セットリストからステージ演出まで内製!制作担当者と振り返る「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -WISH- & -GAZE- 」

『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』の大型リアルイベント「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND(以下、5th EVENT)」は『ウマ娘』初となるアリーナツアーで、公演ごとに異なるテーマに沿った演出が見どころです。
今回サイマガでは、横浜ぴあアリーナMMで7月に開催された「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -WISH-(以下、第1公演)」、ならびに愛知・ポートメッセなごやで9月に開催された「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -GAZE-(以下、第2公演)」の演出制作背景や想いについて、ライブを支えるスタッフにインタビューを実施しました!
イベントに参加されたみなさんはその様子を思い出しながら、未参加のみなさんはイベントの様子や想いをイメージしながら楽しんでくだされば幸いです。

各公演テーマに込められた想いとは?
『ウマ娘』イベント制作者に聞く

本日はよろしくお願いします。最初に、5th EVENTでの役割を教えてください。

キャスティング・セットリスト制作から総合演出・イベント全体の統括、ステージサウンド、映像の3領域における演出・ディレクションを担いました。

5th EVENTの各公演テーマ「WISH」「GAZE」「YELL」「NEW GATE」にはどのような想いが込められているのでしょうか。

初のアリーナツアーということで、ウマ娘が歩む夢の達成までをツアーになぞらえる形をテーマにしようと考えて、夢を見つけ、憧れや希望に向かって走り出す理由と初期衝動を現した「WISH」をスタートにしました。第2公演となる「GAZE」は理想や栄光、具体的に言うと「勝ちたかった場所」「立ちたかった舞台」に至るまでの負けない意志が宿る眼差しをイメージしています。そのため「GAZE」メンバーは挫折や敗北すらも力にして諦めないで歩んだメンバーが多くなっています。
残る2公演はこの流れを汲んでいます。2024年2月に開催する「YELL」はファンやトレーナー、ウマ娘同士がお互いに励まし合い輝く姿を、そして最終公演となる3月の「NEW GATE」は課題や困難、夢すら越えて新たなステージへと向かう彼女たちをイメージしています。

2、3月の公演もさらに熱く盛り上がりそうですね!『ウマ娘』のイベントは公演ごとに異なるテーマや関係性、ウマ娘それぞれの個性などを昇華した演出が見どころですが、どのような体制で制作していますか?

セットリストや演出プラン、楽曲制作や映像演出などは基本的にサイゲームスのスタッフがコアメンバーとなって制作した上で、協力会社の力を適宜お借りしながら作り上げています。『ウマ娘』はゲーム・アニメ・マンガなどコンテンツが多岐にわたる上、イベントを開催する時期にどのような展開を迎えているのか・キャラクター同士の関係性はどう変化しているのかをある程度知っている必要があります。さらに、実際の競馬の歴史や知識も必要なので、やはり網羅的に『ウマ娘』を把握している社内スタッフが中心になりますね。

コアメンバーのみなさんはイベントの演出を専門的に学んできたのでしょうか?どのような経歴なのか教えてください。

ほとんど全員、イベント演出は専門的には学んでいないですね。統括を担当するスタッフは元々、広告関連のデザイン会社に在籍していました。サイゲームスに合流してからは広告やグッズ・書籍の制作から徐々に対応領域が広がり、プロモーションやイベントの企画運営・ディレクションなど「ゲームの外側でユーザーのみなさんが触れるメディアを統括する立場」になり、今に至ります。音楽スタッフのリーダーはゲーム業界の出身ですが、ゲーム内の歌収録やCD収録から対応領域が広がり、ライブのサウンド全般のディレクションに携わるようになりました。映像スタッフのリーダーはマスコミ業界出身で、3DCGアーティストとして音楽番組でLEDを用いた背景制作の経験はあったものの、ライブ演出へ本格的に関わるようになったのはサイゲームスに合流した後からです。このように、業務の延長線上で携わることになったメンバーがほとんどです。

■インタビューの途中ですが……ここで各公演の大まかな流れを解説

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取材スタッフ
演出面についてインタビューを進める前に、まだイベントへ行ったことがないトレーナー(※1)のみなさんに公演のイメージを掴んでもらうべく、公演の大まかな流れ(※2)について簡単に解説します。

※1 トレーナー……ゲーム『ウマ娘』では、プレイヤーの方が「トレーナー」となってトレセン学園に通うウマ娘を育成します
※2 今後の公演では構成が変わる可能性がありますのでご注意ください

5th EVENTの各公演では、グループ・ソロ曲を披露する「ライブパート」と、その合間にトークを挟む「トークパート」があり、基本的にそれを交互に繰り返し約3時間で閉幕します。セットリストや演出は基本的に、一部の楽曲を除いて全公演・日程で異なります。

この記事では全セットリストの紹介は割愛しますが、各公演で『ウマ娘』のクロスメディア作品に焦点を当てたパートがありました。ここからはそれらのパートを中心に、こだわりの演出についてインタビューしていきます!

第1公演の主要なパートを演出面で振り返り
舞台ウマ娘・アニメ『ROAD TO THE TOP』をステージ上でどう魅せたか

■Day1:舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters’ Story~パート

会場ではすすり泣きが聞こえてくるほど没入感のあるパートでした。どのような経緯でこの作品を盛り込むことになったのでしょうか?

舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters’ Story~(以下、舞台ウマ娘)を公演したのが2023年1月で、2月頃には5th EVENTにこのパートを盛り込もうと動き出しました。当初は楽曲を数曲ピックアップし、キャストに歌ってもらう内容で考えていたのですが、舞台のためにつくられたオリジナルシナリオや演出など、舞台ウマ娘の魅力を少しでも多くの方に伝えたいと思い、主演はもちろん実況解説やアンサンブルの方も揃えてステージ上で作品を再現することにしました。

もしかすると「舞台もいいけど、たくさん歌を聞きたい!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、『ウマ娘』は当初から「ライブ」ではなく「イベント」と称して様々なアプローチ方法で彼女たちの物語や関係性、多面性を表現してきました。今回もそれに倣って、会場が違うことによる制限もありましたが、限界まで舞台ウマ娘を表現することを目指しました。

舞台作品をイベント向けにアレンジする際の工夫やこだわりなどを教えてください。

2時間近くある作品を舞台の脚本を担当するスタッフにお願いし、約30分にまとめ直してもらいました。その際に、舞台ウマ娘と同じセリフや歌詞だと伝わりにくい部分を中心にアレンジしました。また、舞台ウマ娘と同じ衣装で、かつハンドマイクでパフォーマンスをしてもらったので、出演者は勝負服などに早着替えし、ヘッドセットの付け替えも即座に行う必要があり……と、舞台裏はかなり緊張感がありました(笑)。

■Day2:アニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』パート

翌日のDay2ではアニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP(以下、ROAD TO THE TOP)』パートがありました。こちらはDay1の舞台ウマ娘の演劇的な見せ方と異なり、映像と歌を中心に展開しました。映像面での演出上のポイントはありますか?

特に上手く演出できたのはアドマイヤベガのソロ曲「Like a Shooting Star」だったなと思います。今回のステージでは大きなLEDが複数あったので、1枚のモニターだけカメラ映像を流し、他のモニターでは星の映像を流すことで広大な夜空を表現しました。そしてやはり双子という設定を絡めたくて、歌唱時のアドマイヤベガが座っている位置と反対側のモニターに妹の姿を映しました。これらの演出によって彼女の世界観を視覚的に演出できたように思います。
余談ですが、リハーサルで会場のモニターで妹のサイズをチェックした際、想定よりもモニターが大きかったため巨大な妹になってしまったんです(笑)。本番ではちょうど良いサイズになったので安心しました。

配信でも天井がプラネタリウムのように見えて良い雰囲気でした。続いて楽曲面で、SNSでも話題になったナリタトップロードのシャウトについてエピソードがあれば教えてください。

ナリタトップロードのソロ曲「ONCE MORE, I CAN」のラストにあったシャウトですね。MCトークでナリタトップロード役の中村カンナさんが話していた通り、台本には「シャウトする」と実際に記載しました。
実はリハーサル時、演出の相談を出演者と行うことがあるのですが、中村さんはシャウトをどのように表現すればよいか考えあぐねていたようだったので、このシャウトはナリタトップロードが苦難の末に勝利して感情が爆発するところなんだとお伝えしました。また、メタ的な視点だとその前のアドマイヤベガのソロ曲のあと、トレーナーのみなさんが声を出したい雰囲気になっているのではと予想していたので、声出しのきっかけとなるようにと中村さんと相談して入れることにしました。

それであの気合の入ったシャウトが生まれたんですね!その他、『ROAD TO THE TOP』パートでこだわった演出を教えてください。

最後の楽曲「イチバン星が駆ける空」ですね。この楽曲はアニメ本編だと菊花賞のあとウイニングライブのアンコールに応えて披露する流れでした。イベントでもそれを踏襲してステージを一旦締め、そこからトレーナーさんからのアンコールを生み出したうえで披露する流れにしたいと考えていました。

https://youtu.be/RIDl7x_gFGE?t=1403

実際の着順は1着・ナリタトップロード、2着・テイエムオペラオー、6着・アドマイヤベガなので、本来であればこの3人でウイニングライブはできないんですよね。だからアンコール曲で実現するというのが『ROAD TO THE TOP』らしく、大変印象深いシーンでした。

そうなんです。イベントでは、楽曲前にトレーナーのみなさんにご協力いただき、「アンコール」と声を出すことで『ROAD TO THE TOP』の作中の展開を追体験していただきました。

ちなみに、この楽曲が披露される前に舞台裏でちょっとした掛け合い(※)があったんですが、覚えていますか?

※ ナリタトップロード「はぁぁ~、緊張したぁ…」テイエムオペラオー「はっはっは。勝利の美酒を存分に味わったかい?」ナリタトップロード「はい!」アドマイヤベガ「準備はできた?」ナリタトップロード「はい!ばっちりです!」テイエムオペラオー「では、行こうか!」という3人の掛け合い

実はあの演出、脚本段階ではあったのですが、尺の都合で泣く泣くカットした幻のシーンなんです。会場に来てくださったみなさんと配信で観てくださったみなさんだけが見られた『ROAD TO THE TOP』のワンシーンということになりますね。

第2公演の主要なパートを演出面で振り返り
TVアニメ第2期にハイクオリティーなダンスパフォーマンス そしてお祭り開催!?

■Day1:TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』パート

続いて9月に開催された第2公演についてお聞きします。Day1ではTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2(以下、TVアニメ第2期)』第10話のツインターボとトウカイテイオーの関係にフォーカスするシーンがありました。このパートの演出について教えてください。

このパートは以前からやりたいと思っていてついに実現しました。それこそ、最初は昨年11月にベルーナドームで開催した『ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! EXTRA STAGE』に盛り込もうかとも思ったのですが、そちらはチーム<カノープス>(※)が初めて揃う機会だったので、チームメンバーの4人だけで「ユメヲカケル!」のパフォーマンスを披露することを優先しました。

※ チーム<カノープス>……TVアニメ第2期で登場したチーム。メンバーはナイスネイチャ、ツインターボ、イクノディクタス、マチカネタンホイザの4人

アニメでツインターボが「オールカマー(G2)」を逃げ切って勝利する場面を踏襲して、イベントではツインターボ役の花井美春さんがアリーナから花道に向けて全力疾走したのが印象的でした。

最初にも言った通り、第2公演はへこんだときに顔を少し上げるためのストーリーや雰囲気をテーマとしているので、それを表現するためにもチーム<カノープス>、そしてトウカイテイオーとツインターボの話はピッタリだということで台本制作を進めました。また、イベントでしっかりとツインターボにスポットを当てたことがなかったので、テイオーに代わってツインターボのセンターで「ユメヲカケル!」を歌ってもらいました。公式X(Twitter)でもそんな二人の関係を表現した映像を作ったので、伏線になっていたら嬉しいです。

■Day2:「ぱか☆アゲ↑ミックス SHOWCASE」

翌日のDay2については2パートについてお聞きします。「ぱか☆アゲ↑ミックス SHOWCASE」では様々なウマ娘が順に登場し、出走キャストたちがハイクオリティーなダンスを披露しました。今までの『ウマ娘』イベントでも見たことのない演出でしたが、どのような経緯があったのでしょうか?

「ぱか☆アゲ↑ミックス」では、ダイタクヘリオスとメジロパーマーの2人が中心となってリミックス楽曲を披露したりするのですが、ここも枠にハマらず単純に見て楽しい、盛り上がれるステージを届けたいと思って制作しました。
結果として、ダンスが得意な出走キャストに「K-POPアイドル風に」「フラメンコ風に」など得意なジャンルのダンスをお願いしました。本番では、マチカネタンホイザ、キタサンブラック、タップダンスシチーのキャスト3人が三者三様のダンスパフォーマンスを披露し、会場テンションが上がったところに主役のメジロパーマーとダイタクヘリオスが登場!という流れになりました。

第1公演Day1でお話ししたことの繰り返しになりますが、『ウマ娘』のイベントでは既存の枠組みには収まらない様々な演出・アプローチ方法でウマ娘たちを表現することを目指しています。さらには、出走キャストのみなさんは我々の期待をはるかに超えるパフォーマンスを披露してくださいます。出走キャストのみなさんの高いポテンシャルに応えなければ失礼ですので、我々もその力を引き出すような、斬新なイベントを全力で作っています。

■Day2:「トレセン音頭(どんどこみっくす)」

最後に、第2公演 Day1・2共に披露した「トレセン音頭(どんどこみっくす)」について教えてください。これまで各公演4回連続で「トレセン音頭」を歌い、出走キャスト全員に加えてウマ娘和太鼓衆やウマ娘ダンサーたち、そしてトレーナーのみなさんで大盛り上がりでした。盛り込むことになった経緯やこだわったポイントを教えてください。

トレセン音頭を皮切りにトレーナーさんがとにかく声と汗を出し切る「お祭りブロック」をやりたいという想いからです。2nd EVENTで「うまぴょい伝説」を3回連続でやったことがあったのですが、それを超える太鼓パフォーマンスからの4回連続「トレセン音頭」で過去最高に体力を使うブロックを目指しました。小道具もこのブロックだけの法被や内輪、纏に酸素缶なども用意して……。

ただし「トレセン音頭」はフルサイズでも2分半しかないので、1回だけだとあっという間に終わってしまうんです。楽曲を何度か繰り返し聴いているとき、歌詞の「よーよいの よーよいの よーよいの よい!!」の部分で繰り返せるな……と思いついて、やってみようと。そのあとの「走れウマ娘(どんどこみっくす)」にノンストップで繋げていくのは我ながらトレーナーさんもキャストや和太鼓衆、ダンサーさんも大変だったのではないか……と思っています。

また、2分半だと櫓型のトロッコが行って戻って来られない物理的な問題もあったので、繰り返しを採用することになったんです。
そしてこのパートの映像もその尺に合わせて作ることになりました。4回分の歌唱で全く同じ映像を繰り返すわけではなく、映像と映像の間を細かく詰める、セリフを入れる・入れないなどきっちりと調整しました。

次回公演に向けて
トレーナーのみなさんに一言

たっぷりとありがとうございました。次回公演に向けてトレーナーのみなさんに一言お願いします。

まずは来年2月に東京・有明アリーナで第3公演「YELL」が開催されます。ライブ制作は毎回そのときに出せるものを出し切る覚悟を持って挑んでいます。10月からTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』が放送されていますので、未確定ですが要素の一つには入ってくるのではないでしょうか。
さらに映像面もブラッシュアップしてガラっと変わり、ウマ娘らしさとかっこよさを追求した斬新な表現をお見せする予定です。会場はもちろん、配信でもぜひ楽しんでいただきたいと思います。


第1・2公演は大盛況の中に幕を閉じました。ご来場、ご視聴くださったみなさん、ありがとうございました。残る2つの公演も『ウマ娘』らしい様々な要素が盛りだくさんですので、内容を予想しながらぜひ楽しみにお待ちくださいね。

現在、2月3日(土)、4日(日)に東京・有明アリーナで開催される第3公演、3月22日(金)、23日(土)に大阪城ホールで開催される第4公演のオフィシャルWEB最速先行のチケットを受付中です。最新情報は5th EVENT公式サイト『ウマ娘』公式Xなどからご確認ください。今後の5thEVENT、ならびに『ウマ娘』の展開にどうぞご期待ください!

「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND」公式サイト

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