世界へ跳躍する『ワールドフリッパー』!海外事業部と開発チームに聞いた海外展開の裏側

ノンストップ体当たりアクション『ワールドフリッパー(以下、ワーフリ)』は、世界に“跳躍”しています。2021年5月に繁体字版、9月にグローバル版(※)、10月に簡体字版をリリースしました。配信先はサイゲームスタイトル最多となる180以上の国と地域に及び、各国のアプリストアセールスランキングでも上位を獲得しています。大規模な海外展開をどのように連携しながら進めたのか、海外事業部と開発チームのスタッフに聞きました。

※グローバル版は韓国や東南アジア、欧米の各言語をゲーム内で設定できるようになっています。

海外事業部 アジア事業統括ユカ
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2015年入社。広報チームの立ち上げを経験後、17年の海外事業部設立を機に、事業責任者として韓国支社を立ち上げる。現在はアジア事業統括として、東京本社アジア事業部と韓国支社、台湾支社を統括。
アシスタントプロデューサーユウスケ
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2020年入社。『プリンセスコネクト!Re:Dive』のプロジェクトマネージャーを経て現職。『ワールドフリッパー』開発チームの窓口として、日本語版の他、海外版のリリースや運営の管理を担う。

「大衆性」×「レトロブーム」
180以上の国と地域に配信!

2021年は『ワーフリ』が世界に躍進した年になりました。まずは海外展開へ踏み出したきっかけを教えてください。

ユカ 日本語版の開発段階から、『ワーフリ』のモチーフであるピンボールが海外の人にも受け入れられやすいのではないかという話はあったんです。ピンボールは世界中の多くの人が一度は遊んだことのあるゲームなので、『ワーフリ』は「大衆性」が高いコンテンツなのではないかと海外版の話が進んでいきました。

▲韓国の駅内でのプロモーション
▲台湾ではコンテナを使った繁体字版のプロモーションも展開しました

ユウスケ あとは特にアジア圏でレトロブームがきていたのも大きかったですよね。『ワーフリ』のドットアニメーションというレトロなビジュアルが海外の方々にも親しまれそうだなと。ユカさんは韓国支社にいますが、実際現地にいてどうですか?

ユカ 確かに韓国でレトロブームは感じますね。今「サイワールド」という2000年代に韓国で流行ったSNSが再流行しているんですよ。そのSNSでも色鮮やかな画面の中でドットチックなイラストが使われていて、当時のブームがまたクローズアップされる時代がきたのかなと。だから、特に若い方々には『ワーフリ』のようなドットアニメが新しいのかもしれません。

▲ピンボールをモチーフにした『ワーフリ』のバトル画面

海外版のリリースに向けて、社内やパブリッシャーとどのように連携していったのでしょうか?

ユウスケ 立て付けで言うとたくさんの部署や外部の協力会社様が関わっています。ユカさんのいるアジア事業部の他、開発側からは私やプロジェクトマネージャーといったサイゲームススタッフ、あとは共同開発している子会社のシテイル、各地のパブリッシャー様、イラストや音楽を手掛けていただいたクリエイターの方々……など多岐にわたります。

ユカ 繁体字版と簡体字版は海外事業部内のアジア事業部がプロジェクトマネージメントを担っていて、繁体字版はサイゲームスの台湾支社で翻訳の監修を担当していました。また、グローバル版については韓国支社でプロジェクトマネージメントと韓国語の翻訳監修をしています。英語は翻訳と監修の両方を東京本社のローカライゼーションチームが担当しました。

▲2020年10月、カカオゲームズ様とサイゲームスは、『ワーフリ』のグローバルパブリッシング契約を締結しました

海外版の翻訳はパブリッシャーにご担当いただく場合が多い中、なぜ英語はサイゲームスが翻訳から入ったのでしょうか?

ユカ アジアだけでなく欧米にも展開の計画を進める中で、サイゲームスの英語ローカライズ担当から「ぜひ自分たちで翻訳もやりたい!」と声が上がったのが大きな理由です。グローバル版のフランス語やドイツ語、スペイン語の翻訳は、日本語から直接行うのでなく、日本語を英訳したものから各言語に翻訳していきます。つまりヨーロッパにも『ワーフリ』の世界観や面白さを伝えるためには、翻訳の基準になる英訳がとても重要で、英訳にもしっかりと力を注ぎたいという思いがあったんです。

そこでカカオゲームズ様に、「サイゲームス側で英訳をさせていただきたい」とご提案したところ、ありがたいことに快くご了承いただきました。カカオゲームズ様には『プリンセスコネクト!Re:Dive』の韓国語版でもパートナーとしてパブリッシングを担当していただいていて、既に4年の協業期間があり、そこで信頼関係を築けていたからこそ受け入れていただけたのだと思います。本当にありがたかったですね。

ユウスケ 翻訳は正解がないので難しいんですよね。日本語をそのまま正しく訳すのが良いのか、ストーリーやキャラの心情にあわせて表現を変えた方が良いのか。国や地域の文化、会社やゲームのスタイルを加味しながら、直訳と意訳のどちらにするかのすり合わせは、どのタイトルでも議論になりやすいです。そういう意味でも、社内でより密なコミュニケーションを取れながら英訳をできる環境はありがたかったですね。

リリース後の反響と
日本語版との違い

まず繁体字版を2021年5月にリリースしました。当時を振り返って印象に残っていることは何ですか?

ユカ リリース後、アクセスが集中し、サーバーの負荷が大き過ぎて長時間のメンテナンスに入ったことです。シテイルとサイゲームスのエンジニアチームで連携しながらトラブル解決にあたりました。繁体字版のユーザーのみなさんには多大なご迷惑をおかけしたので、グローバル版では同じことにならないよう潜在的なリスクをリリース前に丁寧に洗い出してトラブルなくリリースできるよう対応しました。

ユウスケ グローバル版はリリース後非常に安定していたので、本当に問題なく遊んでいただけているのか逆に不安になったぐらいでした(笑)。アジアだけでなく欧米にまで同時にサービスを開始するのが初めてだったので。

ユカ あのときはもう、韓国―台湾―日本で海を越えて毎日のように通話やSlackで連絡し合って、「問題ないですか?」と1日に何度も互いに声掛けしていましたよね(笑)

海外版について、それぞれ反響はどうでしたか?

ユウスケ 各地で登録者数やストアのランキングが想像以上に良く、手応えを感じましたね。繁体字版はストアのセールスランキングで2位、グローバル版は市場の大きな韓国で上位に入りました。

ユカ 印象的だったのが、グローバル版のタイ語の伸びがイマイチだったことです。東南アジアの中でもシンガポールではストアのランキングで1桁台に入って好調だったのに、市場が大きくて翻訳にも力を入れたタイでどうして伸びないのだろうと……。

タイ語の伸びがイマイチだった原因は何だったのでしょうか。

ユカ 結論から言うと、ゲーム側の設定により、タイ語ではなく英語でダウンロードされてしまう方々が多かったからでした。グローバル版は当初、利便性を考え、スマホの言語設定に合わせてゲーム内の言語が自動的に設定されるようになっていたんです。

今でこそスマホやPCの言語設定はタイ語にも対応していますが、フィーチャーフォンや過去のOSの時代はタイ語に対応しておらず、英語で使うしかありませんでした。そのためタイでは未だに英語の設定で端末を使っている人も多いみたいなんですよね。その設定がゲーム側にも引き継がれ、ゲームの言語も英語表示になってしまっていたんです。

実際、タイ人のスタッフ2人に聞いてみると、2人ともスマホの言語設定は英語でした。そのスタッフが言うには、現地で言語設定をタイ語と英語にしている人は半々らしいです。そういったことを踏まえ、リリース後すぐにタイのユーザーのみなさまが趣向に合わせて、タイ語でも英語でもお楽しみいただけるようダウンロードしたときにゲーム内で言語を設定できるように調整しました。

▲タイ語のゲーム画面。グローバル版は、ダウンロード時にゲーム内から言語を設定できます

日本語版と海外版で違うところはありますか?

ユウスケ イラストは各地域の文化に合わせて表現を調整しているものもあります。サイゲームス内で倫理面をチェックするチームに相談しながら進めているのですが、人間や獣人など多様なキャラが登場するので一概に良い悪いを判断するのが難しいですね……。

ユカ ただ、『ワーフリ』ではピンボールというゲーム性だけでなく、ポップで親しみやすいイラストも大衆性を引き上げる大きな要素だと思います。イラストの面からも世界に通じるコンテンツに最適化することで、海外の人にも「サイゲームスはこんなゲームを作っていますよ」と言える代表作が増えた実感がありますね。

ユウスケ そうですね。これからより海外事業部と開発チームで連携して、日本だけでなく最初から世界に目を向けたコンテンツ制作ができるような体制にしていきたいです。

▲日本語版(左)と簡体字版のレシタール。文化的な理由からドクロが変更されています

ゲームシステムについて、日本語版と海外版で違いはありますか?

ユウスケ 海外版では日本語版でリリース後に行った改修を最初から実装する形でリリースしました。ゲームバランスの調整やUIの改修など、改善された要素はなるべく含めるようにしましたね。

▲日本語版の改修前と後。改修後(右)の編成画面は、スキルウェイトがメーターで表示され、キャラクターの属性が台座の色で識別できます
▲海外版は日本語版の改修後のUIでリリースしました

ユカ リリース後のキャラクター追加やコンテンツの追加に関しても、日本語版との時差を考慮して、運用スケジュールを日本のものと変えることが多くあるのですが、その際もゲームバランスを崩さないよう開発チームと相談しながら進めています。これまで経験した海外版の中で、ミーティングの時間や文面でやり取りする文字量が一番多いプロジェクトです(笑)

「新鮮な気持ちでプレイを」
海外版の展望

10月末に簡体字版をリリースし、『ワーフリ』はさらに世界中のみなさまに遊んでいただけるコンテンツになりました。海外版の展望や今後やっていきたいことを教えてください。

ユウスケ 各地域によってコンテンツの消費スピードが全然違うので、どう運営していくかユカさんたちと検討しているところです。グローバル版だと韓国や東南アジア、アメリカ、ヨーロッパと広範囲で提供していて、特に韓国やアメリカのユーザーのみなさまの消費スピードが速いんですよね。

ユカ 最初は日本と同じくらいのペースで運営していましたが、ちょっとずつコンテンツの追加を前倒しできないか調整をしている段階です。ただ、今後どの地域の消費スピードに合わせて最適化していくのかは各所と連携しながら模索しています。あとは海外のユーザーのみなさんにも新鮮な気持ちでお楽しみいただけるような新規施策をやっていきたいですね。

それはどういう施策なのでしょうか。

ユカ 日本語版と海外版で同時にリリースする施策です。というのも、海外版は日本語版を参考にコンテンツを出していくので、次にどんなコンテンツがくるのかが良くも悪くも海外の方々にはわかってしまうんですよね。そのため、日本と海外で同時に楽しめる新規施策をできないか、ユウスケさんたち開発チームと検討しています。

ますます世界中のみなさんにお楽しみいただけるゲームになりそうですね。最後に開発チームのユウスケさんから、ユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。

ユウスケ 『ワーフリ』の開発チームでは「より多くのユーザーに、より長く愛されるコンテンツにしよう」とビジョンを共有しています。「より多く」の部分には、日本だけでなく世界中のユーザーのみなさんも含めています。スピーディーにコンテンツを追加して「より長く」楽しんでいただけるような施策を仕込んでいる最中なので、これからも楽しみにしてください。


以上、『ワーフリ』の海外展開に関する裏側をご紹介しました。世界でお楽しみいただけるコンテンツを発信し続けていきますので、今後の『ワーフリ』の展開にもご期待ください。