大切なのは“らしさ”を活かすこと 『グラブル』新卒エンジニアが成長できた具体的なアドバイス

サイゲームスには、新卒・第二新卒のスタッフにキャリア形成および生活全般のさまざまな悩み相談を行うメンターと業務上必要なスキルを教えるトレーナーが付くメンタートレーナー制度があります。その対象者に、それぞれのコンビで対談していただく連載企画「SJ対談」。
先輩(Senior)と後輩(Junior)、それぞれの立場から見た制度期間中の思い出や成長の軌跡などを話します。
第14回は、『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』サーバーサイドエンジニアのSJ対談をお届けします。

トレーナー/2017年新卒コウダイ
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2017年にエンジニア職として新卒入社。新卒研修を経て『グランブルーファンタジー』のサーバーサイドエンジニアとして配属され、現在は機能改修や新規コンテンツ開発 、ゲーム管理画面の開発を担当。
2018年新卒ヒユウ
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2018年にエンジニア職として新卒入社。新卒研修を経て『グランブルーファンタジー』のサーバーサイドエンジニアとして配属され、現在は機能改修や新規コンテンツ開発を担当。

「優しい先輩」「とにかくゲームが好き」
お互いの印象

ヒユウ コウダイさんの印象は笑顔で気さくに話してくれる優しい先輩です。コウダイさんが2017年新卒で、僕が2018年新卒なので、歳も近くて何でも相談できる兄みたいな存在ですね。

コウダイ ヒユウさんは大学院でプログラミングを学んでいたこともあり、合流した当初から「プログラムが書ける優秀な人」という印象でした。また、2018年新卒の「ゲームプレイ研修(※)」の総スコアが断トツ1位だったことも印象的です。マイペースでおっとりした雰囲気と、会話の端々からほとばしるゲーム愛のギャップがすごかったですね。

(※)新卒研修の一環として、スマートフォンやタブレット端末にインストールして遊べるゲームのアプリケーションを数多くプレイしてインプットする研修。研修の詳細は「新卒研修のコンセプトは「絆を深める」 新人と組織を繋ぐサイゲームスの人事が大切にしていること」で紹介しています。

ヒユウ “ヒユウはゲーム好き!”と、社内で知ってもらえるきっかけになって良かったです!

コウダイ もう1つすごくインパクトがあったのは、お父さんに勧められて『グラブル』を始めたエピソードです。新入社員の自己紹介で聞いたときは驚きました。

ヒユウ 父とは毎日のように『グラブル』の話題で盛り上がって一緒に楽しく遊んでいます!
古戦場(※)期間中も切磋琢磨しながら一緒に走っていて。気付けば父が個人ランキングでも上位に入るような貢献度を出していて驚きます。

(※)『グラブル』内で定期的に開催されるイベント「決戦!星の古戦場」のこと。

コウダイ 聞けば聞くほどすごいお父さんだよね。

ヒユウ 父のエピソードはたくさんありますが、SJ対談がSJ+F(Father)対談になってしまいそうなので、ここらへんでストップしますね(笑)。

コウダイ はい(笑)。

猛スピードでPHPをマスター
制度期間中の思い出

コウダイ ヒユウさんが『グラブル』のサーバーサイドでメインに使用されるプログラミング言語「PHP」をマスターするスピードには目を見張るものがありました。

ヒユウ もともと大学院では違うプログラミング言語を勉強していたのですが、サイゲームスのエンジニア研修ではじめてPHPを触ったときは「なんだこれは」状態でした。とにかくやるしかないと勉強をしながら業務に取り組むうちにだんだん自由に使えるようになっていきました。

コウダイ 正直、信じられない成長スピードだったよ(笑)。「これはね」と僕が教えられたのは一瞬でした。

ヒユウ ソースコードが読みやすかったおかげです。あと、元々『グラブル』をプレイしていたので「このロジックはゲーム内のこの部分の処理をしているんだ」「この値を変えるとここの機能がこう動く」と、ソースコードがゲーム内にどう影響するのかがすんなりと頭に入ってきました。何より自分が入社前からプレイしていた『グラブル』の開発に携われるのが本当にうれしかったからこそ、頑張れた部分が大きいです!

コウダイ ヒユウさんは楽しそうに仕事をしているのが伝わってきます。
元々持っていた実力と成長を認められて、初開催のイベント「ブレイブグランド」(2018年11月12~16日開催)の編成周りのほぼすべての開発を担当しましたね。それをやり遂げ、当時社内で表彰されていたのは流石でした。

▲イベント「ブレイブグラウンド」

ヒユウ 合流して初めて任された大きな仕事だったので、できるかどうか不安もありましたが、とにかくがむしゃらに取り組みました。編成自体は『グラブル』に元からある機能なので、そのソースコードをきちんと全部読んで理解して「ブレイブグラウンド」用に作り直すのは大変でした。
初めの頃は編成周りの構造を理解するために、既存のソースコードを読むだけで1日が終わっていましたが、コウダイさんをはじめチームのみなさんが「じっくり調査して、理解してから作り始めれば良いよ」と言ってくれたので、焦らず業務に臨むことができました。

コウダイ それはリーダーやプロジェクトの先輩たちが、ヒユウさんに成長してもらいたいと一つひとつの作業にしっかりと時間を使って集中できるような、余裕を持ったスケジュールを組んでくれていたんですよ。
「ブレイブグラウンド」は現在も定期的に開催していますが、今も編成周りに大きな不具合はなく、ユーザーのみなさんに楽しんでいただけているのはトレーナーとしてもうれしいです。

コウダイ そういえば、トレーナー面談で「こんなに育成に力を入れてもらっているんだから、少しでも早くチームに貢献できるように勉強をしています」とよく言っていましたね。

ヒユウ はい。合流当初から、技術研修チームにさまざまな技術の基礎を研修で教えてもらい、業務の中でわからないことがあったら、コウダイさんやチームの先輩がサポートしてくれる環境で仕事ができるのは幸運だと思っています。少しでもみなさんに恩返しできるように頑張っていきます!

要点から話す
制度期間中に成長したところ

コウダイ ヒユウさんは制度期間の1年間でコミュニケーション面がすごく成長したと思います。合流当初は話をするときに1から100まですべてを伝えようとする癖があって話が長くなってしまい、要点がわかりにくいことが多かったです。「丁寧に伝えるのは良いのですが、もう少し要点を意識して話すようにしましょう」とよく言っていました。今はそこが改善されて、要点をスパっと話せるようになりましたね。

ヒユウ 指摘を受けて「要点から話す」を意識していたんですが、なかなか上手くいかずにもどかしかったのを覚えています。新卒研修でのさまざまな体験を通して、“相手に失礼がないように、敬意をもって接すること”に意識がいくようになり、「恥ずかしいから口ごもる」「恥ずかしいから考えがまとまらなくて長々と話す」ことが少なくなってシンプルに内容をまとめて話せるようになりました。

コウダイ プログラミング能力で言うと、ヒユウさんは合流当時からトップクラスで、初めから安心して色々な業務を任せられる安定感がありました。ただ、技術力が高いがゆえに、業務に没頭して突っ走ってしまうところもありましたね。

ヒユウ バックエンドの作業を任されたのに、どこまで作れば良いかを聞かないまま作業を始めてしまい、最終的にフロントエンドが担当する工程まで作ってしまったときもありました。結局フロントエンドの方に作り直してもらうことになりました。本当に申し訳なく、不甲斐なかったです。

コウダイ できるがゆえにやり始めると止まらない(笑)。最近は大丈夫ですか?

ヒユウ 最近はどこまでやれば良いのか事前に確認してから作業を始めています。「ここは追加/変更したほうが良いんじゃないか」と思う部分を見つけても、チームリーダーに提案して了承を得てから進めるようになりました。

コウダイ 前は「これがあったら便利なはず!」とまず作ってしまうときもあったので、成長を感じます。

ヒユウ あと、チームで開発することに慣れるまでは、たくさんご迷惑をおかけしました。担当している機能を作り終わったら、すぐに次の担当者が作業に取り掛かれるように準備をするべきなのに、先に他の業務を進めたり、デバッグ作業をしやすいようにテストケースが書けていなかったり……。

コウダイ チームでの仕事は他のメンバーのことを考えて業務を進めるのが基本ですからね。チームの流れを考えた仕事をするためにも、僕は色々な人に口頭でも伝えたり、気になる部分があれば相談したりとコミュニケーションを積極的に取るようにしていて、それをヒユウさんにもできるようになってほしいと思っていました。

ヒユウ コウダイさんが普段からさまざまな職種のスタッフと積極的に話すからこそ、自然とコウダイさんにもいろんな人が相談に来ているのを見て「これがチームとしての働き方なんだ!」と知りました。今後もきちんとコミュニケーションの取れるエンジニアになれるように精進していきます。

「その人らしさ」を伸ばす
アドバイスで意識していたところ

コウダイ ヒユウさんらしく成長できるアドバイスをするように気を付けていました。と言っても、こう考えるようになったのはトレーナーになってしばらく経ってからです。最初は「コミュニケーションをどんどん取っていこう!」と色々な人とアクティブにコミュニケーションを取るやり方を勧めていました。

ヒユウ 僕はどちらかと言うとたくさんの人とコミュニケーションを取るのがそんなに得意ではなかったので、コウダイさんのアドバイス通りになかなかできませんでした。

コウダイ あのときは、ヒユウさんらしさを活かすアドバイスができずに申し訳なかったです。僕自身、新卒時代に背中を見て育った先輩も行動力を活かして仕事をする人で、自分も真似をして業務に取り組んでいました。そうすると、エンジニア業務以外にも人と関わる機会が多くなり、そこから学ぶことが多かったんです。そういった部分を「後輩にも受け継いでいきたい」と、ヒユウさんにも伝えていたのですが……そのやり方が合う人・合わない人がいるというのを失念していました。

コウダイ 当時のサーバーサイドマネージャーに相談したところ、「トレーニーの得意・不得意をトレーナーが認識して、不得意なことはいっそやらせなくても構わない。まずは、『本人の成長に繋がること』を優先してみましょう」と言ってもらい、ヒユウさんに合った指導の仕方を考えました。
「どんどんご飯に誘ってみよう」ではなく、ヒユウさんのゲーム好きを活かして「あの人と一緒にゲームをしてみたら?」「『グラブル』の話で盛り上がってみよう」など他スタッフとの雑談の機会を増やして、徐々にコミュニケーションの幅を広げていきましたね。

ヒユウ それに加えて「これは○○さんに聞きに行くと良いですよ」「これは〇〇さんに確認をしてから進めましょう」などの具体的なアドバイスは本当にありがたかったです。

コウダイ こちらこそトレーナーとして勉強になる部分がたくさんあり、ヒユウさんに教えることで自分自身も成長させてもらいました。

業務から社会人のイロハまで
印象に残っているアドバイス

ヒユウ コウダイさんには本当に何から何まで教えてもらい感謝しかありません。業務面ではツール上のタスク管理方法やデバッガーのスタッフとのやり取りの仕方、社会人として稟議申請の仕方やプリンターの使い方などの「トレーナーに聞いて良いのかな」と思うようなところまで教えてもらいました。

コウダイ 僕がまだ新卒2年目で、業務がそれほど忙しくなかった時期だったので、細かいところまで教えられたので良かったです。
当時は席が隣だったので相談だけではなく、買ってきたお菓子を分け合ったり、一緒にカレーパンをかじりながら「カレー食べたいね」と雑談をしたり、かなり和気あいあいとしていましたね。
ただ、技術的な部分はヒユウさんと自分にはそんなに差がなかったので、他のトレーナーほど力になれなかったと思います。

ヒユウ プログラミングの面では、コウダイさんから「困ったときはエンジニアスペシャリストのヨウさんに相談すると良いよ」と教えてもらっていたので、色々な質問をさせてもらいました。

コウダイ ヒユウさんの技術面の成長はヨウさんあってこそだと思っています。
あと、僕がヒユウさんに助けてもらうこともよくありました。「ここで悩んでいるんだけど」「どうやったら解決するだろう」と2人でモニターとにらめっこしながら考えをまとめていたのが懐かしいです。プログラミングに関してはどちらがトレーナーだったかわからなかったなあ(笑)。

お互いへのメッセージ

コウダイ 業務面では、『グラブル』に合流したときよりも格段にプログラミングの実力が付いていると感じています。これまでの丁寧な仕事ぶりが評価され、現在はベテランスタッフが大半のリファクタリングチームの一員に抜擢されましたね。『グラブル』心臓部のソースコードの整理や改修を行っているのはすごいことです。
すべてをやりきるには時間をかけて根気よく業務にあたる必要がありますが、やり切った先には大きな成果が待っています。そうやって地道に経験を積んでエンジニアとしてプロフェッショナルになってくれると期待しています!

ヒユウ 期待に応えられるように頑張ります!僕の今の目標はエンジニアとして総会(※社内優秀者の表彰などが行われる全社集会)で賞を取れるような仕事をし、そしていつか壇上で「コウダイさんのおかげです!」と言うことです!
また、コウダイさんから教わったコミュニケーション面や仕事の仕方を実践しつつ、2019年・2020年新卒の後輩たちにしっかりと伝えていきます。