【マネージャーの思考】プランナー戦略本部の組織づくり「多様なスキルを持った英傑が育つ・集まる場所に」

「マネージャーの思考」は、サイゲームスの各部署のマネージャーから、組織づくりの考え方や今後の展望を語ってもらう連載です。今回は約200名のゲームプランナーをまとめる「プランナー戦略本部」のマネージャー・ケイスケが、組織の課題解決やリモートワークにおける施策、ゲームプランナーに必要なスキルや今後の展望についてなどを語ります。

プランナー戦略本部 マネージャーケイスケ
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新卒でサイバーエージェントに入社し営業職を経験。その後、2011 年10月にサイゲームスに合流。『プリンセスコネクト!Re:Dive(以下、プリコネR)』のディレクターをはじめ、さまざまなゲームのディレクター、プランナーを経験する。現在はプランナー戦略本部で、人材育成や採用・アサイン・ケアを中心に組織全体の強化に取り組む。

ゲームを面白くするために何が必要か
考えて打ち出すのがプランナー

最初に、ケイスケさんのこれまでのキャリアを教えてください。

新卒でサイバーエージェントに入社し、広告の営業を経験しました。そこからモバイルゲームを開発するグループ会社に異動して、ゲームづくりに携わりました。そこで社長の渡邊と話す機会があり、最初は見習いとしてサイゲームスに出向して……正式にサイゲームスに合流したのは2011年です。

元々広告の営業をされていたのですね。そこからゲームのプランナーに職種を変えようと思ったのはどういう理由からですか?

サイバーエージェントにいたときに、直接お客さんの反応が見られるBtoCの仕事をしたいと考えるようになったのが大きいです。ユーザーのみなさんに向けて、自分の頭で考えて「これだったら刺さるだろう」というものを試したいと考えていました。ちょうどその頃モバイルゲームが盛り上がりを見せていて、ゲームでやってみようということでゲーム系の会社に異動させてもらいました。

そこでゲームづくり全般に携わっていたのですが、当時、サイゲームスを立ち上げたばかりの社長の渡邊と話す機会があって、そのゲームづくりへの姿勢に感銘を受けてサイゲームスへ出向しました。

『神撃のバハムート』の開発の際、渡邊が「業界全体でイラストレーターの功績に対して報酬が見合っていない」という考えを持っていたことから、それまでの基準より報酬を高めにしていたのです。それが当時は新鮮でした。共存共栄といいますか。それが長期的に見て合理的なことは明らかでしたので、方針に共感してサイゲームスに合流しました。

サイゲームスに入った後はさまざまなゲームでプランナーやディレクターをやっていますね。プランナーはどんな仕事をするのでしょうか。

プランナーは定義が非常に難しいですね……。一番地味な説明にはなってしまいますが、正確な表現は、「ゲーム開発で必要な業務のうち、エンジニア、デザイナー、デバッガー、シナリオライターなど……他のセクションが担当する部分を全部除いて、残ったところすべて」がプランナーの仕事ですかね。ゲームづくりには、いわゆるプランニング業務に加えて、トラブル対応、業務フロー改善など、想定外やケースバイケースの業務が必然的に多数出てきます。そうしたゲームを面白くするために必要なすべてのことをディレクターと一緒になって考えて実行していくのがプランナーといえます。

自分は2012年頃からさまざまな運用タイトルにディレクターやアシスタントプロデューサーとして入っていき、2016年にはプランナーセクションのマネージャーとして声が掛かりました。同時に開発中の『プリコネR』のプランナーとしてチームに参加し、1か月くらいでディレクターになって、一時期はマネージャーとディレクターを兼任していました。

『プリコネR』リリース後は、ディレクターは別のスタッフへ引き継いでマネージャーに専念しています。昔運用に携わったタイトルは、なかなかうまくいかないことも多く、苦労したこともありました。ですが思い返すと今のマネージャー職にはその経験が活かされていると思います。

新しいタイトルを打ち出すため
リモート体制でも強いプランナー組織へ

プランナー戦略本部は比較的新しい組織です。設立の理由を教えてください。

1つ目は、プランナーの採用強化です。『ウマ娘 プリティーダービー』の成功もあり、会社自体が好調で、どんどん新しいタイトルを作る動きが出てきています。運用しているタイトルも増えているため、プランナーも増やして組織を大きくしていかなければなりません。

2つ目は、プランナー全体の組織強化です。特にコロナ禍で在宅勤務中心になって以降、その体制にあわせたタイトル横断の連携や知識共有会などの施策が積極的には行えていませんでした。

以上の2つの課題を解決するため、サイゲームスのプランナー200名近くが在籍するプランナー戦略本部を立ち上げました。また、他にも20名強の学生アルバイトが在籍している「総合職育成チーム」という組織もあり、こちらもプランナー戦略本部に紐づいています。

それでは、具体的にプランナー戦略本部が行っている施策を教えてください。

■プランナー全体ミーティングの復活

コロナ禍以前に行っていた「プランナー全体ミーティング」を復活させました。3か月に1回、良い業績を上げた方をオンラインで表彰したり、セクションからの連絡事項、開発中タイトルの最新状況の共有をしています。やはり開発中タイトルの情報は、プランナーからの関心が高く、全体ミーティングでの目玉コンテンツとなっています。

■プランナー分科会の開催

以前から各プロジェクトのプランナーリーダーが集まる月1回のミーティングは実施していたのですが、これを一歩進めて、パラメーターやイベント、スクリプターなど、パートリーダーが集まるミーティングを「プランナー分科会」と銘打って実施しています。パートごとに抱える課題は変わってくるので、他のリーダーに相談したり、成功施策を共有する場として機能しています。

■1on1の機会増加

新卒1年目はメンタートレーナー制度があるのでこれまでもフォローが手厚かったのですが、2年目になってつまずくケースがたびたび見られました。そこで2年目もマネージャーと3か月に1回ほど1on1で定期面談を行って、コミュニケーションを取りやすい環境づくりをしています。

同じように、中途入社メンバーとも入社後しばらく経ったタイミングでマネージャーと話す機会を設けて、在宅勤務中心の環境で孤立していないか、できる限り早くキャッチアップできるようにしています。
また、残業時間が多くなりそうなスタッフがいた場合、本人との面談やプロジェクトへの状況確認を通して、できるだけ特定の個人に負荷が掛かり過ぎないようにケアしています。

■プランナースタディでノウハウの共有

「シニアディレクターによる、若手プランナーが身に付けたいテクニック講座」「プランナーリーダーによる、大型タイトルにおけるパラメーター設計の考え方」など、ゲームづくりのあらゆるノウハウを動画化して共有しています。

まだまだ動画の数が少ないので、これからどんどん数を増やしていきたいですね。社内から動画化すべきノウハウをコンテスト形式で募集しても面白いなとも考えています。

■オンライン懇親会の企画補助

プランナー同士の親交を深めるため、オンラインの懇親会を自由に企画して良いという施策を定期的に実施しています。プロジェクトごとでもプロジェクト横断でもOKで、フードデリバリーサービスの費用を会社が負担しています。オンラインでボードゲームをしたりゲーム実況を見たりしながらゲームについて語らっているスタッフもいるようです。

上記の施策の他にも、プランナー組織拡大に向けてさまざまな子細なアクションをしています。

組織づくりや育成において大事にしていること、モットーなどがあればお聞かせください。

特に最近感じているのは、最終的には対話が一番重要ということですね。200名ほどのプランナーが在籍しているので仕組み化は進めていますが、やはり1on1の会話が肝心だと感じますし、在宅勤務ということもあって、意識して推進しないとどうしてもコミュニケーションが不足してしまいます。スタッフ同士の間を繋ぐ仕事だからこそ、プランナーの悩みは人間関係であることも多いですし、各タイトルによって組織の構成も変わってくるので、何事も聞かないとわからないんですよね。

そのため、最低でも半期に1回はすべてのプランナーがマネージャーと面談するようにしています。また、出社したときには各フロアに顔を出して声掛けをしたり、プロジェクトマネージャーと密に連絡を取って問題を早い段階で把握できるようにしたり、とにかく1on1のコミュニケーションを大切にしています。

こういった組織の強化は合流後の定着にも深く関わってくると思いますので、採用・育成の面からも意識して取り組んでいます。

良いものを作りたい“英傑”たちが集う場所
梁山泊はここにあり

プランナー戦略本部を一言で表現するとどんな部署ですか?

悩んだのですが、一言でいうなら「梁山泊(りょうざんぱく)」です。中国の小説「水滸伝(すいこでん)」の中で多種多様なスキルを持った英傑が集まる場所で、プランナーも一緒でいろんな業務・スキルがあるのでぴったりかなと思いました。さまざまなスキルを持ったプランナーたちが、ゲームを面白くする目的に向かって日々尽力しているイメージです。……いかがでしょうか(笑)。

ゲームプランナーらしい例えですね!それでは、その梁山泊=プランナー戦略本部を、ケイスケさんは今後どのようにしたいと考えていますか?

そうですね、第1には、やはり新しいタイトルを生み出していくために、優秀なプランナーをもっともっと増やしていきたいです。と同時に、業界的に見て新しいことにも挑戦していけると思っています。例えば、つい先日スクリプター分科会で「AIを活用することでスクリプト業務をより効率化できるのではないか?」という提案がありました。すぐに社内の開発運営支援に相談して、実用可能性を探る動きが始まっています。そういったスタッフからの意欲的な提案を形にできるように体制を整えていきたいです。

どのような人に来てほしいですか?

なんせ梁山泊なので、どんな方でもウェルカムです(笑)。必要なのは、「良いものを作りたい」という意欲と、ゲーム好きであること。この2つだけですね。

あとは、特にプランナーにあるとなお良いと思うスキルは「言語化能力」です。どの業務に関わっていてもプランナー1人で完結することはなく、アイデアを形にしたいならプランナーからエンジニアやデザイナー、ディレクターなどに向けてしっかりと仕様とその狙いを説明しなくてはいけません。また、トラブル対応においても、まずは状況を正しく言語化することが求められます。

逆に、ゲームプランナーなら絶対に企画・提案する能力が必須だと思われることもありますが、自分はそうでもないと思っています。例えば、プランナーの中には、アップデートのスケジュール管理で活躍しているスタッフもいます。だから「企画能力が必要です」というと誤解を招く恐れがありますね。

プランナーと一言に言っても本当に幅広い業務があるので、どんな方でも自分のやりたい業務や向いている業務を話し合いながらアサインできると思います。多種多様なバックボーンを持ったスタッフが集まっているので、幅広い方に応募してみてほしいなと思っています。

最後に、ケイスケさんはサイゲームスのどんなところが好きですか?

先ほどのスクリプター分科会の提案の件もそうですが、新しいことを前向きに検討してくれるところですね。別の例で言うと、プランナー全体ミーティングをオンラインでやるために、映像を収録して編集してほしいと映像制作室に依頼したところ、想像をはるかに超えた力の入れ様で、照明や演出にこだわった非常に豪華な映像が出来上がりました。自分が関わった『プリコネR』でもデザイナーやエンジニア、サウンドチームから期待以上のクオリティーのものが上がってきますし、プランナー分科会を通じても、本当に優秀な人材が揃っているなと感じます。担当しているタイトルをより良くするにはどうしたらいいか、みんな真剣に考えています。

以上、プランナー戦略本部のマネージャーのインタビューをお届けしました。

現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。


ゲームプランナー採用ページ

編集後記「マネージャーの横顔」

休日はどんなことをしているのか教えてください!

一人でまとまった時間ができたときは、散歩やサウナに行くことが多いですね。最近は根津美術館に行って、非常に癒されました。庭園も広くて建築もきれいですし、すごく良かったです。

気晴らしに散歩しているので特にインプットというわけではないのですが、せっかくならきれいなところに行きたいなと思っています。最近は美術館に行くことも多いです。

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