インターンシップ シナリオライターコース紹介 未経験からゲームシナリオ制作を体験!

サイゲームスでは、学生のみなさまへ向けて主に夏と冬にインターンシップを開催しています。2023年の夏からは、シナリオライターコースを新設!ゲームシナリオ制作未経験から挑戦可能な内容に設定されています。
本記事ではシナリオライターインターンシップの内容と、新卒シナリオライターに必要な資質について、ご紹介します。

シナリオ本部 本部長ショウゴ
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大学時代からゲームのレビュー雑誌でライター業を経験し、フリーランスのシナリオライターを経て2017年にサイゲームスに合流。『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(配信元:バンダイナムコエンターテインメント)』『ウマ娘 プリティーダービー』でシナリオライターを務める他、『ドラガリアロスト(配信元:任天堂株式会社)』には開発段階からシナリオチームのリーダーとして携わる。2018年にシナリオチームのマネージャーに就任し、2022年からシナリオ本部の本部長を担う。
シナリオチームケイスケ
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2017年新卒入社。『グランブルーファンタジー』のシナリオライターとして配属され、占星武器にまつわるシナリオシリーズや『天上劇団もぐら座』『世界で一番、特別なあなたへ』などのイベントストーリーの執筆を務める。2023年開催のインターンシップでは講師を担当。

インターンシップ シナリオライターコース概要(2023年度実施時)

オンライン形式で2日間実施しました。このインターンシップはシナリオ作成だけにとどまらず、添削、修正、完成までを体験できるプログラムです。まずはインターンシップ選考時にお題に沿ったシナリオ課題を制作いただき、その提出物を基にインターンシップ中に講師からフィードバックを受けます。その後、修正稿を作成していただくという流れです。実際に第一線で執筆をしているプロのシナリオライターから、いつもどのような工程や思考でシナリオを仕上げるのか、実践の中で学んでいただけます。

インターンシップに臨む講師の想いと課題のポイント

2023年にシナリオライターのインターンシップを新設した経緯から教えてください。

ショウゴ そもそも、ゲームのシナリオライターという職種がまだまだ認知されていないような状況があって、もっとこの仕事の認知を拡大させたいという想いもあって新設しました。
以前に新卒シナリオライター志望者向けの説明会を開催したことがありまして、その際にはありがたいことにとても好評をいただいたんです。知るきっかけがあれば興味を持ってくださる方も多くいらっしゃるのではないかと思いますし、こちらからシナリオライターという職種があることを知ってもらわないと、そもそも学生さんから進路の選択肢に入れてもらえないのかなと。

シナリオライターのインターンシップ以前に、未経験である新卒のシナリオライターを募集しているのも珍しいのではないでしょうか。

ショウゴ そうですね。サイゲームスは当初、即戦力になるような経験者を採用していました。ただ、どういう人がシナリオライターとして大成するのかは本当にわからない部分があるので、一度採用基準を洗い直したんです。そこで経験や技術はまだなくても、何か光るものがあるような可能性のある人も求めるようになりました。

インターンシップや新卒採用が、経験者以外のシナリオライターを見出すきっかけにもなっているのですね。インターンシップには、どのような方にご参加いただきたいですか?

ケイスケ 一番は自分が好きなものについて熱意を持って話せる人ですね。シナリオライターの仕事は、ユーザーのみなさんにライター自身の熱を届ける側面があると思っていて。胸の中で燃える炎が熱ければ熱いほど、シナリオライターに向いていると思っています。

仮にその炎が燃えすぎて、例えば独りよがりに語ってしまったり、話が脱線してしまってもいいんです。火力の調整や料理への活かし方は、サイゲームスに入った後で身に付くので。
参加の動機は、「サイゲームスで面白そうなことやってるらしい」という純粋な興味から、「物書きとして食っていくぞ」という強い決意まで、なんでも大歓迎です。とにかく、「これが好き!」という強い気持ちが見たいなと思っています。

ショウゴさんからもお願いします。

ショウゴ 物語を書く上で、文字媒体出身じゃなくてもOKな時代になっていると思います。例えば音楽をやっていたとかVTuberだったとか、いろんな文化が混ざっていったほうが新しい発想の物語が出てくるかもしれません。だから、物語を書くのが好きな人だけではなく、いろんな世界観を持っている人たちが集まってきてくれると、何かイノベーションが起こるんじゃないかという気がしていますね。

ケイスケ 実際、サイゲームスの新卒シナリオライターは文学部卒があまりいないですよね。私自身も政治専攻でした。

ショウゴ 「薬学部でした」なんて人もいますね。いろんな価値観を持った人たちが集まったほうが結果として面白いものができるのだと思います。

ケイスケ 技術的な面も関係ないですよね。私が新卒採用を受けたときも、学生時代に新人賞に応募した際の体験などを話したんですけど、そのエピソードは全然面接官に響いた感じがしなくて(笑)。ただ、選考の中で課題が出ていたので、そちらをしっかり見られていたのだと思います。

インターンシップも選考で課題があります。キャラクターシナリオとフレーバーテキストの二つを課題で出すのは、どういった狙いからでしょうか。

ショウゴ 長文と短文を書いてもらうためです。キャラクターシナリオが長文で、アイテムのフレーバーが短文です。短くまとめる力と、そこそこの尺がある文章で構成する力を見たいというのが狙いです。
ボキャブラリーが要求される仕事なので、短文ではどれだけ難しい言葉を知っていてどれだけ使いこなせているか、あるいはわからなくても調べてものにしていく力があるかを見ています。逆に登場人物のリアリティや「こういうテーマは今の社会にあるよね」みたいな部分はキャラクターシナリオの長文で評価します。
この二つが揃っていると概ねその人の力が見えるので、課題として出しています。

キャラクターシナリオを書く上で重要な点を教えてください。

ショウゴ キャラクターのシナリオを書くなら、ただ一人そのキャラクターでしか成立しないシナリオを書く意識が必要だと思います。そのパーソナリティでなければ書けないシナリオとは何なのか、考えてみてほしいです。

ケイスケ キャラクターを第一に考えるのは、キャラクターシナリオを書く上で本当に大切ですよね。
特にソーシャルゲームでは、仲間になったキャラクターと一緒に、長きにわたってゲームを楽しむことになります。ユーザーのみなさんから長く愛されるためには、魅力的なキャラクターの存在が不可欠です。物語を動かすためにキャラクターがいるのではなく、キャラクターそのものを好きになってもらうために物語を考えるイメージですね。
他媒体のシナリオとは異なる意識が必要なので、執筆経験がある方でもつまずきやすいポイントです。

続いて、フレーバーテキストを書く上でのポイントをお願いします。

ケイスケ 短い文章表現で満足させるような、アイディア力が重要です。
フレーバーテキストは、プレイ中のふとした瞬間に、なんとなく目に入ることがほとんどです。その一瞬で、クスッと笑えたり面白いと思わせたりするテキストを書かなければいけないので、実はとても難しいんですよ。
例えば、『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』の武器・召喚石のフレーバーテキストは、ガチャでの取得直後の画面や、武器・召喚石の詳細ページに記載されています。『グラブル』では、取得直後にふと目に入るパターンが多いですね。
もちろん、手に入れた武器・召喚石がどんなものか知りたくて、詳細ページを確認するユーザーの方々もいます。そのような熱意ある方の期待にも、短いテキストで応えなければなりません。

▲フレーバーテキストの例

短い言葉であっと言わせるのは確かに難しそうですね。もう少し、どんなところを意識して書いたら良いのか教えてほしいです。

ケイスケ フレーバーテキストは「世界観を表現するもの」と説明されることが多いんですけど、それだけでは足りないと考えています。最高のフレーバーテキストは世界観を表現した上で、視点や表現の面白さが不可欠です。

ショウゴ アイディア勝負だと思います。ぼんやり書くのではなく、イラストを見て拾った要素から、例えば「このよくわからない、もわっとした怖いものが空に広がっている不快感を残そう」と発想して、その一つに狙いを絞って書いたときに、ようやくカチンとハマる言葉を書けるのだと思います。文字数が少ないので、そこでどうインパクトを残すかは一つやりごたえのある部分なのかなと。

インターンシップが始まったら、どのように指導していくのでしょうか。

ケイスケ 全員の前で1人ずつ課題に対してのフィードバックをしていきます。自分の課題だけでなく、他の参加者が書いたものへのフィードバックからも学んでいただければなと。

ショウゴ こちらから「ここはなぜこう書いたのですか?」と意図を聞き、あれこれ議論する中で他の参加者にも「あなたならどうします?」と振って、いろんな角度から直しの方向性を見出していきます。修正案を最初から提示するのではなく、ヒントを与えるようなかたちですね。前回、参加者がご自身で「こうすれば自分がやりたかったことがより表現できるんだ!」と気付いた瞬間、驚いた顔をされていたのが印象的でした。

サイゲームスに向いている人とは?
学生のみなさんへメッセージ

サイゲームスは『グラブル』や『Shadowverse』をはじめとした世界観がファンタジーなタイトルが多いですね。ジャンルとしてファンタジーを好きな方が入社後活躍しやすいのでしょうか。

ケイスケ そんなことはないと思います。私自身、『グラブル』のシナリオライターをしていますが、学生時代にファンタジーを書いた経験はほとんどありませんでした。

ショウゴ ケイスケさんはジャンルを問わない器用なタイプだと思うんですけど、特定のジャンルが得意な人もいます。ただ結局は、飛び抜けたものがあるかどうかが大事だと思います。例えばファンタジーはさっぱりでもアイドルのシナリオを書かせると生きたセリフが書けるとか。ジャンルを問わずまんべんなくできればそれはそれで素晴らしいんですけど、そうじゃなくても飛び抜けたものがあれば活躍できるのではないかと思いますね。

お二人が学生時代にやっていて今に活きていると思うことはなんでしょうか。

ケイスケ 学生時代は、興味が湧いたらなんでも全力で飛び込もうと決めていたのですが、そのときの様々な体験が活きているなと感じています。
学生の頃、水族館で朝から晩までずっとペリカンを眺める毎日を数週間過ごしたことがありました。飼育員さんがペリカンにしゃべりかけるんですよ。それを見るのがたまらなく好きで。その光景に夢中で食事も全然取らなかったので、5kg痩せました。
そういう、よくわからない経験も多いのですが、シナリオには活かせたりします。

どんな場面でその経験が役に立ったのか、ぜひ教えてください。

ケイスケ この経験がそのまま活きることは流石になかったのですが、抽象化するとシナリオを書く際に役立ちますね。
「ペリカンに夢中で食事を忘れて痩せた」は、「好きな物事に夢中で必要な何かを忘れる」と整理できます。すると、例えば「恋心をどう表現しよう?」と考えるときに、「一睡もせず相手の絵を描く」みたいな発想に変換できます。
さらに、自分が夢中になった経験を基にすれば、全く同じ状況でないとしても、描写にリアリティが増します。
自分自身の体験は、どんなインプットにも勝る財産です。学生時代は、そんな財産をたくさん築けるチャンスだと思います。

ショウゴさんは、学生時代に何をしていましたか?

ショウゴ テーブルトークRPGをよくやっていました。本編には関係ない酒場『〇〇亭』のメニューを作り込んだりして、好きでやっていたことが今ゲームシナリオライターとして役に立っているので、やっぱり「好き」という気持ちは大切なんだと思います。

あとは演劇やダンス、日本舞踊をやっていたので、ケイスケさんが言ったように、いろんな経験を積んでおくと結構ネタが出てくるんですよね。

最後に学生のみなさんへメッセージをお願いします。

ケイスケ シナリオライターは、好きなものが書けて楽しいばかりの職業ではないことは伝えておきたいです。アイディアが全然出なかったり、やりたいことと求められていることのバランスで苦しんだり、書いても書いても納得できなくて……なんとか締め切りに「現時点での最高」を間に合わせて、それでもリリースされるまでの期間に、「あっちの表現のほうがよかった」「この設定をなんで思いつかなかったのか」と頭を抱える日々が続きます。

ただ、いざリリース日を迎えて、ユーザーのみなさんの反応を見ていると、すべてが報われたような晴れやかな気分になるんですよね。空が澄んだ蒼に見えます。その感覚がとても好きで、私にとっては最高の仕事だと思っています。
シナリオライターに興味を持っていただけたみなさん、一緒にたくさん苦しみましょう。その先で、一緒に最高の景色を見ましょう!

ショウゴ 新卒採用の選考で会う方は「シナリオライターになろう」と決めた人が多いのですが、インターンシップはまだ迷っている人もいます。そういうふわっとしている段階にいる人でも大歓迎です。

私自身、寄り道ばかりしてきた人間で、そのおかげで他の人が書けないような面白さを出せるといった面もあります。シナリオライター一直線で頑張ってくれる方は大事にしつつも、いったんは違う道に行った人がシナリオライターになって、全く違う発想からこの業界をひっくり返すような進化をもたらしてくれるほうが、先々咲く花が大きくなるんじゃないかと思います。長い目で見て、インターンシップがシナリオライターを志すきっかけになればという想いです。


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