CyFreshers ~新卒1年間の成長記録~ Vol.6 カレン/大阪サイゲームス 3DCGアーティストの場合
サイゲームスには、毎年フレッシュな新卒社員が入社しています。「CyFreshers(サイフレッシャーズ)」は、入社2年目の新人社員に、会社や仕事について語ってもらう連載です。新卒社員がどんな想いを持って入社し、入社後の1年間で何を経験して、どう成長を遂げたのか、そして今どんな夢や目標を持っているのか?率直に語ってもらいました。
- 2020年新卒 大阪サイゲームス 3DCGアーティストカレン
- 2020年デザイナー職として新卒入社。研修後、3DCGアーティストとして約半年間東京本社でコンシューマータイトルの開発を経験後、大阪サイゲームスで開発中の『GRANBLUE FANTASY Relink』のプロジェクトに配属され、現職。
『GRANBLUE FANTASY Relink』で
カットシーンのライティングを担当
現在はどんな業務を担当していますか?
大阪サイゲームスのデザイナー部に所属していて、現在は『GRANBLUE FANTASY Relink(以下、Relink)』のカットシーン(※)制作で、キャラクターや背景のライティングを担当しています。ライティングに関して知識や経験があったわけではないのですが、元々興味があったので、背景チームの中で志望者の募集があった際に手を挙げて関わることになりました。他に、ヘルプで合流したスタッフのサポートもしています。
ちなみに、私は入社から約半年間は東京オフィスで仕事をしていたのですが、その時期は別のコンシューマータイトルの背景を担当していました。
※カットシーン……ゲーム内のオープニングやイベントシーンなどに挿入される、映画のワンシーンのようなムービーのこと
▲ 『Relink』を開発する大阪サイゲームスの紹介については、こちらもご覧ください。※在宅勤務体制以前に取材した記事です
職場はどのような雰囲気ですか?
職場全体は穏やかな雰囲気なのですが、カットシーン班のライトチームはキャラの立った面白い先輩がいるのもあって、少しにぎやかな印象です(笑)。自由に意見を言い合ったり気軽に雑談したりできますし、勢いの良さもあって大阪らしさを感じます。コロナ禍以前はお昼ご飯もよく一緒に行っていました。
今は在宅勤務の人が多く、周りに人がいないこともありますが、仕事でわからないことがあったらいつでもSlackやZoomで通話をしていいと言われているので、何かあったらすぐ相談するようにしています。在宅勤務中でも聞きたいことはすぐに聞けますし、スピード感のあるやり取りができていると思います。
配属された当初はどんな仕事を任されましたか?
東京では、最初にゲーム内に登場する「アイテムボックス」「タル」などの制作を担当しました。このときは自分で手を動かして、ゼロから作って最後の仕上げまでやりました。
大阪配属後は、木や草などの自然物の背景制作に携わりました。また、自身での3Dモデル制作に加えて、新たに指定書づくりにもチャレンジしました。自分で作るのではなく、他のスタッフが適切に作れるように指定する仕事ですね。「こういう木を作ってほしい」ということを伝えるために仮モデルを作成し、資料写真を添付したり、サイズ感が伝わるようにキャラクターを隣に配置した画像を作って添えたりしていました。
自分が意図しているものを他の人に伝えるのは難しくて、思ったものと違うものが上がってきたときは、先輩に助言をもらいながらより適切な伝え方になるよう改善していきました。
仕事の進め方はどんな風に覚えていきましたか?
3Dモデルの作成は、トレーナーに何度もフィードバックをもらいながらブラッシュアップしていきました。指定書については、他の人が作成したものを色々と参考にしつつ、チームメンバーにも見てもらいながらより良いものにしていきました。わからないことがあったときに、すぐに質問できる先輩がいたのはありがたかったですね。そういったコミュニケーションの中で、仕事の進め方を覚えていくことができたと思います。
強く感じたのは、良いフィードバックをもらうためには、質問の仕方や説明の仕方が大切だということです。ふわっとした言葉で質問するよりは、意見をもらいたい部分をスクリーンショットにして「ここはこれで良いですかね?」という風に、より具体的に伝えたほうが的確なフィードバックをもらいやすくなります。以前の私を振り返ると、質問の仕方が下手だったなあと思います。
働く上で大事にしていることはありますか?
たくさん会話することと、レスポンスを早くすることです。積極的に色々な人と話すことでお互いに有益な情報を得られますし、疑問や悩みを解決できることも多いです。回答を持ち合わせていないときや、すぐに対応できない場合でも、その旨をひとまず返事すれば、相手は状況をわかって安心するし、無駄に待たせることもありませんから。
会話をすることで、ディレクターなどの依頼者が何を求めているかがより明確にわかりますし、自分のチーム内でもちょっとした雑談の中から知識を得られることがあります。そういう意味で、コミュニケーションを密にとることを心がけています。新人は未熟なぶん、コミュニケーションで補う。そこから技術が身についてくると思っています。
プロの実力を目の当たりにして決意
クオリティーを追求するためサイゲームスへ
学生時代はどんなことを学んでいましたか?
3DCGを学びたいという思いでクリエイターを養成する学校に入ったので、学生期間のすべてを3DCGの勉強に費やしました。授業には、デッサン、デザインの企画、イラスト模写の課題、Adobe系のソフトの使い方、粘土造形などがあった他、スケッチのセミナーにも参加していましたね。
初めは明確に背景を作りたいと思っていたわけではなかったのですが、学校が背景に特に力を入れているところだったんです。実際に先輩たちの背景作品のクオリティーがすごくて、自分もやりたいと思うようになりました。
どんなきっかけでゲーム業界を志したのでしょうか?
元々絵を描くのが好きで、3DCGの学校に入ったのもその延長でした。また、昔からゲームが好きだったこともあり、学校で学んだことを活かして、将来は映像業界かゲーム業界で働きたいと思っていました。どちらの道に進むにせよ、とにかくクオリティーが高いものを作りたいと考えていました。就職先を模索する中で、サイゲームスが「最高のコンテンツを作る」という考えでコンシューマータイトルを開発していることを知り、こういう職場で働きたいと思うようになりました。
サイゲームスに入ろうと思った理由は何ですか?
学校の作品展示会が開催された際に、大阪サイゲームスのデザイナー部の部長が来ていたんです。私の作品を見せたときに、その場でPhotoshopを操作しながら直接フィードバックしてくれ、すごく素敵な作品になったんですよ。目の前でクオリティーが上がっていくところを見て、本当にすごいと思いました。
その人が所属しているサイゲームスが「最高のコンテンツを作る」というビジョンを掲げていると聞いたら、これ以上の説得力はないですよね(笑)。サイゲームスのことはソーシャルゲームのイメージがあり、コンシューマーを開発していることは知らなかったのですが、この会社ならクオリティーを追求できると確信しました。
就職活動のため、学生時代に意識していたことはありますか?
色々なことに挑戦して、たくさん人と話して、自分の幅を広げることを意識していました。元々そこまでアクティブな人間ではないのですが、当時学年でトップの人たちに比べたら、自分は基礎的なスキルも才能もまだまだだと思っていたので。それを補うためには自分ができることは何でもやろうと考えました。
普段は、学校の授業が終わった後20時過ぎくらいまで背景作業をして、その後もご飯を食べた後は課題やスケッチをしていました。学校に入るまでは3DCGのソフトも使ったことがなかったのですが、なんとかものにしようと手を動かし続けた結果、満足のいくポートフォリオを完成させられるくらいまでになりました。
教わる立場から教える立場になり
自分の成長を感じる
この1年で一番達成感を得たエピソードを教えてください。
担当しているカットシーンの、1つのカットが初めてばちっとかっこよく決まったときです。カットシーンは数十秒から数分程度の映像ですが、その中で見せ場の1フレーム(※)が思った通りに決まると達成感があります。
中でも『Relink』の主人公が剣を持ってポーズを決めている、物語の中でも重要なシーンが印象に残っています。窓からきれいな光が入っていて、なおかつ背景よりもキャラクターがしっかり目立っていて、『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』のイラストらしい表現を実現できたと思います。
他の記事でも取り上げられていますが、『Relink』は原作イラストのテイストをとても大事にしていて、「『グラブル』らしいかっこよさ」をとことん追求してグラフィックを作っています。そのため、ライティングに関しても必ずしも物理法則通りではないことがあるのですが、そのカットは、説得力もありつつ、イラストらしい雰囲気を上手く出せたなと。このときは「自分テンサイか!」と思えました。ちなみに天才だと本気でうぬぼれているわけではなくて、アートディレクターが人を褒めるときに「自分テンサイか!」と言うからです(笑)。
※フレーム……ゲームの映像は1秒あたり30または60コマの静止画で構成される。その1コマのことをフレームと呼ぶ
▲ 『Relink』のグラフィック面での取り組みについて上記の記事でご紹介しております。ぜひこちらもご覧ください
反対に、失敗談や大変な思いをしたエピソードはありますか?
先ほどお話ししたように、作業に詰まったときは相談しようと心がけているのですが、質問の仕方がとにかく下手でした。困っている箇所や理由を具体的に言語化せずに、漠然と「何か上手くいかないんです」と訴えるだけで、相手の方が答えにくい聞き方をしてしまったことが何度かあります。
絵が上手く決まらないという状況は抽象的で言語化しにくいのは確かなのですが、それをもやもやしたまま投げても、相手にしてみれば何をどうアドバイスしたらいいかわからないですよね。最初は、そのあたりの言語化が未熟でした。少なくとも、自分が何を目指していて、どう上手くいっていないかを明確にして伝えることが大事なんだと思いました。
入社してからの自分を振り返って、成長したと感じる部分はどんなところですか?
技術面でも会話面でも、教えてもらうだけだった状態から、人に教えられるようになったことに成長を感じています。ライティングチームにヘルプで入ったライティング未経験のスタッフに、自分から教えられるようになりました。以前、ライティング未経験だった自分が助けられたように、「いつでも相談してください」という姿勢でいます。
それから、アートディレクターからは、制作のことはもちろん、そのおおらかな人柄から物腰の柔らかい伝え方や雰囲気づくりも学べた気がします。
今後の目標や目指しているものを教えてください。
今は1フレームが決まっただけで大喜びしていますが、『Relink』のカットシーンのどこを切り取っても最高にかっこいいライティングにして世の中にお届けしたいです。
開発メンバーの一員として、『Relink』をユーザーのみなさんに喜んでいただけるクオリティーに仕上げていきたいと思っています。
以上、3DCGアーティストのカレンさんへのインタビューをお届けしました。本連載では、今後もフレッシュに活躍する新卒の姿をシリーズでお伝えします。お楽しみに!
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