経て、2012年よりサイゲームスのCTOに就任。クライアントからサーバー、インフラ、マネジメントまで幅広く責任者を務める。

共通の価値観と行動規範
文化づくりでエンジニアチームを正しい方向へ導く

前回のお話で、「強い組織を作ることがCTOの重要なミッション」と話していましたが、具体的にはどのように組織を強化しているのでしょうか?

サイゲームスでの私の役割はマネジメントや、技術戦略・方向性を決定することですが、見方を変えると、それは「文化を作ること」だと思っています。
私自身が何か実装するわけではなく、現場のエンジニアに作ってもらうのが仕事ですから、「考え方」をみんなに伝えて、自分がいなくてもみんなが「正しい方向へ向かう」ように示すことが必要ですよね。
みんなが同じように考えて同じように物づくりをしていく。「最高に面白いコンテンツを作ってやろう」と考えて、とことんそれに向かっていく。それをリーダーやマネージャーがサポートしていく━━。その状態を常に維持し、継承してほしいと思っています。

サイゲームス全体では「当たり前のことを当たり前にやる」ことを大切にしていますね。そのレベルを上げるということでしょうか。

そうですね。文化を作り、その文化の底上げをしていくのも私の役割だと思っています。

最強のエンジニアチームの定義は
「最高のコンテンツをどこよりも上手に作れるチーム」

どんなエンジニアチームを作ることが目標なのでしょうか?

目指しているのは「世界最強のエンジニアチーム」を作ることです。サイゲームスに合流してある程度経った頃の話ですが、ある日社長が「サイゲームスのイラストチームは世界最強レベルになったと思う」という話をしたことがありました。世界的に名前が通ったイラストレーターや、有名タイトルのアートディレクション経験者が社内にゴロゴロいますから。確かにこれだけ優秀な人が揃っている会社は世界にないな、と同意すると同時に、私としても「イラストレーターが世界最強レベルになったのだから、エンジニアも世界最強にしなくてはいけない」と決めたんです。
こうして「世界最強のエンジニアチーム」という明確な目標が決まったわけです。そこから日々、エンジニア組織の強化に力を注いでいます。

最高のコンテンツを作る最強のエンジニアチーム。挑戦のしがいがありそうです。

では、世界最強のエンジニアチームとは何か。それは「最高のコンテンツをどこよりも上手に作れるチーム」のことだと思っています。「上手に」とは、バグがない、素早く作る、効率的に動く、などの意味です。素早く作る=開発効率が良い、効率的に動く=レスポンスが良い、ということですね。
2015年にエンジニア全体のスローガンとして「品質と速度」を掲げたのですが、このときと本質は変わりません。世界最高のエンジニアチームになるために「品質と速度」を最高にしようよ、と現場に伝えています。

個人の技術力を高めチームで成果を出す
レビューや勉強会を積極的に開催

最高の「品質と速度」を提供するには、個人の技術力が欠かせませんね。

エンジニアそれぞれが、「技術力が高い」「挑戦する」人であってほしいし、「誰にも真似できない」ことをやってくれる人であってほしいです。そしてもちろん最終的には「成果を出す」ことも求められます。
このうち、どれか1つだけあれば良い、ということではなく、一番重要なのは「成果を出す」ことです。

最強のエンジニアチームは強力な個人が集まって成り立つということですね。

はい。ただ、個人の技術力は大切なのですが、そこだけが強くなっていってもダメで、「組織として成果を出す」ようにならないといけないと思っています。「協力し合える」チームであってほしいし「誰かの代わり」を誰かができないといけません。共通の目的に向かって仲間として「お互いに高め合える存在」であり、一緒に「成果を出す」。そんなチームづくりをしていきたいです。

「上手く作る」を組織的に生んでいく仕組みはあるのでしょうか?

先ほどの話をもう少し詳しく言うと、品質の高いコードとは「バグがない」「効率が良い」「汎用性が高い」「再利用できる」「拡張性が高い」といったコードです。
これらを実現するために、社内にはコードレビューの仕組みがあったり、勉強会があったりします。そしてレビュー会や勉強会も、マネージャーたちが率先して開催してくれています。最近では、プログラミングに限らず幅広いテーマを取り扱う大規模な社内勉強会「CyStudy(サイスタディ)」も開催するようになりました。

▲部署やプロジェクトを横断して、知見やノウハウを共有する社内勉強会「CyStudy」の様子

人と組織を育て最高のコンテンツを作り続けることで
さらに優秀な人が集まるサイクルを

採用活動について聞かせてください。CTO就任当初から、採用活動にも注力しているそうですね。

基本的に「優秀な人は、優秀な人のところに集まってくる」と考えています。また「最高のコンテンツを作っていれば、最高のコンテンツを作りたい優秀な人が集まってくる」と思っています。
現場仕事ではない私が具体的に何をやっているかというと「社内の優秀な人が、最高のコンテンツを思う存分に作れる環境を用意する」ことですね。「どうしても良いものが作りたい。どうしてもこれがやりたい」という人を集めて、その人たちが能力を発揮し、良いものを作れるように環境を整備する。そうしたら良いものが出来上がって、それを見た優秀な人がさらに「どうしてもやりたい」と集まって来る。そんなサイクルを生み出したいのです。

優秀な人を集める→社内の優秀な人といいコンテンツを作る→それを見た優秀な人がさらに集まる→もっと良いコンテンツを作る。これを繰り返して、世界最強のエンジニアチームを作っていくわけですね。

はい。CEDEC 2014で「PS4開発やります」と発表したのですが、いいものを作りたい人が集まってすごいものが作れれば、という想いがありました。単純にコンシューマーゲームが好きだから作りたいよね、というのもありますが(笑)。
明確に「PS4やるぞー!」と言ってから、やはりコンシューマーゲーム開発経験者が多く集まってきました。

コンシューマー開発をしていなかったら、コンシューマーゲームを作りたい人はそもそも会社に興味を持ってくれないですよね。エンジニアの採用方針としては、やはり技術力重視なのでしょうか?

そう思われがちですが、実はそんなことはありません。もちろんある程度の技術力は必要ですが、技術力よりも情熱を重視していて、「どうしてもゲームを作りたい、ゲームで人々を楽しませたい」「世界中の多くの人々を楽しませたい」という熱い想いを持った人を採用しています。やはり熱意がないと良いものは作れません。熱意があれば、技術力は入社してからでも身に付いてくるはずですから。

同じ方向を見るために
考え方を伝える場を設ける

会社としての考え方や芦原さんの考え方は、現場にはどのように伝えているのでしょうか。

「いかにして考え方を伝えていくか」。これはすごく重要なことです。きちんと伝わらないと文化は浸透していきませんから、いろいろな会や場を設けて伝えるとともに、現場からも意見を聞くようにしています。

■新卒座談会
週1回、新卒入社2年目までのエンジニアを集めて座談会を開催しています。私も参加し、どんな質問でも答える姿勢で、「私がどう考えているか」「会社がどう考えているか」を話す会です。新卒入社者に考え方を伝えるだけではなく、彼らがどんなことを気にしているかを聞くことができてとても有意義です。「そんなこと気にしなくていいのに」ということももちろんありますが、若いスタッフ目線の質問は、自分にはもう見えなくなっていた物事に気付かせてもらえることも多くあって勉強になります。

■エンジニア全体ミーティング
数か月に1回、エンジニア全員を集める全体ミーティングを開催しています。私から全員に向けて話したいことがある場合は、ここで伝えています。直接全員の顔を見ながら話せるので、うまく伝わったのか、伝わらなかったのかがわかって私も助かっています。900名近いスタッフが一同に集結する景色は、ステージから見ると壮観ですよ。この全体ミーティングでは、成果を上げたエンジニアの表彰も行なっています。

■リーダーミーティングやマネージャーミーティング
週2回、マネージャーと各チームのリーダーを集めてリーダーミーティングを開催しています。ここでは連絡事項を共有したり、リーダーやマネージャーのあるべき姿などを伝えたりしています。私以外のマネージャーやリーダーからの話もあってお互いに良い刺激になっていると思います。マネージャーからは日々の報告や相談が多いのですが、最近では「サイゲームスのエンジニアはどうあるべきか」なんていう議論で白熱しています。

■Slackチャンネル「芦原部屋」
文章で伝えたいことはSlackの専用チャンネルに書いています。長めの話を書いていたこともあるのですが、構成や文章を練るのに時間がかかるため、思いついたことを気軽に書き込むこともあります。レスやスタンプが付くので、反応がわかったり、ちゃんと伝わったか確認できたりするので、気に入っています。

さまざまな場を設けて、頻繁にスタッフたちと意思の疎通を図っているんですね。

この他にも個別の勉強会や読書会などもありますね。どこの会でも「最高のコンテンツを作るためには、我々エンジニアは最高の技術を提供したいよね」を念頭に置いて話しています。強い組織を、エンジニアチーム一丸となって目指そうよ、と。


最強のエンジニアチーム。それはただ闇雲に動くだけでは作れず、芯にはみんなが共感できる強い理念や目標がなければなりません。
第3回では、CTOとして実現させたい夢、そのために行うべきことをお話しします。

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【サイゲームスCTOインタビュー】
Vol.1 「最高のコンテンツ」を追求する人が集う会社に サイゲームスクオリティーを高め続けるCTOの役割
Vol.2 「世界最強のエンジニアチーム」を目指して 個人の能力発揮を支えチームで成果を出す組織文化
Vol.3 「世界をひっくり返す」には最高の技術提供を 将来の夢は日本のゲームを再び世界一にすること