さまざまな技術とノウハウを結集して作られるゲーム。開発に携わる職種も多々あります。その中でも、ゲームの企画立案に始まり、ゲーム開発過程の中心で活躍するのが、ゲームプランナーです。
ゲーム開発に欠かせない存在のプランナーは、「面白さの追求」のためにどんな仕事をしているのでしょうか。
今回はサイゲームスのシニアディレクター・三沢が、ゲームプランナーの仕事とその魅力について解説します。

シニアディレクター三沢
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コンシューマーゲームのプランナーや、プロジェクトマネージャーなどを経験後、ゲームプランナーとして2011年にサイゲームスに入社。「神撃のバハムート」のゲームプランナーリーダーを経て、複数のプロジェクトでディレクターを担当。現在はシニアディレクターとして新規プロジェクトに携わりつつ、若手の人材育成にも注力している。

開発の中心でスタッフを繋ぐ
ゲームプランナー

プランナーとは一言で表すと、「ゲーム開発の各パートを結びつける役割」です。サイゲームスのゲーム開発では、大規模な体制で開発を行うプロジェクトも多いので、プランナーにはリーダーシップをとっていく姿勢や幅広い対応力が求められます。

■ゲーム開発のワークフロー

▲ゲーム開発におけるプランナーの関わり方

ゲーム開発の現場でプランナーは、さまざまな職種のスタッフと仕事をしていくことになります。ディレクターの指示の意図を汲み、各パートを担当するスタッフに指示や発注をしていく過程で、プランナーがどこまでこだわりを持てるかは、ゲームの完成度に大きく影響するところです。

若手のプランナー、中堅のプランナーで任せられることは違うかもしれませんが、共通しているのは開発スタッフをまとめていく役割だということです。開発スタッフと一緒に仕事を進めていくのに大切なのは、当たり前のことを当たり前にやることだと思います。知識や経験も大切ですが、まずは信頼を積み重ねることがチームを引っ張っていく役割に繋がっていくのではないかと思います。

ゲームの開発工程と
ゲームプランナーの役割

サイゲームスのプランナーはゲーム開発における「企画・仕様策定」「発注・実装」「リリース」「分析・改善」という4つの工程すべてに関わり、各工程の中で「新規コンテンツの企画」「各種画面・機能の仕様」「パラメーター設定・調整」などの役割を担当します。

■企画・仕様策定

まず企画・仕様策定の工程で、プランナーは実装するコンテンツのアイディアを具体化し、書面にまとめていきます。
ゲーム開発を進めていくためには、プランナーがアイディアをまとめ、開発スタッフに伝えなければいけません。その手段として用いるのが、いわゆる企画書や仕様書です。
新規プロジェクト立ち上げの際にプランナーが企画書を書くこともありますが、主に開発初期には根幹となるシステムやコンテンツの企画提案をすることが多いです。

●新規コンテンツの企画
一口に企画書といっても新規プロジェクトの提案書のようなものばかりではありません。運用プロジェクトの大型アップデートの提案や、マルチプレイ、バトルコンテンツなどの提案で、プランナーが企画書を作成する場面も多くあります。

プランナーでもディレクターでも、企画に携わるあらゆる人に共通することかと思いますが、自分が企画書から手掛けてプレゼンしたコンテンツを世に出せた瞬間は、ものすごい達成感があります。企画に関わるチャンスが多いため、自分の想いを伝える力、筋を通す力があれば、やりたいことが実現できる仕事だと思います。

●各種画面・機能の仕様
アイディアをまとめるという点でプランナーにとって一番多い仕事になるのは、仕様書の作成です。仕様書を通じて開発スタッフに説明をして、実装を進めていくことがプランナーのメインの仕事だと思います。新イベント、新キャラクター、バトルシステムなど、ゲームにはたくさんの機能が盛り込まれているので、その機能の仕様を決める必要があります。

1つのプロジェクトの中で、各プランナーが担当する機能やコンテンツが固定化されることも多いですが、一度担当することになった部分以外の仕様書の作成を任せられることもよくあります。どんな部分を担当してもアイディアをカタチにできるように、日頃からさまざまなコンテンツに触れることが大事です。

サイゲームスでは「みんなでたくさんゲームをやる」ことをミッションステートメントの1つとして掲げています。たくさんゲームをプレイして得たあらゆるアイディアは、担当機能やコンテンツにかかわらずいろんな部分で活きてきます。新規プロジェクトや運用プロジェクトの中でも、それぞれのプレイ体験から生まれた新しいアイディアが採用されることも多くありますし、もちろん、ユーザーのみなさんからの声を基にした改善提案もします。
プランナーとして何を担当するにしても、仕様書にまとめた自分のアイディアがカタチになっていく過程が見られるのはうれしいですし、それがこの仕事の醍醐味の1つと言えます。

▲仕様書の一例。画像は『プリンセスコネクト!Re:Dive』の画面遷移図

■発注・実装

仕様書作成が完了すると開発スタッフたちと一緒に、いよいよ本格的なゲーム開発がスタートします。

●必要素材の洗い出し・発注
まずは開発に必要な「画像」「アニメーション」「3DCG」「サウンド」などの各種素材の発注を進めていきます。素材が作られた後には、その素材をエンジニアが開発環境へ組み込んでいきます。
デザイナーが素材を制作している間やエンジニアが開発を進めている間に、プランナーは何もしないかというとそうではありません。制作物の進行管理や、途中段階のクオリティーチェックを行います。進捗状況を常に把握して、問題があればスケジュール調整をしたり、実装されたものをテストプレイして、必要に応じて仕様を変更したり、より良いものを粘り強く作り上げていきます。プランナーは開発スタッフたちと一緒に「最高のコンテンツを作る」というゴールを目指して完走することで、周りのスタッフからも信頼されるようになります。

発注作業をすること自体は地味な仕事かもしれません。ですが例えば、カッコいいイラストが仕上がってきて、実際に動くところを見ると、それだけでテンションが上がりますし、ゲームに命が吹き込まれていく様子を間近で見て、スタッフ同士でその喜びを共有できるのは、作り手にしか味わえない特別な瞬間だと思います。

●パラメーター設定・調整
ゲームを「実装」する工程で、プランナーはゲームに登場するキャラクターや武器などに使われるパラメーター(数値)のバランスを設計します。バトルやキャラクター性能などに関わるプランナーにとっては、実装した後のバランス調整も大事な仕事です。ゲームの面白さはバランス調整に大きく左右されますから、プランナーは少しでも面白くなるように、スケジュールのギリギリまで調整します。

▲パラメーターの一例。画像は『グランブルーファンタジー』。プランナーはここに挙げられている以外のものも設定・調整し、ゲーム全体の面白いバランスを作ります

■リリース

一つひとつの機能が出来上がり、開発が一定まで進むごとに、ゲームのクオリティー全体に対して最終的な責任を持つディレクターのチェックや、デバッグ作業が行われます。この段階では、ゲームが仕様内容に沿った想定通りの動きをしているかだけでなく、実際にゲームとして動いたものが求めるクオリティー・面白さの基準に達しているかなどを確認します。

●バグ修正・最終チェック
担当する機能やイベント、キャンペーンなどの実装や調整が終わると、ディレクターがチェックをして、部分的な仕様変更や最終調整などをしていくフェーズに入ります。また、デバッグ作業を行うデバッグチームやバグとして報告された内容の修正を行うエンジニアと密にやり取りをして、リリースに向けた最終チェックが始まります。小さな問題もあってはならないので、プランナー自身もデバッグを行います。

●リリース後のチェック
自分が担当したゲームやコンテンツを、いよいよ世に送り出します。プランナーはこのリリースのタイミングでもプレイヤーの方々と同じ環境でゲームをプレイして、問題がないことを確かめます。
すべての確認が終わって、ユーザーのみなさんからの良い反応をSNS上で発見したときにはホッとしますね。

■分析・改善

●振り返り
ゲームが完成・配信されても、プランナーの仕事は終わりではありません。世の中に作品が届けられた後も、ユーザーのみなさんからの反響を分析し、ゲームを改善していきます。特にモバイルゲームでは、さまざまなイベントやアップデートなどを行い、継続的にサービスを提供していきます。イベントやアップデートを実施する度に、データマイニングやカスタマーサポートといった他の部署とも連携して施策の振り返りを行います。その結果を次の施策でどのように活かすのかも、プランナーの腕の見せどころです。

幅広い知識や
さまざまな能力が求められる

■ゲームプランナーに求められる多彩な知識・能力

ゲーム開発のさまざまな業務を繋ぐプランナーには、開発にまつわるいろんな知識と能力が求められます。大きく分けると、下記の4つの力が必要です。

1.調べる力

プランナーにとって一番重要なのは「調べる力」です。必ずしも自分がよく知るゲーム作品の開発を担当するとは限らないですし、よく知っているゲームだと自分では思っていても、実際に細かく調べてみると「思っていたのと違った!」ということも多くあります。何も調べず、アイディアを自分の頭の中だけで決めていくのと、ゲームの基本的な仕組みや要素、キャラクターやアイテムの数などを参考に比較して決めていくのでは、具体化していく精度も速度も差が出てしまいますよね。
RPGを作るならRPGを、カードゲームを作るならカードゲームをしっかりと調べておくことが大事です。

2.ゲームの知識

「調べる力」をつけた結果とも言えますが、プランナーはゲームに関する知識を持っていなければなりません。ゲーム開発の現場では、過去のゲームソフトなどが由来となっている開発用語を「共通言語」として使うことが多いですし、ヒットしている最新のゲームのことを理解していなければ、会話が成立しない場面があります。開発スタッフとのやり取りが円滑になるので、有名なゲームはたくさんプレイしておくことをオススメします。ゲームに限らず、映画を観たり、マンガを読んだり、いろんなものをインプットしておくと良いと思います。

ちなみにサイゲームスのスタッフはみんなたくさんのゲームをプレイしているので、「あれ、めっちゃ面白かったよ!」といった話を聞くと、自然とやってみたくなります。

3.コミュニケーション

ゲームは1人では開発できません。作業のスケジュールやタスクの管理をするのもプランナーの仕事です。そのため、開発スタッフと積極的に会話し、正確なコミュニケーションを取ることが大事です。
コミュニケーションを取る方法も色々とありますが、社内SNSといったツールを使って文章でやり取りする場面も多いです。企画書や仕様書などの資料でスタッフに納得してもらうためにも、ある程度の文章力は必要です。

個人的には、職場での楽しい雰囲気から、ゲームの楽しさ、面白さが作り出されると考えています。なので、プランナーとして話しやすく楽しい雰囲気を作ることも大切な仕事です。いきなり仕事の話をするのではなく、ゲームの話題や趣味のことなど話のきっかけを作ったり、別の話題を振ってみたりしつつ、仕事の話に繋げていくことも多いですね。

4.ゲーム開発の経験

最後に開発に関する知識や経験ですが、プランナーも基礎的な部分は知っておくと役に立つと思います。基礎的な部分と言っても、技術的に複雑化している昨今の開発事情では大変なのかもしれませんが、まずはゲームがプログラムで動いていること、大量の2D、3Dのデータが格納されていること、どんな処理やデータ構造が得意なのか、苦手なのかを理解できると、仕様書が書きやすくなります。
今の時代、「Unity」「Unreal Engine 4」などの開発ツールも無料で使えるので、熱意のあるプランナーは使ってみるのも良い経験になると思います。

「面白くしよう」「チーム力を発揮しよう」
ゲームプランナーが持つべきマインド

知識・能力などの「スキル面」も重要ですが、私はプランナーはどんな場面でも、どういう状況でも、「なんとか面白くしてやろう」というマインドを持っているべきだと思っています。これはサイゲームスという会社全体が大切にしている考え方でもあります。

▲サイゲームスの行動規範「THE PROJECT」より。簡単に諦めず、割り切らず、「ユーザーの方に楽しんでもらうためならやってやる!」という強い意志が必要です

何かを実現させたいとき、難易度の高い壁に直面した状況でも、プランナーには「これならできる」と実現可能な方法や代案を考えることが求められます。
例えば、面白いコンテンツだけど開発には大量のデータを必要とするし、チェック範囲も広くて開発期間的にも厳しい、といったことはよくあると思います。
ですが、そこですぐに要素を削ったりせずに、まずは周囲とも問題点を話し合いながら、それを解決する方法を考えていけばいいと思います。せっかく面白いアイディアがあるのに、ここでプランナーが消極的になってしまうと、本来の狙いとは違う結果になってしまうこともあります。常に「面白くするための譲れない」部分はなんなのかを意識して、実現に向けて積極的に動くことが大切です。

また、近年はコンシューマーゲーム、モバイルゲームに関わらず開発規模が大きくなり、開発に携わるスタッフも増えてきています。1人でなんでもやるよりも、チームで連携して力を発揮し、良いコンテンツを生み出していくことが重要です。その中でプランナーに求められるのは、「チームで働く意識」です。1人で作れる人よりも、うまくチームを巻き込める人、まとめ上げられる人の方が最終的に良いコンテンツを作ることができます。「どうしたら周りのスタッフと同じ方向を目指してクオリティーを上げられるのか」「自分が不得意なところでも面白くできる方法はないのか」。そういったことを意識しながら、協力しようとする姿勢が大事だと思います。

▲サイゲームスの行動規範「THE PROJECT」より。サイゲームスではプランナーに限らず、積極的に提案し、チーム全体としてコンテンツを良いものにしていく姿勢を大切にしています

予想を超えるワクワク感が
やりがいに

自分が携わったゲームがユーザーのみなさんに喜んでもらえるというのはもちろん大きなやりがいです。それに加えて、自分がプランナーとして他のチームのスタッフから「引き出したもの」でゲームに良い効果をもたらすことができたとき、新しい価値が生まれたときにとてもやりがいを感じます。
プランナーは設計図こそ自分で作成しますが、プログラムはエンジニアが書きますし、絵はデザイナーが描きます。成果物としてカタチにしていくのはエンジニアやデザイナーですが、自分の作った設計図を基にして開発されたゲームの出来が良かったり、予想だにしない新しいものが生まれたりすると、プランナーとして「やっててよかった!」と思います。

例えば、運用プロジェクトの大型アップデートのときにそういった事例がありました。ゲームの開発では時々、プランナーが元々計画していたものとは別のアイディアが周りのスタッフから出て、それを試しに実装していくこともあるのですが、そういうコンテンツが良い意味で予想を裏切って面白くなることもあります。リリースしてみたらメインのコンテンツよりも評判が良い、なんてこともあります。プランナーとしてはちょっと複雑な気持ちになることもありますが、運用プロジェクトはそんな意外性も生み出せるチャンスが多いんです。

ゲームプランナーの
キャリアパス

私は大学を卒業した後にプランナーからキャリアをスタートしましたが、「一人前のプランナー」と呼ばれるようになるまでには、一定の基準をクリアする必要があると思っています。

私が考える一人前の基準は、出されたお題に対していろんな人に聞きながら仕様書を作り、ディレクターチェックを受けてほとんど修正がないレベルにまで仕上げられるかどうかです。ゲーム全体でなくても、例えば「あるクエストでボスを作る」といった、任された1つのパートに対して、ディレクターから指摘を受けることなく、ユーザーのみなさんのもとに届けることができたら一人前かなと思います。それができれば、基本的には他の仕事もその応用なので、任されたお題を丸ごとこなせることは一人前のプランナーとしての指標の1つになると思います。

サイゲームスのプランナーは、ゲーム業界に限らず多様なキャリアを積んできた人が多いです。一人前のプランナーとしてスキルアップした先に、ディレクターを目指す人もいれば、プランナーの業務で培ったスキルを活かして、シナリオライターとしてキャリアを積んだり、プロジェクトでの推進力を極めてプロジェクトマネージャーを目指したりする人もいます。
プランナーは、キャリアの幅を広げることも、深めることもできる職種だと言えます。

最後は
ものづくりに喜びを感じるかが大切

プランナーとして成長したい人、これからプランナーを目指す人に向けてのアドバイスとして、ゲームに限らず何か作品を作り、完成させ、人に見てもらう経験をしておくと良いと思います。私自身も学生時代には詩や小説を書いていました。今は技術の進化によって、あらゆるものが作りやすく、人に見てもらいやすい環境になっています。ゲーム開発はチームワークですが、最終的には「自分が何を作りたいか」という強い想いを持つことが大切です。何かを作ることの喜びは、プランナーに必要な経験です。動画編集やSNSを使った表現でもなんでも良いので、ぜひ取り組んでみてください。


以上、ゲームプランナーの仕事とその魅力についての解説でした。
現在サイゲームスでは、一緒に働く仲間を募集しています。この記事で興味を持たれた方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。

ゲームプランナーの募集について