サイゲームスは「最高のコンテンツ」を提供するため、常に技術を進化させています。設立9周年を機に、技術的課題の解決に向けた環境整備と、エンジニアたちが能力を発揮できる組織づくりを担うサイゲームスのCTO・芦原栄登士へインタビューを実施。サイゲームスの過去と現在、未来について、全3回にわたってお届けします。第1回では、CTOのこれまでの歩みを振り返りつつ、サイゲームスとはどんな会社なのかお話しします。

CTO(最高技術責任者)芦原 栄登士
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大学ではオブジェクト指向言語のコンパイラを作る研究に没頭。卒業後はゲーム業界に就職し、日本のインターネット最初期からネットゲームづくりに携わる。ゲーム会社で開発の経験を積みながら夜間の大学院に通い、MBAを取得。その後、プログラマー全体を管理する立場やネットワークコンサルタントなどを経て、2012年よりサイゲームスのCTOに就任。クライアントからサーバー、インフラ、マネジメントまで幅広く責任者を務める。

コンパイラとネットワークゲームづくりからMBA取得まで
仕事も研究も面白くて仕方がなかった若手時代

まずはサイゲームス入社までの経歴を教えてください。もともとは研究者志向だったそうですね。

今思い返すと、インターネットの発展・普及とともに仕事してきたなぁと思います。
学生時代はプログラム言語を設計してコンパイラ(※)をつくる、という研究をしていました。
大学卒業後もそのままコンパイラづくりと研究をどうしても続けたくて、コンパイラの仕事ができるゲーム会社に新卒で入社しました。

(※)コンパイラ=プログラム言語(ソースコード)をコンピューターが処理する形式(オブジェクトコード)に変換するソフトウェア

昔はゲーム会社でコンパイラを内製することがあったそうですね。

はい。他の業界でコンパイラづくりをする選択肢もあったんですが、ゲーム業界のほうが楽しいかな、と思って。そして希望どおり研究チームに配属になりました。
でもさらに本格的な研究をしたくなって、ゲーム会社で働きながら夜間の大学院に通い始めました。1996〜1997年頃のことです。日本にインターネットが普及し始めた時代でした。
その当時、自宅はもちろん、会社にもネット回線がまだ引かれておらず、大学院に行かないとインターネットが使えないという状況で。そんな中、ネットワークを使ったプログラミング言語の研究をしていました。

研究していた内容は仕事にも活かされていたのでしょうか?

そうですね。仕事でもネットワーク関連が中心になっていきました。当時、海外には面白いネットワークゲームが色々ありましたが、日本にはまだありませんでした。そこで、その当時在籍していた会社で「日本でもネットワークゲームを作ってやろうぜ!」とプロジェクトが立ち上がり、そのプロジェクトにネットワークプログラマーとして参加しました。
社内ではまだ誰もやったことがないネットワークプログラミングに1人で挑戦していましたね。経験者がいないので、相談相手ももちろんいなくて1人で設計・実装して、1人でテストする……。大変でしたが挑戦しがいのあるプロジェクトでした。

大学院でネットワークプログラミングを研究していたからこそ、仕事でもネットワークに取り掛かりやすかったんですね。

はい。そんなこんなで、昼間は会社でネットワークゲーム開発、夜間は大学院でコンパイラ研究、という忙しい日々を送っていました。
もともとコンパイラ研究がどうしてもやりたかったはずが、そのうち仕事でのネットワークゲーム開発がどんどん楽しくなってきてしまったんです。「研究よりゲーム開発のほうが楽しいじゃん!」って(笑)。

ゲーム開発のほうに興味が移っていった理由はなんですか?

サーバーにあるさまざまなデータを見て「遊んでくれるユーザーさんがたくさんいる!」「自分が作ったゲームで楽しんでもらえている!」というのを実感したからですね。これがゲーム開発の一番の楽しさだと思っています。
ネットワークゲームってユーザーさんと近いというか。楽しんでもらっているのか、そうでないのか、状況がわかりやすいんですよね。研究よりも、ユーザーさんの反応を見ながら開発をする楽しさのほうが勝った、という感じです。
大学院を卒業してMBAは取得しましたが、「プログラミング言語づくりは趣味でもいいかな」と思うようになっていました。

良いものが作れる人たちとまた楽しいことをやろう
サイゲームスCTOに就任するまで

その後のゲーム業界での業務についても教えてください。

現場での仕事はクライアント側の処理、サーバーの通信処理、インフラ構築などさまざまな業務を経験しましたが、30歳を過ぎた頃から、だんだんとマネジメント・管理側の仕事に移っていきました。
何社か転職をしたのですが、前職で現在のサイゲームス社長の渡邊(耕一)や専務の木村(唯人)と出会いました。
その会社は元々ゲームのミドルウェアを作る会社でしたが、ゲーム開発部門が新しく立ち上がり、その部門の部長が渡邊でした。
渡邊は「とにかく成果を上げる人」と聞いていたので、一緒に仕事をすることでプロジェクトの回し方を間近で見られる良いチャンス!と思っていました。

PlayStation®3のRPGソフトを開発していたんですよね。

はい。木村は当時ゲーム開発未経験者でした。「シナリオを書きたい」と言うので、渡邊と私は「これでゲームのシナリオが書けるから」と、木村にスクリプト言語のデータを渡しました。「君なら1週間もあれば作れる!」って(笑)。

ゲームづくりについて何も知らなかったのに……なかなか非道な(笑)。

でも、1週間後に本当に「動くもの」が出来始めたんですよ。ゲームのシナリオを考えながらスクリプトプログラミングで実際の動きまで付ける、という作業を1週間で覚えてやり始めたんです。「やればできるもんなんだね……」と渡邊も私も驚きました(笑)。

なかなか気骨のある新人だったんですね。

そうですね。別のある日には、木村がスクリプト機能のバグを発見して、「この機能がバグっててうまくいかないから、別の機能を駆使してなんとか動いている状態です。早くバグそのものをつぶしてほしいです」という依頼が来て。普通の人だったら「動かないんだけど」で終わるところですよね。もう「なんじゃおぬし、やるな!」って感じですよ(笑)。
各分野の精鋭が集まっていたので、そのゲーム開発は無事完了しました。普通、PlayStation®3のRPGソフトを作るのであれば、数年はかかるものですが、約半年で完成しました。ものすごく大変だったけど、「良いものが出来た」「楽しかった」という記憶のほうが強いですね。

そのときの経験が、今サイゲームスで働くということに繋がっているのでしょうか?

そうですね。その後、渡邊と木村は起業してサイゲームスを立ち上げるのですが、創立後に「サイゲームスのCTO(最高技術責任者)を任せたい」と渡邊から言われました。「大変だろうけども、良いものが作れる人たちだし、また楽しいことになるんだろうな」。そう思って、私も合流を決めました。

圧倒的クオリティーで最高の仕事をしたい
楽しさと驚きを提供したい人が集まる会社

芦原さんは創立初期の2012年からサイゲームスにCTOとして就任していますが、芦原さんから見てサイゲームスはどんな会社ですか?

サイゲームスのビジョンは「最高のコンテンツを作る会社」ですが、このビジョンは社内に浸透していて、「最高のものを作りたい」「最高じゃなきゃ」って人や、「最高の仕事をしないと」という人がたくさんいますね。

確かに、ユーザーのみなさんに「いいもの」「楽しいもの」を提供したい想いの強い人たちが集まっているなと思います。

みんな「良いものを作りたい」と同じくらい、「あっと驚くようなものを作りたい」「あっと驚くようなことをしたい」とも考えています。
私としてもユーザーのみなさんに「サイゲームスこんなこともやっちゃうんだ」とか「サイゲームスは次は何をするんだろう?」と常に期待される会社でありたいと思っていますね。
驚きの提供はゲームに限らずリアルな場でも積極的に行っています。例えば、東京ゲームショウ(TGS)2015でブース出展した際には、TGS史上最大の出展小間数で、ユーザーのみなさんが実際に乗り込める「グランサイファー」を展示しました。そのグランサイファーに搭乗すると、ゲームの世界の景色が見られるVRコンテンツも設置していました。

▲『グランブルーファンタジー』の世界をよりリアルに感じてもらうために、作中に登場する騎空挺「グランサイファー」を1/8スケールで展示しました

仕事に限らず、社内イベントなどにも「楽しませる」「驚かせる」文化がありますよね。

個人的にもこの文化が好きですね。社内イベントの例として、毎年のハロウィンイベントでは仮装コンテストが開催されます。私自身も「あっと驚かせてやりたい。しかも圧倒的クオリティーで」というコンセプトで参加してたりします(笑)。

▲スウェーデン生まれの某世界的ギタリストのコスプレを、全力でやり切るCTO。ハロウィンイベント当日は、コスプレをしたまま全力で仕事に励みます

開発現場の雰囲気や考え方についても教えてください。

「最高のコンテンツを作る会社」なので品質にこだわりたい人にとっては、とてもやりがいのある職場だと思いますよ。そのとき、その場の最善、最高のクオリティーが求められますから、それに達しないことは許されない雰囲気がありますね。
でもそんな厳しさがあるからこそ切磋琢磨し、その結果が全体の品質向上に繋がっているのだと言えます。「サイゲームスクオリティー」と表現することもありますが、常に「これはサイゲームスクオリティーなのか?」を問い続けながら開発を進めています。

開発環境や設備の点ではいかがでしょうか。

ユーザーのみなさんに最高のコンテンツを提供するためには環境も最高でなくてはなりません。必要とあらばコストのかかるものであっても、素早く設備が整えられるようにしています。

▲社内のモーションキャプチャースタジオ。16m×9mの広いエリアと最新鋭の機材を社内に設けることで、トライ&エラーを繰り返して品質を高めています

技術戦略を示し組織づくりに注力
サイゲームスCTOの役割

CTO・芦原さんのサイゲームスでの役割を詳しく教えてください。

CTO(最高技術責任者)というと、社内で使うゲームエンジンを開発したり、フレームワークを一から考案したりするなど「なんかものすごい技術を持っていて、それを現場にガンガン導入する」ことを想像されると思います。ですが、サイゲームスでの私の役割は少し違っていますね。
技術的なことは現場に任せ、全体の技術方針を示すことや組織づくりに注力しています。技術責任者なので責任はありますが、役割としてはVPoE(※)に近いかなと思っています。

(※)Vice President of Engineerの略称で、エンジニア組織のマネジメント責任者を指す。エンジニアの働く環境を改善・整備し、開発力・技術力を向上させるために採用活動やスタッフへの指導などを行う。

技術的な課題に直面したとき、現場のスタッフやマネージャーが解決できるよう、体制と仕組みを整えているということでしょうか?

はい。技術の世界はとても進歩が速く、次から次へと新しい技術が出てきます。私が現場にいたのは10年以上前で、知識としてはだいぶ古くなっているはずですから、知識面については大部分を現場に任せています。もちろん技術の中には新旧かかわらず本質は変わらない部分もたくさんあるので、そこは自分自身の経験や技術を元に判断・決断・指示することもあります。
私の主な役割は、エンジニアたちをマネジメントし、技術戦略・方向性を決定することです。エンジニア全員が活躍する強い組織を作ることが、サイゲームスCTOとしての重要なミッションとなります。


強いエンジニア組織にするためには、共通・共有の価値観や意識、行動を組織文化として作っていかなくてはなりません。
第2回では、組織文化づくりについてCTOの考え、現在行っていること、目指すべきところについてお話しします。

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【サイゲームスCTOインタビュー】
Vol.1 「最高のコンテンツ」を追求する人が集う会社に サイゲームスクオリティーを高め続けるCTOの役割
Vol.2 「世界最強のエンジニアチーム」を目指して 個人の能力発揮を支えチームで成果を出す組織文化
Vol.3 「世界をひっくり返す」には最高の技術提供を 将来の夢は日本のゲームを再び世界一にすること