「グラブルフェス2021」振り返り!オンラインで最高を目指した映像の魅せ方

年末恒例の「グラブルフェス」を2021年12月11~12日の両日、オンラインで開催しました。前回に引き続き今回もオンラインでの開催となりましたが、イベント開始に先駆け12時間以上に及ぶ「ゆるっと!ぐらぶるサテライトちゃんねるっ」の生放送や、ライブ「ナイトパーティー」の特別無料配信など盛りだくさんの内容でした。開催5年目を迎えボリュームアップした「グラブルフェス2021」の運営チームに、オンラインならではの工夫や裏側を聞きました。

「グラブルフェス2021」公式サイト

「最高の土日にしたかった」
長時間の“前夜祭”を初開催

2017年に初の大型オフラインイベントとして実施してから5年の節目となりました。今回のテーマは何だったのでしょう?

以前のインタビューでは3年目のテーマを「集大成」と答えたのですが、今回は一言で言うなら「最高の更新」です。2020年に続いて2回目のオンライン開催ということで、今回はこれまでお客さまに与えてきた感動を超えて、さらにその振れ幅を大きくすることをチーム全員で目指しました。

今回はメインステージに先駆け、2日とも深夜0時から12時間以上にわたりサテライトステージ「ゆるっと!ぐらぶるサテライトちゃんねるっ(以下、ゆるぐら)」が行われていました。メインステージ以外の時間にも長時間の生放送を実施したのはなぜだったのでしょうか。

生放送の別のやり方として、もっと複数日程に分けて数時間ずつ配信するような方法も考えました。ただ、「グラブルフェス」が立ち上がった頃から目指していた「最高の土日をお届けしよう」という方向を突き詰めようと思ったんです。土日の2日間を通して、ユーザーのみなさんにはお祭り気分を味わって、盛り上がっていただきたいという想いがありましたね。

また、少し前まで視聴者の方々に生配信を見ていただける時間は2時間程度が目安だったような体感があったのですが、最近は動画配信者の方たちによる長時間配信も一般化してきました。そこで今回新たな取り組みとして、「グラブルフェス」のオープニング前に、「ゆるぐら」で前夜祭を開こうと長時間の配信を実施しました。

初の取り組みで視聴者数が未知な部分もあったかと思います。振り返って、視聴者数はどうでしたか?

想定より多くの方にご覧いただけました。「ゆるぐら」だけでなく「グラブルフェス」のメインステージにも良い影響があって、今回は「グラブルフェス」のスタート時点で視聴者数が例年の約2倍になっていました。

また、「グラブルフェス」の最大同時視聴者数も去年に比べて3割ほど増加したので、長時間の「ゆるぐら」を配信した効果はあったのかなと思いますね。総視聴者数も2020年より大きく増えました。長年続けてきている中で視聴者数がまだまだ増えるのはすごいことだと思いますし、フェスを機に『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』のゲームをプレイしてくださるユーザーの方々も非常に増えました。

「グラブルフェス」の大きな目的はユーザーのみなさんに『グラブル』の世界を楽しんでいただく機会を増やすことです。新情報の発表などを含め、フェスを通してさまざまな話題を作ることで、ゲームを離れてしまった方々にもまたゲームを遊んでいただきたいと思っています。今回はフェス開催後に久しぶりにゲームにログインしてくださった方の数も過去最高だったので、たくさんのみなさんに『グラブル』をお楽しみいただける機会になれたのかなとうれしかったですね。

▲「グラブルフェス2021」はクライマックスまで熱の冷めきらぬまま終了しました

オンラインでの開催となりましたが、準備期間中はオフラインでの開催も視野に入れていたのでしょうか?

そうですね。チームとしてもオフラインで開催したいという想いがあって、オンラインと並行して準備を進めていました。最終的に時世を踏まえて、オンラインにすると判断を下したのがフェス本番の約1か月前でした。展示やVRの施策など、オフライン開催に向けて用意したものは6~8月に開催予定の「グラブルEXTRAフェス2022」でお披露目できないかと考えています。

オンラインでも「最高」を!
映像で魅せるための進化

■グラブルフェス Special Character Live

ここからは各ステージについて聞いていきます。「キャラクターライブ」は毎回クオリティーがアップしているように思いますが、今回の特徴は何でしたか?

どちらの開催形式にも対応できるよう準備はしていたのですが、2020年に引き続き全体的にオンライン開催が決定した時点から、オンラインだからこそできる、これまでにない演出を試みました。オフラインだとスクリーンに映像を投影するというやり方を取っていたため、どうしても演出に制約がかかってくる部分がありました。今回だと、例えばニーアが最初に階段から降りてくるところはスクリーンの投影範囲を越えてステージの奥行を目一杯使っています。これはオンラインだからこそできた演出です。

また、他のキャラがキラキラした華やかステージを披露する中、ニーアはアップの表情で魅せていくような感じや、ファンタジーらしい演出も多いので、映像でじっくり視聴可能なオンライン開催にハマったステージにできたのではないかなと思います。

また、サンダルフォンのステージでルシフェルがステージの正面から現れてサンダルフォンと向かい合うシーンがあるのですが、もしオフラインだったら客席からは完全に2人が被って見えてしまいます。2人の周りにぐるっとカメラが回り込む見せ方ができたのもオンラインならではですね。

サンダルフォンは2019年のキャラクターライブで初登場しました。これまでの3回のステージを通してシナリオイベント「どうして空は蒼いのか」の3部作をなぞる演出ができたように思います。前回まではサンダルフォンがルシフェルに気付いていない感じだったのですが、今回は正面から2人が出会えて、サンダルフォンの表情も柔らかくなっているんですよね。2人の関係性やサンダルフォンの想いが見てくださった方に伝わっていればうれしいです。

他にも、リアルタイムでモーションキャプチャーを行っているMCパートでは、前回まではキャラクターの手についてはグーやパーといった大まかな動きをコントローラーで制御していましたが、今回は指先までキャプチャーを行い、細やかな動きで感情を表現できるように進化しています。細かい点ですが、アオイドスがMC中にギターネックを触れるようになっているなど、3DCGチームのこだわりの技術が詰まっているんですよ。

▲キャラクターライブのトリはグラン・ジータ・ルリア・ビィの4人が飾りました

■グラブルフェス2021 スペシャルショー 蒼の軌跡 -Recursion&Reunion-

オフィシャルキャストたちによる「スペシャルショー」も見どころの1つです。このショーの狙いは何でしょうか?

2019年の初上演から一貫して「会場の全員でグラブルの冒険の思い出を振り返り、共有できるコンテンツ」というのがコンセプトです。ユーザーのみなさんがショーを見ながら、「こんな冒険もあったな、楽しかったな、切なかったな」といったことを会場全体で一体になって思い返せる、そういうコンテンツを目指しています。

さらに今回は2020年に引き続き、オンラインでユーザーのみなさんにショーをお届けすることになったので、YouTubeの画面越しでも楽しめるような、映像として「見栄えする」さまざまな演出を取り入れました。

例としては、組織の会話パートや「ロボミ 史上最大の戦い」などがより映像としてリッチになるように3DCGを取り入れたり、舞台演出用の土煙、炎、雨などのエフェクトもARで入れて臨場感を出したりしています。また「十二神将会議」のシーンでは実際にファイヤーダンスのダンサーの方々にご協力いただきながら十二神将とのダンスバトルシーンを再現しました。こういう演出も本当に舞台上でファイヤーダンスをやるからこその驚きや迫力、ワクワク感を、オンラインでもお届けできればと思って取り入れました。

▲3DCGで登場した「極鋼巨帝グランゴッドカイザー」
▲実際に舞台上で行われたファイヤーダンス

スペシャルショーは、シナリオイベントにまつわる新規描き下ろしイラストも満載です。イラストの使いどころはどのように決めていくのでしょうか。

最初に、前述したコンセプトに沿って「今回のショーではどのように冒険の思い出を振り返っていくか」という全体の構成を決め、プランナー側で字コンテを書くところから始まります。

2021年は7周年イベントでも活躍したカシウスというキャラクターを主体に、ショー全体の大きな流れをまず作りました。カシウス自らの記憶やルリアから聞いた冒険の思い出を通じて、空の世界で生きる者たちのあり方や絆について知り、学んでいくという構成です。それに沿って個々のイベントでピックアップするセリフやテーマを決め、さらにそこから描き下ろしイラストで表現する部分を決めていきました。

例えば、「フォール・オブ・ドラゴン」のシーンでピックアップしたのは「異種との絆」でした。元々、ヴァンパイアたちは異種である主人公たちを嫌っていましたが、ベスというこれまた異種の竜との絆を通じて成長したヴァンパイアのヴァンピィを目の当たりにします。そのことでヴァンパイアたちは異種の主人公たちに心を開き、絆を結んでいきます。まずはその様子がショーで伝えられるように構成を作りました。

その上で最後の「主人公たちに心を開いた」というシーンをしっかり印象的に伝えられるよう、主人公たちの騎空艇に敬礼をするヴァンピィ、ヴァイト、フェルドラクとヴァンパイアたちを描き下ろしイラストで見せることにしたんです。

このように「このイベントに含まれるテーマのうち、何をユーザーのみなさんに伝えたいか」という観点から描き下ろしイラストを入れるシーンを決めています。

■グラブル ナイトパーティー

声優の方たちによるライブ「ナイトパーティー」はこれまで有料でした。今回特別に無料で配信したのは、どんな想いがあったからでしょうか。

このご時世でライブを見る機会が減ってしまったと思うので、より多くのユーザーのみなさんに楽しんでいただける場を作りたかったからです。また、これまでチケット制だった分、参加していない方からすると「ナイトパーティーはどんなことをしているのだろう?」とわからない部分もあったと思います。

今回、これまでナイトパーティーをご覧いただいていなかった方々にもご覧いただくことで、今後のナイトパーティーを楽しみにしていただけるような機会にできればという想いもありました。次回からはまた有料になると思いますので、今回のステージを気に入ってくださった方はぜひまたご覧いただけるとうれしいです。

今回のナイトパーティーで力を入れた部分はどんなところでしたか?

総勢21名の声優のみなさんに計22曲を披露していただいたのでそれだけでも豪華なステージになっているかと思いますが、演出に一段と力を入れました。これまで以上に照明の使い方にこだわったり、オンラインならではの演出としてARを使ったり、ライブとしての完成度を高めようと意識していましたね。

無料だからといってボリュームやクオリティーを下げるのではなく、むしろ多くの人に見ていただける分、最上級のものをお見せしようと準備していました。

▲ナイトパーティーはイベント終了後、3日間限定でアーカイブを配信しました

「グラブルフェス」の展望
オンラインとオフラインの両立を

これまで大きく変化した点を聞いていきましたが、バラエティー企画やゲーム情報の発表など、誰もがより気軽に楽しめる定番のコーナーもありましたね。

そうですね。考え方としては「新しいものを見せる場」と「定番の流れで見せる場」を分けています。キャラクターライブやスペシャルショーといったステージパフォーマンスはオンラインに特化した分、新しいものをお見せする場になったと思いますが、バラエティー企画やゲーム情報をお届けするコーナーは「いつもの『グラブル』の生放送だね」と安心感を持って見ていただける部分かなと。

とは言え、細かいところだとゲーム情報の出し方も毎年少しずつアップデートしていまして。今回で言うと、新十二神将やランスロット(リミテッドシリーズ)、ジョブマスターレベルなど、目玉となる情報は動画で発表しました。ただスライドで淡々と発表するのではなく、新情報が印象に残るように工夫したいと考えたからです。

生放送は登壇者たちのトークが占める時間が多いものの、リハーサルに費やせる時間はかなり限られてきます。そのため、バラエティーの企画やゲーム情報の出し方で変化を出して、毎回同じことの繰り返しにならないようにしています。

「グラブルフェス」はアーカイブを配信しています。未見の方に向けて「特にここは見てほしい」という部分はありますか?

それで言うと、「全部見てください」になりますね(笑)。ただ、すべてのコーナーを全員に見ていただくのは難しいのかなとも思っています。そのため、キャラクターソングが好きな方にはぜひキャラクターライブを見ていただきたいですし、オフィシャルキャストが好きな方はスペシャルショーを見ていただくといったように、ご自分の好きなところだけを見るというのも1つの楽しみ方なのかなと。

たくさんのユーザーのみなさんがいる中、いろんなユーザー層にお届けできるようなコンテンツを作っておりますので、それぞれの「グラブルフェス」の楽しみ方をしていただきたいですね。

最後に、今後の抱負をお願いします。

一言で言うなら「オンラインでもオフラインでも『グラブルフェス』」ですね。今回は特にステージパフォーマンスでオンラインに振り切った見せ方をしていますが、今後はオンラインとオフラインを両立させた最上級のステージを作らなければいけないなと考えています。実際に会場に来た人と配信で見た人で、それぞれが楽しめるような「グラブルフェス」を作れると最高なので、チームみんなで考えていきます!


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